《G ワールド オンライン ~ユニークすぎるユニークスキル~》第八話 帰路
勇人とレナの即席パーティーは未だ深い森の中をさまよっていた。
何故未だ森の中なのかというと、その理由は単純で……
「迷った……」
肩をガクリと落としながら勇人は呟く。
見栄などどうでもいい。
「えぇ、黙々と進んでるからてっきり知ってるのかと思ったよぉ」
「いやぁ、面目ない」
さっそくレナは勇人に対する評価を改める。
一つは押しに弱い事、もう一つは意外に抜けているという所だ。
「まあいいですよ、気楽に行きましょう」
「おう、武の能も知っとかないとな」
レナのめによって勇人は戦意を復帰し、森の中を歩み始める。
何故か今までモンスターに遭遇していないのは何故なのだろうかと思ったが、その矢先に二のゴブリンが姿を現した。
「ノーマルなゴブリンか、良かった」
勇人は最初に見たゴブリンと違って、目の前のゴブリンはこれと言って特徴のない普通のゴブリンだった。
それでも何か能力を持っているかもしれないので勇人は鑑定をする。
ネーム ランニングゴブリン
種族 亜人族
スキル 『俊足』瞬発力が上昇
「うわ、上位種かよ……」
勇人の呟きに首を傾げるレナ。
レナにとっては普通のゴブリンにしか見えないので當然だ。
「俺って運営のバグのせいで武が無くてさ――」
勇人は今までの不幸できごとをレナに離し、その過程で鑑定スキルを手にれたことを話した。
レナはその話を聞いて、哀れんだような瞳で勇人を見つめ肩に手をポンと置く。
どうやら勇人をめたようだ。
「じゃあ、その鑑定スキルで調べた結果があのゴブリンは上位種だってことかぁ」
「そうそう、ちなみに二とも」
わかりが良いレナに対して勇人ポンポンと頭に手を乗せる。
レナはむぅと頬を膨らませて不満げだが勇人は気付いていないふりをする。
「それじゃあ、俺がある程度引き付けるから隙を見て攻撃してみてね」
勇人は今まで待ってくれていたゴブリンにきちんとお辭儀という形で謝の意を示し、向かっていく。
その行にレナもゴブリンも一瞬呆気にとられるも、すぐに戦闘によって無かったことにされた。
「おらぁぁ」
勇人の気合の籠った聲と共に放たれた斬撃はゴブリンに向かう。
それをゴブリンは持っていた棒で防ごうとするも――
あっさりと棒は真っ二つに裂けそのままゴブリンのに斬撃が到達し、棒と同じように真っ二つになって消え去った。
「……あれ?」
あまりの出來事に言葉を無くす勇人。
々棒を弾き飛ばすぐらいと思って振った結果がこれである。
驚くのは當然ともいえる。
もちろん驚いてるのはレナも同様だ。
しかしこちらは勇人の出來事を見てではない。
その視線は自の目の前で起こったことである。
「……あれ?」
レナも同じように気の抜けた聲を発する。
その原因は、レナも勇人と同じようにゴブリンを瞬殺していたからだ。
レナの場合は短剣で突きを放つと、ゴブリンは後ろに下がり攻撃は當たらないかに見たが突然レナの持つ短剣の切っ先から炎が噴されてゴブリンを焼き盡くしてしまったのだ。
「「ええええええ」」
互いに自分の行ったことに対して改めて絶した二人だった。
「うん、この武は初めから手にって良いものではないな」
「はい、この武は他人から貰ってはいけないものですね」
二人して自分の武を見つめながら呟いた。
勇人は腰に差してある鞘に納め、レナは勇人へ差し出す。
「えっと、何?」
勇人は嫌な予をじながらも質問を口に出す。
レナはニッコリと笑って答えた。
「こんな素晴らしい武なんていただけません」
「それは困るんだけどなぁ」
悪い予が當たった勇人は頭を掻きながら悩む。
どうやってもけ取ってくれる言い訳が見つからないためだ。
「返さなくてもいいんだって」
「かーえーしーまーす―」
再びけ取ってくれるには無理そうだ。
ここは一か八かかけてみよう。
「殘念だなー、け取ってくれないならパーティーになれないなー」
誰が聞いても棒読みの上、わざとらしい演技をしながら勇人はチラチラとレナを見ながら呟く。
対してレナの反応は、なんと悔しそうに勇人を睨んでいた。
効果はあったのかとホッとをなでおろした勇人だが、その途端に何かに気付いたようにレナの表が変わり笑みを浮かべる。
