《甘え上手な彼3 秋編》第21話
真っ赤な顔で否定する紗彌。
由華はそんな紗彌の背中を押して、下著売り場にやってきた。
「まぁ、その様子じゃ、今だにキス止まり……ってどうしたの?」
「な、なんでもないわよ……」
紗彌は先ほどよりも顔を真っ赤にさせ、由華から視線を剃らしていた。
そんな紗彌の様子を怪しいと思った由華は、目を細めて由華に詰め寄る。
「それは何でも無い反応じゃないわよ……言いなさい」
「な、何でも無いってば……」
「ふーん……」
「な、何よ?」
由華はしらを切る紗彌を見て目を細め、顎に手を當てて呟き始める。
「……したの」
「な、何を?」
「……したのね」
「し、してないわよ……」
「何をしたかは聞いてないけど、一何をしてないの?」
「う……由華の卑怯者……」
「あ、紗彌その表凄く良い……じゃなくて、さぁ白狀しなさい!!」
「う……うぅ……」
紗彌は顔を真っ赤にさせながら、ゆっくりと口を開き由華にこの前の高志との出來事を話した。
聞いていた由華は、若干高志に怒りをじながら紗彌の話しを聞いていた。
「……と言うわけで……お母さんに邪魔されちゃって」
「そ、そうだったの………なんてうらやましい……」
「え? 何か言った?」
「何でも無いわよ、それよりも……紗彌、今度私の家に來ない? 両親の居ない日に」
「え? 別に良いけど……」
「約束よ、絶対だからね!」
「う、うん……わかった……」
必死に迫る由華に、紗彌は疑問を抱きつつも首を縦に振る。
話し終わった紗彌と由華は下著を選び始める。
「うーん……これかしら?」
「ゆ、由華……それはちょっと大膽過ぎない?」
「そう? 大こんなもんでしょ? そういう紗彌は……これなんか良いんじゃない?」
「それTバックじゃない! 絶対に嫌よ!!」
「一回! 一回で良いから、履いてみて!!」
「嫌よ! 由華の変態!」
「あ……なんか紗彌に罵倒されるの……悪くないかも……」
由華は紗彌に厳しい言葉を言われ、頬を赤く染めて息を荒くさせる。
紗彌はそんな由華を放って、數點下著を選んでレジに持って行く。
下著売り場を後にした紗彌と由華は、ファーストフード店で飲みを買い話しをしていた。
「修學旅行、楽しみだね」
「そうね、高校生活最大のイベントだしね。私も高志と……」
「何をする気?」
「な、なにもしないわよ……ただ、一緒に旅行出來るって思うと……なんか嬉しいなって」
「幸せそうねぇ~」
「由華は好きな人とか居ないの?」
「え?」
紗彌にそう言われた由華は、目を細めて紗彌の方を見る。
自分のが葉わない、そして高志と言う存在が現れ、高志を紗彌に託しても良いと思うようになった頃から、由華は紗彌への思いを諦めようと決意したのだが……。
(いまだに諦めがつかないなんて……私も案外しつこいわね……)
「彼氏は別に今は良いかな? みんなで居る方が楽しいし」
「そっか、まぁ人それぞれだしね」
そう話す紗彌を見て、由華はにっこりと微笑む。
自分が普通とは違う事は理解しているつもりの由華。
それでも自分のこの気持ちを紗彌がどう思うのか、由華はし疑問だった。
*
紗彌達が二人で買いをしている頃、高志達は帰路についていた。
「羨ましいよ、二人は好きな人と結ばれて、幸せそうで」
「おい泉……馬鹿にしてるのか?」
「なんでその返しが來るのかわからないけど……幸せそうで良いなって」
「は、はぁ!? お、俺がなんであんな変態を……」
「優一のツンデレはリアルにキモイな……」
「本當にいつかぶん毆るぞ、高志」
三人はふざけながら歩いていると、優一が何やら不審な視線に気がついた。
「おい……どっかの馬鹿が俺らの後を付いてきてるぞ……」
「え? な、なんで?」
「優一、お前の知り合いか?」
「あぁ……否定したいが、心當たりがありすぎる……」
「ありすぎるんだ……」
付いて來ているのは恐らく高志達と同じ男子高校生であろう、顔はわからないが何か手に持っている様子だった。
「優一、お前へのお禮參りとかじゃねーか?」
「あぁ……ありそうだな……だが、一人とは度の有る奴だな、相手してやるか……」
「ほどほどにな」
「あぁ、半殺し位なら大丈夫だろ?」
「大丈夫じゃないからね!」
泉はまだ、この二人のこう言うのりには馴れない。
優一は高志と泉を置いて、後ろから付けて來る男子生徒の元に向かう。
しかし、それに気がついた男子生徒は直ぐさま逃げていく。
「あ! こら待て!!」
優一は慌てて男を追いかけ、高志と泉もその後を追う。
男が持っていたのは大きな一眼レフのカメラだった。
それが走るのに邪魔になり、男子生徒は直ぐに捕まった。
男子生徒の制服は高志達の學校のであり、同じ學校の生徒だと言うことはわかったのだが、高志も優一も泉もその人と面識が無かった。
路地裏に連れて行き、高志達は男子生徒から訳を聞く。
「お前、カメラなんて持ってなんで俺たちの後を付けてた?」
「う……そ、それは……」
「あ、あれ? この聲って……」
「もしかして……」
男子生徒が言葉を発した瞬間、高志達三人はその聲に聞き覚えがあった。
そして三人は一斉にその正を口にする。
「「「寫真を売ってた!!」」」
「クソ……俺がへまするなんて……」
「あのマスクの寫真部員か!」
「こんな顔だったんだ……」
「でも、なんで僕たちの後を?」
優一、高志、泉の順に寫真部の男子に尋ねる。
すると寫真部の男子は、言いにくそうに話す。
「すまない……これも客からのオーダーで……」
「「あぁ、泉の寫真目當てか」」
「え? なんで僕!?」
ふてくされた用に聲を揃えて言う高志と優一。
そんな高志と優一の言葉に、泉は驚き尋ねる。
「それは泉がモテるからだよ」
「今日も晝休みに告白されてたくせに……あぁ、これだからイケメンは」
「べ、別にモテないよ……そ、それより、僕の寫真を売る気だったの!?」
寫真部の男子生徒に尋ねる。
「泉太、君の寫真は子に大人気だ。転校してきてから、飛ぶように売れる」
「じょ、子にも売ってたんだ……」
この學校の生徒は男子も子も変な人しか居ないんだなと、泉は改めて思った。
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