《される王の語》噓
亡くなった…?
つまり、私は今の今まで死んだものだと思われていたと…?
あまりの衝撃的な言葉に思考が停止してしまう。
「…くそ」
レオン様は両手で顔を覆い、イラつきを隠せないようだが、それは今は目にらない。
ということは…?私は今まで存在が知られていなかったと?
だから、私用のドレスが1著もなかったの?
だから、私のご飯がなかったの?
だから、私には家庭教師がいなかったの?
だから、私はあの人たちにあれだけめられ続けてきたの?
だから…1度も會いに來てくれなかったの?
辛いと思っても、自分の気持ちを正直にけ止めずやり過ごしてきた。
もしかしたら、王宮に住んでるお父様とお義兄様が助けてくれるかもしれないと。そんな淡い期待を心にとどめ、私は我慢してきた。
どんな罵倒をされようと。どんな痛みを與えられようと。どんなことをさせられても。
だが、來てくれなかった。1度も。
私はお父様たちにも嫌われているんだと、そんな期待をするのをやめようと思ったのはもはや數年前。
來てくれるわけがないじゃない。
だって、私があそこに、後宮に住んでいたことも知らないのだから。
12年だ。私は12年もあそこにいたのに。
敷地からは出たことも無い。新しい使用人以外にはあったことも無い。
まったく、馬鹿じゃないか。
湧き出る怒りとどこかでじる心労が涙として目から溢れ出た。それは止まることを知らず、今までの噓泣きなど非にもならない程こぼれ落ちてくる。
聲を押し殺し、ぐちゃぐちゃになる脳を全て投げ出すように泣いた。
レオン様はそれを酷く申し訳なさそうに見て、私を抱き寄せた。
ぎゅっと抱きしめるの溫が冷たくじて、そのしっかりした男らしいのは今までにじたことがなかった。
それを気に私の涙はより一層流れ出る。
レオン様は時折、「ごめん…ごめんね」と頭をでながらもずっとめ続けてくれた。
レオン様ののになれた頃には、両目は赤く腫れて閉じてしまい、安らかな寢息だけがその部屋に殘った。
*レオン視點
先程まで泣いていた彼は、靜かに眠ってしまった。の傷にれないように、ソファに橫たわせ、マーサに指示をした。
マーサを待っている間にお父様が戻ってくる。
「父上……」
お父様はそっとシルフィオーネの顔を見るとご自分の機に戻った。
「確かに、所々ソフィアに似ているな。」
「父上にも似ていますよ。目のなんてそのままではないですか。」
そうして、沈黙が流れる。
考えているのだ。あの後宮にいる毒婦とその娘をどうするのか。
「父上…そろそろ頃合ではないのですか?
……私は、もう我慢の限界なのですが。
國王陛下を欺くなんて不敬罪では済まされません。それに…シルフィオーネが……」
「…あぁ。そろそろ時だな。」
そうして、私は固く頷く。
お父様は私の瞳を見つめたあと、無意識のようにシルフィオーネを見つめていた。
それは焦燥と反省が滲んでいて、私自にもひどい罪悪がのしかかった。
「失禮します。」
  
ノックとともにマーサとこの王宮の王宮醫師がってくる。
「失禮を承知で、先に診させて頂きます。」
口早にそういうと王宮醫師はシルフィオーネを抱き、奧の部屋へと駆けて行った。
「…やはり、調を崩していたのか」
「はい。先程気づいたのですが、彼は異様に溫が高いのです。の傷も心配ですし、勝手に指示しました。」
「あぁ。」
そうして、父上は執政に戻った。
ついでに説明をしておくと、何故父上は部屋を出ていったのか。
それは、ご自分の名前を知らないシルフィオーネに怒った訳では決してない。
あの時、シルフィオーネは酷く父上を怖がっていた。
後宮には男なんて居ないし、慣れていなかったんだろう。
それをじた父上は部屋を出た。シルフィオーネを怖がらせないために。
しかも、部屋を出た後部下達に後宮の事を調べてくるように指示を出した。メイド達に新しい部屋を作るようにいい、料理長に味しい料理を作るように伝えたらしい。
そして、今、この王宮の誰もが父上を見て思うことがある。
これほどまでに怒りをわにする國王陛下、アルベルト・クラン・カスティリアを見たことがあるかと。
    
 
後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりを受けて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜
