《負け組だった男のチートなスキル》第七話 ダイエット?
コウスケの朝は早かった。
時計というものはないが、そう判斷出來ることは一つ、ゲンジュが起こす前に起きたという事実からである。
早起きした理由は、早寢の結果だ。昨日は夕食すら食べるのを忘れる程疲れていた。
その疲れが影響して早寢は出來ても早起きは出來ないと思っていたのだが、疲れは全く殘っておらずコウスケは腕をブンブンと振って不調がないか確かめた。
「力的な疲れじゃないからか?」
コウスケは原因を考えながら食堂に降りた。もちろん、ゲンジュは起きていないためいない。
キィンクもだ。
「どうしよっか、お腹が減っていないんだよなぁ」
何故か空腹をじないコウスケは暇つぶしに外に出て朝の空気を吸いながらストレッチをする。
「んん? のキレがいい気が……」
コウスケはいつになく思い通りにくに違和を覚える。
そこへ、ゲンジュとキィンクが起床したのか、足音が聞こえてきた。それに合わせてコウスケも宿の中へと戻る。
「おはよう、二人とも」
「おう、コウスケ、今日は早い……な?」
ゲンジュがコウスケの方へと視線をあげると、何故か疑問系で言った。
コウスケはもちろんその疑問の意味は分からず、首を傾げる。
「どうしたんですか?」
「いやいや、こっちが聞きてえよ」
コウスケの問いにゲンジュが必死に反論する。
あの無表のキィンクでさえ呆気にとられているように見えた。
「何のことです?」
「型だろ!た、い、け、い」
「え?」
コウスケはゲンジュに言われたとおり自分のを見る。
そこには、いつものようにぷっくりお腹ではなかった。
むしろ、へこんでいる。――へこんでいる。
コウスケは信じられないようなものを見るように、何度も何度も自分のお腹にれ確かめていた。
「えぇ、ダイエットってこんなに直ぐ効果がでるんだっけ?」
「そんなわけないだろ、一何があったんだ?」
二人で原因について考えていると、キィンクが前に出てきて言った。
「……コウスケ、ステータス」
ただそれだけを言ってキィンクは引っ込む。
「ステータス」
名前 高月助
種族 異世界人
レベル 2
力 限界
魔力 枯渇
攻撃力 武さえあれば
防力 我慢の達人
敏捷力 そこそこ
スキル 隠蔽
コウスケのステータスは簡単に言うと瀕死に近い狀態だった。
魔力も回復していない。
だが、敏捷だけがいい狀態になっていることも事実である。
「え、なにこれ……」
「やっぱり、飢狀態」
キィンクはボソッとそう呟く。
「は? コウスケ、お前魔法使えたのか?」
「ええ、昨日使いました、それで魔力が切れてしまったのでそのまま寢ました」
ありのままにコウスケは述べた。
その言葉にあり得ないと言うような表を浮かべるゲンジュ。
キィンクは興味深そうにコウスケを見ていた。
「お前なぁ、魔力っていうのは大気中から補充するとは言ったが、呼吸だけで補充出來るわけがないだろ、魔力を取り込むにはまず食を摂取してから休むっていうのが普通なんだよ、魔力切れの狀態が続くと力が段々と奪われるんだ、覚えておけ」
ゲンジュがいつもより厳しい口調で注意する。コウスケはこれからはしっかり気をつけていくことを心に決めた。
「まあいい、事実コウスケは痩せることが出來たんだからな、それは結果オーライって事だろ」
「そうですね、脂肪を消費することで何とか生きていけたのかもしれません」
コウスケとゲンジュはそう解釈して謎のダイエット現象問題は解決した。
「あ、それと、ステータス確認の時、攻撃力とかはあまり見ない方が良いと思うぞ? 気にしすぎると馬鹿の一つ覚えみたいに攻撃が単調になったり、の鍛え方が偏ったりして悪い影響を與えかねん、それに鑑定とかでバレるということもあるしな」
ゲンジュがそう提案する。
まあ、ステータスを見るたびに悪口があるというのは腹立たしいので是非ともやりたいところだ。
コウスケはそれに従うためにステータスを開き、ゲンジュが指さす方を押すと、ステータス畫面の能力値の部分だけが消失した。
「これで気にしないでいけるな、まあ力の証明の時とかはあえてみせるっていう手もあるが、お前の場合はなぁ」
