《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第59話 あんな大人になれるだろうか?

それから暫くしてレインの部屋に迎えの者がやってくる。

「お待たせ致しました!ではご案致します!」

「はい、よろしくお願いします」

そう言ってマントを著てフードを被り仮面をつけて魔道れた袋をにつけてから付いていく。

それから馬車の停留所まで行くとロンドがいた。

「お父様……」

「レイン、ここで別れだ。

まずはこのマントを」

と言って今レインが著ていた黒いマントの代わりにと白で所々で細かい刺繍がしてある素人が見ても明らかに高級品であろうマントを渡される。

「これは?」

「これは魔力遮斷マント。

お前が船を隠す時、お前自がその魔法の魔力を吸収してしまうのを抑えてくれるだ。

我が國の國寶の1つだ。

今回の為に特別に貸し出されただ。無くすなよ」

「ありがとうございます」

それをどうしようか迷っていたところだ。最悪、俺の乗っている船だけ範囲外を回るつもりだった。

「私からはこれ位だ。

これからお前の馬車は王都を東門から出て東に真っ直ぐ進む。

私は王都を北門から出て北東の軍港に行く」

「はい……」

分かっていたことだがこれから戦いに行き人を殺すのだと思うと無に悲しく、また寂しくなってくる。

するとその気配に気付いたお父様が俺の両肩をバンバンと強く二回叩いてから引き寄せギュッと抱き締める。

「大丈夫だ!お前は私の息子なのだ!失敗はありえん!必ず功する!」

し勇気を貰えた気がした。

「はい、ありがとうございます!」

「それと……。

いやこれはいいか。

とにかく頑張れ」

「はい!お父様こそ」

多分、生きて帰れ、と言いたかったんだと思う。

死亡フラグはこの世界にはないが縁起の悪い言葉ならある。

本當にお願いしたい事は心でお願いするだ。

だから俺もこう祈る。

(生きて帰ってきて下さい)

と。

それから馬車に揺られる。

暫く無言で馬車に揺られている。

護衛の騎士も殆どいない。

代わりに全員がレベル40前半と最鋭だ。

そのままほぼ無言のまま半日以上経つ。

コウも張しているらしくいつもの様な軽口もなく、顔を引き締めている。心配なので魔法をかけておく。

元年上として勵まさなければならないのだが何分人生経験が乏しいため、そして何より恐らく俺の方がよっぽど張している為何も言えない。

変に茶化してをなくすのもアレだし、というか周りに軽裝の騎士が一緒に乗っている。

ここで変に茶化してはレインという男の株が下がる。

だからと言って気が利いた事も言えず結果沈黙したまま西に進む。

そして日も登るかという時になってやっと川につきそこから船に乗り込む。

「このまま川を東に行き部隊と合流、それから南東にあるサリン島を東周りに移。それから大きくを描きながら北西の戦闘が行われるであろう場所まで向かいます」

「わかりました」

それから今度は暫く船に揺られる。

2人部屋で2人きりになったのでそろそろ口を開くべきだろうとコウに聲を掛ける。

「コウ、大丈夫ですか?」

すると厳しかった顔をし緩め、

「レイン様……。

やはり張しますね。レイン様の魔法のおかげで吐き気などはしませんが、やはり初陣は如何しても……」

無理もない。コウは未だ10歳にもならない子供なのだ。

「すいませんね。まだ子供なのにこんな所まで來てもらって」

と申し訳ない気持ちになる。

「え?レイン様もまだ6歳じゃないですか!2歳とはいえ年上の僕が気遣われるわけには行きませんよ」

し笑いながら言った。

「僕は貴族の義務としてですがコウは無理やりじゃないですか?

全然違いますよ」

「違いますかね?でも、レイン様のとなりに居られるというのは僕たちにとってそれなりに幸せなのですよ」

「え?なんでですか?」

「まあいずれ分かるかと。

僕も言われて気付いたので納得してここにきてますから。

レイン様は気にしなくていいのですよ。

この為に僕たちを買ったのでしょう?」

「そう、ですね。

全くみんなたくましいな〜」

子供に諭されるとは。

悪い気分じゃない。

「僕の様に奴隷になって、しかも買い手が殆どつきませんとたくましくもなりますよ」

「え?

いや、コウメイクラスなら買い手數多でしょう?」

能力も非常に優秀だ。

「え?聞いてないのですか?

