《嫁ぎ先の旦那様に溺されています。》高槻家の親戚(6)
食事を始めたところで「高槻さん、例の件とはどういう意味ですか?」と、話題を振る。
「神社には関係の無いことだから気にする必要はない」
「でも、そのあとに神社の話が出てきましたよね?」
「……瑞穂グループの事に関してだ。莉緒は、俺が瑞穂グループの社長だと言う事は知っているよな?」
「はい……」
そのことは櫟原さんに私は聞いた。
ただ、高槻さんは私が知っている理由は、高槻さんが仕事で使っているノートパソコンを覗いたからと勘違いしている。
だけど、そのことを伝える必要はないと思う。
何となくだけど櫟原さんの気遣いを伝えるのはいけないと思ったから。
「元々は、瑞穂グループの會長が高槻神社の先代神主である爺さんだったんだ。――で、その直系が俺の父親。現・會長になる」
「あれ? でも総司さんって……」
「ああ、苗字が違うと言いたいんだろう?」
「はい」
「神社を継ぐに當たって苗字の変更は必要な事だったからな。まぁ、親父は良い顔をしなかったが――」
「もしかして……、総司さんはお父さんとの関係はうまくいってないとか?」
そこまで口にしたところで私はハッ! と、して言い過ぎたと思い口を閉じる。
その事に気が付いたのか彼は、「そうだな……。父親との関係はよくない」と、自嘲気味な様子で語ってくる。
「ごめんなさい」
「莉緒が気にすることはない。本當のことだからな」
「――でも、これで問題なく神社を継げるじですか?」
私の問いかけに、彼は「それはどうかな?」と肩を竦めて答えてきた。
しばらくして食事が運ばれてくる。
高そうな食事を摂ったあと、日本料亭を出て駐車場に戻ると、ここまで乗ってきたベンツが停まっていた。
「高槻様、おかえりなさいませ」
「今日は疲れた。とりあえず家まで戻ってくれ」
「畏まりました。宮さんも車にお乗りください」
頷き高槻さんが車に乗ったあと、私も後部座席に座る。
しばらく車は町の中を走り――、村の方へと向かっている間に、高槻さんのがユラリ揺れて倒れてくる。
私の肩にを預けてきた事に気が付き彼の方を見ると、目を閉じて寢ていた。
「宮さん、申し訳ありません」
高槻さんが寢ているのに気が付いた私に櫟原さんが話しかけてくる。
「――え?」
「宮さんさえ良ければですが――、しばらくはゆっくりと休ませておいてください。宮さんの看病と仕事で殆ど寢ておりませんので」
「そうなんですか?」
「はい。今日のことも心労に來たのかも知れません」
「……」
學校では、居ない人扱いされていた私を寢ずに看病してくれた高槻さんに自然と謝してしまう。
だけど――、ずっと肩を貸しているのは疲れる。
私は、彼のをゆっくりと橫にする。
丁度、頭は私の太ももの上にくるように――、膝枕と言ったじで彼を寢かせると髪のを梳く。
しばらく車は走り続けて神社下の階段に到著したのは20分後であった。
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