「はい、重々承知ですよ」
一通り會話を終えたので、朝食を食べに食堂へ向かい、朝食を食べ終えた。
「ふぅ、食った食った」
「ゲンジュ、お行儀」
「良いだろ別に」
キィンクが大聲で想を言うゲンジュを諫めるがゲンジュは知った事じゃないらしい。
「コウスケ、今日も悪いが野暮用でな、一緒にいけないんだわ」
ゲンジュが手を前に合わせてコウスケに言う。
「別に良いですよ、こっちが付き合わせちゃってる立場なんで」
「そう言ってくれると助かる、そうだ、あまり無茶するんじゃねえぞ」
「はい、分かってますよ」
そう言い、ゲンジュとキィンクは出て行き、コウスケは今日どうしようかと考えた。
もう既に、ダイエットという目標を達してしまったわけで、する事はあまりない。
「やっぱ、行くしかないよな」
昨日、勇者集団に會っているので若干行きたくない気持ちがあるが、レベルが上がらないとスキルを役立てられない。
そして今日は魔法を使わないでおこうと、コウスケは心にとめて外へと向かうのだった。
り行き上、知り合った人たちがコウスケの変化を見て目を丸くしたのは言うまでもない。
そして外へと著いたコウスケは勇者がいないかしっかりと見渡して確認する。
結果、誰もいないのでそこからは狩り場へとダッシュだ。
「いやぁ、ここまでが軽いとは」
コウスケは飛び跳ねながら呟く。
もちろん、太っていない時期の方がコウスケの人生では長いのだがやはり痩せているのは良いことだと改めて実するコウスケなのだった。
「お、さっそくイノシシか」
もう因縁としか思えない相手のイノシシ魔を発見する。
すでにきは慣れているが、油斷大敵だと気を引き締める。
「こいよ、魔法無しで狩ってやる」
指をクイクイとかし、わざとらしく挑発するコウスケ。
今までしたことがなかったためあまりかっこよくはない自覚はある。
だが、イノシシは問答無用でコウスケの方へと突進してきた。
「おおっと、アブない」
口ではそう言っているが、全然危なくないコウスケ。
難なくよこに避け、イノシシの攻撃を避ける。
イノシシは再びコウスケの方へと突進してきた。
ここはゲンジュに教えて貰った討伐法で倒すことにした。
「とりゃ、ほい」
あまりかっこよくないかけ聲でゲンジュ風討伐方法によってコウスケはイノシシを討伐した。
それを何匹か繰り返す。
そこへ頭の中に音が響く。もちろんレベルアップの音である。
「よし、あがった」
とはいえ、確認する前に次の魔たちが現れた。
そ のためコウスケはひとまずそれらを討伐する。
レベルが上がったためか、はかなりく。
そうして、かなりの時間がかかったものの襲ってくる魔を討伐しつくした。
もちろん、倒している間にもレベルアップらしき音が何度か響いていた。
名前 高月助
種族 人間族
レベル 5
スキル 隠蔽
そういえばもうスキルスロットは増えているのではないだろうか。
気になったユウトは早速『鑑定』スキルを作り出してみる。
『スキル「鑑定」を作りました。裝備しますか? 空きスロットは1です』
「もちろん、YESで」
そうしてコウスケは念願? の鑑定スキルを手にれることが出來たのだ。
まあ殘念ながら、鑑定スキルは戦闘系のスキルではないため戦闘が楽になると言うことはないが。
「千里の道も一歩からっていうし」
コウスケはそうして自分を勵ましながら外の原っぱを歩き、魔の討伐を目指した。
それから數時間、コウスケは決めたとおり魔法を使わずに次々と魔を討伐していた。
イノシシが大半でスライムは何とか切り刻んで倒し、所見のオオカミ魔は逃げ回って隙をつき倒した。
そうしているにすっかり日も暮れていた、というよりすっかり真夜中である。なので宿に帰ることにした。
最後にステータスを確認することも忘れない。
名前 高月助
種族 異世界人
レベル 6
スキル 隠蔽 鑑定
レベルは上がったのだが殘念ながらスキルスロットは増えなかった。
だが、一日の果にしては上出來なのでウキウキ気分でコウスケは宿へと戻ったのだった。
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