《嫁ぎ先の旦那様に溺されています。》一つ屋の下での事(10)
有無を言わせず、車まで連れていかれる。
車に載せられたところで、
「櫟原さん」
「何でしょうか?
「私はお払い箱ですか? どこかに売られたりしますか?」
よくドラマなどで、多額の借金を背負ったが酷い目にあうのは定番で――、だからこそ自分のの危険をじて彼に話しかけたわけだけど……。
私の問いかけに答えないまま、櫟原さんが運転する車は走りだす。
それも都の方へ向けて。
「宮さんが憂慮するようなことは起きません」
そこで、ようやくポツリと櫟原さんが答えてきてくれる。
「それなら、私は何処にいくんですか?」
そんなことを言われても、高槻さんとも櫟原さんとも殆ど付き合いはないから、どういった人間なんて知らない。
そんな狀態で、『大丈夫ですよ?』と、言われても信用できるの? と、問われれば答えはNO! な訳で……。
「高槻様より、ホテルを予約するようにと仰せつかっております」
「ホテル?」
「はい」
意味が分からない。
どうしてホテルなのか……。
しばらく車は県道を走ったあと、都心に出る。
都心と言っても地方都市で、以前に高槻さんとショッピングに來た駅前の場所。
「えっと……。私、お金ないです……」
8ケタの借金がある私にホテルに泊まるお金があるわけがなく、ホテルを用意されても困るわけで……。
「そこは、ご安心ください。ホテル宿泊される際の料金に関しては高槻様がお支払う事になっていますので」
「それって……」
思わず、私の借金上乗せ? と思ってしまったのだけれど、
「宮さんの借金に追加される訳ではありませんので、先にそのことだけはお伝えしておきます」
彼は否定してくる。
「――え? で、でも! 私は仕事が……」
「必要ないとのことです」
それって、働かなくても住居を提供してくれるってこと?
お金を貸している私に?
あまりにも都合がよすぎるのでは?
様々な疑問が脳裏を駆け巡る。
「それじゃ……何もしなくていいという事ですか?」
「平たく言えばそうなります」
その言い方は、まるで私は必要とされていないと言われているみたいで、何だか無に腹が立った。
「……い」
「どうかなされましたか?」
「いい加減にしてください!」
「……」
気が付いたら苛立ちを口にしていた。
「突然! 私の家にきて、借金があるからと働くことを強制してきたと思ったら、今度は出ていけってどういうことですか!」
「その點は、高槻様も考慮にれていますので食住はしばらくの間は提供するという形になりました。そして、それは宮さんのご希でもあると伺っております」
「何よ……それ……」
思わずを噛みしめてしまう。
こんなのを私はんだわけじゃないのに。
それに、ここからだと高校に通うことも出來ない……ううん、そうじゃない。
まるで私は要らないと言われているようなのが納得しきれない。
「それじゃ、私の借金は!」
「それは致し方ないと考えておられるようです。宮さんが気にすることはありません」
「何よ……」
何なのよ! もう! 訳がわからない!
「どうして何も高槻さんはいってくれないの? こういう狀況に置かれたのはどうしてなのかをどうして、何も……」
「宮さん、差し出がましいと思いますが、高槻様は気持ちを表現すること――、相手に自の気持ちを伝えることが、とても苦手な方です。その為、何かあれば自分から距離を置こうとする方なのです。ですので、あまり気にされませんように」
「気にするなって……」
そんなの無理に決まっている。
それに自分自の気持ちを相手に伝えられないのなら、それは……。
そこまで思ったところで、私はハッ! とする。
それは、大和と私の関係に似ていたから。
大和とは、どう距離を持っていいのか分からない。
だからこそ、私は何も話してくれていない高槻さんに自分と同じ姿を見て苛立ちを覚えているのかも知れない。
「櫟原さん」
「何でしょうか?」
「戻ってもらえますか?」
「宮さん?」
「私は、高槻さんとキチンと話したいと思います。そうしないと駄目だと思いますから」
そう、それは私のためでもある。
中途半端なのは嫌。
それに、そもそもお父さんが、3000萬円もの借金を出來たというのも、落ち著いて考えればおかしいと思う。
だから話さないと。
「…………分かりました」
長考したあと、櫟原さんは私の言葉に頷いてくれた。 
【書籍化】傲慢王女でしたが心を入れ替えたのでもう悪い事はしません、たぶん
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