《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第75話 自分勝手な

ローゼさんの事に相談する必要があるので、リサさんのところにやってきた。

「リサさん、今日は」

とリサさんに挨拶する。

だが、リサさんはジロリとこちらを睨むだけで何も言わない。

「え、えーと、ご相談があるのですが…」

と、その剣幕に押され、ゴニョゴニョと話す。

だが、ちゃんと聞きとれたようで、

「戦爭の事ですか?」

と返してきてくれた。

だが、違う。

「あ、いえ、お母様とローゼさんの件です。お二人の仲を取り持つにはどうすればいいのかを聞きに來たのですが…」

こういう人間関係は俺は壊滅しているからな。

俺が仲を取り持つ時、

「僕が良いと言っているのですから別に気にしなくて良いですよ」

みたいな事を言うだろう。

自分でも言ってて思うが、中がスカスカでちょっぴり面倒くさいと思っている本人の気持ちがアクセントされているのが見え見えだ。

「よくないわよ!」

とお母様が言うのが目に浮かぶようだ。

なので、リサさんに相談にきたのだがなんか怒っているようだ。

ここは靜かに撤退をした方がいいだろう。

「あ、リサさん、お忙しそうですのでやっぱり大丈夫です」

と言って立ち去ろうとする。

だがお母様の所に行こうとすると、

「忙しくありません」

とリサさんが話してくる。

やベー。どうしよう。

逃げ道を封鎖された。

と言うかなんでちょっと怒ってるんだろうか?

勝手に戦爭に行く事を決めたからかな?

よし、聞いてみよう。

「あの、リサさん、なんで怒っているのでしょうか?」

単刀直が俺流だ。

時と場合によるがな。

そんな俺の心を知ってか知らずか、

「わかりませんか?」

し怒気を含んだ聲で俺に問うてくる。

「えーと、勝手に戦爭に行く事を決めたから、ですかね?」

「それもあります。ですが、それよりも私はレイン様が奧様にまた心配をかける事についてお話しがあります」

あー、うーむ……、それは俺だって本當に悪く思っている。

でも、仕方がないじゃないか。

言い訳をさせてしいのだが、俺だって好き好んで心配をかけているわけでは決してない。

ただ狀況がそうさせないだけだ。

そう心で言い訳をする俺の顔で悟ったようにリサさんが溜息をつく。

「はぁ……。今のお國と旦那様の狀況はわかってます。

そして、レイン様が旦那様についていかなければかなりの確率で最悪の事態が起こりうる事も。

ですが、それでも奧様にご心配をお掛けしない様に努力する必要はあったのではありませんか?」

た、確かに……。

「1度でも奧様へのご心配をしでも減らせる様に考えましたか?」

それは、していない……。

俺は、仕方がないとか周りが俺を巻き込むとか言い訳をしながら、1度だってお母様に気を使ってはいなかった。

狀況は確かに仕方がない。俺は、1人で戦爭を終わらせられるチートを持っているわけではない。

だけど、お母様への心配をしでも減らす事は出來たはずだ。

そんな事しも考えなかった。

心配はした。だが、そこから先を俺は考えなかった。

心配をしただけだった。

「すいません…」

そんなありきたりな言葉しか出ない。正論過ぎて言葉がない。

「理解して、そしてそれを次に繋げられればいいのです。

レイン様はまだ子供ですから。

ですが、レイン様がこれから殺すであろう敵はそう思ってはくれません。容赦なくレイン様を殺しにきます。それを覚えておいてください」

と言う。

「はい…」

何度もやらかして戒めてもまたやらかしてしまう。落ち込まずにはいられない。

そんな俺を置いて、リサさんは続ける。

「それと先程の事ですが、奧様とローゼ様の関係の修復はレイン様次第かと。今はそっとしておかれるのが1番かと思われます」

「そう、ですか……」

なんとかから聲を絞り出す。

「わかりました。有難うございました」

リサさんなりの気遣いなのだろう。

次にお母様の所に行こう、と思うのだが、今のを聞くとちょっと遠慮するべきだな。

どうしようも無くなってしまった。

後はお父様頼りになっちまうな。

ーー全く期待できないで候。

數日後、早々にローゼさんの説得を諦めた俺は、今日帰ってくるお父様を、外で剣を振り回しながら待っていた。

チラリと橫を見ると、毎日の様にいるローゼさん。

気になって仕方がないぜ。

そのローゼさんといえば、全くこちらを見ずに一心不に凜とした佇まいで剣を振る。

というか、この行を見ても誰も何も言わないのだろうか?

