《異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編》第80話 神眼を説明
あ、それっすか。完全に忘れてた。
そう言えばなあなあのまま先延ばしにしていた。
そうか……。とうとう俺が覗きをしていた事が世に広まってしまうのか……。
罪を告白する罪人の気分で俺は語り出す。
大きく一つ深呼吸をし、
「僕のレア度10のスキルの名前、それは神眼」
と、語り出す。
「神眼……」
どちらかがそう呟いた。
もしかしたら二人ともかもしれない。
「その能力で魔眼と違う部分は効果範囲であれば眼を飛ばせる事ができる部分ですね」
主な部分はこれだけだろう。
偶に俺は視と言うが正確な効果は“視”ではない部分が結構重要だったりする。
「眼を飛ばす?眼球が飛ぶのか?」
お父様……。
いや、真面目に言っているのはわかってるよ。今の説明だとそうとりますよね。このままだとビックリ人間になってしまうので慌てて補足する。
「いえ、違いますよ。そんなビックリ人間みたいなスキルではありません。
ん〜、説明がし難しいですが……ええっとですね、意思を飛ばせるのですよ」
これが一番わかりやすいんじゃね?
あ、これだと幽離みたいな説明になるかな?
「意思を飛ばせる?アンデットの類になれるのか?」
案の定、幽霊系の魔と同類に取られた。
ちゃうねん。そうやないんやー!
「それも違いますね。でしたら百聞は一見にしかずとも言いますし、能力を使っているところをお見せします。
お父様は僕に見えない様に背中に指を立ててください。當てますので」
そう言うとお父様は手を背中に回し、右手で二本、左手で三本といきなり変則的に立てた。
「右手で二本、左手で三本で合わせて五本ですね。いきなりの変則的でビックリしました」
そう俺が答えても真面目な顔を崩さず、しっかりと俺の顔をじっと見ている。
「次行くぞ」
そう言って指を立てる。
今度は右手だけで人差し指、薬指、小指だけ上げる。
これまた変則だ。
「右手だけの人差し指と薬指と小指をあげてますね」
俺がまた言い當てるとお父様は眉をひそめ、俺をまた睨む。
「意識はハッキリしているな……。
つまり、見たままく事は可能……。魔眼と似た事が出來るのだったよな?私は戦爭をするにあたって自分のレベルを見てきた。今、私は何レベだ?」
「32レベルですね」
サクサク答える。
「違う」
余裕ぶっていた俺に対してお父様はそう言い放った。
「え!?お?え、で、でも32って書いてありますよ?」
今見ても32と書いてある。間違いない。
「いや、私のレベルは31の筈だ。
今回の為にわざわざ確認したのだ。間違いない」
マジか……そんなマジな顔で斷言されると実際眼で見ているのに自信がなくなってくるぜ。
神眼様、まさかの初ミスか?
お父様のステータスを見ながらそんな事を考えていた時、ふと気付いた。
経験値のところが0になっているのを。
これが意味するところは即ち、
「ああ!行軍中にレベルが上がったんですね!おめでとうございます!」
喜ぶ俺に対し、お父様は、
「何故そう思う?」
と冷靜だ。
「え?経験値の欄に書いてある數字が0だからです」
それしかないと言おうとした時、気付いた。
「ああ、魔眼だと経験値が見えないんでしたね」
俺が思い出したようにそう言うと、お父様が、
「経験値?」
と疑問を口にした。
「え?」
「ん?」
え?経験値分からないのか?
そうだったのか……。
自分にとって當たり前だと相手も當然わかっているみたいな先行意識があるからな。
かと言って一から説明するのは厳しい。
わからないところはまとめていってしいという不可能な要求をするわけにもいかないしな。
出來る限り分かりやすいように説明する。
「次のレベルまでいくための長度、と言えばわかりやすいですかね?」
「長度?」
「はい。簡単に説明しますと次のレベルになるまでにどの位頑張ればいいのかの目安……ですかね」
ちょい違うかな、と思いながら説明する。
「目安か……わかった。次行くぞ」
それからも幾つか質問があった。
最後ら辺になるとお父様の部屋の上に置いてあるとかになる。
それも言い當てる。
幾つか範囲外で答えられなかったが、お父様は気にせず質問をしてくる。
最後の質問を終えると、お父様は、息をゆっくりと吐き、
「そうかぁー……」
と呟いて背もたれに寄りかかり疲れたように目頭をむ。
そしてまた、
「そうか……」
と呟いた。
なんか悲壯がある。
そんな大事か?
「レイン、これを知っている者は?」
目頭を押したままお父様が聞いてきた。
「今初めて話しました」
スクナ達にも話していない。
今日初出し報だ。
「見える距離は280メルと言ったところか?」
おお、凄い、正解だ。
「はいMPを50で割った距離でメル単位になります。視界をあちこちに飛ばした距離から測ったのですね?」
だから答えられなくても気にしなかったのだろう。
「その通りだ。
それと視界の外は見えない、であっているんだな?」
それも正しい。
つまり今神眼を使っても280メートル以上は見えないのだな。
簡単に説明すると280メートル上空から地上を見下ろしても俺から半徑280メートル外は真っ白なのである。
しかも指定範囲は何でも見える、と言うわけでもない。
重なった本の中とか見えないし。
それも含めてお父様に説明する。
すると、
「ふむ……、強過ぎじゃないか?」
と聞いてきた。
そんなこと言われてもなー。
まあ神眼様が活躍した場面って実はそんなになかったりするし。
魔導王か神眼か?って聞かれると俺は魔導王を選ぶけど。
ああ、いやそういう話をしているんじゃなかった。
「はい。々助かってます」
これは事実だしな。特に最初生まれたての時これなかったら今の俺はないよ?
「わかった。それと戦の最中も含めお前は私の元を離れるな。いいな?」
「もちろんわかってますよ」
限定的とはいえ戦場を俯瞰的に見れる俺がお父様の橫にいなくてどうするよ。
「なら良い。それとリサ、レイン言うまでもないことだがこの事もまた絶対に他言無用だ」
最後にそう釘をさすお父様にリサさんは一禮しながら
「わかっております」
「僕もわかってます」
俺も便乗しておいた。
「ではな。レインはもう寢なさい。
リサ、頼んだぞ」
そう言ってお父様は部屋を出て行った。
それからしばらくしてリサさんは深いお辭儀を上げる。
「だらけですね」
俺から口を開く。
「どこの貴族もそう言うものだとお聴きしてますが。ここはの重要度が桁違いです」
そらそうだ。今までの常識があっさりと覆るからな。
「まあ、これからもよろしくお願いします。
では、お休みなさい」
そうとだけ返事をして俺はいそいそと布団に潛り込む。
「お休みなさいませ」
そう言ってリサさんも布団にる。
何時までも椅子に座らせるのはあれだと思ったので相変わらず俺と同じ部屋だがベッドで眠らせる事に功した。
これも本當に苦労しました、はい。
次の日、ポルネシア王國軍はリュミオン王國の國に進軍を開始した。
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