《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第61話 海戦の直前

この作戦は一応隠に行っている。

なので魔導師団長まで來られると王都に潛んでいる偵にバレる可能があるからだ。

時間があればレインが発見して絶やしにしたのだが一刻を爭うため彼は留守番になった。

「本當に素晴らしい魔力の奔流!

師にもこの景を見せたかったです!」

「そ……そうでっか」

老人達が眼を輝かせて自分を見てくるのでさすがに引いてしまった。

俺は學生時代をかけて何か一つに熱中したことはない。

三國志も含めて専門家は言うに及ばず本気でそれを學ぶオタクにさえ負ける。

俺が彼らに勝てなくとも負けないのはあくまで妄想シュミレーションだけだ。

故に殘念ながら彼らの気持ちはわからない。

因みに魔力の奔流とか言われても全くわからない。

彼ら獨特のでもあるのだろうか?

すぐに出て行こうとする彼らのうち副団長のリベルトだけを呼び止める。

「あのリベルトさん……」

と気になったことがあったので聲をかけた。

「はい?なんでしょう?」

と彼だけ立ち止まる。

「あ、え、えっと……」

口に出しておいてここでし聞くのを躊躇ってしまう。

だが気になったら聞くのをやめられない。

「あ、あの、いいのでしょうか?」

「何がでしょう?」

ここで一つ深呼吸をする。

「貴方方をこうした作戦に呼び立てしてしまってよろしいのですか?」

ただ魔力を供給するためだけに王國で最も高い火力を持つ集団を呼んでいる。

言うまでもなく彼らにもプライドがあり、の滲むような努力があり、積み重ねてきた歴史や名譽がある。

「ふ〜む……そうですな……」

し顔を顰めて考え込んでいる。

普通こんなこと聞かないだろ!って?

そら普通は聞かないだろ。

だけど俺は聞いてしまう。周りが自分をどう思っているのか気にし続けた俺はそれを聞いてしまう。

聞いたとしても、もうどうしようもなかったとしても言葉に出してしくなる。

「思う所がない、訳ではやはりありませんな」

やっぱりそうか……。

「嫉妬、というほどのものではありませぬが自分にない圧倒的才能を持っているものを実際に見るとやはり羨ましくもなりますとも。

自分にこの才能があれば、そう考えずにはいられないですな」

「そ、そうでしたか……」

気持ちは痛いほどわかる。

前世でも俺は頭のいい奴や顔がカッコいい奴を見る度に同じ様に思うからだ。

彼らほどカッコよければ。

彼らほど頭がよければ。

彼らほどの人付き合いの良さがあれば。

俺はいじめられはしなかったのではないか?

そう思わずにはいられない。

「すいま……」「ですがそんな事は些細な事ですな」

と俺の言葉を割って続けた。

「所詮は無いねだり。無いものは無いのですよ。それにそもそも私はこの道を全くとして極めてはおらん!

私は闇、水、風のトリオ、最高でレベル7。まだまだやる事はある。

嫉妬する暇があるのであれば一つでもレベル上げに邁進すべきだ!」

と途中から強く主張した。

「何故そんなに簡単に諦められるのでしょうか……」

そんな簡単には諦めきれない。

ないものはない。それは正しい。

だがそれでも手をばさずにはいられないだろう。

すると顔を突然険しくして

「簡単に?簡単に諦めている様に見えますかな?

