《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第66話 俺の青春前編
それから日をまたぎ、やっとの事で公爵領への帰還を果たした。
何もなかった前世に比べるとなかなかハードな今世を暮らしている事について誰かに相談したい気分だ。
20歳過ぎたら燃え盡きそうでなんかよくわからない恐怖がある。
公爵領を馬車にガタガタ揺られ、公爵城に著く。
門の前にお母様がこっちを見て手を振っているのが見えた。
〜???〜
城のバルコニーから外を見ていると高級な馬車數臺がオリオン家の紋章をに刻んだ甲冑を著込んだ騎士と共にやってくる。
レインが帰ってきた。
報告は既に早馬が王都から來ていて聞いている。
6歳では考えられない手柄を立てて帰ってきたらしい。
ロンドの他の息子の誰にもできない替わりのいない天才。
その將來に、長に期待してしまう英雄の才を持つ子。
羨ましい。なんで…なんで彼は……
〜???〜
帰宅して數日経った時、とある手紙がレイン宛にきた。
レイン宛の手紙は最近は珍しくない。
殆どがウチの娘を是非レインの許婚にとかである。
適當に目を通して分類別に分けて保管しておいている。
そんな中、1番位の高い箱、マイチェストにるべきお手紙があった。
(プリムキタァァァァーーー!!!)
俺はその手紙を頭上に高々と掲げ、心でぶ。
プリムからのお手紙があった。
いつ公爵領に遊びに行っていいのかという催促の手紙だった。
言うまでもなく忘れてなんていない。
勿論覚えていたさ。だが周りの目とかがなんか気になってっていいのかわからなかったのだ。
一応今戦時だし、俺はのうのうと遊んでていいのだろうか、とか戦爭に參加しなくていいのだろうかとか。
ただ最近城の使用人は誰一人戦爭の話をしない。
後で聞いてみよう。
それは置いておいて、そんな端からみると無意味極まりない考えに葛藤している。
というわけでリサさんに相談。
「リサさんちょっといいですか?」
「はい、なんでしょう?」
と即座に反応が返ってくる。
「プリムさんから遊びに行っていいかというお手紙がきたのですがどう思いますか?」
「どう思うか、ですか?非常に好意的かと」
「あ、違います。どう、すれば、かな?どうしたら、かな?」
言葉がし難しい。
「この時期に遊んでていいのか、といった事でしょうか?」
「そうです」
さすがリサ、わかってるな〜。
「別にいいのでは?寧ろ何を戸っているのかがさっぱりわかりませんが…」
やっぱりそうか。
「では、家に呼んでも構いませんかね?」
「それは私ではなく奧様にお聞きしてください」
ですよね〜。
「では、早速聞きに行きましょう!レディーゴー!!」
と言って突然の猛ダッシュをする。
「え?ちょっ……」
という聲を置き去りにして廊下を走る。
走った意味?
ない。
そしてすぐにお母様の部屋の前に著く。
時速50キロを超えるこの健腳を道行くメイドに見せつけてやったぜ。
「お母様、っても宜しいでしょうか?」
とドアをノックした後聞くと、
「レイン?いいわよ」
と返事が返ってくる。
「失禮します。
お母様、プリムさんからお手紙がきまして家に呼んでも構いませんか?」
「ええ、いいわよ」
即答だった。返事が早い。
「いいんですか?」
「ええ、勿論。時期が決まったら報告しなさい」
「わかりました」
そして部屋を出る。
予想外にあっさりオーケーが出た。
ウキウキ気分で自室に戻る最中、鬼、いや、リサさんが向こう側からゆっくり歩いてきた。
漂う空気が怒気につつまれ、その後ろを通りかかった侍がヒッと聲を上げて逃げたしてしまうほど恐ろしかった。
突如俺の頭に選択肢が浮かんだ。
逃げて死ぬ←
戦って死ぬ
謝って死ぬ
「し、死ぬ以外の選択肢が存在しないだと……」
いや馬鹿なことをやっている場合ではない。
そして振り返ると……。
小鬼がいた。
しかも2人。
ゆらりゆらりと歩いてくる。
前後で挾まれた!!
くっ!どうする?
そうだ!!
と思いつき2人の小鬼、スクナとアイナの方に走る。
「今日という今日はきちんとお説教いたしますのでお覚悟くださいレイン様!!」
とスクナがび、アイナが無言で構える。
俺はスクナ達の前で速度を緩め、2人にわざと捕まる。
「素晴らしい心がけです。ですが今度という今度はキッチリとお話しいたしますのでお覚悟お願いいたします」
とスクナが怒る。
よし。ここまでは作戦通り。
そしてスクナの耳に顔を近づけてこう言った。
「彼は私にこう言った。僕は君をしている、と。だけど私は知っている。彼は私をとしてしているのではないと。彼は亡くなった姉を私に重ねて見ているだけなのだと。
悲しくもあり嬉しくもある……」
突然何言っている?って?
彼が周りにで繰り返し書庫に見に行っている本の容だ。
俺の知る限り10回は見ている。
「あ、う、な、何故それを…」
と愕然としている。
周りに誰もいないことを執拗に確認していた。
だが俺には神眼がある。
丸見えだ。彼が夜な夜なコソコソしているのに気付いたので見てみたらの小説が好きだったとは。
人の趣味をからかって前世で痛い目を見ているのでちゃんとアフターケアをしておく。
「後でする小説を貸してやろう」
貸すっつうか教えるだけどな。
とフォローしておく。
「そしてアイナ!」
とその矛先をアイナに向ける。
「な、わ、私には何も……」
とスクナの様子を見て明らかに揺している。
「お前、夜な夜な部屋を抜け出して食堂の砂糖を盜み食いしているな?」
そう、アイナは甘い大好きなのだ。
だが、みんなの前だと恥ずかしいようでクッキーの様なお菓子を出しても食べない。
「な?!何故それを!」
「フッフッフッ、私は何でも知っている」
神眼最高。
と余裕ぶっていると。
ガッ。
頭を突然摑まれた。
「ハッ」
調子に乗っていた。
カクカクカクと後ろを見ると額に怒りマークを付けたリサさんがいた。
「な、何故?」
速すぎる!俺の計算に狂いはないはずだ!
「コウに魔法をかけて貰いました」
「な…」
とリサさんの後ろからコウとメイが出てくる。
「コウ、裏切ったなぁぁーー!!」
「いや、そんなこと言われましても」
「裏切ったなーではありません!!
レイン様、あれほど廊下は走らない様にと言ったはずですが?
今日という今日はしっかりとお説教をさせていただきますので此方に」
と言って俺の腹を抱え、連れて行く。
「助けてくれーメイーー!!」
俺の味方はお前だけだ。
「レイン様!!」
「メイ!」
ビッ!!
とメイが敬禮していた。
背筋をピンとばし左手でビッと敬禮し、顔は死に行く友を見る様な顔だった。
「おのれーーーメイィィーー!貴様ぁぁぁーーー!!!諦めんなよぉぉーー!!
あと敬禮は右手だぞぉぉーー!!
うわぁぁぁぁぁ!!!」
「靜かにしなさい」
「あい……」
そしてこの後俺は長々と説教するリサさんに付き合わされるのだった。
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