「ということは、これをけ取ればパーティーになってくれるってことですね? そうですか、では遠慮なく」
「……あ、はぃ」
特別ソロにこだわっているわけでは無いので、パーティーを組む事態はいいのだが、問題はそこではなくレナというところだ。
一何が問題なのかと言われれば、そう問題はないのだが一人だけ勇人にデメリットを負わせてきそうな奴がいる。
その人は何を隠そう紅谷なのだが、例えばレナと二人きりで歩いているとしよう、そこで紅谷と會うとする。
すると、何という事でしょう。
ロリコンの汚名を著せられるのだ。
勇人自、近に咲空というものがありながら決してそんななびく様子も見せず、周りでは男好きなのではと一時囁かれた
ほどだが、それは紅谷が近にいるのに何もない様子からすぐに消え去った。
ならばか趣味しか殘ってないという安易な考えに至ってしまうのが學生の恐ろしさともいえよう。
もちろん冗談半分の話である。
そこにと二人っきりで出歩いてたという話が舞い込んで來たらどうだろう。
仮説が確証を得ることで立証され、大変なことになる。
それを面白半分で行うのが紅谷という人なのだ。
それだけは絶対にあってはならない。
勇人は心に誓っていた。
それなら彼を早く作ればいいのにと周りから思われていることも知らずに。
「一つだけ約束してくれ」
勇人はレナへそう切り出し、話しを続ける。
「えっとだな、見られたらメンドクサイ奴がいるんだ、そいつに見られた時を考えてあんまりくっついて歩かないでもらえるか?」
どうやっても他の解決法が見つからない勇人は自分が嫌になっている。
「どうして?」
レナは純粋にそう聞き返す。
「えっと……レナと歩いているところを見られるだな……」
どういい逃れようかと必死に考えを巡らせる勇人。
その様子にレナが純粋に気になり始めた。
「ねえ、どうして?」
「あの……だから」
「え?」
勇人の小さな呟きにレナが聞き取れずにもう一度聞き返す。
「レナと俺が人って思われるからだ」
「え、えっと」
レナは告白でもされたかのように顔を真っ赤にさせる。
対して勇人も告白をしたかのように顔を真っ赤にし俯いている。
今何も知らない人が見たら明らかにそう見えただろうが、殘念ながら幸いなことに誰もそれを見ることは無かった。
そこに意を決したかのようにレナが顔を上げ勇人を見る。
「あの、つまりユウトさんは私と人に見られたくないと」
そうレナは勇人に弾発言する。
これは詰みだ。
チェックメイトである。
どう答えてもいい未來になる気がしないと勇人の本能が悟っていた。
「あのな、そう言う問題じゃなくてだな」
「いいから答えてください」
「すいません、えっと別にレナは可いから人に見られたって不満はない……よ」
勇人のこの発言を聞かれていたら確定でロリコン認定だろう。
そしてこう思った時こそ、誰かが通るというのがお約束なのだが……
「そ、そうですか、まあもしもの話ですよね」
「あ、ああ、そうだな」
不幸なことに幸いなことに再び誰も近くを通ることは無かった。
二人はそのまま気まずい空気を纏わせながら森を進んでいく。
途中ゴブリンに出會ったが、相変わらずのチート武で無雙狀態だったのは當然の事だろう。
ずっと気まずいままでらちが明かないとじた二人は、互いに話を掛け合い、森から出るころには若干の気まずさはあるものの元通りに戻ることに功した。
「今日はお疲れ、もう遅いしログアウトしよっか」
「はい、勇人さん今日はありがとうございました」
そう言って二人はGWOから何事も無くログアウトした。
【1章完】脇役の公爵令嬢は回帰し、本物の悪女となり嗤い歩む【書籍化&コミカライズ】
公爵令嬢のアサリアは、皇太子のルイスに婚約破棄された。 ルイス皇太子が聖女のオリーネに浮気をして、公爵令嬢なのに捨てられた女として不名譽な名がついた。 それだけではなく、ルイス皇太子と聖女オリーネに嵌められて、皇室を殺そうとしたとでっちあげられて処刑となった。 「嫌だ、死にたくない…もっと遊びたい、あの二人に復讐を――」 処刑される瞬間、強くそう思っていたら…アサリアは二年前に回帰した。 なぜ回帰したのかはわからない、だけど彼女はやり直すチャンスを得た。 脇役のような立ち振る舞いをしていたが、今度こそ自分の人生を歩む。 「たとえ本物の悪女となろうと、私は今度こそ人生を楽しむわ」 ◆書籍化、コミカライズが決定いたしました! 皆様の応援のお陰です、ありがとうございます! ※短編からの連載版となっています。短編の続きは5話からです。 短編、日間総合1位(5/1) 連載版、日間総合1位(5/2、5/3) 週間総合1位(5/5〜5/8) 月間総合2位
