《スキルゲ》夢での決闘

最初は沈黙から始まった。

戦いの始まり。それに合図はない。

いつだってそうだ。 勝敗は、シンプル。

相手よりも早く、先々の一撃を浴びせること。

スキル使いは、無傷で戦闘を終える事を第一に考えて戦う。

その結果、スキル使いは、総じて防に長けている人間ばかりになっている。

そして、実際の戦いは、フィクションの戦いとは違い、僅かな傷、僅かな痛みですら、勝敗を大きく左右させる。

だからこそ、初手の一撃を重視するのだ。

僕たちは、互いに相手の思考を先読みし、相手のきに合わせようとする。

探り合い。読み合い。

互いに互いを理解しようとする濃で濃厚なコミュニケーションが行われてる。

そして・・・・・・

やがて・・・・・・

均衡は崩れていく。

最初にいたのは、蒼井明だった。

しかし、それは、あまりにも戦いに似つかわしくない緩やかな作。

そのために僕の反応は遅れる。

彼はゆっくりと手をこちらに向けてくる。

それに合わせて、彼の周囲の空間がゆがむ。

現れたの球。ふわふわとシャボン玉のように浮いている。

そう、北川幸二が主要攻撃と使っていた魔法スキル、接すると発する攻撃スキル。

要するに弾だ。

それが複數、彼の周囲に漂っており、今も數を徐々に増やしていっている。

確かに、北川幸二の影武者であった蒼井明も、この攻撃を使っていたが―――

ここにきて、と言うか―――

ここまで、溫存していたということに驚きを隠せない。

今までピエロの姿の攻撃パターンに組み込んでいなかったのは、この時のためか。

しかし、その攻撃が僕らに向かってくることはなかった。

地面から黒い槍が生まれ、弾を貫いたのだ。

一つの弾が発すると連鎖的に他の弾もしていく。

荒らしい轟音。すべての弾から生じるエネルギーが全方向に向かって放出されていく。

そこから生まれた暴風によって、を持っていかれそうなるほどだった。

手のを明かさない。

それは、晴人も同じだったようだ。

彼が持つ黒炎のスキル。

様々な形狀に変化するのは見てきたが、

影のように地面に潛ませて、離れた位置で黒い槍へと現化させていた。

これは、僕も初めて見る晴人の攻撃法だった。

さっきまで蒼井明が立っていた場所は、炎と黒煙に包まれて見えない。

だが、これで終わったとは思わない。

なぜなら、蒼井明が死ねば、この夢のフィールドは閉じるはずだからだ。

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