そんなはずはないでしょう!?」

し怒気を含んだ聲で言った。

「す、すいません!失言でした。申し訳ありませんでした」

といって頭を下げる。

當たり前だ。し、いやあまりにも言い過ぎだ。

そんな簡単に諦めている訳がなかった。

「いえ、すいません。私もつい怒鳴ってしまいました。

申し訳ありませぬ」

といって頭を下げる。

「い、いえ、今のは私の方が明らかに悪いです。そんなはずはないのに聞いてしまいました。

本當に申し訳ありませんでした」

明らかな失敗だ。失態だ。失言だ。

「いえ、レイン様はまだ子供ですからな。私もまだまだです。

それと何故簡単に諦められるか?ですかな?」

「それはもう……、いえ、はい」

斷ろうかと思ったが一度聞いておいて相手から言おうとしているのに斷るのは、もう十分すぎるほど失禮なのにそれに更に失禮を重ねる事だろうと思い、頷く。

「それは先ほどと同じですな。手にらないとわかっているからですな」

「はい……」

「それと私には才能があってやる事、やりたい事も決まっているからです。

同時にやれない事も分かっているから、ですな」

それを聞いた瞬間ハッとした。

「なるほど……」

この世界と地球との一番の違い。

それはステータスだろう。

目に見える形で才能が見える。

だから諦めきれる。

見てすぐわかる。ないものはない。それが絶対であるこの世界だから諦めきれるのだろう。

「ありがとうございます」

「どういたしまして」

それにやはりまだまだ俺は子供だったみたいだ。

あの時からずっと心は子供のままだった。

だからこう呟いてしまった。

「大人だなぁ……」

「え?なんですか?」

「あ、いえ、すいません。なんでもありませんよ。また一つ勉強になりました。ありがとうございました」

「そうですか。それは良かった。では私はこれで。また日が昇る頃に」

「はい」

そう言って退出しようとしてふと立ち止まってこう呟いた。

「私は英雄も人であるとわかってし嬉しく思いましたよ」

といって今度こそ出て行く。

すると今まで黙っていたコウが話しかけてきた。

「大人ですね」

「そうですね……」

そして夜が明け、日が出てくる。

また呼び出され、今度は船を隠すため霧を出す準備にる。船の前後左右を鎖で繋ぎ、俺の乗っている船を霧の効果範囲より更に後ろにする。

ついでにまたこの船がれるように真ん中だけは鎖で繋げず開けておく。

そして船団の中央から全に霧が出るように演出する。別の船に積んである魔道っぽい塊から発生したように見せかけるためだ。

この船だけ下がっても不自然なのだがそこら辺の誤魔化しは艦長達がやってくれる事になっている。

「では、行きます」

ここでまた深呼吸をする。

「偉大にして聡明なる水の神よ、この世に生けるもの全てを司りし心優しき神よ!我は希う!我等を付け狙いし者から其の大いなる羽で隠したまえ!

デンスフォグ!」

すると4キロ以上先からブワッとこの船以外の全船を包むように広がる。

「おお!素晴らしい!なんとしい景なんだ!」

とまたもやリベルトが興している。

だが今回はおれもわかる。

まさしく圧巻な景だ。

霧でもう見えないが嘆の聲が中からも聞こえてくる。

俺が魔力遮斷マントを著たのを確認した後霧の中にゆっくりっていく。

「お見事ですな、レイン様」

「ありがとうございます」

リベルトを尊敬しかけているのでその人に褒められるとし恥ずかしい。

それから寢て、また日が落ちるまでこのままかずじっとする。

これを目的地に著くまで延々と繰り返す。

霧は周りから見えるがこの世界で海上に霧が発生する事は別段珍しくない。

魔力を目で見るスキルがある昔の學者曰く、海から大量の魔力が噴出しているように見え、それが集まり霧となる。

地上にも魔力が噴出する場所はもちろんある。例えばポルネシアには迷いの森という地上型のダンジョンがある。

このダンジョンは一度り、ってきた口が見えなくなるぐらい進むとったの死角の木の位置が変わる。魔力を吸った木が移するのだ。

100メートル位ならなんとかなるかもしれない。

だが200、300と行くとほぼ確実に出れなくなるという兇悪なダンジョンだ。

海では霧がとどまり続ける(噴出し続ける)場所ではない限り半日もすれば魔力が散り、霧が晴れる。

なので突然霧に包まれたら船の錨を下げ停止し、霧が晴れるのを待つのが定石である。

大海原で下手にくと周りに何もないため方向を見失いかねないし、船団の場合はぐれたり船同士でぶつかったりして危ない。

次の日の夜、メイからステータス移の連絡があった。

第一陣の船が出陣した二日後に第二陣の船団が帝國を出港した。

數は300隻。

また予想よりもない。

だが大國の詳しい軍事事など知らないのでそんなものだろうと納得する。

これを繰り返し3日が経った。

するとまたメイから連絡があった。

帝國の第一陣がポルネシアの近郊に到著したらしい。

そして帝國から更に200隻の輸送船が出撃したとの報告が來たらしい。

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