《異世界戦國記》第三十話・城代と水野家
「藤左衛門家から譲られた熱田城についてだが叔父上秀敏に任せたい」
戦後処理も終わり氏が尾張から追放され一週間ほどが経過した。尾張を包んでいた戦の渦もし消え平穏な時間が流れるようになってきていた。その間俺は戦死した兵の補充や新たに支配下となった熱田群の確認などに追われとてもではないが気が休まる事は無かった。
とは言え雪との時間を大切にしており毎日のように大きくなってきているお腹を見るのが楽しみになっている。因みに名前は決めてある。三郎五郎だ。…と言ってもどうせ名だから元服したら変わってしまうんだよな…。悲しいもんだな。
「俺は構わんが今城代としてっている蟹江城はどうするのだ?」
蟹江城の城主はもう一人の叔父である敏宗だが今は伊賀に行っておりその城代として秀敏がっていた。勿論その辺は考えてある。
「叔父上敏宗が戻ってくるまでの城代は信康に任せようと思っています」
信康もそろそろ領地経営を學ぶ必要もあるからな。何時までも兵を率いて合戦に出ていればいい訳ではない。領地を取ったときに代理で収める事だってあるし褒は手柄が大きいほど領地で済ます場合があるからな。
「ふむ、確かに信康なら問題ないかもしれんが…」
「無論、いきなり出來るとは思っていません。故に政秀を付けさせようと思っています」
政秀なら問題なく信康を補佐してくれるだろう。たとえ失敗しても蟹江城は近いしある程度は介できるからな。
「それにあくまで蟹江城の城主は叔父上敏宗です。信康はその代理でしかありません」
「…そうか。分かった。そういう事なら俺から言う事は無い」
どうやら納得してもらえたようだ。秀敏叔父上が退出ししばらくは書類整理に時間を取られた。はぁ、だるい。これは何時まで経っても慣れないな。そう思っていると小姓がって來た。
「どうした?」
「はっ、刈谷城主水野忠政様からの使者が參っておりますがいかがいたしますか?」
水野忠政と言えば知多半島に勢力をばしつつある家だったな。かなりのやり手で三河の松平家と婚姻関係を築いているという。恐らく知多半島の統一のためにこちらとも関係を結んでおきたいと言う事なのだろう。俺としては特に問題はないな。信友と手を組み南北から挾み撃ちにされるよりは十分マシだ。
「使者を通せ」
「はっ!かしこまりました」
小姓はそう言うと離れていき暫くすると一人の男を連れてきた。俺は使者と思われる男に話しかける。
「そなたが忠政殿の使者か?」
「はい、我が主忠政より書狀を預かっております」
男はそう言うと懐から書狀を取り出し控えていた小姓に手渡した。小姓はそのまま俺の方へと持ってくる。書狀をけ取った俺は早速中を確認する。中世特有の草書で書かれているが俺もこの時代に生をけて十五年が経っている。汚い場合もあるためスラスラと読める訳ではないが比較的楽に読むことが出來る。このまま現代に行けば古代文の解読とかで生計を立てれそうだな。
話がそれたが容は予想通り同盟を結びたいという事で手土産として知立城を譲渡するという。まあ、確かに水野家が保有しているが基本的に放置しているみたいだからな。知多半島から離れているの原因だろうな。元々了承するつもりだったがただで城が手にるというみたいだし貰っておくか。
「相分かった。詳しい詳細は今後練っていくとして了承したと忠政殿に伝えてくれ」
「信秀殿の決斷に謝します」
そう言うと使者は直ぐに部屋を出ていった。直ぐに伝えたいらしい。特に引き留める理由もなかったのでそのまま返した。
しかし水野家か。知多半島で野心が収まってくれるといいんだが…。領地を接しているのは俺の所だけだからな。そうならに様に祈っているか。
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