《異世界戦國記》第三十七話・萱津の戦い
「敵と我々はほぼ同數。士気もこちらが高い。…よほどのことがない限り負ける事は無いな」
萱津に作られた陣の中で俺はそう呟いた。俺は北部の二城を落としたと連絡があってからすぐに全軍を率いて稲葉地城に向かっていた。因みに氏興一人だけ殘してある。例え信友が二千の兵で來ても氏興なら城を奪われても敵兵をバンバン切り殺して戦力を削いでくれるだろう。そしたら俺は清州に、北部にいる殘りの兵をもって信友軍を倒せばいい。
そう思いながら稲葉地城に來たが丁度信友軍も清州城を出発した所だという。進行方向は南、つまり稲葉地城である。
そう言うわけなので稲葉地城の北にある萱津に陣を築き俺は信友軍を迎え討つ準備をした。信友軍は二千五百。清州にいるほぼ全軍を持ってきたようだ。因みに信友が持つもう一つの城の志賀城には大した兵はおらずせいぜい五百いるかいないかと言うぐらいであった。
そして俺が率いるのは三千。信繫が率いる千五百と俺が連れてきた那古野今川家の兵千五百だ。指揮系統は二つに分かれているが何とかなるだろう。
「よし、信友相手にはいつも防衛に回っていたがたまには先手を取ってみるか」
俺は敵の意表を突くために指示を出す。今まで信友軍との対決は俺が後手に回っていたため俺から攻めた事は無い。…まあ、そんなこと言ったら俺は基本後手に回っているな。そんなわけなのでこちらから攻め込んでやる。
「「「「「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」」」」」
そして那古野今川家の兵が突撃を開始したことで萱津の戦いと呼ばれるようになる戦が始まった。
先手を取った俺に信友軍は慌てて迎撃していく。やはり俺が先に攻撃するとは思わなかったようだ。信友軍が矢を放っているのが見えるがあまり數が多いようには見えないしバラバラにやったようだ。
そして兵が突していき戦となっているのが分かる。あの中には俺の小姓たちがいるからな。俺の周りにいるだけでちゃんとした戦を経験させていなかったからな。死んでないといいが…。
「…ぐぅ!」
「権六!?大丈夫か!?」
信友軍の槍を肩に食らった権六は痛みで聲を上げるがすぐに槍で敵兵のを突いた。それを見た同じ小姓の中條小一郎は直ぐに駆け付けた。幸い周りは味方の兵でいっぱいだったため警戒しつつ権六の様子を確認する。
「あ、ああ。大丈夫だ」
「気を付けろよ。お前が死んだら信秀様やお前の親父殿に何を言われるか分からないからな」
権六の言葉に小一郎はそう茶化す。ほぼ同時期に信秀の小姓として取り立てられた両者は中が良かった。
「行くぞ。小姓でありながら前線に出した意味が分かるならな」
「…ああ」
権六も信秀なりの気遣いを理解しているため小一郎の言葉に頷く。この時代武士でありながら手柄を立てていない者の扱いは酷く特に初陣を終えているなら余計である。そして、両者とも初陣を終えながら未だ目立った功績はなかった。
「目指すは信友の首!…と、言いたいところだがそれは無理だろう。せめて侍大將の首でも取っておきたいな」
「その場合首は二つ必要だな」
権六は小一郎の言葉にそう返すが小一郎はふんと鼻を鳴らす。
「何を言っている?侍大將の首はお前に譲ってやるよ。俺は重臣の首を貰っていくからな」
「何だと!」
権六は小一郎の言葉に切れる。小一郎はそんな権六を気にも留めず周りを確認する。すると遠くの方に一つの旗を見つける。
「おい!聞いているのか!?」
「落ち著け権六。そして朗報だ。重臣の一人の陣地を見つけた。首を取りに行くぞ」
それを聞いた権六は落ち著きを取り戻し真剣なまなざしとなる。権六は「本當か?」と聞き小一郎は頷く。権六は笑みを浮かべると槍を構える。
「なら、盜りに行くしかないだろう!」
「おう!そうだな!行くぞ権六!」
「ああ小一郎!」
二人は頷くと重臣、坂井甚介の陣地がある方向へと走っていった。
【書籍化・コミカライズ】無自覚な天才少女は気付かない~あらゆる分野で努力しても家族が全く褒めてくれないので、家出して冒険者になりました~
