《甘え上手な彼2》第41話

「高志……」

「なんだ?」

「私今からだから……ちゃんと見ててね……」

「え……今からなのか?」

「うん……順番ずらしてもらった……高志に見てしいから」

「そ、そっか……じゃあ、頑張ってこいよ……俺ちゃんと見てるからさ」

「うん……じゃああとでね……」

紗彌はそう言うと高志の元を離れ、小走りでイベントステージに戻って行く。

高志はそんな紗彌を見送り手を振る。

そして………。

「よぉ~高志君」

「隨分待たせてくれたじゃねぇか……」

「覚悟しろよぉ~」

「………やっぱり?」

その後、高志がどうなったかは想像の通りだった。

「………」

「おう、ボロボロだな」

「誰のせいだよ! 誰の!!」

優一は観覧席に戻っていた。

結局、嫉妬に狂ったクラスメイトにボコボコにされてしまった。

優一はけろっとした表で新しく買ってきたたこ焼きを食べていた。

「いやぁーお前のおかげで俺は無事だったよ。サンキュー」

「あぁ、それは良かった……親友のお前が無事でよかったよ……」

高志は俯いたままニヤリと笑い、優一に言い放つ。

「あぁ、本當だよ……他の奴らに見つかる前で……」

「え……」

高志がそう言うと、優一を取り囲むようにしてクラスメイトが集まって來る。

「よう……優一ぃ!」

「たこ焼きは上手いかぁ?」

「じゃあ、今度は俺たちの憎しみの鉄拳を食らうかぁ?」

「お、おまえら! 高志貴様ぁぁぁぁぁ!!」

「ふっ……」

優一はクラスメイトの男達に連れられて人気の無い場所に運ばれる。

「これで今日はもう俺に手を出すなよ」

「あぁ、約束だしな……仕方ない」

「こんなに痛めつけておいてか……」

高志は赤西にそう言い、視線をステージに戻す。

コンテストは順調に進行しており、もう終盤に差しかかっていた。

「さてさて! 殘る參加者は後二人! 會場は嫉妬に狂った男が抜けたせいで多寂しいですが……最後までお付き合い下さい! それではエントリーナンバー23番! 宮岡紗彌さん!!」

司會者のかけ聲と共に、紗彌がステージに現れる。

高志は紗彌から視線を反らさず、ジッと紗彌を見ている。

紗彌も高志を見つけ、二人の視線が合う。

紗彌は高志を見つけて安心し、優しく微笑む。

その姿に會場からは歓聲が沸いた。

「おぉ! 最初からかなりの好です! これまでにないほどの盛り上がりを見せています! それでは質問コーナーに參りましょう!!」

やはり紗彌は綺麗だ。

それを高志は今、強く実していた。

ステージに居る紗彌はいつもの紗彌と違って輝いている気がした。

「今日は誰と來ましたか?」

「えっと……彼氏です」

紗彌がそう言った瞬間、會場の男達は殘念そうに「あぁ~」っと聲をらす。

「おぉ! 青春ですねぇ~、告白はどちらから?」

「私からです」

「やや! 一どんな人なんでしょうねぇ~、こんな素敵なお嬢さんの心を盜んだ罪深い男は!」

(この司會者、かなりノリノリだな……)

高志はそんなことを思いながら、ステージで質問に答える紗彌を見つめる。

「でも……最近々あって……」

「貴方もですか!? 今日のコンテストには男と上手くいっていないが多いですねぇ……」

(そんなコンテスト嫌だな……)

