「いや〜、綺麗だねぇ〜、海が！」

「そうですね、とっても綺麗ですね、海が！」

俺と和博さんは、水著に著替え靜香たちより一足早く砂浜へとやってきた。

そして、俺と和博さんは、二人揃ってここから見える景を堪能していた。もちろん綺麗なのは海ですよ！海！間違っても水著姿のだとは勘違いしないでね！

「そうねぇ、海は綺麗よねぇ？ね、あなた？」

「「っ！？」」

突如後ろから冷たく背筋が凍ってしまうようなそんな聲が聞こえた。その聲の主は、もちろん忍さんだ。忍さんの水著、すごい大人っぽくて綺麗なのにどうしてだろう。直視できない。ああ、そうか。たぶん俺、忍さんの水著を見るのが恥ずかしいんだ！そうだよな！

でも、なぜだろう。おかしいよ、夏だと言うのにすごい寒い。

「あなたは、もちろん海が綺麗と思ったんですよね？まさか、水著姿のが綺麗とか……思ってませんよね？」

「はい！もちろんであります！」

「ふふ、そうですよね。」

良かった、矛先は和博さんだけだ。

和博さんは、何か助けを求めているような目をしているが……ごめんなさい、俺には無理です。

「あれ？そう言えば靜香は、どこにいるんですか？」

「え？今さっきまで一緒に居たんだけど……あ、あそこにいるわよ！」

「ん？あ、あそこですか。」

し遠くにジャケットを羽織った靜香が立っていた。

なんであんな所にあるんだろう？

そんなことを考えていると忍さんが靜香のところへ行き説得してこっちに來させようとしたが全くこっちに來る気がなかったので忍さんは、靜香を引っ張って連れてきた。

「全く、何恥ずかしがってんのよ。」

「お、お母様、わ、私のことは気にしなくていいって言ったじゃないですか！」

「はぁ、自分の娘を気にせず遊ぶ親なんていると思う？もし、そんな人がいるとしたらそれはその親が腐っているのよ。私は、まだそこまで腐ってなんかないわよ。」

「あ、あぅ、そうですね……」

「ほら、分かったならそんなジャケットは、早くぎなさい！」

「そ、そんな！？い、今、ですか？」

「今に決まってるでしょ？今がなかったらいつぐのよ？」

「そ、それは……」

「ほら、早くいだいだ。」

靜香は、忍さんに流されるままジャケットのチャックを下ろす。

靜香の水著は、白のワンピースだった。

そして、俺は靜香の水著を見て目を見開いた。

……………この水著って……あの夢の中の……の子が著ていたような………

いや、まさかな。

夢だから記憶が曖昧なのだ。

だからこそ、どんな水著を著ていたなんて覚えてない。

「…………」

「あら、一君、満更じゃないって顔よ。ほら、ずっと黙ってるし。」

「お、お母様！な、何を言ってるんですか！？」

「靜香、すごい似合ってるぞ。お父さんも靜香の長した姿が見れて嬉しいぞ。」

「お父様の意見は聞いていませんので。」

「酷い！」

「ほら、一君も何か言ってあげて。」

俺がボッーとしていると忍さんからそんなことを言われた。

何か言ってって言われても……

「可いと思うぞ。よく似合ってるよ。」

「〜っ！ば、馬鹿じゃないの！私に似合わない水著なんてあるわけないじゃない！」

「ふふ、なら、なんで最初は自信なさげにジャケットなんか羽織ってたのかしらね〜？それに更室でも私に何度も似合ってるか確認しに來たし。」

「お、お母様！わ、私がそんなことするはずがありませんよ！な、何を言ってるんですか！？」

おやおや、照れちゃって。可いな。

でも、あの水著……もしかして本當に俺の夢に出てきた水著だったら……あのの子って靜香になるのか？

でも、俺は靜香にあったのは今年が初めて……だよな？

ま、まぁ、俺の気にしすぎかな。

第一俺が昔、海に行ったことがあるってのも噓くさいしな。

うん！あの夢はただの幻だったんだ！夢は夢だ！

「さてと、それじゃ、早速泳ごうか！」

「そうですね、ほら、靜香も行こうぜ！」

「わ、私は、いいわよ！……泳げないんだから。」

「分かってるって。だから、そのためにわざわざ浮き借りてきたぞ！ほら、これを使ってまずは泳ぐ練習しようぜ！」

「い、嫌よ、浮きとか！は、恥ずかしい！」

「恥ずかしがんなって。ちゃんとこうやって手を握っててやるから安心しろ。」

「〜っ！き、気安く私の手にれないで！」

「そんな怒ることないだろ。ちょっと前におんぶだってしてあげたんだぞ。手を握るくらいそんなに気にすんなって。」

「あ、あの時は仕方なくよ！今は、お母様がいるんだからお母様に頼るわ！」

「ふ〜ん、でも、そのお母様はもう和博さんと一緒に海へ行ってしまったよ。」

「え！？あ、お、お母様！」

靜香は、遠くで和博さんと一緒に泳いでいる忍さんに聲をかけるが全く聞こえてはなかった。

「ほら、こうやって喧嘩ばかりじゃせっかくの海が臺無しだ。大丈夫、絶対に泳げるようにしてやる！」

「〜っ！ど、どうしてそんな拠もないことが言えるのよ。」

「さぁな。」

「へ？」

「そんなの分かんねぇよ。でも、頑張らないと何も出來ない。まず必要なのは才能じゃない。苦手な事をやってやるっていう努力が必要なんだ。」

「………わ、分かったわよ。そ、その代わり絶対に手は離さいでね！絶対よ！」

「分かってるって！」

そうして俺は、靜香に浮きをかぶせ一緒に海へと向かった。