《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第79話 ハメられたんじゃね?いや、そうでもないのか?

お父様は優しいがそこらの冒険者にお金を肩代わりしてあげてかつ雇い先を見つけ、更にはその先が公爵家の長男の護衛である、何て事をしてあげるほどのお人好しではない。

お父様がリサさんを雇った理由。それはリサさんが優秀な冒険者でお父様の耳にっていて、狙っていたからだろう。

リサさんが自の才能に気付いたのがいつかは分からない。

恐らくは村を出て冒険者組合で鑑定石を使った時だろう。

村に居た時から知っていたのならその村は彼を絶対に引き止めたはずだ。

高ランクのスキルを持つ人間を安易に外に出すわけがない。

育てて魔から村を守らせる事や貴族の護衛や娶ってもらうなりで村に安泰をもたらすからだ。

本來なら貴族の騎士や貴族の娘がつくはずだった俺の侍兼護衛を平民の立場であっさりと押しのけるほどに彼のスキルは強い。

俺が今までに早型を見たのはそれ程多くない。

だが、全員がレベルの割にステータスのどれかが平均よりも低い。

俺は晩型だが年齢もあり、同レベよりもステータス平均が低いがMPが非常に上がりやすい。

逆に早型は、同レベの人よりも何かが平均以下である。

リサさんはHPが同じレベルの人よりも30から40近く低くなっている。

だが、それをスキルで補えれば何も問題はない。

それがレア度5のスキル、剣士の心得。

能力は、剣に分類される武を使用する時、斬れ味と耐久度を上げ、刃こぼれを防ぐ。

これを風魔法と合わせる剣士であるリサさんは冒険者の間でもトップクラスだった。

他の理由は、彼がポルネシア王國出でかつ足取りを非常に追いやすく、彼の人柄が調べ易かった事があげられるだろう。

もちろん強い冒険者は彼だけではないので候補は何人か居たのだろう。その中で運良く、否、運悪く彼の姉達が病気に罹った。

後は、間違いなく來るであろう場所、即ちレベル7水魔法使いがいる貴族の館で待ち伏せをすればいい。

偶々を裝って、話を持ちかけ、見事お父様は彼をゲットした。

という事を昔、お父様に聞いた。

偶々偶然その館にお父様がいたのは別に不思議ではない。

エクスキュアが使える當時國に2人しかいない水魔法の使い手ってまあぶっちゃけローゼさんだしな。

なにも王宮魔師の全員が王宮に住み込む訳ではない。

新人達は基本的にローテーションである。魔法才能のレベルは高かったとはいえローゼさんは所屬歴數年という新人である。

彼らの仕事は魔法だけではなく薬學にも通じている必要がある。

努力をしたとはいえ20歳前後の新人に薬學の知識で負けるベテランは王宮魔師にはいない。

そして、王宮に住み込むのは數十年以上勤務しているベテランが殆どだ。

他は貴族街の空き家を國から貸し出されている。

冒険者としてそれなりに名が通っていたリサさんが會おうと思えば會えなくもない。

これ聞いた時、俺は貴族の駆け引きという奴を目の前で見た気分だった。

取引で治した、と聞くと悪くじるが、じゃあ治さなければ良かったのか?と聞かれると答えるまでもなくいいえ、だ。

なら無償で治す?

治される側からすれば嬉しい限りだろう。

だがしかし、治す側にその行はあまりお勧めできない。

先ほども言ったがローゼさんは元宮廷魔師だ。

もっと簡単に言うとプロだ。

何らかの特技で食っている、いわゆるプロ達が「プロはね、タダで〜をしないのよ」などと言うのをアニメでよく見るが、あれは自衛の為でもある。

1度でも見知らぬ人に無償でそれをすると、それを聞いた人達が次から次へとやってくる。

そしてやる側は全くバラバラのタイミングでやってくる相手に対し、いつか休みたくなる時、面倒くさくなる時が來るだろう。

それを伝えると、言われた人はきっとこう言うだろう。

「何故あの人にはやってあげて自分にはやってくれないの?」と。

理由のない差別を人は我慢できない。あの人と自分の扱いの違いをキチンと説明してくれないと我慢出來ない。

だが、やる側からしてみたら堪ったもんじゃない。

うっせー!面倒くさくなったからだよ!ってんで追い返すと明日のおまんまが食えなくなる可能がある。

だから以外の知らない人達に対しては“等しく”無償でそれをしない。

プロはちゃんとお金を取るという自衛行を取る。

プロであるローゼさんはちゃんとお金を要求した。これはあくまで俺の予想になるが多分相場価格だろう。だが、リサさんは払えなかった。

だから彼を雇った。

払えない代わりに彼の力を借りた。

プロセスはちゃんと踏んでいる。

リサさんに嵌められたのでは?って聞いたら病気になったのは偶然。結局助けを求める必要があった、だそうだ。

次に才能が無かったら助けなかったかもですよ?って聞いたら、それは仕方がない、だそうだ。

ここら辺は特に日本との文化の違いをじる。

前にも言ったがこの世界はスキルや魔法の才能が生き方を大きく左右する。

前世だと嫉妬などを恐れて遠慮したりするのだが、この世界では割とあっさりと才能があるから自分は特別扱いされて當然である、みたいな空気がある。

無い人も無いなら仕方がない、というあっさりがある。

両者が理由のはっきりしている區別をあっさりとれる。

やっぱ才能が眼に見えていると違うのだろうか?

最近よくいろんな街に行くから思う所が々出てくる。

そんな考えに頭を巡らせているとリサさんが帰宅要請をしてくる。

「レイン様、そろそろお部屋にお戻りください」

「わかりました」

特に何かあったわけではないがいい気晴らしにはなった。

それからドリナーデの領主の館に戻り、與えられた部屋に行く。

しばらく寢転がって考え事をしているとお父様がやって來た。

「レイン。るぞ」

こちらの返事も待たずにドアを開けてってくる。

いつもは……大いつも返事を聞かずにってくるな。

思春期の時じゃなければ構わないけど。

部屋にってきたお父様の顔は非常に真剣な顔をしており、何か真面目な話をしに來たのだろう事が分かる。

「これはこれはオリオン元帥、この様なお部屋まで良くぞおいでになりました。

呼ばれたらこちらから出向きましたものを。

さ、さ、こちらにどうぞ」

と、俺は早速椅子を引いてお父様を招く。

「部屋ではいつも通りで構わない。

それと真面目な話をしに來た」

……あい。

暗に真面目に話を聞けと言われてしまった。

備えられていた機と椅子に、俺とお父様の2人分の紅茶を用意した後、部屋を出て行こうとする。

だが、

「リサ、待て。ここに居て構わん。お前も聞くべき容だ」

とリサさんを引き止める。

「ハッ!畏まりました」

そう言い、歩いて俺の後ろに控える様に立つ。

「では、時間もないからここに來た理由を単刀直に言わせてもらう」

機に置いた手を合わせ、鋭い目で俺を見てくる。

俺もかつてない程のお父様の真面目な眼差しに居住まいを正し、真面目に話を聞く態勢を整える。

「レイン、お前のレア度10のスキルの容を聞きにきた」

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