収穫祭當日。

暑くもなく、寒くもなく。運するには丁度いい、そんな天気。絶好のお祭り日和。

普段から観客の多い王都だが、普段以上の賑わいを見せ、比較的広く取られている道も人でびっしりしており、歩くのに苦労する。

歩いている人類は様々で、人間のみならず、獣人はもちろん魔人やドワーフ、更にエルフやドラゴニュートまで混じっている。

ただ、エルフが來た際、軽い騒ぎが起こった。なぜなら、エルフは生まれつき霊が見えるからだ。

この王都、霊の數が尋常じゃない。この付近の霊が多い場所と言えば、王都北にある聖域の森。もしくは、エルフは全員が《霊魔法》持ちの為、エルフの里は霊が多い。

エルフの數だけ霊がいると言っていいわけだが、この王都はエルフの里より遙かに霊多い。

その騒ぎを収めるのに苦労したようだ。騎士達が。

そんなこんなで、ファーサイスは賑わいを見せている。

いつも通り庭でティータイムを楽しんでいる、ルナフェリア一行。

結界部はいつも通りだが、結界の外がいつも通りではなかった。

祭りで人が増えた。つまり、見慣れてない人が増えた。

そして、聖域は簡単に行けるところにはなく、霊の姿を見ること無く生涯を終える人も珍しくない。

そんな聖域が、王都の中にあるというじゃないか。というわけで、見學者が大量発生していた。

「なんとかならない？」

「聖域ですからね……」

「いったい何が楽しいのか。せめて結界叩くのやめてしいものだわ」

結界によりマナ濃度が一定以上保たれている為、ぽつぽつとその辺に魔晶石が転がったりしている。魔晶石は主に特異點でしか採れない為、非常に高価である。そんなが庭にぽつぽつ転がっている。１個手にれるだけでも當分は困らないお金になるが、結界があるためれない。

