《甘え上手な彼3 秋編》第11話
*
赤西の知り合いや友人が、皆で赤西を気味悪がっているその頃。
赤西は急いで校門前に向かっていた。
その理由は……。
「お、お待たせ……」
「やっと來たぁ~遅いよぉ~」
「ごめんね、部活が長くて」
赤西は校門の前で待っていた癒と合流し、帰路についていた。
今まで彼と下校するなんて経験が皆無だった赤西は癒と下校するだけどだった。 隣では癒が楽しげにずっと話しをしていた。
「ねぇ、健輔君はさ……」
「う、うん何?」
楽しげに話しをしながら帰宅する赤西と癒。
そんな二人を遠くから観察する男が一人いた。
野球のユニフォームに、肩にはバットを掛けている。
その男は繁村だった。
部活が終わり、家に帰ろうとしていたところで赤西と癒を発見し、後を付けてきたのだ。
「やっぱりあの……どっかで……」
繁村は癒の事が気になって仕方なかった。
二人にバレないように後を追う赤西、そんな赤西の視線にもう一人の人間が寫る。
「あ、あれって……」
それは、不機嫌そうな表の朋香だった。
朋香は偶然コンビニで買いをしており、コンビニの前でバッタリ赤西達と遭遇していた。
「これは……まぁ、何も起きないよな?」
*
俺こと赤西健輔は今、人生で一番幸せだと言っても過言では無かった。
可い彼と一緒に下校をし、楽しく話しをする。
これがリア充!
これが勝ち組!
今の俺は最高に気分が良かった。
「あ……」
「あ……」
しかし、そんな気分の良い俺の前にあいつは現れる。
コンビニから丁度出てきたそいつは、俺を見ると不機嫌そうな顔をしてそのまま何も言わずに去って行く。
「……無視か……まぁありがたいか」
「健輔君の知り合い?」
「え、あぁ……クラスメイトだよ」
「ふーん、そうなんだ」
いつもなら皮の一つも言っていくところなのだが、今日の西城は何も言わずに去って行った。
何も言われないに越したことは無いのだが、なんだか調子が狂ってしまう。
俺に気を使ったのだろうか?
「どうしたの?」
「え……あぁ、何でもないよ。行こうか」
キョトンとした顔で俺を見る癒。
俺は西城の事をあまり気にせず、癒と共に再び帰宅する。
「それじゃあ、またね」
「う、うん。また明日」
別れ道で別れ、俺は一人になった。
未だにあの子が俺の彼になったんだと思うと、これは夢なのではないかと疑ってしまう。 容姿も可く、格も良い。
そして何よりも……。
「おっぱい……大きいよなぁ……」
始めて會った時からそう思っていたが、今日改めて見ても大きかった。
俺はニヤニヤしながら家に帰りる。
なんだか明日が來るのが待ち遠しくてたまらない。
俺は今、最高に幸せだった。
*
「うーむ……西城もどうかしたのか?」
繁村は赤西と癒の尾行をコンビニ近くでやめた。
自分の家がもうすぐだからと言う理由もあったが、それ以上に朋香の行が気になり、その場で考え込んでいたのだ。
「いつもなら、顔を合わせれば言い爭いだったが……今日は何も言わないなんて……」
様子のおかしい朋香に疑問を抱きながら、繁村はコンビニで買ったアイスをコンビニの前で食べていた。
「うーむ……俺の考えすぎか?」
一人でそんな事を考えている繁村。
「もうあんまり深く考え無いようにして、赤西を祭りに上げる準備でも始めようなかな?」
アイスを食べながら繁村は騒な事を呟く。
繁村はどうやって赤西を祭りに上げてやろうかと考えながら、アイスの棒をゴミ箱に捨てて自分の家に向かって歩き始める。
「なぁ、聞いたか? 三組のサッカー部の奴の話」
「あぁ、聞いた聞いた」
家に帰る途中、赤西は同じ學校の制服の男子二人の話しが耳にった。
三組と言えば繁村のクラスであり、サッカー部と言えば赤西の事だ。
繁村は二人の會話に聞き耳を立てる。
「知ってる知ってる、あれだろ? うちのクラスの神谷の今回の獲だろ?」
「あぁ、可そうだよなぁ……」
「搾り取られて終わりだろ? マジで同するぜ……しかも神谷の兄貴は喧嘩がメチャクチャ強いヤンキーだし……」
「また一週間で捨てられるんだろうなぁ……」
繁村は電柱のに隠れながら、その話しを聞いていた。
「マジかよ……」
繁村は大変な話しを聞いてしまったと思い、直ぐさま家に帰宅した。
*
翌日、高志のクラスは前の日と違ってギスギスしていた。
理由は簡単で、昨日ショックをけていた男子達が我に戻り、赤西を敵として認識し始めたのだ。
「どうする?」
「まずは水攻めだ」
「その後は十字架にり付けて……」
「それよりも全員で山に埋めに行こう」
朝から騒な話しで盛り上がるクラスの男子。
そんな男子達を子達はいつものように呆れた表で見つめる。
「やーねー、男って」
「あんなんだからモテないのよ、朋香もそう思わない?」
「え? あぁ……そうだね……」
「どうしたの? ぼーっとして」
「そ、そんな事無いよ。ちょっとトイレ行ってくるね……」
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