僕たちはそれなりの時間を奴隷館で過ごしましたよ?」

「え?そうなんですか?見る目のない奴等だな〜」

こんな使える能力はそうそう無いだろうに。

「いえ、レイン様が見つけた連絡方法を知らなければそんなものですよ」

「なんでですか?」

「僕達の能力はけ渡し可能、ですけどけ渡して2人分の強さといっても大した強さにはなりません。

魔法もたかがデュオですし、國が買うのでしたら普通にデュオを買います。

冒険者が買うには高過ぎるんですよ」

え?金貨35枚が?

冒険者って貧乏なのか?

と思ったがとりあえず先を聞くことにする。

「買っても子供ですから育てる必要もありますし、2人分も養わなければいけません。

本來安くするところだったのですがそれでも奴隷商もなかなか値段を下げず結果不良在庫として殘りました」

ん?あの人そんなガメつかったのか!へー、人は見かけによらんな〜。

「それから一年が過ぎてやっと買い手が見つかったんですよ」

それが俺か。

「その人は僕たちを買ったあとかなりの時間をかけて國を渡り、ポルネシアに著きました」

ん?え?どういうこと?

「それから説明をけたのです。

貴方をこれからまた買う子供が現れるからその子に仕えなさいと言われ、全く意味がわからなかったんですけどね。本當に來た時は凄いビックリしましたよ」

「え?意味がわからないんですけど?」

思わず素が出た。

「僕もあとで聞いたんですけど僕を最初に買ったのってレイン様のお母様らしいですよ」

「うん?それはつまりお母様が先に買ってその後俺の手に渡ったと?

なら、なんだ?」

「まあ簡単に言うとずっと奧様の手のひらの上だったって事でしょう」

「なん……だと……」

まさかの事実だ。

両親を出し抜くつもりだったのにずっと手のひらの上だったというのだ。

「なんて事だ」

もちろん怒っているんじゃない。

彼らのの深さにまたもや気づいて驚いているのだ。

「僕は彼らの様な大人になれるでしょうか?」

彼らが偉大すぎてまた不安になってきた。

俺は彼らに追いつけるのだろうか?

「さあ?」

とコウは言った。

「さあ?って貴方……」

「わかりませんよそんな事。

僕も子供ですから。ただ近に素晴らしい大人がいるというのは1つの目標になるのではないかと」

「そうですか、そう、ですよね。

これからですよね」

「そうですよ。これからこれから」

こういう時コウの気楽さは有り難い。

そして東にある軍港に著く。

レイン達はマントと仮面をつけ馬車を降りる。

「お疲れ様でした。

ではこれから軍船に乗って目的地まで向かいます」

「分かりました」

そして暗くなっているあたり一帯を神眼で見渡す。

暗い中で靜かにき回っている人達がいる。

準備に忙しいのだろう。

それと二メートル程の正方形の木箱がある。

中を見ると魔道っぽい何かがっていた。

鑑定してもクズの塊としか出ない。

「あれは?」

と聞いてみる。

「え?あ、よく見えましたね。

あれは何でもありませんよ。

も魔道っぽく形どったものです」

「何故そんなものを?」

「後で言い訳するためですよ。

レイン様の能力をいうわけにはいきませんからね。

あの裝置で発生させました、という言い訳をする為のものです」

「なるほど、だからあんな堂々と運び込まれているのですか」

「はい。

では、私達も乗りましょう。

あの船です」

と言って指し示されたのは周りとあまり変わらない様に見える中型艦だ。

橫にオールで漕ぐための窓が開いている。

中型と小型はオールと帆を張り風をけたり風の魔石を燃料にしてすすむ。

だが大型船は帆と魔石を燃料にして進むという違いがある。

そしてその艦に乗り込み艦長と挨拶をする。

「レイン殿、長旅お疲れ様でした!!」

と敬禮してくる。

顔も厳つく非常にお固そうなイメージの人だ。

「いえ、リエドラ様こそお疲れ様です。

それにしてもよくこの様な突拍子な作戦をけてくださいましたね」

子供の作った案を彼らがあっさり実行する理由がわからなかったのだ。

「様付けは不要です!

それに我々は指示に従うだけです!

上が実行可能かつ考え得る最高の策だ!と我々に命じるのであれば我々はその作戦を十全に実行できる様にくだけです!!」

とはっきりと言った。

真面目な軍人というのは初めて見た。

「そうでしたか。ありがとうございます。

でしたら僕の方からいう事は何もありません。

よろしくお願いします」

そう言って深く頭を下げる。

ロンドなどとは違う意味で敬意を表してしまう様な男であった。

するとし敬禮を崩し、

「こちらこそよろしくお願いする。

初めての船でしょう、何かあればお申し付けください」

と最後にそう言って艦長室に戻っていった。

俺とコウも案された部屋に行き、マントを互いにぎ足臺を使ってハンモックにのり、作戦開始まで話し合うのだった。

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