映畫が始まり、周りが暗く鳴り始める。

俺は目の前のスクリーンに集中し始める。

スクリーンには新作映畫の宣伝が流れ始める。

すると、実ちゃんが急にこちらの方にを詰めてきた。

「え？　ま、実ちゃん？」

「なんですか？」

「せ、狹いんだけど」

「私は広いです」

「そりゃあそうだろうね……」

「はい」

実ちゃんはそう言うと、さらに俺の肩に頭を乗せ始める。

また実ちゃんが俺をからかい始めた。

ここで変に意識してしまうと、実ちゃんの思う壺だ。

俺はなんと平靜を裝いスクリーンに集中する。

映畫が始まって二十分ほど、早速際どいシーンが出てきた。

主人公がヒロインである後輩のの子から、押し倒されるシーンだ。

まぁ、いろいろとツッコみたい気持ちはあるが、映畫なので仕方ないだろう。

『先輩……私としますよね？』

『ま、まってくれ！　そんな簡単に、そんな事をしては……』

主人公はヒロインの強引で積極的な行に戸っていた。

あほだなぁ〜、なんでこの子の気持ちに気が付かないんだろう？

俺がそんな事を思いながら映畫を見ていると、ふと実ちゃんが俺の耳元でささやき始める。

「なんか先輩みたいな主人公ですね、先輩よりイケメンだけど」

「そうか？　俺はここまで鈍じゃないよ」

「あぁ、先輩のそう言うところがそっくりです」

「え、なぜ？」

その後、映畫はどんどん進んでいき、ついに映畫も終盤だ。

ここまで見た想としてはエロいの一言につきる。

積極的な後輩に迫られる主人公なのだが、後輩のの子の迫りかたが激しすぎる。

こんなの子、現実には絶対に居ないと思う。

映畫は無事に主人公とヒロインの後輩のの子が結ばれて終わった。

確かに良い話しだったが、そこまでお気要素が必要なのかは分からなかった。

「面白かったですね！　先輩！」

「そうだね」

「思わず興とかしました？」

「しないって」

「でも、エッチなシーンもあったじゃないですか？」

「映畫ごときでそんなに興しないって」

俺と実ちゃんは話をしながら映畫館を出た。

この後の予定は何も決まっていない。

正直俺は帰る気満々だったのだが、実ちゃんは俺の事を帰す気は無いらしい。

「実ちゃん」

「なんですか？」

「なんで俺の腕に抱きついてるの？」

「いやぁ〜、デートだし」

「デートじゃ無いし、理由になって無いし」

「まぁまぁ、どうせ暇だったんでしょ？　良いじゃないですかぁ〜」

「俺だって忙しいんだよ、映畫も見たし俺は帰るよ」

「え〜！　そんなのつまらないですぅ〜！！」

「あのねぇ……君は験生だろ？　帰って勉強しなさい」

「ぶぅー！　たまの息抜きくらい……」

「なら、友達と遊べばいいだろう？　俺は帰る」

折角の何も無い休日、こっちは急に呼び出されたのだ、お晝には家に帰らせてしい。

「酷い！　先輩は私が嫌いなんですか！？」

「酷くない、そして誤解を招く言い方をするな！」

「だって、どうせ先輩は家に帰ってもゲームして一日を終えるだけでしょ？」

「うっ……そ、それの何が悪いんだよ！」

「寂しい……」

「可そうなを見る目で俺を見るな！　良いんだよ！　俺がそれで楽しいんだから！！」

「ゲームなんていつでも出來るじゃないですか！」

「最近は出來てないの！　俺は帰ってゲームを……」

「私のおっぱいモミモミした癖に……」

「だぁぁぁぁ！！　分かったよ！　付き合えば良いんだろ！」

弱みを握られているというのは、本當に困ったものだ。

俺がそう言うと、実チャンは満面の笑みを浮かべて俺の手を引いてどこかに連れて行く。

「お、おい……どこに行くんだよ？」

「カラオケ行って、ボーリングに行きましょう！　さぁ、行きましょう！！」

「はぁ……本當になんでこうなるんだか……」

結局その日は夕飯まで実ちゃんと一緒に居た。

カラオケで二人で歌い、その後ボーリング場に向かい、その後実ちゃんの買いに付き合い、最後に二人で夕食を食べに行って、今は実ちゃんを家に送る途中だった。

「いやぁ〜、良い休日でしたね！」

「俺は何か疲れたよ……はぁ、実ちゃん、こんなに遊んでて大丈夫？　験勉強やってる？」

「大丈夫ですって、私って結構優秀なんですよ！」

「そうだろうけど……」

正直言って心配だ、このまま油斷して績が下がるのではないかと考えると、本當に遊びに連れ出すべきでは無いと思ってしまう。

「先輩……」

「ん？　どうしたの？」

前を歩いていた実ちゃんが、突然俺の方を向いた。

実ちゃんは真剣な表で俺の事を見つめ、靜かに話し始めた。

「いつも……私のわがままに付き合ってくれて、ありがとうございます」

「お、おう……きゅ、急にどうした？」

「………だっていっつも私のわがまま聞いてくれるし、生意気なこと行っても怒らないから……素直にその……お禮を……」

恥ずかしそうに頬を染め、実ちゃんはそう言う。

俺はそんな彼に笑いかけながら話す。

「いいよ、俺も楽しいし……でも、勉強はしっかりしないとダメだよ？」

「はい、頑張って大學に合格します！」

「うん、応援してるよ」

來年は実ちゃんも高校を卒業して大學生になる。

恐らくバイトもやめてしまうだろう、だから俺としでも遊びたかったのだろうか？

いや、そんな事を考えるのは自意識過剰だ。

「ところで先輩……」

「ん？　何かな？」

「私の験する大學って……どこだと思います？」

「え？　あぁ……そう言えば知らないな……どこの大學なんだ？」

恐らくだが近くの大學では無いだろう。

聞いた話では、この辺りの大學進學を考えている高校生のほとんどは、県外の大學に進學するらしい。

やはり希の學部のある大學に進學したかったり、皆それぞれに理由はあるようだ。

実ちゃんからは、あまり希の大學の話は聞かない。

デザイン系の仕事に興味が有ると聞いたことはあるが、大學もそっち系の大學に行くのだろうか？

「私の希は……」

「うん」

実ちゃんは俺の目を見ながら、笑顔で希している大學名を言う。

「涼清大學です」

「……え？」

思いっきり地元だった。