《視線が絡んで、熱になる》episode0-1(過去編)柊目線
「知ってた?一年にめちゃくちゃ変わった子がいるらしいんだけど」
同じゼミの友人でもある蓮からそう言われたのはちょうど新一年生が學してすぐのころだった。
「変わった子?」
大學の食堂で晝食を取っている最中、突然現れて柊の目の前に座ると意味の分からない會話を始めた。蓮は就活に向けて不自然に真っ黒に染めた髪の間から奧二重の瞳をのぞかせてニヤリ、口元を上げた。
「なんだよそれ」
「それがさぁ、みーんな大學デビューしてるのにめちゃくちゃ芋っぽくていつも一人でいるみたい。図書室によくいるみたいで俺も見に行ったんだよ。そしたら本當、なんていうのかなー、大學生には見えないし分厚い眼鏡かけてひたすら勉強してるがり勉ってじ」
「…へぇ、だからなんなんだよ」
正直興味はなかった。別に犯罪行為をしているわけでもないし、友人がいないからといってそれが問題でもない。
蓮は、あからさまに大きな息を吐いた。
「なんだよー。この時代にあんな子、天然記念じゃないかって思ったんだよ」
「だからなんだっていうんだよ。別にどうだっていいだろ。本人がいいって思ってんだろ」
「そうだけどさー。ああいう子が彼氏とかできたら変わるのかなって。案外、そういう子に限ってちゃんとすると化けるかも」
「へぇ」
「そんなことより、次の合コンも頼むぜ!お前がくるって聞くと途端、子の數増えるんだから」
「いかねぇよ、めんどくさい」
この時の會話を思い出すのは數週間が経過してからだった。
ちょうど學生が図書室とは別に勉強したり飲食の可能なカフェテリアスペースというものが大學には存在する。そこでコーヒーを飲みながら勉強をしていると、明らかに浮いた彼が柊の二つ前の席に座った。
「…あ、」
思わず聲がれていた。と、同時に蓮との會話が蘇る。
彼は、確かにこの大學では浮いていた。きっちり眉上で切られた前髪は年齢よりもい印象を與えたし、適當に束ねられた髪は特段の手れもされていないようだった。
服裝も、グレーのパーカーに黒いパンツ姿で大きすぎるリュックを背負っていた。
(…変わってるな)
彼は誰の目を気にすることなく、大きすぎるリュックから教科書類を出して勉強を始めた。
じっと見ているのに、一切視線が絡むことはなかった。
コーヒー牛の紙パックを時折手にしてストローからそれを口へ流し込むのを柊はただ観察していた。
どのくらいそうしていたのか、気づくと日が沈みかけていてカフェテリアスペースには照明が日の代わりをしていた。
彼はすっと立ち上がるとそのまま「よいしょ」と小さな聲を出してリュックを背負って帰っていく。
「なんだ、あれ…」
確かに蓮の言った通り、あんな生徒は珍しい。それだけではない。
普通は周りを気にしそうなものなのに、全く気にせず勉強だけをしていた。それが本來の學生のあるべき姿なのかもしれないが、もうし友人を作ったりサークルにったり何か大學生にしか出來ないことをしてもいいのでは、と思ったがそんなことを彼に助言する立場にない。
というか話したこともない。
し気になったが、それもすぐに記憶から消えていくだろう、そう思っていた…―。
それから數週間が経過していた。
柊は昔から人と接するのが好きなわけではないのに、不思議と人が集まってくる。
それは大學生になってからも同様だった。ゼミにると毎週のように飲み會にわれ、サークルでも同様だった。合コンも好きではないが、彼を作るのが面倒だったから手っ取り早く合意の元“そういう関係”のを作れるのは柊にとっても好都合だったから毎回斷るわけでもなかった。
たまたま図書室で専門書を借りに行こうと學生証を使ってると、ちょうど奧の長テーブルに見知った顔があった。
すぐにあのカフェテリアスペースにいた子だと気づく。
前回見たときと同じ格好で、同じように勉強をしていた。違うのはコーヒー牛を今日は機の上に置いていないことだけだ。
「…」
なんとなく気になって、早々と専門書を探し出すと彼の斜め前に座った。
辺りを見渡すと他にもスペースはあるのに、琴葉の近くに腰かけるなど普通だったら明らかにおかしいと気づくだろう。
しかし、彼は一切柊には気づかずに黙々と勉強をしていた。
以前よりも彼と近い距離だから前よりも細かく観察をすることが出來た。
(…何してんだ、俺)
そうは思ったものの、このの正を知りたくて専門書を開きながら彼を観察する。
ほんじつのむだぶん
mixi・pixivで無駄文ライターを自稱している私が、 日頃mixiで公開している日記(無駄文と呼んでいます)を 小説家になろうでも掲載してみようと思い実行に移しました。 これは1日1本を目安に続けていこうと思います。 ご笑納くだされば幸いです。
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