《ボクの彼は頭がおかしい。》11月1日
月曜日。
昨日までと違って、なんだか心が軽くなったような気がする。
不思議だ。
問題は何も解決していないのに。
晝休み。
弁當箱を取り出し、蓋を開けて中を確認する。
ふむふむなるほど。
本日のメインは特大エビフライか。
よし、最初に一口だけ食べておこう。
箸でエビフライを捕まえようとしたその時、教室の扉が開いた。
ってきたのはなんだかものすごく可いの子。
目が大きくて、頬は薄ピンク。
制服の上からでもスタイルの良さがくっきりと分かる彼。
突出したオーラと作の優雅さに、思わず惹きつけられる。
誰だろ?
…あぁ。なんだ、五月か。
僕は目線を落とし、再びエビフライに全神経を集中させた。
「早瀬くん」
しかし妨げられる。
僕の目の前に立ち一寸の濁りもない聲を発したのは、今や全校生徒の認めるところとなった(っていうか昔からそうだけど)超スーパーアイドルの五月さん。
僕なんかに何の用だろうね。
「久しぶり」
僕は彼の足元を見ながら言った。
「うん、久しぶり。あのね、ちょっと話したいことがあるからついて來てしいんだけど」
「ここで聞くよ」
あれ、何でこんなに冷たい態度取ってるの自分。
心とと脳がバラバラになっている気がする。
「…そう。じゃあ言うね」
「どうぞ」
「えっと、心配かけてごめんなさい。電話に出なかったのもごめん――」
彼は真剣な様子で謝り始めた。
特に前田くんにキスされてしまったことを何度も何度も謝ってきた。
おかしい。
どうして彼が謝っているんだ?
どうしてキスされたことなんかを謝っているんだ?
昨日まで謝ろうと考えていたのは僕のほうだったのに。
問題は前田くんどうこうよりも、まず僕と五月の間にあるもののはずなのに。
「…それで早瀬くんに合わせる顔がなくて――」
「何で?」
僕は五月の言葉をさえぎり立ちあがった。
彼は一瞬、ビクッとを震わせた。
「何で五月が謝ってるわけ?今の僕たちに必要なのって、そういう話じゃないよね。なんかもう訳分かんない」
僕は彼の返事も聞かずに歩き出した。
薄っぺらい背中に殺伐とした空気をじながら教室を後にする。
特に行く當てもなかったので、図書室にった。
近くにあった本を一冊手に取り椅子に腰掛ける。
『訳分かんない』
さっき自分で言った言葉。
今の自分に向けて言った言葉。
自分で自分が分からない。
せっかく五月のほうから歩み寄ってくれたのに…
何してんだろ。
一度會いに行って、それで會うことが出來なかったぐらいでふてくされて。
元はと言えば全部自分が悪いくせに。
ちょっと冷靜に考えてみれば分かることでしょ。
たぶん僕が訪れたちょうどその時、彼は泣きつかれて眠っていたのだ。
だから藤堂さんと牛くんは帰宅することにしたのだ。
間違いない。さっき見た五月の赤い目、あれが全てを語っていた。
それなのに…。
一僕は何を恐れているのだろう。
深みにはまっていく一方だ。
刻一刻と、終わりの気配が近づいている。
後日談。
僕の予想は大方當たっていた。
彼が日曜日に僕に會わなかったのは、意図的なものではなかった。
そう聞かされた。
…後悔どころではない。
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