8 66じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
8 77【コミカライズ&電子書籍化決定】大好きだったはずの婚約者に別れを告げたら、隠れていた才能が花開きました
***マイクロマガジン社様にて、コミカライズと電子書籍化が決定しました!応援してくださった皆様、本當にありがとうございます。*** シルヴィアには、幼い頃に家同士で定められた婚約者、ランダルがいた。美青年かつ、魔法學校でも優等生であるランダルに対して、シルヴィアは目立たない容姿をしている上に魔法の力も弱い。魔法學校でも、二人は不釣り合いだと陰口を叩かれていたけれど、劣等感を抱える彼女に対していつも優しいランダルのことが、シルヴィアは大好きだった。 けれど、シルヴィアはある日、ランダルが友人に話している言葉を耳にしてしまう。 「彼女とは、仕方なく婚約しているだけなんだ」 ランダルの言葉にショックを受けたシルヴィアは、その後、彼に婚約解消を申し入れる。 一度は婚約解消に同意したものの、なぜかシルヴィアへの執著を隠せずに縋ってくるランダル。さらに、ランダルと出掛けた夜會でシルヴィアを助けてくれた、稀代の光魔法の使い手であるアルバートも、シルヴィアに興味を持ったようで……? ハッピーエンドのラブストーリーです。 (タイトルは変更の可能性があります)
8 121骸骨魔術師のプレイ日記
全感覚沒入型VRデバイスが一般的に普及した未來。このデバイスはあらゆる分野で利用されており、それはゲーム業界でも同じである。人々はまるで異世界に迷いこんだか、あるいは近未來にタイムトラベルしたかのような経験が可能ということもあって、全世界であらゆるジャンルのVRゲームが飛ぶように売れていた。 そんな好調なVRゲーム市場に、一本の新作タイトルが舞い降りる。その名は『Free Species World』。煽り文句は『あらゆる種族に成れるファンタジー』であった。人間にも、獣にも、はたまた魔物にも成れるのだという。人型以外の姿を取ることが可能なVRゲームは世界初であったので、βテストの抽選は數千倍、製品版の予約は開始一秒で売り切れ狀態となっていた。 これは後に社會現象を起こす程に大人気となったVRゲームで悪役ロールプレイに撤し、一つの大陸を支配して名を轟かせたとある社會人のプレイ日記である。 ◆◇◆◇◆◇ GCノベルス様から書籍化致しました。書籍版のタイトルは『悪役希望の骸骨魔術師』です!
8 92スキルリッチ・ワールド・オンライン~レアというよりマイナーなスキルに振り回される僕~
友人に誘われてVRMMOを始めた主人公だが、キャラクタークリエイトの場面でいきなり妙な――確かにチートっぽくはあるのだが、行動する上で大きな制約を課せられる――スキルを押し付けられてしまう。これも一興とばかりにそのままゲームを楽しむ事に決めた主人公だが、このユニークスキル「スキルコレクター」は微妙なスキルばかり集める傾向があって……。 ユニークスキルの呪い(?)でポピュラーなスキルの入手がほぼ絶望的となった主人公は、否応なく道を外れたプレイを強いられる。清々しいまでに開き直った主人公の行動に振り回される運営スタッフ。そしてゲームの進み方は、運営スタッフの予想から徐々に外れ始める……。 殘酷描寫とR15は保険です……多分。 少し短めの話が多いです。 書籍版(全一巻)とコミカライズ版が幻冬舎コミックス様から、それぞれ11月29日と24日に発売になりました。コミカライズ版2巻は7月24日発売の予定です。電子版も同時発売です。
8 149異世界転移で無能の俺 ─眼のチートで成り上がる─
淺川 祐は、クラスでの異世界転移に巻き込まれる。 しかし、ステータスは低く無能と蔑まれる。 彼が唯一持ったスキル「眼」で彼は成り上がる。
8 139