《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》発見された氷のダンジョン
この文書は私、アリスがこの問題に関わった人間に後日、詳細を確認したもの。
あるいは登場人の深層心理を憶測で書き連ねたもの。
それを、専門の者に清書させたものである。
なお、この文書はシュット國の正史として記録される。
元・シュット國王 トクラター・アリス
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ある探索者が窟を進んでいる。
この窟は魔モンスターの出現を確認されず、ダンジョンとして認定されていない。
では、どうして、そんな場所に探索者がいるのだろうか?
「水の匂いがする。やはり、ただの窟ではない」
クンクンと犬のように鼻を鳴らす。
彼の名前はエドワード。 のちに世界中から知られる名前になるが、今は無名。
探索者と言ってもトレジャーハンターとして活が主な人だ。
トレジャーハンター
夢追い人と言っても良い。
財寶を求めて、迷宮ダンジョンはもちろん、廃墟、跡、あるいは人が立ちらない山奧、海の奧底である海底すら挑む。
探索者の中でも特殊な人種だ。
そんな彼が、この窟を進んでいるという事は、寶の匂いを嗅ぎついたからに他ならない。
數々の文獻を読み漁り、伝承を手繰り、酒場の酔っぱらいの話にすら耳を傾けた。
そんな地味な努力が実を結び――――
「ここだ」
エドワードは足を止めた。しかし、そこは行き止まりに見える。
だが、彼はしゃがみ込むと、ナイフで地面を掘り始める。
熱が籠りやすい窟での発掘作業。 しかし、不思議と彼の額に汗は生まれていない。
それどころか、寒さすらじ始める。
探索者トレジャーハンターとしての経験は、それが正解だと伝えてくる。
やがて――――
カッツと金屬音。
い何かに刃がれたという手ごたえ。
「これは……鍵か?」
ランタン代わりの魔石を近づけて、を照らす。
そこには明らかに人工的な鍵が見えた。
彼は雑嚢ざつのうから手帳を取り出すと、なにやら確認を始める。
「これが黃金の鍵。なら、これ開くはずだ」
彼は、さらに雑嚢に手をれる。
取り出したのは、鉄の棒だった。
ずっしりとした重さ。こん棒として売られていた骨董品だったのだが――――
鍵に近づけるとこん棒に変化が起きる。
錆だったソレは、思い出したかのように黃金の輝きを発し、そして形狀に変化が起きる。
「魔式形狀記録金屬……本當に使われていたのか」
それは魔法協會によって存在を公開されている古代魔の1つ。
今の技では再現が不可能とされる時代錯誤オーパーツ。
エドワードは歓喜した。
そんな超技を駆使した鍵。 この鍵だけでも魔法協會に売れば巨額の富が手にる。
それをただの鍵として使用してるこの扉。 その向こう側に何があるのか?
カッチリ
ごく普通にドアの鍵が解除された音。
それと同時に地面が扉のように――――観音開きの扉のように開いた。
當然、その上に立っていたエドワードは落下した。
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高所から落下で意識を失っていたエドワードは、寒さによって覚醒させられた。
全が震える寒さ。 寒いはずだ。視線の全てが氷に覆われている。
あらゆる環境に対応するというれ込みのローブを羽織る。
わずかに寒さは緩和されるが、全の震えは止まらない。
「あのぼったくり詐欺師めが!」とマントを進めた商人を思い浮かべながら、悪態をつく。
魔石で火を起こし、を溫める。
力の回復に比例して徐々に思考能力も回復していく。
(氷のダンジョンか。本格的な探索は裝備を整え、仲間を雇ってからか)
これ以上の探索を斷念して、帰還を優先する。
見上げれば、自分が落下した扉が見える。
本職の魔法使いではエドワードの飛行呪文でも十分に屆く距離だ。
そのまま、飛び上がり上を目指す。その途中、名殘惜しさで下を眺める。
下に広がる景は、典型的な氷の迷宮ダンジョン。
まだ、自分以外は誰も足を踏みれていない未知のダンジョンだ。
そこに眠る手つかずの財寶の価値を想像しながら――――
ドン ドン ドン……
重低音が響く。
「地震か?」
エドワードが、そう錯覚するのも仕方がない。
まさか、この振が生が移する時に生じる足音とは誰にも想像できないだろう。
しかし、彼は見た。 その生を――――そして、その名を言った
「あれは、そんな……ドラゴンかッ!」
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