《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》漆黒の闇 出可???
暗闇が支配している。
僕は死んでしまったのだろうか? まるでここは死者の國だ。
しかし、その考えを否定するように全に痛みが走る。
「痛ッ……!?」
どうやら、気を失っていたみたいだ。
の覚から時間を逆算してみる。
おそらく2時間近くが経過している。
もっとも、の痛み、衝撃、混で、時間の誤差は生じているのだろうけど……
かと言って、大幅なズレはない……はず。
を起こし、ダメージを推測。
(全は打撲、手首は炎癥。足首は、軽度の捻挫と炎癥。至る所に裂傷あり。
肋骨と前腕、おそらく骨折まで至らないまでも……)
僕はバックパックから、回復薬を取り出す。
衝撃緩衝材で過剰包裝された回復薬は無事だった。
僕は、中のを専門の容に注ぎ、針狀の先端を――――
腕に突き刺した。
「う……がッ! 何度やっても、回復薬の痛みは慣れないな」
回復薬には即効があり、痛みが徐々に薄れていった。
注された魔力を含むが、の部からを活化されていく覚。
戦闘継続可能なほどに回復した。
神安定剤も含まれているので、混狀態から落ち著きを取り戻していく。
「ふぅ……」
そこで奇妙な點に気がついた。
まずは、この暗闇についてだ。
「このダンジョンで源が設置されていない場所があるのか?」
一瞬、眼球へのダメージで視力が効かなくなったのかと思った。
しかし、視力に問題はない。本當に暗闇なんだ。
そういう罠トラップが有る部屋なのか? それとも――――
本當に————
「ひょっとして未到達の階層なのか?……そんな、まさか……」
1層の崖から落ちて、この程度の怪我ですんでいるなら、2層くらいのはず。
「それでも、整備されていない場所という事は……」
嫌な予がした。僕はそれを払拭するように再び、バックパックに手をばす。
取り出したのは魔石。
周囲を照らしながら、浮遊する魔力が込められているタイプ。
それを発させ、宙に浮かばせる。
で魔を呼び寄せてしまうかもしれない。
それを防ぐために魔避けの道を複數取り出す。
まずは松明型トーチの道アイテム。
「よかった。壊れてない」
火を燈すと魔除けの煙が周囲に広がっていく。
鼻が利くタイプの魔には近寄れないほど、酷い悪臭らしいが、人間の僕に臭わない。
次に取り出した小瓶だ。ガラスでできているが破損はない。
「これこそ、よく瓶が無傷で済んだなぁ」
小瓶のふたを開け、中のをに振りかける。
中は聖職者が、浄めた水――――聖水だ。
これで不死系アンデットタイプの魔を遠ざける。
短い杖。
魔法使いが使う杖を簡易化した。
杖の先を地面に刺し、結界効果のある魔法陣を書く。
さらに取り出した道アイテムは、これまでと真逆だ。
魔を遠ざけるのではなく、引き付ける道アイテム。
魔が好むを加工してしたモノ。それに特殊なをかける。
それを食べると神経を刺激して混狀態になる。
一種類だけではない。マヒの効果があるもあれば、単純に猛毒のもある。
それらを次々に振りかけ、できたモノを遠くへ。
できるだけ、遠くへ投擲する。 何度も、何個も、作っては投げての繰り返し。
次々にばら撒く。
「これで、當分は魔の襲撃はない……と言いきれないのが辛いところだな」
さて……一通りの防方法をこなした。
次は、何をするべきか? し考えた。
生存率は僅かでも高めるためだ。この事態で考え過ぎて困る事はない。
僕は上を見上げた。
視線の先には、不自然な漆黒の闇が広がっている。
さらに、その先から、僕は落下してきたのだ。
落ちていた小石を拾い上げ、その場所に向かって投げた。
「……」
いくら待っても、投げた小石が落下してくる事はなかった。
僕の予は當たっていた。
時空の歪。
それはダンジョンに複數、存在している。
そこに足を踏みれると、全く別の場所へ飛ばされてしまうのだ。
言うならば、瞬間移魔法ワープみたいもの。
僕が落ちた場所に、それが存在していた。 そして、1層以外の場所へ飛ばされた。
そういう事なのだ。
「……最悪だ」
ここが何層かわからない。
つまり―――― 本當に―――― 人間が踏みれていない場所の可能もある。
急連絡用の魔石を取り出し、試したが通話不能の狀態。
つまり―――― ここから自力で出しなければならない。
「どうする? どうしたらいいんだ?」
考え過ぎて困る事はないと思ったばかりだったが……
前言撤回だ。
冷靜さを取り戻せば、取り戻すほどに混していく矛盾。
だから、遅れた。
周囲から聞こえてくる異音に――――
何らかの生の鳴き聲に――――
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