《スキルゲ》自白 その⑤

僕だけではなく、晴人も?

  挑発。心を揺さぶるのが目的というならば、これ以上に効果的な言葉はない。

そう・・・・・・

確かに、僕はこの手で人を殺めている。

その相手こそ、西田健一だった。

僕は、彼との戦いの中、彼のを貫き、絶命させている。

最初から予定調和として、僕に殺されるための戦いだった。

そう、彼は戦前に語ってはいたのが―――

だからと言って、あれを西田健一の自殺だったと責任転換するほど、僕は―――

しかし、だからと言って・・・・・・。

諦めなければならない。

どこかで人の死を背負い続ける事に、終著點を作れなければ、僕は生きていけなかった。

後ろを向いて、自分を誤魔化し、騙して、それでも僕は生きていかなければならなかった。

そして、また、晴人もそれを経験しているという。

なくとも僕は、そんな話は聞いたことがない。

たぶん、それは・・・・・

晴人に取ってのタブーなのだろう。

心を揺さぶる―――

橫にいる晴人の表を盜み見る。

その表からは何も読み取れない。ただ、目が・・・・・・。

何も見ていない虛空の眼球。

を読み取れない。いや、どんなが浮かんでいるのか想像すらできない。

「おやおや?どうやら、賢志さんは知らなかったみたいですね。先ほどまで高まっていた殺気が噓みたい消え去って、し安心しました。あっ、これから僕は嬲り殺されるんだ。なんてね。本気でドキドキしてたんですよ」

蒼井明は嘲笑う。

もう、それが彼を表すアイデンティティになっているかのようだ。

彼の挑発によって、僕は混している。

晴人は・・・・・・わからない。

かろうじて、僕が冷靜さを保っていられるのは、これから戦うべき相手を目前に捉えているからだ。

だが、何かがおかしい。蒼井明の挑発は、何かがおかしいのだ。

うまく説明できないが―――

僅かに芽生えた違和。その正を考える時間すらなく戦いは始まった。

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