《天才年、異世界へ》閑話 〜乃side〜
 気付いたら、見知らぬ場所にいた。辺りを見まわすと、クラスメイトと弘一郎の姿が見えた。
(弘一郎君!)
その姿を見ただけで乃の心は落ち著いた。彼は、過去の経験から基本的に他者を信用していないが、弘一郎に限っては全幅の信頼を置いている。
 そんなこんなで、みんなが起き始めると、と屈強な男が出てきた。何かを話しているが、弘一郎に夢中な乃には屆かない。
(ふふふ、弘一郎君と一緒だ。弘一郎君さえいれば他には何もいらないからね)
 気付いた時には、解散となっていて、メイドの人に部屋に案された。
(同じ屋の下で弘一郎君も寢てるんだ。)
そんなことを考えながら、彼は眠った。
 翌日、朝食後にまた広間に行くことになった。そしてまた、話を聞き流しているととんでもない言葉が聞こえた。
弘一郎の「旅に出る」という発言だ。
その時、乃は自分が捨てられる錯覚を抱き、自らのみを言った。
「私も連れて行ってください‼︎」
【書籍化・コミカライズ】実家、捨てさせていただきます!〜ド田舎の虐げられ令嬢は王都のエリート騎士に溺愛される〜
【DREノベルス様から12/10頃発売予定!】 辺境伯令嬢のクロエは、背中に痣がある事と生まれてから家族や親戚が相次いで不幸に見舞われた事から『災いをもたらす忌み子』として虐げられていた。 日常的に暴力を振るってくる母に、何かと鬱憤を晴らしてくる意地悪な姉。 (私が悪いんだ……忌み子だから仕方がない)とクロエは耐え忍んでいたが、ある日ついに我慢の限界を迎える。 「もうこんな狂った家にいたくない……!!」 クロエは逃げ出した。 野を越え山を越え、ついには王都に辿り著く。 しかしそこでクロエの體力が盡き、弱っていたところを柄の悪い男たちに襲われてしまう。 覚悟を決めたクロエだったが、たまたま通りかかった青年によって助けられた。 「行くところがないなら、しばらく家に來るか? ちょうど家政婦を探していたんだ」 青年──ロイドは王都の平和を守る第一騎士団の若きエリート騎士。 「恩人の役に立ちたい」とクロエは、ロイドの家の家政婦として住み込み始める。 今まで実家の家事を全て引き受けこき使われていたクロエが、ロイドの家でもその能力を発揮するのに時間はかからなかった。 「部屋がこんなに綺麗に……」「こんな美味いもの、今まで食べたことがない」「本當に凄いな、君は」 「こんなに褒められたの……はじめて……」 ロイドは騎士団內で「漆黒の死神」なんて呼ばれる冷酷無慈悲な剣士らしいが、クロエの前では違う一面も見せてくれ、いつのまにか溺愛されるようになる。 一方、クロエが居なくなった実家では、これまでクロエに様々な部分で依存していたため少しずつ崩壊の兆しを見せていて……。 これは、忌み子として虐げらてきた令嬢が、剣一筋で生きてきた真面目で優しい騎士と一緒に、ささやかな幸せを手に入れていく物語。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※書籍化・コミカライズ進行中です!
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