《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第78話 國境までの進軍
そしてコウメイと別れ、お父様の下に向かう。
「お待たせしました」
城の中庭に降りるとオリオン直轄の鋭が千人程並んでいた。
中には知った顔があるが、そこには穏やかな雰囲気などは一切見えない。
そんな俺にお父様が聲を掛ける。
「レインか……、遅くなったな」
「々ありまして遅くなりました。申し訳ありません、オリオン元帥」
そう言い俺は頭を下げる。
戦時のオリオン家から出る大將の呼び方だ。
「いや、構わない。それよりも別れは済んだのか?」
「はい」
俺が遅れた理由を見かしたお父様に対し、短くそう答える。
若干名、済んでいない人いるけど。
「では出陣だ‼︎」
中で名殘惜しそうに呟く俺をよそにお父様がそう號令を掛ける。
「オォォーーー!!」
と、地響きのする程の雄びと共に出陣する。
城の門を抜け、大通りを通る。
最初から連絡があった様で大通りにいる民衆は左右に別れ、軍が通る道が既に出來ていた。
流石に民に人気のある貴族だけあり、あちこちから、歓聲が上がる。
俺は白を基調とした豪華な裝飾がされたマントに仮面を付けた格好をして馬に乗っている。
だが、お父様が目立ち過ぎて民衆は俺なんて眼中にない、訳がなくあちこちから指を刺されているのが分かる。
ですよねー。お父様のし後ろを進んでいるので何か言われる事はないが微妙に居心地の悪い空気が流れる。
そして城壁をくぐり、外に出る。
そこには。
「ウオッ!」
圧巻な景が広がっていた。
進軍の準備が出來ている恐らく3萬に近い軍が整列をしている。
槍を持った人がいれば剣を持っている人がいれば、杖や斧を持っている人もいる。
服も、普通のプレートメイルを著ている人がいれば、前世の魔法使いといえばこんな格好だろうと誰もが思う様なローブを著ている人がいる。
共通しているのは、全員が真面目な顔でお父様を見上げている事だろう。
「では行くぞ」
大聲を出す事も、號令らしい號令もなく普通に出陣を開始する。
他の將軍と思わしき者達が號令を掛け、それが下の者達に伝わり全軍がゆっくりき出す。
俺はお父様の橫に行き、アッサリしている理由を聞く。
「普通に出陣しましたね。
もうし何かあるのかと思っていましたよ」
「ん?いやもうやったらからな。移開始する度にいちいち発破なんてかけられるか」
「そうでしたか」
まあそりゃそうなんですけどね。
見たかった……。
俺がガックリとしていると。
「おい、レイン。後ろ」
「え?何ですか?」
突然なんだ?
「いいから見ろ」
何だ?
そう思って後ろを見る。
最初は分からなかったのだが、よく見るとスクナとアイナがこちらに手を振っている。
俺も手を振り返す。
待つ事を選んでくれた謝を伝える為に。
それからカーノ砦の門を潛りカーノ渓谷を通り、ハドレ侯爵領を通過して國境を目指す。
暫く馬で進軍していると俺が目立っている事に気付く。
まあそれは仕方がないが……。
軍のトップである元帥の橫に謎の子供らしき人間がいるからな。
俺の事はオリオン家直轄の騎士団にしか知らされていない。
神眼で後ろを見ながら移していると「元帥様の橫の人は誰だ?」と指を指しているのが見える。それから自分の隊の隊長と思わしき人に聞いて、返ってくる答えが「軍師と聞いている」なので訝しげにこちらを見てくる。
まあ正確にはここまでは聞こえないのだが、もう最近は簡単になら顔で何言っているのかわかるようになってきた。
つか軍師と聞いているって。
そんな事言われても困るんだが……。
前世の策は幾つかある。それで対応出來ない狀況だとただの一般人Aだ。
策は他の將に任せて俺は支援魔法のみでいきたいと思いますです、はい。
「兵達が訝しんでいますが」
「構わん。初戦で勝利すれば良いのだ。負ければそれまでだがな」
敗戦の責を取らされればお父様と俺の今後に響く。
地位はまあ……まだ全然安定なのだがね。
偶に戦國で、敗戦の將には死を!、みたいなのあるけど、うんごめん、それはやり過ぎ。十萬規模の軍で敗北し、帰ってきた兵は五千にも満たない、とかならわかるが五萬の軍勢で敗北しても死刑になんて普通ならない。
