《異世界戦國記》第八十九話・加納口の戦い15
「くっ!」
音の出どころは信康の刀からだった。刀から砕け散った刀は朝焼けに反してキラキラとっており、それらを吹き飛ばすように信周の振り下ろした槍が迫ってくる。とっさにを低くして飛び込むように左に避ける事で回避することに功したが信周の猛攻は続く。回避されたと判斷するや否や突きを放ってくる。
武を失い、攻撃手段が消えた信康は転がるようにして槍の追撃を躱しつつ、周囲に転がる刀を手に取った。既に信周が連れて來た兵は半數が死んでいる。その為に地面には彼らが使っていた刀がいくつも落ちていた。
「ほう? 流石に刀を折られてそのまま死ぬ、と言う程簡単に討ち取れる相手ではないか」
「お前も言った通り俺は織田家隨一の武勇を誇っている。そう簡単に討ち取れられる訳にはいかないんだよ!」
信康は刀を渾の力で振り下ろすがそれを信周は難なくけ止めた。しかし、そんな事は分かっていたとばかりに槍で防がれる瞬間に信康は刀から手を離し、姿勢を低くするとそのまま信周の無防備なに飛びつき、押し倒す。
「ぐっ!? 何を……!?」
「この距離なら自慢の鉄槍も使えまい!」
鉄槍を持った右手を左足で押さえつけ、右足の膝で信周の腹部を押し込み、抵抗を試みて暴れる左腕を同じく左腕で引きちぎるように引っ張って固定した。完全に拘束された信周に信康は脇差を抜くと首に押し付ける。
「き、貴様……!」
「抵抗するなよ? 直ぐに楽に……!」
しかし、首を切り落とすよりも早く信周は下半に力をれて信康の背中を蹴り上げる。唐突の後方からの衝撃に信康のは前のめりに倒れてしまい、信周の拘束が外れてしまう。
「くそっ! だが、今度こ、そ……!」
「ふん!」
直ぐに態勢を整えた信康が振り向き、信周に切りかかろうとするがそんな信康を信周は鉄槍の橫なぎで制する。もろにわき腹にけた信康は衝撃で吹き飛ばされる。
「危なかった……! 足の自由が利かなければ確実に死んでいた……!」
「ぐ……っ!」
明確にじ取れた死の覚に信周は顔を引きつらせるがそれでも信康を討ち取るべく、ゆっくりと進んでいく。鉄槍の橫なぎをまともにけたせいか、信康はあばらを何本かおられており、それが肺に刺さり上手く息が出來なくなっていた。
「ふー! ふー! ……はっ! はっ!」
「どうした。肺でもやられたか? どちらにしろ、これで終わりだな」
先ほどのお禮と言わんばかりに信康のを仰向けに蹴り飛ばすとその上に足を置き、両手で鉄槍を逆手に持つ。矛先は當然、信康のである。
「くっ!」
「暴れるな! お前を討ち取れば織田家は確実に立ち直れない! みえるか? 貴様の兵はほぼ地に伏しているぞ」
若手の中で最も実力を持っているといっても過言ではない弘就が指揮をしているのである。信康の軍勢は半數以上が討ち取られていた。そして、指揮をする者がいないがために走が起きており、軍勢としての様子は一切存在していなかった。
信周との一騎打ちに時間をかけすぎたために起こってしまった信康のミスとも言える行が生み出した結果であった。既にここから挽回できる狀況にはなく、信周を討ち取ってもどうしようもないことが理解できてしまった。
「……ぞれでも!!」
「ぐっ! 往生際が悪い、な!」
それでもあきらめないと言わんばかりに信周の右足を脇差で突き刺す。あまりの激痛に足を退けそうになるも信周は目を見開き、歯を食いしばって痛みに耐えた。そして大きく上空に鉄槍を振り上げると、渾の力で以て信康の腹部に深々と槍を突き刺した。
瞬間、戦場に一凜の真っ赤な花が咲いた。
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