杖代わりにしていたショートソードを構え直す。

支えを失ったが左右にぶれる。

何とか、ふらつきを抑えて、蒼井明を見據える。

仰向けの狀態。いや、をかし、顔を向けてくる。

そのまま、を起こす。

四肢を槍で貫かれ、にを開けられ

それでも―――

それでも、を起こしていく。

尋常ではない痛みが襲っているはずだが、その表には、笑みが浮かんでいる。

違和。戦いの直前にじられた違和が走る。

正不明の違和。この正は何なのか？

一、僕は何が気になっているのか？

頭を振う。今、優先させるのは、この戦いを終わらせる事だ。

加速スキルを発させるためにイメージを開始させる。

ショートソードをしっかりと握り直す。

狙いは蒼井明の。そのを貫くイメージを確定させる。

加速中の軌道。そのイメージはシンプルに直線。

すべてのイメージを完了させ、スキルを発させる。

は、自分の意思に反してき始める。そして、一気に加速が開始される。

蒼井明のを貫くまで、１秒にも満たない、僅かな時間。

違和。またも違和。

蒼井明の表。最後に笑みを浮かべている。

・・・・・・笑み？

嘲笑い―――ではなく笑み？

嘲笑いではなく笑みを浮かべている。

今までの嘲笑いは挑発だとしたら、なんのために自分を追い詰めるような挑発を？

そして、今浮かべている笑み。

それは、目的の達を喜んでいるのではないか？

目的？

じゃ、その目的が今の狀況だとしたら？

死？　自らの死。そのものが目的？

なぜだ？

だが、もう加速スキルは止められない。

加速中の作は、人間の反神経を超える。そのためにきのキャンセルは効かない。

たとえ、僕の答えが真相だったとしても・・・・・・

蒼井明は大きく後ろへ弾き飛んだ。

僕の腕にはを突いたが―――

そして、大きな反が殘る。

「おい、何があったんや？」

聲に振り返ると、晴人が訝しい表を浮かべている。

『何をやっているんだ？』ではなく『何があったんや？』

僕の行に理由があることを前提の言葉。

ありがたい。心底、そう思う。

加速スキル。超スピードを可能にするスキル。

ゆえにキャンセルできない。

だが、僕のショートソードだけなら自由に消される。

そう、僕は蒼井明のを貫く瞬間にショートソードを消したのだ。

蒼井明が後方へ弾き飛んだ。その理由は―――

単純に素手による打撃によるものだった。