《一兵士では終わらない異世界ライフ》ある日のアリステリア・ノルス・イガーラ…
–––アリステリア・ノルス・イガーラ–––
戦爭終結後……その事後処理に追われていたわたくしは、やっと來た休日にわたくしの夫となるお方と気晴らしにデートに行くことになった。ってきたのはわたくしの夫……ギルダブ・セインバースト様だ。ギルダブ様はとても凜々しく……そして強くカッコいいのですわ!
平民という分でありながらトーラの學舎では分に関わらず多くの支持を持ち、ギルダブ様をかに慕う子生徒や憧れる男子生徒は後を絶たなかったという……。
わたくしはそんな中の一人に過ぎなかった。わたくしがギルダブ様と出會ったのはほんの偶然……わたくしがトーラの學舎の庭で髪を留めていたリボンを結び直しているところで突然吹いた風にリボンが飛ばされてしまったのだ。そして、それをギルダブ様が取って下さったのが出會い…あぁ、ギルダブ様のあの凜々しいお姿にわたくしは一目惚れしてしまったのですわ!しかし、わたくしは王族に纏わる貴族でありギルダブ様は平民。許されないだと知りながら、それでもわたくしはギルダブ様をお慕いし続けた……。
いつしかわたくしに好意を向けてくれるようになったギルダブ様も、わたくしに相応しい男になると言って元からお強かったそのをさらに鍛えた。
そんな努力が伝わったのか、周囲の人々も次第に分の垣を越えたわたくし達のを応援し始めてくれた。
そんなところで一人の貴族の男子生徒が現れるのですけれど…この話はまた今度でいいですわよね?
今はとにかくギルダブ様とのデートのために気合いをいれなくてはなりませんのよ!
わたくしは侍のアンナに手伝ってもらい、しっかりと綺麗に粧して貰った。一応、お忍びで王都の町を歩くので町娘に見える格好となっている。
白のワンピースに白い帽子…金髪もしっかりと整えて完璧!
「いってきますわ!」
「はい、いってらっしゃいませお嬢様」
アンナに続き、アイクも言ってわたくしを町へ送り出した。今回、護衛は付けない。
ギルダブ様がいれば護衛が必要ないのだ。そういえば、貴族であるわたくしに何故軍の兵士二人が護衛に付いているか…というのもまた次の機會で…
わたくしはルンルンとスキップしながらギルダブ様との待ち合わせ場所である王都の王城門前までやって來る。すると、ギルダブ様が仁王立ちで立っていた。門番の兵士がギルダブ様の威圧に萎してますわね……。
というか仁王立ち…人を待つ態度じゃない気がしますわ!?
でも、ギルダブ様はそういうことに疎いために配慮が出來ない。ギルダブ様はモテるのに経験が全くない……しかも、あの真面目な格故に全てに全力をつくそうとする。
熱い男といえば聞こえはいいのだが、些か熱すぎる……。
まあ、わたくしはそんなギルダブ様が大好きなのですけれどね!
わたくしはギルダブ様の元へスキップしながら向かう。門番がまずわたくしに気付いて一禮する。
それでギルダブ様はわたくしに気がつき頬を緩ませた。あぁ…ギルダブ様がそんな穏やかな表を向けるのがわたくしだけだというのを知っている分…こうーなんですの?
幸福というか…とにかく幸せですわ!!
わたくしはギルダブ様がとてもおしくじ人の目があるのにも関わらずギルダブ様に抱き著いた。
「む、似合っているぞアリステリア。お前は白い召しがよく似合う」
「本當ですの?ありがとうございますわ!」
褒められたのが嬉しく、わたくしはついもっと強くギルダブ様を抱き締めてしまった。
が、ギルダブ様のはとてもくわたくしの力程度ではビクともしない。男らしいですわ……。
「それでは歩こうか」
「はい!」
ギルダブ様から離れ、わたくしはギルダブ様の隣に立ち一緒に歩き始めた。
ギルダブ様の歩調はゆったりとしていてわたくしに合わせてくれているようだ。ギルダブ様は経験がないのに、こういう細かい気配りが出來てしまうのだ。
強いのに、それを鼻にかけない心優しいお方…そしてわたくしの夫。でも、ギルダブ様が優しく…そして気を配ってくれるのはわたくしだけだと知っている。
以前にの方々に迫られているのを偶然にも目撃してしまったのですけれど…どうもその方々がしつこいらしくギルダブ様は「しつこい」と…とても冷たい聲音でいい放ったのですわ!