萬規模の兵を指揮できる將軍を敗戦したからなんて理由で安易に殺すわけがない。お前達が安易に殺そうとしたその將軍を育てるのに幾らかかっていると思ってるんだ、と俺は言いたい。
そうじゃなくてもオリオンの當主を代えるのは不可能だがな。
それから総勢三萬の軍勢は駆け足で數日をかけて北西の方に進軍し、ポルネシア王國とリュミオン王國の國境付近にある城塞都市ドリナーデに到著した。
まだ日はそれなりに高く、すすもうと思えば進めるのだが敵地で夜を明かすよりこちら側で夜を明かしたいという事になった。
初めての國境なので散歩をする。
いやまじ散歩でもしていないとやっていられないっす。
馬車に乗って一定のリズムでゆっくり揺られていると何となく不快な気持ちになる。
俺とは大した繋がりもないのに、隣國の危機的狀況に早く駆けつけたい気持ちになってきて、早馬で急ぎたくなってくる。
行軍も結構急ぎ足だったのだが、歩兵の方が數が多い為、それに合わせて當然早歩き程度の速度しか出せず、馬に乗りながらヤキモキしていた。
もちろんどうしようもないわかっている。
急いでも仕方がない。
バテバテの狀態でリュミオン王國に到著して戦をするわけにはいかないのだから。
俺らが遅れてリュミオンが滅んだらこれもまた仕方がないと言えば仕方がないからだ。
王城が落ちたのならもうどうしようもない。
リュミオンを落とした國を更に落とし返せるほどの軍勢は用意していない。
でも、今休まなければ、ギリギリで間に合うんじゃないか?とか意味のない事を考えてしまい、部屋でジッとしていたらおかしくなりそうだったからだ。
「レイン様しお待ちください」
ん?ああ。
考え事をしていたら早歩きになってしまっていたようだ。
神速はオートだからついそこんとこを忘れていた。
「すいません。ちょっと考え事をしていまして」
「いえ、構いません。ですがあまり早く歩きますと目立ちますゆえお気を付けを」
「はい。わかってます」
いつものようにリサさんが俺を注意してくる。
「って!リサさん‼︎な、何故ここに!」
いつの間にここに!
昨日までいなかったのに!
「2日前に既にここに到著しておりました」
驚く俺にリサさんは淡々とそう説明する。
「てっきり何も言わなくてもお留守番してくれるのかと思っていたのに」
もう俺も本音がタダれだ。
「待つわけがないじゃありませんか?私は貴方の護衛も兼任しているのですよ?」
いや知ってるけどさー。
「スクナ達は我慢してくれましたが」
「彼達と私ではレベルが違います」
あ、はい。
んな事は知っているがな。
「ええっと、リサさんにもし何かあったら僕は……」
と、に訴える。
タイミングが若干悪いが本心だし。
「レイン様に何かあるよりは百倍マシかと」
oh……。
素でそういう事いうの本當にやめてしい。俺を持ち上げる周りの対応に未だ慣れないなんです。
俺が二の句を告げずにいると、
「それに旦那様の許可ももらっておりますので」
チェックメイトだった。
「お父様の許可をもらっているのですか……」
そりゃ無理だ。
早々に諦めた。
前回と違い俺自にも危険が付きまとう地上戦で彼が來なかったらお父様が彼を雇ってきた理由がなくなる。
お父様は優しいし、貴族としてもかなり良い方ではあるのだが、決して慈善事業家ではないのだ。
俺としては來なくても全然構わないのだが……。
俺にとって小さい頃からずっと橫にいるリサさんは家族に近いのだが、俺と會う時以外はほとんど會わないお父様にとっては信用できる部下の一人という位置だろうし。
そして何よりの理由として、
[リサ・アプリコット/Lv. 42(早型)]
[/A/6511/12/9]
[人族/オリオン公爵家所屬]
[HP 482/482
MP 489/489
STR 149
VIT 146
AGI 135]
[魔法]
風魔法 LV.5
[スキル]
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レア6  魔法経験値取得率大
彼は強い。
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