《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第57話 海戦の策を練る

それからしばらく別邸でのんびりしていると

「レイン様、旦那様がお戻りになられました」

とリサさんが告げてきた。

「分かりました」

そう言ってレインは寢転がっていた為れた服裝を直しロンドの下に向かう。

神眼で確認しながらロンドの下まで行ってみるとやっぱりというかなんというか疲れたというかげんなりしているロンドがいた。

「お父様、お疲れ様でした。

無事、対処方法は見つかりましたか?」

「おおレイン、ただいま。

見つかった、というか……

いろいろな案が出てな、前後で挾み撃ちにするだとか陸に罠を仕掛けるだとかな」

(まあ、それは誰でも思い浮かぶ當たり前の手だな。その先が問題だ)

「その先がな……。

どれも決定打に欠ける」

(決まってねーのかよ!!)

「そ、それなら何故お戻りに?」

今は一刻を爭う事態だ。

帰る時間も惜しいのにわざわざここまで戻ってくる理由がわからない。

「いろいろな案が出てごちゃごちゃになってな、書記がまとめた案をそれぞれ一度持ち帰り査して明日までに何か考えて來いという話だ」

(ん?う〜ん、納得……は一応出來る話だが。

一度空気をれ替えよう、という考え方は間違っているとは思えないが、う〜ん)

微妙に納得しずらい。

「う〜ん……、なんというか、もうし事態の重要さを考えるべきでは?」

別に帰らせる必要はなくない?ということだ。

「ん?は?」

あ、やべ、素が出た。

「あ、いえ、すいません、つい」

「いやいや、違うぞ。

言葉をそのままけ取るな。

表面上、つまり建前だ。

お前を皆に説明するわけにはいかんからな。

王達が気を利かせたのだよ。

お前が考えた策だと王達には伝えてある。

ならお前無くしてさっさと進めるのは危険だろうと言うのが本音だな。

まあ簡単に言うとお前に策を聞きに來たんだな、私も鼻が高い!ワッハッハッハ!」

とご機嫌だ。

思いついていなかったらどうするつもりだったのだろうか?と思いながら、

「はあ……それはよかったです。

思いついていなかったらどうするおつもりだったのですか?」

思った事を聞いた。

「それはそれで構わん。策は一応出たからな、お前もわかっている通り時間がない。

途中で変えることはできないからな、最後にお前の意見を聞きに來たのだ。

何もなければ次の會議で作戦は決定だな」

「そうでしたか、出來はしたのですが、不確定要素が多くて……」

「ほう?出來たのか?構わん、教えてくれ」

「分かりました」

そう言ってレインは考えた策で必要ながあるか聞く。

「まずそうですね、がないと出來ないので、この國に中型船ってどれだけありますか?」

「中型船?大型ではなく?」

「はい、中型船です。一隻50人乗れるかどうかの船で結構です」

「二百……五十ぐらいだな。

徴発と思えば出発までに50は増やせる」

(300はいらないな。250もあれば十分だな)

「では僕の策をお話ししますね」

そう言ってとりあえず別邸にある応接室に行く。

〜〜

「……いや無理だな」

とレインの策を聞いたロンドが即答する。

「まず、船の安定の問題だ。

それにその作戦は隠が前提、誰が隠すのだ?

それに誰が指揮するのだ?」

「安定は船の前後左右を鎖で繋ぎます」

三國志の曹はこの策を龐統という男に唆され、まんまと鎖で船同士を繋いでしまい、火計をけ鎖のせいですぐには逃げれず大敗を喫した。

(負けた策を使うのは縁起が悪いがこれしか思いつかんし)

