《異世界戦國記》第四十二話・ボローテッドキャッスル
突如として現れた信秀軍に土岐軍は一瞬怯むもすぐに制を立て直すと迎撃に移っていた。しかし、そこへ信康が城を出て土岐軍に襲いかかったためそちらの対処もしなくてはならず土岐頼蕓がいる本陣は混していた。
「城から出てきた兵を先に倒せ!城に籠る兵は負傷兵ばかりだ!楽に倒せるだろう!」
「しかしそれは背後から奇襲をかけてきた兵にも言える事だ!奴らは信友と戦っていた兵であろう!ならここまでの強行軍で疲労しているはずだ!」
重臣たちがもめている中頼蕓は腕を組み沈黙していたが心ではかなり焦っていた。そもそも頼蕓は武略に乏しい守護大名であった。尤も、だからと言って政略に優れているわけではなかったが。
その為総大將として兵を率いていも的なところは全て家臣に任せっきりであり信友の策に従わずに自分ののために侵攻した。結果、頼蕓は北部の城を落とすことが出來ず信友を倒した信秀の軍勢に今敗北しようとしていた。
頼蕓は溜息を吐くと前に顔を向けて言った。
「撤退する」
「信康!無事であったか!」
俺は久しぶりに信康と再開することが出來た。信康が籠っていた城はボロボロで一度大きく改修しないと今後拠點として使う事は出來ないだろう。ここも濃國のり口にあるためおいそれと廃城にするわけにはいかなかった。
…はあ、し領土を取りすぎたか?大侵攻する前の倍くらいには増えたからな。城代も決めないといけないし今回の戦で減ってしまった兵の補填や新たに手にれた領地の把握。それに防諜もしなくちゃな。全く、考えただけでも恐ろしい。まだ信友や頼蕓の兵と戦っていた方が楽だな。
「兄上、萱津で信友に勝利したと聞きました。おめでとうございます」
「なに、兵數ではこちらの方が上だったんだ。むしろ級に侵攻してきた頼蕓軍を相手にしていた信康の方が大変だったな」
「いえいえ、下がることが許されていましたし兄上が負けるとは思っていませんでしたので」
くぅ~、うれしいことを言ってくれるな信康は!お前は俺の自慢の弟だ!
武勇に優れ政治にも明るく家臣たちにも人気がある…あれ?俺より信康の方が優秀じゃね?あり得ないと思いたいが寢る時には注意しないとな。信康に家督を譲れと言われれば譲ってもいいがその為に殺されたくはないからな。俺は長生きするんだ!目指せ七十歳!ひ孫の顔も拝んでやるぞ!
…さて、そろそろ現実に戻らないとな。
「よし、今後について話をする。重臣たちを集めているからお前も來い」
「はっ!」
俺に従い信康は後ろをついてくる。やがて俺たちは重臣が集まっている評定の間に到著した。…う~む、掃除とかはされているが所々ひびがっていたりが開いていてボロボロだな。流石に上座に座ったら床が抜けました、なんてことにはならないと思うが…。
そう思いつつ上座へと一歩踏み出すと、
床が抜けた。
「は?!」
「「「「「殿!?」」」」」
「兄上!?」
まさか本當に抜けるとは…。幸い俺が踏み抜いた部分のみぼろかったようでそのまま床下に落ちる、なんてことにはならなかった。そして俺は気を付けつつ上座に座る。
「…皆の衆、今回の戦はご苦労であった。諸君らのおかげで弾正忠家は更なる領土の拡大に功し対立してきた織田信友に大打撃を與えることに功した」
俺の言葉に重臣たちは真剣に聞いてくる。俺は続ける。
「しかし、まだ一段落下に過ぎない。信友が逃げた清州城を藤左衛門家が囲んでおり突如攻めて來た頼蕓も大した被害を與えていないため再び攻めてくる可能がある。よって一晩過ごした後俺が率いてきた兵は清州城へ戻り止めを刺す。城を守った者たちは信康を大將に城の防衛を行え。…とはいえ、まずは」
ガラガラガラガラガラガラッ!!!!!
俺の言葉を遮るように評定の間の外にある塀が崩れ去った。俺はそれを見てため息を吐くと続きを言う。
「安心して一泊できるようにこの城を改修しないとな」
俺の言葉に重臣たちは深く頷くのであった。
俺だけステータスが、おかしすぎる件
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