《甘え上手な彼3 秋編》第41話
*
赤西達が良い雰囲気になっている頃、高志達は部屋でゲームをしながら、赤西の帰りを待っていた。
「帰って來たらどうなったか聞かないとな」
「そうだな、俺たちにも迷を掛けたんだ、當然だな」
「俺は嫉妬であいつを殺してしまいそうだ」
「しは友達の幸せを願ってあげようよ」
ボードゲームで遊びながら、三人は赤西の話しをしていた。
土井も三人の會話から、なんとなく赤西が何をしに行ったのかに気がつき始めていた。
「てか、流石に遅いな……のど乾いて來た」
「じゃあ、自販機で飲み買ってこようか?」
そう提案したのは泉だった。
泉はそう言うと立ち上がって、財布を手に取る。
「みんな何が良い?」
「泉に任せるよ、悪いな」
「うん、じゃあ行ってくる」
「頼むね〜」
泉は財布を持って、部屋を出て自販機に向かい歩き始める。
歩きながら、泉はもしかしたらまた由華に會えるのではないかと期待していた。
しかし、自販機の前に由華は居なかった。
「ま、そんなに人生上手く出來てないよな……」
泉はそんな事を思いながら、自販機にお金をれる。
「えっと……」
「あ、私はこれね」
「え?」
ボタンを押そうとした泉よりも先に、誰かが自販機のボタンを押してしまう。
一誰が押したのかと泉が見ると、隣にはいつのまにか由華が居た。
「また、飲み買いに來てたの?」
「う、うん。ついでにみんなの分もね……」
「そうなんだ、大変だね〜。あ、これお金、勝手に押しちゃってごめんね」
由華はそう言うと、泉にお金を渡して、飲みの蓋を開けて飲み始めた。
「はぁー! お風呂上がりはやっぱり冷たいだよねぇ〜」
ゴクゴクと由華は購した飲みを飲む。
そんな由華をぼーっと見ていた。
「ん? 私の顔をに何かついてる?」
「あ、いや! そ、そういう訳じゃないんだ、ごめん!」
「なら別に良いけど……あ! そんな事よりも! 泉君の好きな人、早く教えてよ!」
「え!? な、なんで?」
「気になるからよ!」
由華は目をきらきらと輝かせながら、泉にそう言う。
もちろん泉は言える訳などない。
なぜなら、泉の好きな相手は目の前に居るからだ。
「ご、ごめん。本當に勘弁してくれないかな……」
「え〜! じゃあ、ヒント頂戴!」
「ひ、ヒント? た、例えば?」
「男かかみたいな!」
「いや、男って答える訳ないよね?」
「いや、もしかしたら同姓者かもしれないし」
「僕はの子が好きだよ!」
「私はの子も好きよ!」
「そんなカミングアウトされても……」
どや顔でそう言ってくる彼に、泉は苦笑いで答える。
「はぁ……紗彌は相変わらず八重君に夢中だし……私って男の子好きになれるのかな……」
そんな事を呟く由華の隣で、泉は複雑な気分だった。
自分のことはそう言う対象で見てはくれないのだろうか?
泉はそんな事を考えながら、全員分の飲みを買い終える。
「門さんって……どんな人がタイプなんですか?」
「え? うーん……わかんないなぁ〜、強いて言うなら……優しい人かな?」
「そ、そうなんだ」
「まぁでも、誰だってつき合うなら優しい人がいいよね? 泉君もでしょ?」
「え? う、うん……ま、まぁ……」
泉はそう良いながら、由華の事を考えていた。
由華から見て、自分は優しい男なのだろうか?
そんな事を考えながら、飲みを飲む由華の橫顔を見る。
「泉君なら大丈夫だよ」
「え? 何が?」
「好きな人、居るんでしょ? 泉君なら大丈夫だよ、優しいしカッコいいから、絶対にオッケー貰えるよ! だから自信持って!」
「あ、あぁ……ありがとう……」
その相手が自分自であってもだろうか?
泉は複雑なで、ニコニコ笑う由華の顔を見る。
「私はダメだなぁ〜、こんな格だし」
「そんな事無いと思うけど……」
「え〜、じゃあ私の良いところ十個言って見ろよ〜」
「えっと、すごい一生懸命だよね?」
「え? マジで言うの?」
「いや、多分言えるけど……」
「なんだよぉ〜もしかして私の事大好きかぁ〜」
そう言ってからかうように言ってくる由華。
そんな由華の言葉に、泉は顔を真っ赤にして黙ってしまう。
「え……な、なんでそんなマジ反応……」
戸う由華。
そしてそんな泉の表を見て、由華は気がつき、泉と同様に顔を真っ赤にする。
「な、なんだよぉ……そ、そんなは、反応したら……か、勘違いしちゃうぞ……」
「い、いや……か、勘違いじゃ……ないよ」
「うっ……ご、ごめん!」
「あ!」
由華は顔を真っ赤にして部屋に戻って行った。
泉はそんな由華の背中を見送る。
「……振られた?」
ごめん、その一言が泉の頭の中でやまびこのように鳴り響いていた。
そんな泉を置いて、逃げるように走り出した由華は、ダッシュで部屋に戻り、部屋の前でうずくまっていた。
(い、泉君が……わ、私を……)
顔を真っ赤にしながら、由華は先ほどの泉の顔を思い出す。
「う、う〜……」
考えたら急に恥ずかしくなってきた由華。
うなり聲をあげながら、部屋の前で小さくなっていると、部屋のドアが開いた。
「由華? 何してるの?」
「さ、紗彌〜……私、わからないよぉ〜」
「え、え? きゅ、急にどうしたの?」
由華は紗彌を見た瞬間、そう言って紗彌に抱きつく。
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