《後輩は積極的》第25話
「へー、そんな事があったんですかー」
「な、なんか怒ってる? なんで?」
「別にー、怒ってませんよぉー」
実ちゃんはそう言っていたが、この表は絶対に怒っている。
なんでかは分からないが……。
実ちゃんは、不機嫌なままドリンクの準備をして、トレイに飲みを置く。
俺もパティ―を鉄板の上に置いて焼き始める。
「実ちゃん、何か言いたい事あるならハッキリ言っていいよ? 俺、何かした?」
「自分で考えて下さいよ、まったく!」
「な、なんで……」
最近の子高生は何を考えているのか全く分からない。
俺はため息を吐きながら、焼きあがったバンズを手に取り、ハンバーガーをつくる。
ハンバーガーが出來上がったタイミングで、フライヤーの隣のキッチンタイマーが鳴った。
ポテトも揚がり、塩を振って袋にれる。
「じゃあ、俺が持っていくよ」
普段は廚房をしている人間は、あまり商品をお客様のテーブルに持っていったりしないのだが、相手が古瀬なので俺が商品を持って行こうとする。
すると、実ちゃんはジト目で俺を見ながら言ってくる。
「隨分仲が良いんですねー、綺麗な人ですもんねー」
「だから、そういう目的で行くんじゃないから!」
実ちゃんにそう言い、俺は古瀬の元に商品を持っていく。
「ほら、お待たせ」
「いいの~? ちゃんと接客しなくて」
「古瀬しか客が居ないからな」
笑みを浮かべながら、古瀬が俺にそういう。
まぁ、他に客も居ないし、別にいいだろう。
ちゃんとした客には、もっとしっかりと接客をするが……。
「じゃあ、まぁゆっくりして行けよ」
「あ、岬君って今日は何時まで?」
「え? あー、あと一時間くらいだけど?」
「じゃあ、ちょっとお話でもしない? 私待ってるから」
「え? まぁ、良いけど……」
「じゃあ、終わったら言ってね」
「お、おう」
思わぬおいに、俺は疑問を抱きながら廚房に戻っていく。
なんで俺と話をしたいのだろうか?
昨日助けた事と何か関係あるのだろうか?
そんな事を考えていると、またしも実ちゃんがジト目で尋ねてくる。
「何を話してたんですか?」
「え? あぁ、何時にバイト終わるのかって……」
「ふーん……で?」
「でって……ただ、バイトが終わったら話したいって言われただけだよ……」
「ふーん……」
「な、なに?」
「じゃあ私も先輩があの人と話し終わるのを待つことにします」
「いや、なんで? 帰れば良いじゃん……」
「夜道を一人は怖いです!」
「夜道って……夕方じゃん」
「良いから送ってください!!」
「理不盡……」
半ば無理矢理に、今日も実ちゃんを送っていくことが決定してしまった。
バイトの時間が終わり、俺は著替えを済ませて古瀬の元に向かう。
「待たせたな」
「ううん、大丈夫だよ」
古瀬は笑顔でそう言い、俺に目の前の椅子に座るように促す。
「で? どうした?」
「えっと……せっかく知り合ったから、もうし仲良くなりたいなって思って、し話をしたいってだけなんだけど……だ、駄目だったかな?」
「いや、別に良いけど……俺と仲良くなっても良い事は無いぞ?」
「こうして知り合えたのも何かの縁かと思って……もしかして、迷……だった?」
不安そうな顔をする古瀬に俺は慌ててフォローをれる。
「いや、そんな事ないって! 古瀬は可いし、友達も多いだろうから……俺なんかと仲良くなる必要なんて……」
「えっと……前々から岬君と話をしてみたかったから、々大學で噂になってるし」
「あぁ……」
噂と言われた瞬間、俺は何となく聞きたい事がわかった気がした。
俺に関する大學での噂と言えば、十中八九間宮先輩との関係に関する事だ。
「あー、もしかして先輩との関係の事?」
「うん! 付き合ってるの!?」
「だから、昨日も言ったけど違うって……」
「え? でもいつも一緒だよね?」
「それは良いように使われてるだけ……皆信じないけど……」
みんな本當の先輩を知らないから、俺と先輩が付き合っているように見えるは仕方ないのかもしれない。
先輩は大學では完璧に貓を被っている。
だから、あのわがままな先輩を知る人はかなり限られる。
「でも、間宮先輩ってうちの大學では憧れの的だよ? ミスコンは毎年優勝だし、大人っぽくて綺麗だし、績も良いって」
「ミスコンなら、古瀬も八位だろ? 古瀬だって十分可いと思うが?」
「え、私がミスコン出てたの……知ってるの?」
「あぁ、今年のミスコンも見てたからな」
先輩が見に來いってうるさかったからだけど……。
「で、でも私は八位だったし……」
「十分だろ? しは自分のルックスに自覚持った方がいいぞ?」
「あ、ありがと……」
俺がそう言うと、実ちゃんは頬を赤らめてお禮を言う。
しかし、古瀬のルックスで八位とは……改めてうちの大學の陣のレベルの高さを思い知る。
「じゃあ、間宮先輩とはどんな関係なの?」
「うーん……」
そう言えば、こんな話を前に小山君ともしたな……。
その時と同じ回答をすれば良いか。
「王様と奴隷だな」
「ふぇ!?」
「ん? どうした?」
「えっと……その……と、特殊な関係………なんだね」
「特殊? まぁ確かに……特殊かもな」
先輩に顎で使われる後輩、この関係は確かに特殊だろう。
「そ、その……ほ、本當に付き合ってはいないの?」
「ん? あり得ないな」
「えっと……じゃあ……か、だけの関係って………こと?」
「? うーん」
まぁ、かなりの重労働を強いられたり、送り迎えをさせられたり、的な労働を強いられることは多いか……。
「だけではないけど、基本的にだけの関係かもな」
「な、なんていうか……お、大人な関係だね」
「そうか? ただ小間使いにされてるだけだぞ?」
「え? え? えっと……ごめん、もう一回詳しく説明してもらえるかな」
古瀬にそう言われ、俺はもう一度詳しく、これまで先輩にされた事を話す。
先輩が男避けに俺を彼氏役をさせているという事、毎回晩飯をたかりにくることなど、最早愚癡に近かったと思う。
「な、なんだ……そういうことだったんだ……私はつい……」
「どんな関係だと思ったんだ?」
「な、なんでもないよ! うん! なんでも!!」
一古瀬は何を考えていたのだろうか?
真っ赤な顔の古瀬を見ながら俺はそんな事を考える。
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