《擔任がやたらくっついてくるんだが……》プールでもやたらくっついてくる!
(どうしよう……本當は手を繋ぐはずだったのに、あんな事になるなんて……)
(あれ?でも、これってラッキーなんじゃ…………でも、やっぱり恥ずかしい……)
*******
「あの、唯さん……」
「……どうかしたの?」
「えっと……」
さて、どうしたものか。
正直、聞くのがすごい恥ずかしい!!!
実際のところ、僕が先生ののどこかにぶつかったという確たる証拠はない。
しかし、その可能は非常に高い。顔面に殘るらかながそう告げている……気がする。
ただ、先生に「あの、僕の手どこかにれましたか」と聞くのが恥ずかしい、というか気まずい。
かと言って、ぶつかった気がしたから、とりあえず謝っておくというのも、誠意がない気がする。
「祐一君?」
「あの、僕、もしかして……」
「どうしたの、二人共!はやく行くよ~!」
「祐一君、行くわよ」
「あ、は、はい!」
若葉の聲に中斷され、聞き出すことはできなかったが、先生の様子がいつも通りだったので、僕の気のせいかも、なんて安堵を覚えた。
*******
若葉の提案で、しばらく流れるプールで休憩を挾むことになった。多分、自分が疲れたからだろう。僕も結構疲れたし。
僕と先生は並んでベンチに腰かけ、大きな浮きに乗りながらプカプカ流れる若葉を見ているんだけど……
「……唯さん」
「何?」
「暑くはないんですか?」
「あまり気にならないわ」
「そうですか……」
「そうよ」
そう……ここでも先生がやたらくっついてくる!
今に始まったことではないから驚きはしないけど、まさか水著姿でくっついてくるなんて……。
僕は海パン1枚だし、先生も素を殆ど曬しているから、とがぴったり著している。もちろん暑いので、汗をかくんだけど、その著している部分で溫もりが直に混ざり合い、何だか変な気分だ。
しかも、若葉が僕と先生の前をプカプカ流れていく時だけ、さり気なく立ち上がったりして、見つからないようにしている。
……こうやって、いつも通りに近づいて來るってことは、多分僕がぶつかったのは別の何かだったんじゃ……。
「あ、あの、唯さん……」
「何?」
「いや、僕の気のせいだと思うんですけど、さっきボートがひっくり返った時、僕……唯さんにぶつかったみたいなんですけど……」
「…………ええ」
気のせいじゃなかった!?
先生は視線をプールに向けたまま、頬を僅かに紅させ、躊躇うような口調で話し始めた。
「その……ぶつかったわ。元に」
「大変申し訳ございませんでした!!!」
先生が言い終える前に、僕は一瞬のに先生の前で土下座した。
しかし、すぐに先生に肩を摑まれて起こされる。
顔を上げると、その瞳は優しく僕を見つめていた。
「大丈夫よ。事故だってわかってるから」
「いや、でも……!」
「……もしかして、実はわざとだったとか?」
「ち、違います!違います!そんなわけないじゃないですか!」
「……そう……別にわざとでもよかったけど」
先生は僕に聞こえないくらいの音量でブツブツ言いながら、僕の右の頬を引っ張り出した。
しかも、結構痛い。や、やっぱり気にしてるじゃないですか……當たり前だけど。
「ごめんなさい。つい……」
「いたたた……あの、本當にすいませんでした」
「……じゃあ、君が罪悪をじないように、1つだけ私の言う事を聞く、というのはどうかしら?」
「言う事を聞く、ですか……」
「心配しないで。悪いようにはしないわ」
「それ、悪いようにする人の臺詞ですけど……」
「大したことじゃないわ。何となく一緒にプールにりたいだけよ。何となく」
「え?そんなのでいいんですか?」
「ええ。私はそれだけで十分よ」
淡々と告げる先生の橫顔は、何だかはしゃいでいるように見えた。
*******
「むっ……の直だけど、今先生が何か企んでる……」
「ま、?どうしたの?」
*******
実際、大したことではなかった。
先生は、若葉の浮きの近くを、流れに乗ってついて行くだけだったし、僕もそれについて行くだけだった。
しかし、To LOVEる……じゃなくて、トラブルは思いも寄らぬタイミングで発生した。
「……ちょっとごめんなさい」
「えっ!?」
なんと……………………先生がいきなり抱きついてきた。
それも、真正面から結構な勢いで。
やわらかさやいい香りに包み込まれ、僕が驚きのあまり反応できず、先に若葉が聲を上げた。
「あっ!!お姉さん何やってるの!?」
「せ、先生!?」
何事かと思い、先生の顔を見ようとすると、至近距離から見つめられ、こっちの思考回路がショートする。
しかし、先生は態度は割と平常運転で、クールな表を崩さずに口を開いた。
「祐一君」
「は、はい……」
「水著が流されてしまったのだけれど」
「……………………え?」
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