司會者の言葉に、高志がそんなことを思っていると、紗彌が話し始める。

「でも……良いんです。さっき彼に元気を貰いましたから」

「じゃあ、仲直りを?」

「はい、もう不安も無くなりました。だって……私が一番って言ってくれましたから」

紗彌は頬を赤らめながらそう言う。

高志はそんな紗彌の言葉に涙を浮かべる。

本當に良い彼だと思いながら、高志はもっと紗彌に優しくしようと心に決める。

その後、紗彌の出番が終わり、高志はステージから視線を反らす。

「ホント……俺にはもったいないな……」

高志は立ち上がり、紗彌を迎えに行く。

「全く……」

優一はクラスメイトにボコボコにされ、祭り會場をさまよっていた。

「あいつら………逆恨みしやがって……」

優一は不満をらしながら、會場を歩き芹那を探す。

「あいつは一人だと面倒事に巻き込まれるからな……」

最初にあった時も、その次も、芹那は面倒事に巻き込まれていた。

だから優一はし嫌な予がしていた。

「二度あることは三度……なんていうが、まさかな……」

なんでこんなに芹那が心配なのか、優一自よくわからなかった。

「あぁぁぁ!! クソ! なんで俺があんな奴を!!」

芹那を心配する自分にイライラし、聲を上げて探す。

そんな優一の目の前に再びクラスメイト達が現れる。

何やら眉間にシワを寄せながら悩んでいる。

「おい、人をボコってお前ら何してんだ?」

「あ、優一! お前の連れが……その……」

「あ? 秋村? あいつがどうしたんだ?」

「いや……その……柄の悪い奴らに……」

「詳しく聞かせろ」

クラスメイト達の話しはこうだった。

優一を探していたと思われる芹那が、柄の悪い四人組の男と人気の無いところに消えた。

無理矢理連れて行かれているようで、警察に連絡するかをクラスメイト達は話し合っていたらしい。

優一はそれを聞き、直ぐさま芹那が消えた場所に向かった。

「たくよぉ……」

「あ、あの……もう結構ですから……」

「えぇ~良いじゃん、お兄さん達と遊ぼうよ~」

「そうそう! 君コンテスト出てた子だよねぇ~メッチャ可かったよぉ~」

芹那は現在、人気の無い公園の林の中で柄の悪い男四人に囲まれていた。

優一の居場所を知っていると言われてついてきたが、それが失敗だったと芹那は気がついた。

「君、本當に可いねぇ~」

「さ、らないで下さい!」

一人の男が芹那の頬にれようとしたのを芹那は手ではじいた。

その瞬間、男達の目が変わった。

「っち! 面倒だ! 取り押さえろ!!」

「や、やめて!! 離して!」

芹那は腕を摑まれ、きを取れ無くされた。

「やめるかよ! 結構もありそうじゃねーか、たっぷり可がってやるよ!」

「いや……やめて……助けて……」

の帯をはずされ、芹那は浴がされそうになる。

涙を流し、芹那が助けを求めた時だった。

「隨分楽しそうですねぇ~変態お兄さん方」

優一がニヤリと黒い笑いを浮かべて男達の目の前に現れた。

「あぁ? なんだてめぇ!」

「あ、こいつ、この子の連れっすよ!」

「へぇ~王子様気取りで助けに來たってわけか……かっこいいねぇ~」

完全に余裕の表を浮かべる柄の悪い男達。

歳は恐らく大學生くらいであろう、格も結構良い。

しかし、優一は黒い笑みをやめず、四人に言う。

「あぁ、そういうの良いんだよ……こっちは合法的に暴れられっから、楽しみでさぁ……早く手を出してくれた方がありがてぇんだよ……」

「なら遠慮なくっ!!」

一人の不良が優一に毆り掛かる、優一はその拳を避けて、再びニヤリと口元を緩める。

「高志……今日は良いよな?」

そう小さく呟き、優一の反撃が始まった。

「はい、じゃあ復唱」

「「「私たちは子高生に暴しそうになった変態お兄さんです!!」」」

數分後、芹那と優一の前にはパンツ一丁で土下座し、頭を下げながらそう言う柄の悪い四人組が居た。

優一は無表でその様子を畫に収め、四人に言う。

「次、こいつになんかしてみろ……コレをネットに上げて住所と本名も公開するからな」

「は、はい!」

「もう貴方様のには手を出しません!!」

泣きながらそう言う四人に、高志はしゃがんで目線を合わせて言う。

「あいつは俺のじゃねーよ」

「え……そ、それじゃあ……どういう……」

「俺はなぁ……俺のものに手を出されるのが嫌いなんだよ」

「そ、それは人って意味なんじゃ……」

「違うって言ってんだろ!!」

「「「ええぇ………」」」

優一の言葉に矛盾をじる四人。

「こいつをめて良いのは俺だけ何だよ! わかったらさっさと行け!」

「「「は、はいぃぃぃぃ!!」」」

四人は返事をしてそのままその場を後にした。

優一はため息を吐き、芹那を見る。

先ほどから無言で何も言わず、ずっと俯いている。

(無理もねーか……強されそうになったわけだし……)

優一は芹那の心を考え、今くらいは優しくしようと考える。

「あぁ……なんだぁ……とりあえず、浴直せよ」

「………優一さん」

「お、おう……どうした? なんか食うか?」

「………ごめんなさい」

「え………」

優一は芹那のそんな言葉に思わず言葉がれる。

なぜ謝るのか、優一にはわからなかった。

芹那が謝ることなど何も無いからだ。

「私……いっつも……優一さんに迷掛けてばっかりで……今回も……」

涙を浮かべながらそう話す芹那に、優一はため息を吐く。

「はぁ……確かにな……毎回面倒毎に巻き込みやがって……」

「………ごめんなさい」

悲しそうな表の芹那に、優一は背中を向ける。

「だからよ……その……もう離れるなよ」

「え……」

「俺が側にいれば、馬鹿な男が寄ってきても大丈夫だろ……だ、だからよ……」

「あ、あの……それって……」

優一は祭りに芹那と來ると決めたあの日から、本當は気がついていた。

自分が芹那をどう思っているか。

その答えに決著をつけるため、優一は芹那と一緒に祭りに行くことを了承した。

そして、目の前で芹那が無理矢理暴されそうになったところを見て、優一は自分の気持ちに気がついた。

「………お前のには負けたよ………」

優一は芹那に背を向け、頭を抑えながろそう言う。

「なんか、俺はお前は心配でしかたねーんだ………だから……俺の側に居てくれよ」

「優一さん………」

芹那は恥ずかしそうにそう言う優一の背中に抱きつく。

ようやく自分の思いが実り、芹那は涙を流す。

そんな芹那の手に優一がそっと手を添える。

まさかこんなことになるなんてと思いながら、優一は空を見あげて笑みを溢す。

「優一さん……」

「なんだよ」

「大変です……」

「どうかしたか?」

「はい、優一さんに踏まれたくて……はぁはぁ……私……が火照ってきました……」

「………はい?」

優一は凄く嫌な予がした。

先ほどまでの良い雰囲気はどこへやらといったじで、芹那は顔を赤らめながら優一に抱きつく。

「はぁはぁ……ゆ、優一さん……今日私の家……親が居ません……」

「そ、それがどうした?」

「もう、の子に言わせないで下さいよ~」

「わ、悪いが……俺は今日は普通に帰るぞ……」

「嫌です。それに……さっき側に居てほしいって……」

「意味が違う!」

「私の家には縄もロウソクも手錠もあるんですよ!! 直ぐに出來ます!」

「それを使って何をする気だ! 言っておくけど、付き合うって言っても、そう言うことは段階を踏んでからだぞ!!」

「いやです! 今すぐ私をめてください!!」

「あぁぁぁ!! 結局かよ! なんで俺はこんな奴なんかをぉぉぉぉぉ!!」

優一の後悔のびは祭り會場まで響いたと言う。

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