《超迷宮奇譚伝 『このアイテムは裝備できません!』》真相 その1

死ですか? 難しい質問ですね」

子ドラゴンは首を傾げた。

「確かに魔を食べる魔もいるのはいるのですが、基本的に私たちはダンジョンから栄養を得ているので」

「え?」とサクラ。

「え?」とオント。

何気なく子ドラゴンは言った事は世紀の発表に等しい新事実だった。

『魔はダンジョンから栄養を得ている!』

「つまり、魔が消滅したならダンジョンの方に問題があって、魔への栄養の供給がストップした……つまり、ダンジョンが死んじゃったわけですね」

「ダンジョンが死ぬ?」

「えぇ、そりゃダンジョンも生きてますから……」

「ダンジョンが生きている……え? これ生なの?」

しかし、子ドラゴンは――――

「生か、どうかは難しいですね。生とは何か? って話になっちゃいますからね」

「生の定義は自己増能力とか、長能力とか、伝子が……だめだわからねぇ」とオントが頭を抱えた。

その隣でサクラは――――

「つまりは、何者かがダンジョンを殺したって事か?」

「さすがです、お父さん理解が早い」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

サクラたちが子ドラゴンと話しとしている同時刻。

ドラゴン殺害現場となったダンジョン。

そこには人の気配がなかった。

前代未聞の出來事で、世界中から専門家か集まり、日夜問わず調査をしているはずなのに……

まるで巨大な力で人払いとされてかのように―――否。実際にそうなのだろう。

そこに歩く男が1人。日の當たらぬ場所だから、彼の容姿はわかりずらい。

辛うじてわかるの金の長髪。

足音を立てないのこなし。 警戒心が強いのか、時折足を止めて周囲を観察している。

やや、前のめりに歩いているのは、普段は大荷を背負っているからだうか?

それらの報だけでも、彼の正が探索者とわかる。

彼の名前はエドワード。

この事件の第一容疑者だ。彼は事件後に姿を消していた。

そんな彼がなぜここに? 犯人は現場に戻るということなのだろうか?

それにしては不自然すぎる。

そう彼は呼び出されたのだ。 探索者である自分エドワードが、完全に足取りを消して、なお呼び出されたのだった。

「もう逃げきれない」

彼にそう覚悟そうを與えた。要するに、これは自首なのだ。

自分がドラゴンを殺した張本人であり、あの日、あの時、何が起きたのかを洗いざらい……

エドワードの思考は途切れる。

突如として眩い。 を背後にした小柄な影。

影が喋った。

「お待ちしていました、エドワードさん」

「アリス王妃……」

「元・王妃です。今の私は権力を持たない1人の子供ですよ」

「ご謙遜を……この場所で人払いを行い、私を呼び寄せることができる存在など、あなた以外に世界であと何人いるのか……」

何が面白かったのか、アリスはクスクスと笑う。

「さて、本題にりましょう。容疑者は2人。私と貴方。でも、私はドラゴンを殺していません。貴方が犯人です」

「……犯人? いや、違う俺は……」

「違う? まさか、本気でこういうつもりなのですか?

『俺は彼を――――ドラゴンとしていた』

なんて戯言を?」

「戯言……だと?」

そういうエドワードの顔が険しいものに変化した。

「理解ができませんね。どうして男はドラゴンが好きなのでしょうか? 自分よりも強いものに魅かれる気持ちは理解できますけど……それをと勘違いするなんて……

狂っていますね」

アリスの言葉をけてエドワードは壊れた。

紙一重でバランスを取っていた神が完全に崩れて――――

が言う通りに完全に狂った。

殺すつもりはなかった。本當に自首するつもりだった。

しかし、今は違う。エドワードは明確な殺意を孕み、剣を抜いた。

だが――――

「貴方が、このダンジョンを出たのは3日前。ですが、貴方がこのダンジョンに足を踏みれたのいつですか?」

淡々と口調を変えないアリスに対して――――

エドワードは完全に切れた。

一瞬で間合いをめると、剣を振るう。

その細い首筋に――――

しい彼ドラゴンを殺した時と同じように狂剣を叩き込んだ。

だが、しかし――――

金屬音。

であるはずのアリスの首は無事――――

傷すらついていなかった。

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