いやまあこの世界はスキル、魔法才能重視だし、リサさんが元冒険者をやっていた様に、が戦爭に行くのは別に珍しい事ではない。

だがなんというかな……。に爭い事をしてしくないな。

いや、スクナを冒険者として連れ出そうとしていた俺が言うのは可笑しいか。

それでもなんか嫌だ、というのはワガママというやつだろうか?

そう俺が葛藤していると、リサさんが城の方から俺の方へ歩いてきた。

そして開口1番に、

「旦那様がお戻りになりました。旦那様の私室にいらっしゃいます。」

そうか……帰ったか。

「わかりました」

短くそう返事をした俺は、運して汗だくなので水浴びをしてから新しい服に著替える。

はやる気持ちを抑え、長い廊下を早歩きでお父様の所へ向かう。

張すると頭が回らなくなるので、とりあえず言うべきは、俺の參戦する意思とローゼさんの參戦止をお願いする事を意識する。

そして、お父様の私室のドアの前に行く。よく見る扉なのに今日は何となく荘厳な雰囲気を放っている。

ゴクリと唾を飲み込み、ドアをノックする。すぐに中から返事があり、ドアを開け中にる。

中には、室だというのに甲冑を著込んだお父様とオリオン家の騎士が四人ほど居て、それぞれが厳格な面持ちで立っていた。

そして、厳かに口を開く。

「おお、レイン來たか。

ソフィーからの手紙でお前の気持ちはわかった。

だが、參戦は許可しない」

やはりか……。

予想できた言葉だ。

だが、俺がここに來たのは“參戦の許可”を貰いに來たわけではなく、“參戦の意思”を伝えに來たのだ。

いい加減くどいがお父様が行くなら俺が行かないというのはない。

それを伝えようと口を開こうとすると、

「と、言いたいのだがな……。

お前はどうせ來るだろう」

とお父様が諦めた様子で口を開く。

「よくお分かりですね。もちろんどんな手を使ってもお父様について行きますよ」

と、お父様が俺の格を理解してくれている事にちょっと嬉しくなり、笑顔になりそうになるが何とか真面目な顔を維持する。

「本來なら部屋に閉じ込めるところなのだが、何分お前を閉じ込められる部屋がないからな」

まあ、俺クラスの魔法使いを閉じ込める部屋はないな。

土支援魔法の鉱変形で鎖や扉を平然と破る。かつ、俺には支援魔法による足止めと既に馬並みに早くくなっている腳と魔力全吸収がある。

「私の父が死んだ時の話はソフィーから聞いたな?

私は今でもまだあの時の事を納得していない。まだいお前があの時の私の様になるのは見たくないし、最悪、國が崩壊しかねない。

私が參戦する報はすぐに敵に知られるだろう。そうすれば父の様に狙い撃ちにされる可能が高い。

ならば、お前を連れて行った方がポルネシアのためになる、と私は判斷した」

と、一気にまくし立て、

「だから、これから宜しく頼むぞ」

と締めくくった。

俺は片膝をつき、

「お任せください」

何も任せず何も頼まれなかった前世とは違う。

そう思うと嬉しさが込み上げてくる。それを押し殺して、口を開く。

「では、僕のオリオン家の寶の継承権を破棄して、新しく生まれた僕の弟に継承させてください」

先日、お母様が俺の弟を産んだ。

出來れば弟にオリオン家の寶を継がせたい。

「そうか……。産まれたのか」

その場に立ち會いたかった、と言外にいっている様な雰囲気でそう呟いた。

「わかった。後で儀式をする。

それで話は以上か?」

あ、やべ、忘れてた。

ローゼさんの話しないと。

「あ、いえ、もう一つ、ローゼさんが參戦しようとしているのですが…」

と俺が言いにくそうに切り出すが、

「そうか、わかった」

とお父様はすごい淡白な反応だった。

予想はできていたが、あまりにも淡白すぎてビビったわ。

「いえ、あの、參戦をやめさせてしいのですが……」

と俺が話すと、お父様は怪訝な顔をした。

「ん?何故だ?あいつは役に立つぞ。何と言っても水魔法がレベル7まで使えるからな。お前には遠く及ばないが貴重な才能だ」

そんな事は知っている。そういう事ではなくて、

「僕はローゼさんに戦爭に行ってしくないのです。僕が守るのはお父様だけで一杯です。ローゼさんを無視はできません」

言外に俺が気になって集中できなくなるから足手まといだ、と告げる。

本當は、家族だから、そう言いたかった。だが、これから戦爭に行く兵達にだって家族がいるのだ。

俺だけがそれを振り回すのはワガママというものだ。

だから、別の理由を告げる。

「そうか……、ならば辭めるように私から言おう」

とまたまたあっさり言う。

口調はあっさりだが、お父様なりに々な考えがあるのだろう、としておく。

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