《スキルゲ》分岐點
「さて、どうしたものか?」
屋上の闘騒後、ゆうは家に帰り、僕は一人で校門前いた。
もう、帰ろうか? このまま待っていて、加藤達と鉢合わせしたらトラブルになるかもしれない。
あの転校生、滝川晴人が気にならないと言えば噓になってしまう。
僕が見たあの夢。醜悪な怪に襲われ、殺される直前で助けてくれたのは、間違いなく晴人だった。どういうことだろうか?あれは夢ではなく現実だったということだろうか?しかし、そんな、まさか・・・。
「ほいほい、待たせたなぁ」
振り返ると、予想より近い位置。僕の真後ろに彼、晴人がいた。
思わず、驚いて小さな悲鳴をあげてしまった。なぜか晴人は僕の反応に満足そうな表を浮かべている。
「あの、僕に何か用事でもあるの?」僕は探りをれるつもりで言ってみた。
「用事?あるに決まってるやん」
ただでさえ近い位置にいる晴人は、更に近づき僕の耳元で告げる。
「昨日の夜のこと、忘れたんとちゃうやろ?」
一瞬、僕の思考が停止した。
「そんな、あれは夢のはずじゃ・・・」
「なに、現実逃避してんねん。まぁ非現実的なの確かや」
じゃ、証拠でも見せたろうか?そう呟くと晴人は、一歩二歩と距離を取った。
何をするつもりなのか?ぼくは狀況が理解できず、ただ見ることしかできなかった。
晴人は両手を空に向け、バンザイのポーズを取る。
その両手を勢いよく下に下げた。
瞬間、凄まじい風圧が僕を襲い、バランスを崩しそうになる。砂埃も舞い上がり、視界が狹まる。
なんとか、滝川晴人を見ると・・・ その背中には羽が生えていた。
黒い黒炎で形された巨大な羽。 片翼で3mほどだろうか?大きすぎる。
それによく見ると、晴人の足が地面から離れてる。あの羽、本當に飛んでる。
これも夢なのか? あまりにも現実離れした景に呆けてしまう。
「どうだ?思い出したか?」
晴人の言葉に僕は「え?あれ?関西弁は?」と場違いな事を言ってしまった。
そんな僕を晴人は笑いながら
「あれはキャラ作りだ。ロールプレイングゲームって知ってるか?」
「えっと、ファンタジー系のゲームの事?」
「そうだな。そういう意味もある。でも俺が言ってるのは、與えられた役割を演じきる遊びって意味のロールプレイングだ。」
「えっと、つまり晴人くんは、何か理由があってキャラクターを演じてるって意味?」
「なかなか、察しが良くて助かるな。この赤髪だってゲームを楽しむためのキャラ作り。伝的な病気なんて噓だよ」
晴人は飄々(ひょうひょう)と答える。それに対して、僕は何を喋っていいのか分からず沈黙してしまった。
聞きたいことは多くあっても言葉に出てこない。それがもどかしい。
どのくらい、沈黙が続いただろうか? 「さて、そろそろか」と晴人の聲で沈黙は破られた。
晴人は妙に周囲を気にしてる。 そこで気がついた。誰も人がいないのだ。
巨大な羽の生えた年が學校の前で飛んでいる。 こんなにも目立つ異常事態に誰も人がよってこないのだ。
「結界や。こいつらは、この中でしかけない。そして、現れない。俺やお前のように結界にれる人間だけを襲って生きてるんやで」
晴人が言う言葉の意味はすぐに理解できた。
昨日の怪が2匹。いや、3匹も現れた。
なんという醜悪な生なんだろう。 見たものに恐怖を與えるためのフォルムとしか思えない。
晴人は黒翼を羽ばたかせる。怪達に低空飛行で向かっていった。
瞬殺。
怪と晴人がすれ違うかと思う一瞬。 黒翼にれた怪があっとゆう間に消滅したのだった。
しかし、倒したのは2匹だけ。あと1匹が殘っている。
晴人はその1匹を無視し、僕の方に近づいてきた。
「あれはお前がやれ」
そう言うと、片手に持つ巨大鎌を投げ渡してきた。
慌てて、キャッチしてしまった。
僕がこれでアレを倒せと? 思考がフリーズしてしまった。
外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。
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