《G ワールド オンライン ~ユニークすぎるユニークスキル~》第二十話 ストレス発散
冒険者手続きを終えたユウト。
まず付のの人からいくつかの説明をけていた。
「では、館長の権限でランクDから始めてもらいますね」
「え? どうしてですか?」
ランクというのは冒険者の一つの指標のようなものである。
一番上はSで一番下はFとなっており、始めは誰でもFランクからなのだが。
「だって君は異星人でしょ? それに顔だし、どっかのお馬鹿さんがあなたに喧嘩を売ってあなたが相手を戦闘不能しちゃったら困るじゃない」
「えーっと……」
彼はユウトの事をなんだと思っているのだろうか。
だが、彼のいう事は一理あり、ユウトに喧嘩をふっかけてくるのはユウトが弱いと思って、ならランクを見せさえすればそれで引き下がるかもしれない、そして喧嘩で相手をぼっこぼこにしてしまうと嫌な目立ち方をしてしまうという可能があるのだ。
しかし、ユウト自信そんなことをするつもりが無いので苦笑いを浮かべるしかない。
それに気づいたのか、彼は手を橫に振って訂正した。
「いやいや、君がそんなことをするなんて思って無いからね、もしものためなの」
「分かってますって、もしもですから」
もしもの時があったらユウトはどうするのだろうか、付のはし興味を抱いたが首を振って雑念を振り払う。
「じゃあ、ランクDということで、それと出はアテナイでいいんじゃないかな? 遠くから來たとなると疑われにくいと思うし、アテナイには実際行ったことがあるんでしょ?」
「はい、といっても5年前らしいですが」
「そうだったわね、でも恐らく5年たってもアテナイは変わらないと思うわ、あそこは景観を大事にしているから」
は営業スマイルを浮かべてユウトに聲をかける。
アテナイは日本でいう京都のようなものかとユウトはユウトで別の事を考えていたのだった。
「じゃ、初仕事は何をする?」
「何があるんですか?」
ズラッと々書かれた容姿がユウトの前に出される。
會館の出口付近にも掲示板がありそこにも依頼が書いてあるのだが、あれは冒険者じゃない人もけられるフリーな仕事らしい。
そしていま出された紙に書かれているものは冒険者ランクに沿っての依頼だ。
「うーん、おすすめはありますか?」
直ぐに決まると思っていたのだが意外にも數が多くて選べないユウトは迷わずに尋ねる。
「えーと、まず君の実力が分からないから何ともいえないんだけど……異星人だし……」
何故かこの世界では異星人が過大評価されているとユウトは思う。
だが、能力で上回っているのは事実でありかつ、才能というユニークスキルを持っているので何を言っても嫌みに聞こえるだろう。
「以前、キングホロン? を倒したことがあります」
「キングホロン!? Cランカーが數人で倒すレベルよ!」
やはりあの時のモンスターは弱っていたとはいえ、初心者がいるような場所にはいるべきではなかったモンスターなのだとユウトは思った。
「でも、群れから追い出された個みたいで、かなり弱ってましたけど」
「ということはフォールキングホロンね、それでもCランクレベルなのは間違いないわ、やっぱり異星人は見かけによらないのね」
再び評価があがる異星人。
「いえいえ、過大評価しすぎです」
「そう? じゃあほどほどにしておくわね、うん、それくらいならこの依頼なんてどう?」
が指さすところへと目を向けるユウト。
そこには、『ゴブリン亜種討伐依頼』と書かれてあった。
ゴブリン亜種というのはユウトが以前倒したブラックやら何やらのことだろう。
「分かりました、これにします」
「大丈夫? ゴブリンだからって油斷しないでね」
「はい、油斷しないように気をつけます」
そう言ってユウトは依頼をけ、外に出た。
第一関門は、あの兵隊ザックだ。
相変わらず、ムスッとした表を浮かべて門の前に立ちふさがっていた。
「すいません、ここを通してもらえますか?」
ユウトがそう聲をかけると、ザックはジロッとこちらを見て鼻で笑った。
「ふん、またお前か、さっきも言っただろ、子どもには危ないんだ」
「では、これでも?」
態度にむかつくが冷靜なフリをして冒険証を出す。
冒険証というのは、冒険者証明証の略である。
見た目は、よくドラマで見る警察手帳のようなものだ。
書いてあるのは、名前にランクといった簡単なことだが、効力はかなりあるようで、ザックの顔がみるみる変化していっているのが確認出來た。
「な、お前がランクDだと!? 偽じゃないのか」
「なら冒険館に問い合わせてみますか?」
「ぐ、だ、ダメだ、まだ信じられん」
強なザックの態度にユウトは我慢の限界だった。
思わず腕時計にれようとしてしまう自分の手を必死で止めている狀態だ。
いっそのことさっさと倒してしまいたいが、ザックの実力も分からない、それにこんな場所で喧嘩を始めると絶対に悪影響を被ってしまう。
ユウトは理の限りを持って吹き上がる憤怒のを抑えていた。
「いいから、早く帰れ、お前のようなガキはお家に帰ってママのミルクでも飲んでいな」
ありがちな悪人セリフを吐くザック。
普段ならそんなセリフは流してしまうのだが、今のユウトは違った。
家族はとっくにいないユウトに言ってはいけないワード、ナンバー3である親に関する悪口を言ってしまったので、ユウトの怒りは発した。
「いい加減にしろ」
「お、やるか?」
ユウトが腕時計にれディスプレイからショートカット設定の裝備を取り出す。
それは、黒龍のグローブに白金の剣である。
突然現れた裝備品にザックは驚愕の表を浮かべ、何かを察したようにユウトを見た。
「お、お前、いせいじ――」
ザックがそう言い終わる前に、ユウトは一気に距離をめザックの懐へと潛り込む。
そして鳩尾に拳を突き出すも、寸止めのところでユウトは止めていた。
怒りながらも理は殘っていたのだった。
「これ以上やるか?」
「ひ、ひぃ、ごめんなさい」
低く無なユウトの聲にすっかり腰を抜かしたザックは地面を這ってどっかに消えていった。
ユウトは一息吐いて心を落ち著ける。
久しぶりにキレたので隨分すがすがしい気持ちのユウトなのだった。
「ふっふっふ、見たぞー、君の力」
また突然館長の聲が後から聞こえる。
案の定彼はそこに立っており、全力疾走で近づいてきていた。
「な、なんで?」
「きっとザックは通してくれないと思ってね、で、仲介をしてあげようと思ったんだけど、このまま見てたら君が戦ってくれるかなと思って」
「悪趣味な」
「いいじゃないか、結果、外に出られるんだから」
「それでもですよ、ザックさんはやられ損じゃないですか」
「あら? ザックを気遣うなんて以外だね」
「そんなに非な人間じゃないですよ、自分は」
「そうなんだ、まあザックの事は僕に任せておきなさい」
館長はそう言った後ザックが消えていった方へと向かっていった。
今思うとこんなところで喧嘩をしようとした自分がけなく思うユウトなのだった。
だが幸いにもあっという間に決著がついたので誰にも見られていなかったので問題にはならなさそうだ。
「じゃあ、今度こそ外に出るぞ」
気合いをれ直したユウトは意気揚々と外につながる門をくぐるのだった。
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