《視線が絡んで、熱になる》episode6-3
♢♢♢
「あれ?!琴葉ちゃん眼鏡は?!」
出社して一番に涼に驚きの聲を向けられて適當に濁したがそこまで驚くことなのかと思った。家を出る前に、柊に『今日は琴葉の家に泊まりたい』と言われたから、久しぶりに自分の家に帰る予定だ。
「藍沢さん、コンタクトにしたんですね~」
飄飄と聲を掛けてきたのは、後輩の奏多だ。休み明け、髪を切ったのか前回會った時よりも短くそして髪が明るくなっていた。琴葉の會社に髪の指定などはないから多くの社員が髪を染めている印象だった。
「そうなんです。ちょっとイメチェンを…」
「へぇ、お似合いです。ところで、新木さん、新規案件取ってきました」
「はぁ?まじか…さすがだね~二年目にして將來のエースだなぁ」
琴葉のコンタクトの件などどうだっていいというように話題を変える奏多は勝ち誇ったようにし顎を上げる。
奏多は年下で二年目だが営業第一部に配屬されていて、見る限り仕事はできるようだ。
柊に何かきついことを言われても全くじない。
それを糧にして長しているとすら思える。そんな彼を尊敬するとともに、若干の焦りを覚えた。三年目、今までと同じ姿勢で仕事に挑んでいても長は見込めないだろう。
もっと、もっと頑張らなくてはいけない。
「新規案件なんかうちの會社じゃ、ほぼないからなぁ」
ぼそっと呟くようにそう言いながらパソコン畫面のログインパスワードを力する。
獨り言のように聞こえたが、隣の琴葉はそれに反応した。
「そう言ってましたよね。ほぼ既存クライアントだって」
「そうそう。うちは大手の総合広告代理店だからねー。向こうからお願いしたいってくることの方が多いしクライアントが大きい企業が多い。そうなってくると足で新規案件を取ってくるような営業はしなくていいからね。むしろ既存クライアントを囲う方が優先順位は高い。でも新規案件を獲得するのはすごいなって思うよ」
「奏多さんは…すごいですね。私も頑張らないと」
「若いけど仕事できるやつだよ。琴葉ちゃんも十分覚えいいし、すぐ獨立できそうだけど」
涼が琴葉のことも褒めてくれるが、複雑なは否めない。年下の奏多に負けてられない。
「今日はねー、既存のクライアントさんのところにいって…理道にも行く予定。あ、そうだ…もしかしたら飲み會あるかもなー」
涼が両手を後頭部に當て、大きく顔を歪ませると天を仰ぐ。飲み會というワードに琴葉も眉間に皺を寄せる。
「…飲み會?」
「そうそう。まぁ営業は他の部署に比べるとそういう付き合い多いからね」
「そう、ですよね…」
今日は柊が琴葉の家に來る、と言っていたがどうやら延期になりそうだ。
柊へののもそうだが、一番は今は仕事に専念することが優先だ。柊のことで頭がいっぱいになっている暇はない。
「あ、その飲み會は多分…不破マネージャーも來ると思うなぁ」
「え…」
「よかったね?」
涼は、仕事モードの顔から突如オフに切り替えてすべてを知っているというような表をする。琴葉は周りに聞かれたらどうするのだ、と焦り「しっ!!」と人差し指で喋るなという合図をする。柊も上司として飲み會に來るようでそれもそれでいいとは言えない。
他人、ましてや會社の関係者の前で平然と柊に接することが出來るのだろうか。
「よくないですよ…」
「そう?隨分綺麗になったからやっぱりすごいな…って」
涼は一人、うんうんと頷いてパソコンの前に向き直る。
はぁ、と彼に聞こえないように息をらした。
…――
…
午前中は、理道に向かって打ち合わせをした。
制作部と企畫とした打ち合わせ容を共有した。理道の擔當者との打ち合わせも前までは涼がほぼ喋っていたが今回は琴葉メインで説明をした。
理道の新ブランドの試供品は次回、持ってきてくれるということになっている。
り合わせはできているが、理道はテレビCMでの広告をメインにしたいと考えているようだ。しかし企畫部と打ち合わせをしていくと確かに40代以上がメインターゲットならばテレビCMの方が効果的だが、今回の理道の新ブランド凜は30代から50代がターゲットになっている。30代に絞るとテレビ広告よりもインターネット広告、雑誌等の方が効果的とのデータがある。また、予算にどうするのがベストか、テレビやネット広告だとしても理道の新ブランドのメインキャラクターは誰にお願いするかなど話し合うことはまだまだある。午後からは琴葉は初めて會う企業との打ち合わせだった。
大手食品會社の“シャイン”だ。この會社は冷凍加工食品を一番最初に創り出した會社であり、現在も冷凍食品の中では國シェアナンバーワンだ。
琴葉ももちろん知っている企業で去年発売されたお弁當用の冷凍唐揚げが好調らしい。
今度その商品を購してみようと思った。
株式會社シャインの本社に到著して、涼と二人で會議室に通された。
「申し訳ありません。普段擔當しているものが今日は出張で不在ですので代わりにわたくし橋野が擔當いたします。よろしくお願いいたします」
「よろしくお願いいたします。藍沢と申します」
「初めまして。新木です。今日はCMの件での確認程度なので…」
涼も初めて會う擔當者のようでお互いに挨拶をした。
橋野幸はしのみゆきと書かれた名刺を渡される。幸は鎖骨でしっかり切り整えられた髪を揺らし耳に髪を掛ける。
赤い眼鏡はできるを連想させた。
メインの擔當者ではないらしいが、涼との會話もスムーズで心する。
今回はCM広告のメインキャラが変更になるという打ち合わせだった。と言っても、既にシャインからはある程度候補としてあがっているようだ。
その打ち合わせだ。
幸との打ち合わせはすぐに終わった。玄関先まで見送りをしてもらう際に、幸がそれから、とつづけた。
「今日の飲み會、會場はこちらで用意してます。擔當者不在で申し訳ないのですが、部長も來ますので…」
「そうですか!大丈夫ですよ。うちの不破も來る予定ですので」
二人の會話を笑顔で聞きながら、琴葉はその時間が來ることを想像してげんなりする。
そういうのも仕事のうちではあるが、柊も來るという飲み會に社員としてどういった態度で挑めばよいのだろう。
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