《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第14話 メイドの過去
魔法のレベルが一つ上がっていた事を喜んでいると、はたと気付く。
(あれ?MP上がりすぎじゃね? 前回、3レベだった時は確か300ちょいだったよな?
250近く上がってんじゃん‼
何で? たまたまか?)
考えてもわからないため取り敢えず置いておく。
(さて、これから何しようか……。
やっぱり書斎に篭ってこの世界の事について勉強しますかね)
と、言うわけで今日も書斎にやってきて勉強していた。
結構楽しいので全くとして苦じゃないのが助かる。
そして楽しいとこののスポンジ脳と相まって相乗効果を生み出しどんどんと頭に知識がっていくのがわかる。
だから気付かなかったのだろう。
俺をじっと見る視線に。
ふと橫を見てみると……。
メイドが俺の事をガン見していた。
(あ、やべー、集中しすぎて分かってないフリすんの忘れてた。
もしかしてもうばれてる? え? ばれちゃってます? ばれてるよね? この顔はわかってるって顔だよね?)
すると、突然、
「分からないフリなどしなくてもよろしいですよ」
と言われた。
(やっぱりばれてた――――!)
「先ほどまでは半信半疑でしたが今は確信いたしました。
レイン様、貴方様はもう既に私たちの言葉を理解しておられますね」
「……」
ビックリした。ビックリしすぎて何も言えなかった。
(えっ? なんでそこまでばれたんだ?
そこまでヒントを與えた覚えはないぞ!
いや、本が読めることと言葉がわかる事には関係がある!
言葉が分からないのに本が読めるわけがない!
なら既に言葉が既に分かっていると解釈すべきだろう……。
くっ、油斷した)
「言葉が分かってる事を前提にして、私は不躾ながらレイン様に1つお願いがございます」
そう言うと俺の前で正座した。
(お? なんだなんだ? なんで正座してんだ?
突然すぎて訳わからんぞ?)
そんな俺を無視して彼は語り出した。
「わたしのうまれは決して良くありません。
地図は見ておられましたね。
私の村はこの國の下に位置するバレント王國との國境付近にあります。
國境付近での諍いはそれほど多くありませんし、実際私が村を出るまでまともな訓練をけた兵が來たことはほとんどありません。
私は、家では三だったので家を出るか、村の男でかつ長男である方と結婚するかの二つしか選択肢がありませんでした。
私は養子にはし自がありました。
奧様ほどではないにしろ周りよりは頭一つ分抜けていたという自負はあります。
よく、周りからも言われていましたし」
(ふむ……、この世界に來てから見たはあまり多くないからコメントしづらいな。
まあ、自分で言うならそうなんだろう。
前世基準ならなかなかの人だ。
第二夫人よりは俺の好みだぜ)
「ですが私はそれが嫌だったのです。
本當の、私の中を見てしいと思っていました。
今ならわかります。それはあまりにも傲慢な考えです。 
ですが、當時の私は顔で結婚するのが嫌で嫌で堪らなかったため十三の時に家を出ました。
すぐいった街では大変運に恵まれ、大きな町のギルドに所屬してすぐだけのパーティにれたのは大変幸運でした。
それからしばらくして、実家から手紙が來ました。
すぐに帰ってきてしいと。
最初は戸い、無視しようかと思いましたが、わざわざ私に手紙を出すのだからただ事では無いのだろうと思い帰ってみると、姉が二人とも病気にかかっていました。
病名はドレイン病、一日HPを1奪い、また回復を無効化させる奇病です。
治すのには水魔法レベル7のエクスキュアか高価な薬草しかありません。
この國でレベル7の水魔法を持つ方は當時は二人しか居らずどの方々もお國か、貴族に囲われ、まともに會うことができません。
よしんばできたとしても多額のお金を取られることでしょう。
ですが、私は諦められず、何とか來てもらえないか頼みに行ったのです。このを捧げても構わないという覚悟で。
そして門の前に行き、扉を叩き警備兵に捕まった時、旦那様が門から出てきたのです。
そして私に優しく聲をかけてくださり、その貴族様と渉して無事私の姉達は助かりました。
ですが、その代償として要求された額はとても払えるものではなく奴隷落ちを覚悟した私に旦那様はこう言ってくださったのです。
「ならば私の家で侍をやりなさい。
代金は肩代わりするから、毎月その分を君の給料から引けば良い。
いろいろあってな、ちょうど君のように信頼できる手練れがしかった」と。
そして私は誓いました。
この方々を死んでも守ると。
このでできることがあるのであればなんでもすると……。
レイン様」
ビクッ!
(お⁉ おう……)
突然名前を呼ばれてびっくりしてしまった。
「お願いします!
奧様を怒らないでください!
お嫌いにならないであげてください!
罪は私にございます!」
と、突然土下座をして俺にそういった。
(えっ? えっ? なんで? 何でそんな真剣に謝ってるんだ?)
そして顔を上げ、泣きそうになりながら俺に言った。
「あの方をあの様な顔をさせてしまった罪が私にはあります。
何でもしますから奧様をあの様な目で見るのはやめて下さいませ!」
「!!??」
(な、なんで分かったんだ!?
この人どんだけ萬能なんだよ!!)
俺はあの瞬間、一瞬だけお母様が前世の両親と重なった。
多分それを言っているのだろう。
の繋がった赤の他人を見る目だ。
だが、評価を下すのはまだ早すぎると思い直し、すぐに止めた。
誰にもわからないと思っていた。
だがそれがばれていたらしい。
とんだ高能メイドである。
だけど、吸い込まれそうなほど真剣な顔だった。
こんな真剣に頼まれたことなんて前世では一度もなかった。
どこまでも真剣でどこまでも真摯にこんな俺の事を見つめていた。
(応えてやりたいな……)
そう思った。
このまま何も言えないフリして無視するのもいいだろう。
そもそもこの人が思ってるほど俺は怒ってない、というより引きずっていない。
だが、あの俺の目をみてしまって不安になったのだろう。いつか俺がお母様を嫌いになってしまう可能を。
(これを無視していいのか?
このまま無視して俺は正しいのか?
別に正義のヒーローをやるつもりはないが、今ここで無視して俺はこの世界に來た目的を果たせるのか?
やりきったと言えるのか?
否だ‼
この俺にここまで真摯な頼み事をしてきた人間を無視してのうのうと生ききったと言えるのか?
言えるわけがない!!)
ここで俺は彼を無視したほうが明らかに利がある。
ここで彼に報いなければ俺の持つアドバンテージは維持される。
だが応えてしまうと、今の生活のこれからがわからなくなる。
水面に石を投げ込むことになる。
即ち俺の今後がどうなるのかがわからなくなる。
だが俺は安心安泰安全がしくてこの世界に來たわけじゃない。
納得できる人生を送るためにここに來たのだ。
ならここは報いてやるべきだ。
土下座しているメイドの頭をなでる。
もう怒っていない、そう伝えられるように。
この世界に來て初めて自分から人にった。
心臓がバクバクしているのがわかる。
「わかっていただけましたか?」
と恐る恐る俺に聞いてきた。
俺はコクリと頷きガッツポーズをする。
「? それがなにかは分かりませんがよろしくお願いします」
伝わらなかったようだ。
こうしての共有者と、安心して本を読める環境を手にれた。
だが、このまま平然と本など読めるわけがない。
メイドが気になって仕方がないため、今日はここで終わりにする。
(はあ〜今日は大変だった)
そう思う一日だった
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