「おお!なるほど!」

「はい、それと一番重要なのは僕が乗船することです」

そう、この策はレインがいないと功しない。

「は?!いや待て待て、それはいかん!萬が一があれば単なる戦略上の失敗では済まなくなる!」

「ですがそれしかありませんよ。

僕がいなければこの策は不可能です」

「うーむ、だが……」

「では僕だけでも逃げれればいいのでしたら方法はありますよ」

「どうやってだ?」

「確かこの國の北に翼人族が住んでいますよね?兵士もないですが空軍として存在したはずです」

ポルネシアの北側は高い木が鬱蒼と生えている森林地帯、かつポルネシアに隣接する北にある國は國全が森に囲まれる森エルフの領地だ。

ポルネシアとの國もなく完全に獨立國家である。

そことの境界線上に翼人族は住んでいる。(つまり彼らはポルネシア人だ)

「したな」

「2人がかりで僕を持ち上げることは可能ですよね?」

要は飛んで帰るのだ。俺の重は20キロもない。二人掛かりなら可能だろう。

「可能だな」

使う気はさらさらない。幾ら何でも戦っている味方を全員置いて逃走できるほど俺は図太くない。

一部なら殿として仕方ないと割り切れるかもしれないが俺以外の全員は無理だ。

カッコつけているとかそんなんではない。

単純に後で確実に後悔して俺は何もできなくなる自信があるからだ。

なら後先考えずに支援チートをフル解放して勝つか撤退の可能に賭けるべきだ。

「負けそうになれば飛んで帰ればいいので僕だけならリスクはほぼゼロです」

と納得させる為に噓をつく。

「そうか、なら構わん。

兵達には悪いがお前は代わりがおらん!」

非道な考えだが、英雄級であるレインは代わりがいないため仕方のない決定だろう。

(俺が攻撃魔法も使えれば話は別なんだけどね……)

心ぼやく。

「それと指揮ですが、誰か信用できる方にお願いします」

「ん?なら私が指揮するぞ?」

お前が出るなら當然だろう?といわんばかりの顔をして聞いてきた。

「失敗も考えなくてはならないですからね。もし彼らが想定外にこちらとの海戦をしてきた場合は迅速に逃げる為にお父様のお力が必要なのですよ。

ポルネシアの國寶スキルが、ね」

「そうか……。だがお前はどうするのだ?作戦中は視界が悪くて何も見えんだろう?」

「鎖で繋げば最低限はぐれはしませんから、後は作戦決行場所までの周辺地利に詳しい人でもお貸し頂ければなんとかしますよ」

ポルネシア周辺の地図はあるだろうし、魔道で方位磁石のようなもある。

「わかった。よし!なら早速王に伝えてくる。お前も準備して待ってろ!」

そう言ってさっさと部屋を出て王城に向かっていった。

「やれやれ、忙しない人だ」

お父様はせっかちなところがあると俺は思う。

まあ俺も人の事はいえないが。

するとトントンとドアをノックする音がした。

「どうぞ」

と言うとドアをゆっくりと開けながらリサとスクナ達がってきた。

王都に來てから、彼等にはないがおこずかいと休養を與えていたのでリサ以外は殆ど顔を合わせていない。

「今日は、先日は全員ご苦労様でした」

とスクナ達を労う。

「いえ、私達は奴隷です。謝などする必要はありません」

と、代表してスクナが言う。

「相変わらずで何よりです。

で、何の用でしょう?

まだお暇を與えているはずですが?」

「いえ、もう充分です。

それよりこれからどうなさるおつもりでしょう?」

「これから?そうですね〜、敵軍と一戦える所に行きそうです」

力したように言う。

「畏まりました。

では私達も船に乗る準備を」

「いえ、今回は來なくて結構です。

船上ですし慣れていない人を連れて行くのはあまり得策ではありませんから」

「構いません!レイン様が直々に戦闘をなさるおつもりでないのでしたら私達は邪魔にはならない筈です」

「いえ、今回は隠が重要なのですよ、僕の能力を他者に知られるわけにはいきませんので。

達が來れば僕の顔が割れてしまいます」

「で、でしたら私一人でも!

私だけなら顔を隠せばばれません」

「いやしかしな……」

と言う議論を長々として結局コウだけを連れて行くことになった。

「ではコウ!レイン様をよろしく頼みますよ!」

「分かりました!お任せください!」

そう元気よく、コウ言った。

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