頷きながら、それは知っていると心で返事をした。

元々広告代理店を中心に就職活をしていたから、仕事容などはある程度理解してけていたし人事部に配屬されてからももちろん他部署の仕事は耳にする。

企畫部やプロモーション部ともに打ち合わせをするし、営業部の人は常にき回っているイメージだった。

「今日は、歓迎會だからみんな勤だろうなぁ」

「え？歓迎會？」

「あれ？聞いてなかった？あー、奏多君連絡してなかったの？藍沢さんに」

「あー、してませんでしたっけ？すみません」

「藍沢さん大丈夫？今日18時半から居酒屋予約してるんだけど」

「大丈夫です！」

口角を上げてスマイルを見せるものの、心ではため息を溢していた。

というのも、琴葉は飲み會が一番嫌いだったからだ。

特に社の飲み會が社的ではない琴葉にとってはストレスだった。しかも今日あるということを聞いていなかったからどんどん気持ちは下降気味になる。

「PCのセットアップは大丈夫だよね？とりあえず今日は、僕が擔當してるクライアントの説明するよ。それから、藍沢さんのこと下の名前で呼んでもいい？」

え、と聲をらした。顔を強張らせる琴葉をよそに涼は続けた。

「僕のことも下の名前でいいよ。その方が距離が近くじるでしょ？だいたいこのチームの人は下の名前で呼んでるんだ」

「そう、ですか…では、私もそのようにします」

「そんなにくならないで。僕たち年近いし１年違いだから肩の力抜いて」

「ありがとうございます」

そんなことを言われても初日から張しないなど無理だろう、と思いながらも必死に笑顔を作る。

こうやってジョブローテーションで部署が変わると、新社員時代を思い出す。

あの時も朝から張してお茶をに流し込んでも何の味もしなくて手も震えるしお腹の奧が痛む。

琴葉以外は皆、“普通”に見え、自分だけが張しているのではと思い、その余裕が羨ましく思えた。

しかし、今思い返すとあれはそういうふうに見せていたのだと思う。

だから今日は琴葉自がを張って余裕を醸し出してやろうと思っていた。が、どうやらそうは見えないらしい。

「大丈夫か」

「っ」

「顔、悪いけど」

不意に背後から不破マネージャーに話しかけられピンと背がびる。大丈夫です、とすかさず返事をすると、そのまま自分のデスクへ戻っていく。

明らかに他の社員と比べてオーラが違う。仕事ができる人ってどんな人だろうと考えたことがあった。

仕事を早くこなせる人、正確にこなせる人、アウトプットが出來る人、求められること以上の果を出す人、どれも象的にじていた。

しかし、不破柊マネージャーはそれらすべてを網羅しているようにじた。鋭い目つきからもそれはヒシヒシと伝わる。

奏多が不破マネージャーのデスクへ何やら資料を見せていた。

それを見てすぐに「この文章の意味は？クライアントとの打ち合わせで一番重要なのは、相手が何を求めているか、だ。その上で商品を売れる広告の提案をする。これじゃあ、既存の広告と変わらないんじゃないのか」と詰め寄っているのを見て冷や汗が出た。

本當にやっていけるのか、心配だ。