あ…またギルダブ様に抱きつきたく……。
我慢ですわ!
わたくしとギルダブ様は、そのまま町の中を散策し、んな店に立ち寄った。珍しいや味しいが沢山あり、わたくしはとても有意義な休日を過ごせた。
そして鐘が三回なった頃…そろそろ帰ろうかという雰囲気になったところでギルダブ様が徐にわたくしの手を握り、そしてわたくしの目の前で膝間ついた。
「えっと…ギルダブ様?」
「アリステリア…俺と結婚してくれ」
「え?」
唐突のプロポーズ…そして気がついたら手のひらには銀の指があった。貴族であるわたくしからしたらとても安の指にしか見えない……。
でも、この指は大好きな人がプロポーズで贈ってくれた…それだけで安の指がとても大事な寶となった。
「ぎ、ギルダブ様…」
ここは橋の上で、川が流れている。夕焼けの空がムードを高めている…最高の景…
こ、この狀況はもうあれしかないですわよね?
もう既に一度しているが、あれ以來していない"キス"…わたくしはこのを再びギルダブ様に奪われるのかと思うと次第に顔が火照ってきた。
も熱くなって、機が早まる。心臓の鼓がドクンドクンと脈打ち、目の前に佇むギルダブ様に聞こえてしまうかもしれない。
わたくしは震えるで一言、「はい…」と答えた。
ギルダブ様はわたくしの答えを聞くとゆっくりとを近づけてくる。わたくしはそれで肩を震わせながらも目を閉じ、その瞬間を今か今かと待っていると……、ポンポンとギルダブ様がわたくしの頭をでるように優しく叩いた。え?
「うむ。お前の答えが聞けてよかったぞ。お前が人したら直ぐにでも結婚しよう」
と、ギルダブ様は満足そうなかおで今までに見たことがないくらいの笑顔でわたくしに言った。
えっと…それは分かりましたけど…き、キスは?
わたくしが困した顔で見ているとギルダブ様が頭上に疑問符を浮かべた。
「む?どうしたのだ?」
こ、このお方は本當にわかってらっしゃいませんの!?
わたくしはブチリと怒りをわにして口を開いた。
「もう!雰囲気をぶち壊してくれましたわね!?今のはキスする場面ですわよ!ギルダブ様!」
「む?そうか」
わたくしがプンスカプンスカと怒っているとギルダブ様がわたくしの腰にサッと腕を回し、そしてを重ねてきた。
一瞬の出來事にわたくしはを直させ、きを止めた。
やがて長い長い間は重ねられたまま…この後に、「今更遅いですわ!」とか、「雰囲気が臺無しですわ!」とか抗議しようとしていたことすら忘れ、この甘な時間にを委ねた。
やがてギルダブ様がを離すと、わたくしの怒りは霧散してしまった。
「悪かったな」
「いえ…雰囲気は臺無しでしたけれどっ」
わたくしは言いながらギルダブ様の腕に抱きつく。
「わたくしはムードよりもやはり…ギルダブ様と一緒に居られるだけで…それだけで幸せですわ!」
「うむ。俺もだ」
「なにより、さっきのはギルダブ様らしいですし」
「うむ。さっきの怒ったアリステリアもな…アリステリアらしかったぞ」
「怒ったわたくしがわたくしらしいって…ギルダブ様の中のわたくしらしさを教えてしいですわ…」
わたくしが呆れた顔で言うとギルダブ様が真顔で答えた。
「うむ。俺の可い嫁だが?」
それはらしさとはまた違う気が……。
まあでもいいですわよ…それがギルダブ様らしさですものね!
こうしてわたくしの休日は過ぎていった。
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