《甘え上手な彼3 秋編》第14話
*
「だから何度も言ってるだろ!!」
「しつこいな! なんなんだよ!!」
高志達は放課後殘って、赤西の説得をしていた。
流石に赤西も三人のしつこい説得にイライラを募らせていた。
「繁村! しつこい男は嫌われるんだぞ!!」
「だから! お前にだけは言われくないんだよ!」
「んだとぉ!」
「なんだよ!」
なんだか半分、赤西と繁村の喧嘩になってしまっていた。
互いに互いの悪口を言い、お互いに傷つけあっていた。
「はぁ……まったくこいつらは……」
「なんか、何を言っても無駄な気がしてきたよ……」
呆れた様子で泉と高志がそんな事を呟いていると、高志は足下に何かあるのを見つけた。
「ん? なんだこれ?」
高志が見つけたのはお守りだった。
そこには通安全と書かれており、結構古そうなだった。
「おーい、これって誰のかわかるか?」
高志はクラスに殘っている生徒に尋ねる、しかし持ち主は現れなかった。
「おい、これ誰のか知ってるか?」
「え? なんだこの古いお守りは?」
「あ………」
高志は赤西と繁村に尋ねると、二人は喧嘩をやめてお守りを見る。
赤西は見覚えがあるらしく、高志が持っているお守りを凝視する。
「これ……西城のだ」
「なんでわかるんだよ?」
「いや……昔、ちょっとな……」
「なら、西城の機にでもれておけば良いか」
「いや、ダメだ!」
「ど、どうした? 急に大聲で……」
「あ……いや、なんでもない……これは俺が屆けるよ」
「え? あ、おい! 赤西!!」
赤西はそう言うと、高志の手からお守りを奪い取って、そのまま教室から出て行ってしまった。
「たく……急にどうしたんだ?」
「さぁな、それよりも今日は俺たちも帰るか……そろそろ紗彌も委員會終わる頃だし」
「それもそうだな……しかし、あの慌てよう……なんか怪しいなぁ……」
「繁村君は疑い過ぎだよ。それじゃあ僕はそろそろ先に帰るね」
「おう、じゃあな泉」
「また明日」
高志達も赤西が居なくなり、學校に殘っている意味が無くなり、それぞれが鞄を持って帰ろうとする。
*
赤西はお守りをを持って、商店街を歩いていた。
「……あいつも……いまだに持ってたのか……」
高志はお守りを見ながらそう呟く。
赤西はこのお守りの事を知っていた。
それは赤西と朋香が小學三年生の時の事だった。
「あの頃はまだ……仲良かったよなぁ……」
赤西はふと、昔の事を思い出す。
それは今から八年前の事……。
*
「まってよぉ~けんくーん!」
「なんだよ、ともかはおそいなぁ~」
「だって……ぐす……けんくんが早いんだもん……」
「あぁ! わかったから泣くなよ!」
夕方の公園で二人の児が遊んでいる。
それは小學三年生の頃の赤西と朋香。
二人はこの頃までは仲が良く、よく二人で遊んでいた。
「ね、ねぇ……け、けんすけくんはずっと私と……な、なかよしでいてくれる?」
「うーん……ヤダ!」
「え……うっ……な、なんで?」
思いも掛けない赤西の臺詞に朋香は涙を堪えながら尋ねる。
「泣き蟲とはいやだ! だから泣き蟲なおせ! そしたらずっと仲良しでいる!」
「ほ、本當に!? や、やくそくだよ!」
「おう! まかせとけ!」
二人はこの頃は凄く仲が良く、學校でも休みの日でもずっと一緒だった。
しかし、そんなある日の事……。
「はい! けんすけくんこれ」
「なんだ? これ?」
「お守りだよ。これがあれば怪我もしないし、不幸にもならないって!」
「ふーん、ありがと!」
朋香が渡しのは、お揃いのお守りだった。
通安全と書かれたそのお守りを赤西も朋香も大切に持っていた。
そのせいもあってか、赤西も朋香も怪我や病気にかからず、元気に育っていった。
しかし、お守りでも防げない事が二人のに起きてしまった。
それはとある日の放課後の事だった。
朋香はいつものように赤西と家に帰ろうと、赤西を探していた。
「なぁ、けんすけってさー西城の事好きなの?」
「は、はぁ?」
「いっつも一緒だよなぁ~、ひゅーひゅー!」
「ば、馬鹿! 好きなんかじゃねーよ! 泣き蟲だし、足遅いし」
廊下の曲がり角で朋香はそんな赤西達の話しを聞いてしまった。
朋香は赤西本人からのその言葉に相當なショックをけた。
それからだった、二人はあまり一緒に遊ばなくなってしまった。
まだ子供だった朋香は、赤西のそんな言葉を聞いて、振られてしまったと思い、赤西と仲良くする事が出來なくなってしまった。
「う……う……グス……」
一人、工場の跡地で泣いていた朋香。
しかし、朋香は決して弱く無かった。
自分を振った事をいつか赤西に後悔させてやろうと、容姿に気を遣い、格も大人しい格から活発な格になった。
「絶対……絶対に後悔させてやる!!」
そんな事を考えながら、朋香は高校でも赤西を後悔させるためだけに、同じ高校を選んだ。 しかし、実際は後悔させたいからという理由はただの建前だった。
本當の朋香はまだ諦め切れないでいた。
*
「はぁ……あの馬鹿……まだこれ持ってたのかよ……俺はてっきり捨てちまったのかと思ったが……」
赤西はお守りを見ながら昔を思い出していた。
「昔か……戻れるなら……戻りてーな……」
赤西は昔のとある出來事を思い出していた。
それは、昔聞いた子の話。
小學生の頃、赤西と朋香の仲が段々悪くなり始めていた頃だった。
赤西は朋香を含めた子數名のコソコソ話しを聞いてしまった。
『ねぇねぇ、ともかちゃんってけんすけ君が好きなの?』
『え………ち、違うよ……むしろ……大っ嫌いだもん………』
好きだったの子からのこの言葉は赤西にとっては大ダメージだった。
「なんで……こうなっちまったんだろ……」
赤西はなんでこうなってしまったのか、ずっとわからずにいた。
大人しくかった朋香は、活発で活的になり、ギャルっぽい格好までするようになってしまった。
「はぁ……人生何があるかわからないって言うけど……本當だな」
赤西はそう言うとポケットにお守りをしまい、道を歩き始める。
そんな赤西の耳に通行人の會話が耳にってきた。
あれ、なんで俺こんなに女子から見られるの?
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