各分野のエキスパートである両親と兄姉5人を持つリリアーヌ・アジェットは幼いころから家族から最高水準の教育を受け続け、15歳になった今ではあらゆる分野で天才と呼ばれている。 しかし家族が全員「この子はこんなに可愛い上に素晴らしい才能もあるのだから、自分くらいは心を鬼にして厳しいことを言わないとわがままに育ってしまうだろう」とそれぞれ思っていたせいで、一度も褒められた事がなかった。 ある日突然遠縁の少女、ニナが事情があって義妹となったのだが、いくら頑張っても自分を認めてくれなかった家族が全員ニナには惜しみなく褒め言葉をかける様子を見て絶望したリリアーヌは書置きを殘して姿を消した。 (ここまでが第8部分) 新天地で身分を偽り名を変えたリリアーヌだが、家族の言う「このくらいできて當然」という言葉を真に受けて成長したため信じられないくらいに自己評価が低い。「このくらいできて當然の最低レベルだと習いましたが……」と、無自覚に周りの心をボキボキに折っていく。 殘された家族は「自分を含めた家族全員が一度もリリアーヌを褒めたことがなかった」とやっと気づくのだが…… 【コミカライズ進行中】
8 170ドーナツ穴から蟲食い穴を通って魔人はやってくる
チェンジ・ザ・ワールド。 世界を変えたい! 若者達の強い想いが國を変えていく。虐げられていた亜人種が國を取り戻すために立ち上がる物語。 物語の舞臺は世界の最果てに浮かぶ大陸アニュラス。人間と亜人種が暮らす大陸である。 闇の集合體──突如、現れた時間の壁により大陸は分斷される。黒い壁は人々の運命まで変えてしまった。 ディアナ王女もその一人。他國王子と婚約儀の後、帰國できなくなる。 宿営中、盜賊に襲われ、従者のユゼフは王女だけ連れて逃げることに。同時に壁の向こうで勃発するクーデター。王女は魔物にさらわれて…… 成り行きで同行することになった元貴族だが、今は浮浪者のおじさんと共にユゼフは王女を助けに行く。
8 92妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~
あらすじ:主人公の両親は事故によって死んだ。主人公は月影家に引き取られそこで剣の腕を磨いた。だがある日、謎の聲によって両親の事故が意図的に行われたことを教えられる。 主人公は修行を続け、復讐のために道を踏み外しそうになった主人公は義父によって殺される。 死んだはずの主人公を待っていたのは、へんてこな神様だった。生まれながらにして黙示録というチートスキルを持っていた主人公は神様によって、異世界へと転移する。そこは魔物や魔法ありのファンタジー世界だった。そんな世界を主人公は黙示録と妖刀をもって冒険する。ただ、主人公が生まれ持ったチートは黙示録だけではなかった。 ※★星がついている場所には挿絵があります! アルファポリスで重投稿してます。
8 198異常なクラスメートと異世界転移~それぞれの力が最強で無雙する~
川崎超高校にある2年1組。人數はたったの15人?!だがみんながみんなそれぞれの才能があるなか主人公こと高槻 神魔は何の才能もない。そんな日常を過ごしている中、親友の廚二病にバツゲームで大聲で廚二病発言しろと言われた。約束は守る主義の主人公は、恥を覚悟でそれっぽいこと言ったらクラス內に大きな魔方陣?!が現れた。目覚めた場所は見知らぬ城。説明をうけるとここは異世界だと判明!!そのあとは城で訓練したりだの、遂には魔王討伐を言い渡された?!
8 130剣聖と呼ばれた少年、願いを葉えるためにダンジョン攻略~最強がチートスキルで更に最強に~
柊司(ひいらぎ つかさ)は高校一年生にして剣道のインターハイで優勝できるほどの剣才をもつ天才で、世間からは敬意を持って剣聖と呼ばれていた。 そんな順風満帆な日々を送っていた司であったが、決勝の試合後に心臓発作で命を落としてしまう。 しかし捨てる神あれば拾う神あり、死んだ司の肉體を呼び戻し、條件付きではあるが異世界で生き返ることが出來た。その條件とは最初に攻略したものは願いを葉えることが出來ると云われている天の大樹というダンジョンの攻略。司は魔法の習得、剣術との融合、様々なことに取り組み天の大樹をどんどん攻略していく。果たして司は最後まで攻略できるのだろうか、また攻略したその先はどうなるのだろうか。
8 148外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜
異世界に転移した主人公に與えられたスキルは、ただ永遠と生きる事が出來る『不老不死』。ステータスは村人レベルであり、他にマトモなスキルといえば、算術やら禮節やらの、現代日本で培ってきたものばかり。 しかし、主人公を異世界に召喚した先が特殊で…。 ___________________________________________ 夜中に思いつきで投稿しました!後悔も反省もしてません! 現在好評(?)連載中の『転生王子は何をする?』もお願いします。
8 106