「すまん、我が家は沒落することになった」 父の衝撃的ひと言から、突然始まるサバイバル。 伯爵家の長女ヴェロニカの人生は順風満帆そのもの。大好きな婚約者もいて將來の幸せも約束された完璧なご令嬢だ。ただ一つの欠點、おかしな妹がいることを除けば……。 妹は小さい頃から自分を前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢であるとの妄想に囚われていた。まるで本気にしていなかった家族であるが、ある日妹の婚約破棄をきっかけに沒落の道を進み始める。 そのとばっちりでヴェロニカも兵士たちに追われることになり、屋敷を出て安全な場所まで逃げようとしたところで、山中で追っ手の兵士に襲われてしまった。あわや慘殺、となるところを偶然通りかかった脫走兵を名乗る男、ロスに助けられる。 追っ手から逃げる中、互いに惹かれあっていく二人だが、ロスにはヴェロニカを愛してはいけない秘密があった。 道中は敵だらけ、生き延びる道はたった一つ。 森の中でサバイバル! 食料は現地調達……! 襲いくる大自然と敵の兵士たちから逃れながらも生き延び続ける! 信じられるのは、銃と己の強い心だけ! ロスから生き抜く術を全て學びとったヴェロニカは最強のサバイバル令嬢となっていく。やがて陰謀に気がついたヴェロニカは、ゲームのシナリオをぶっ壊し運命に逆らい、計略を暴き、失われたもの全てを取り戻すことを決意した。 片手には獲物を、片手には銃を持ち、撃って撃って擊ちまくる白煙漂う物語。 ※この物語を書く前に短編を書きました。相互に若干のネタバレを含みます。またいただいた感想にもネタバレがあるので読まれる際はご注意ください。 ※続編を別作品として投稿しておりましたが、本作品に合流させました。內容としては同じものになります。
8 54星乙女の天秤~夫に浮気されたので調停を申し立てた人妻が幸せになるお話~
■電子書籍化されました レーベル:アマゾナイトノベルズ 発売日:2021年2月25日(1巻)、4月22日(2巻) (こちらに投稿している部分は「第一章」として1巻に収録されています) 夫に浮気され、結婚記念日を獨りで過ごしていた林原梓と、見た目は極道の変わり者弁護士桐木敬也が、些細なきっかけで出會って、夫とその不倫相手に離婚調停を申し立て、慰謝料請求するお話。 どう見ても極道です。本當にありがとうございました。 不倫・離婚がテーマではありますが、中身は少女漫畫テイストです。 ■表紙は八魂さま(Twitter→@yadamaxxxxx)に描いて頂きました。キラキラ! →2021/02/08 井笠令子さま(Twitter→@zuborapin)がタイトルロゴを作ってくださいました。八魂さまに調整して頂き、表紙に使わせて頂きました~ ■他サイトに続編を掲載しています。下記をご參照ください。 (この作品は、小説家になろうにも掲載しています。また、この作品を第一章とした作品をムーンライトノベルズおよびエブリスタに掲載しています) 初出・小説家になろう
8 63僕と彼女たちのありきたりなようで、ありきたりではない日常。
高校2年生という中途半端な時期に転校してきた筧優希。彼は転校前に様々な事があり、戀愛に否定的だった。 しかしそんな彼の周りには知ってか知らずか、様々なな女子生徒が集まる。 ークールなスポーツ特待生 ーテンション高めの彼専屬のメイド ー10年間、彼を待っていた幼馴染 ー追っ掛けの義理の妹 果たして誰が彼のハートを射止めるのか? そして彼はもう一度戀愛をするのだろうか? そんな彼らが織りなす青春日常コメディ 「頼むから、今日ぐらいは靜かに過ごさせて・・・」 「黙れリア充」と主人公の親友 ✳︎不定期更新です。
8 115婚約破棄された令嬢は歓喜に震える
エルメシア王國第2王子バルガスの婚約者である侯爵令嬢ステファニーは、良き婚約者である様に幼き時の約束を守りつつ生活していた。 しかし卒業パーティーでバルガスから突然の婚約破棄を言い渡された。 バルガスに寄り添った侯爵令嬢のヴェルローズを次の婚約者に指名して2人高笑いをする中、バルガスが望むならとステファニーは見事なカーテシーをして破棄を受け入れた。 婚約破棄後からバルガスは様々なざまぁに見舞われる。 泣き蟲おっとり令嬢が俺様王子に、ざまぁ(?)する物語です。 *殘酷な描寫は一応の保険です 2022.11.4本編完結! 2022.12.2番外編完結!
8 159アナグマ姫の辺境領修復記
王都図書館の奧深く、《アナグマ姫》と揶揄されつつ、ひっそりと古書修復に勤しんでいた第十王女のアニエスは突如、父王の遺言で辺境領地を相続してしまう。 そこは數々の災難により無人の廃墟と化し、領內を魔物が闊歩し魔王が棲みつき、おまけに時々異界から何かが迷い込む、とんでもない土地だった。 たまにめげそうになりつつ、主人公が領地再興に向けてがんばる話。 (※本編完結済み)
8 172親の操り人形は自らその糸を切ろうとしている
幸せな親に恵まれた青年 毒親に支配された少年 青年は交通事故に遭い、家族を失った。 少年は親から逃げ出し孤獨になった。 運命の悪戯は彼ら二人が出會うことから始まり、協力し合うことでお互い幸せを手に入れたかった。 しかし、青年が言った「交通事故を調べたい」この一言が二人の今後を大きく変えることになる…… ※カクヨム様、エブリスタ様にも連載中です。
8 188