「グノーム、魔晶石奧の方に集めといて」

「分かりました」

ルナフェリアのお願いにより、グノームがツルハシを擔いでとことこ歩いて行き、ツルハシを振り回し魔晶石を弾き飛ばしていく。當然魔晶石が欠けたりはしない。

見ていた者達は、々な意味で『ああっ！』となっていた。

「そもそも私の敷地にあるを持ってこうなんざいい度してるわね」

「ルナ様の事知らないんでしょうね」

「どっか行ってくれないと私が食べれないんだけど」

エブリンが食べたそうな目で呟き、テーブルの上を眺めている。

テーブルの上では大小、様々な霊達がフルーツポンチを頬張っていた。とても幸せそうな顔で。

敷地で収穫された果実からできた果をブレンドし、そこに炭酸を追加。

更に、同じく敷地で収穫された果実をその中に漬ける。味しくない訳がない。

このフルーツポンチ、実は魔道が複數合わさりできていた。

１つは果実をれると、食べられる部分だけをかなり細かく刻む魔道。

更に、二酸化炭素を出する魔道。そして、果を絞る魔道。

それらでできたをけ取る魔道は冷やす機能がついている。

つまり、霊達だけで作れるようになっており、その為果実もかなり細かく刻まれている。

その隣に人類用の大きめにカットされたフルーツポンチがあるのだが、こちらは極普通であり、魔道ではない。つまり、フルーツポンチ製造機は霊達専用である。

刻まれた果実、絞られた果が冷やす形の魔道でけ止められ、そこに二酸化炭素を注する。無駄に良くできた魔道であった。ちなみに、夜にこっそり部屋で作られていた。

契約霊には口止めしていたので、サプライズである。

更に、霊達専用の小さい食各種がルナフェリアの手により作られていた。

貰った食類で嬉しそうに、幸せそうに頬張っている霊達を眺めるルナフェリアの顔は、見かけはのはずなのに、母親のような和な微笑みを浮かべていた。

が最適化されたことによって、表もちゃんとくようになっていたのだ。

慈あふれる神の微笑みに見惚れているのが外に沢山いるが、本人は気づいていない。

気にかけてすらいない。

エブリンは食べる許可がしそうにブリュンヒルデを見たが、『ダメです。人目がある時は従者に徹しなさい』と一刀両斷されてガックシしていた。

ちなみに、ポテトチップスも山積みで置かれていて、霊からしたら大きいそれを抱えてぽりぽり食べてるのもいる。

そんな中、ルナフェリアは１ブロックを取り出し、周りをカットしてフライパンで焼き目を付け、オーブンに野菜を敷いてを置き、１時間セットする。これで放置。

前世とは時間が約倍程違うので、２時間オーブンで焼くことになる。

朝からやっているので、既に４個完したローストビーフが"ストレージ"にっている。

「パーティーはお晝からだったわね。貴達はどうする？」

「私は侍としてお仕事あるのでご一緒します」

「私達はお留守番ですかね。顔知られてるのがいたら面倒ですし」

「うんうん」

「それもそうね。じゃあお晝からは好きにしていいわよ。お金はあるわね？」

「はい。私達もお給料貰っているので」

「ここに來てから貯まる一方です！」

「ああ、そうだ。新作で味しそうなやつ、味しかったやつ買ってきて。何個でも良いから。はいお金」

「分かりました」

「ベアテにも買ってきてあげてちょうだい。流石に外歩けないしね」

「了解です！」

これでよし。今日１日は城のパーティーでけなそうだし。

流石に２メートル半程のベアテを敷地から出したら大騒ぎになりそうだしな……。お留守番ですね。

「私は一足先にお城へ行ってきます。會場の最終チェックもありますので」

「今から？」

「いえ、９時頃ですかね」

「じゃあまだあるわね。私は何時頃行けばいいの？」

「そうですね……基本的に１２時前に會場りしていればいいのですが……。ルナフェリア様がどの立場で參加するかによりますね」

むむむ……。そう言えば立場によって場タイミングが違ったりする可能もあるのか。

「皇族でしたら他の王族の皆様と一緒になりますし、Cランク冒険者や魔道などの技者でしたらし早めと変わるのですが……そういえば、ルナフェリア様は國王様に呼ばれたのでいつでもいいですね」

「王様に呼ばれたから扱いが特殊なのね」

「はい。聖域に暮らしたりでかなり特殊な立場なので、前例がないんですよね……」

「そりゃそうよね。私も９時に行って、大人しくしてましょうか」

「では會場近くの一室でお待ち下さい」

「ええ」

時間になった為ブリュンヒルデと"ゲート"で移し、城の中を歩いていると國王と宰相と鉢合わせた。當然國王は護衛として近衛を連れている。自國の城の中だろうと護衛なしで歩くことはない。

「なんだ、もう來たのか。丁度いいからちょっと來てくれ」

斷る理由も特に無いし、どちらかと言うと好都合なのでブリュンヒルデと分かれて２人に付いていく。

ブリュンヒルデはこのままお城のお仕事へ。我々は執務室に移する。

「祭りだろうが仕事はなくならないわけだ。むしろ増える」

そうボヤきつつも機に向かい、書類をチェックしている。

ルナフェリアは國王が座っているところの前に置かれている、長機の方に座る。來客用だろう。

「急にお呼び立てして申し訳ない。どうにも抑えられなくなりまして」

宰相さんから聞いた話によると、流石に貴族達を抑えられなくなったそうだ。

今回は他國の王族達がいるのもあって、その人達からも言われてしまうとどうしようもないと。

「まあ、風の霊達がはしゃいだ結果、あの臺風の規模だからねぇ。誰かに頼まれたわけでもなし、謝る必要はないのだけれど」

誰かに頼まれてやった訳でもなく、風の霊達がはしゃいでああなったから私が防いだだけだし。

「我が國は貴様から多大な恩恵をけております。にも関わらず……」

「それは仕方ないでしょう。私が神だと知っているのは極一部だし、私と関わりがあるのは大が騎士達のみだもの。別に気にしないでいいのよ」

分かってはいるのだろうが、それでも済まなそうな顔をしている宰相さん。

「この見た目だから、侮る者が大半でしょう。私も基本神力や魔力は隠しているしね。ある程度力を持った者じゃないと分からないと思うわ。見かけ上活発とは思えないでしょうし？」

「まあ、良いとこのお嬢様とか、どこかしらの王族だろうな」

「売られた喧嘩は喜んで買うとは思わないでしょうね」

國王と総隊長の言葉である。総隊長は苦笑していた。

ええ、売られた喧嘩は買いますとも。どちらかと言うと脳筋寄りだからな！

無意味に喧嘩を売っていくタイプは大嫌いだしな。喜んで買うとも。

「ま、別に気にしないでいいわよ。こっちでさっくりあしらうし。……そのうちここを出て、國建てた時かしらね……正明かすのは」

「ん？　國建てるのか？」

「ええ、そのうちね。この間の森辺りがどこのものでもないから、あの辺りがいいわねぇ」

「そうですか……出て行かれるのですね……」

「そのうちね。できるだけファーサイスとマーストの近くがいいのよね。易的に考えて」

「ほう……我が國を気にってくれてるようで嬉しいものだな」

「ま、いつになるかは分からないけどね」

「そうか、分かった」

一応伝えておかないとね。いつになるか分からないけど。いや、ほんとまじで。

國作るのはダンジョンできてからだし。創造神様の時間間隔次第だよ、うん。

下手したら數千年後とかもあり得るからな……。

「ま、そんなことより。ブリュンヒルデに聞いて私も新作料理を用意しているの」

「ほう？」

「そんなこと……」

國王と宰相の反応の違いに突っ込むことはせず、"インベントリ"からオーブンを取り出す。

"インベントリ"は《空間魔法》の初級。"ストレージ"は中級。この違いは主に時間経過だ。

丁度オーブンで焼いていたローストビーフの出來上がり時なのである。

まあ、オーブンから取り出してすぐ熱を奪い、時間経過の無い"ストレージ"に放り込むから、どれもできたてと言えばできたてなのだが。

の方は焼いてステーキにするだけだし、ローストビーフだけでいいかな。

オーブンを開け、を取り出しまな板に置く。

そのままオーブンには新しいをセットして、"インベントリ"に放り込む。

まな板に置いたおから熱を奪い《風魔法》で薄くカットしていき、４皿に１０枚ずつ、１皿に薄くカットしたのを皿に細かめに切る。

それにローストビーフ用の特製タレをかけて、國王と宰相と総隊長に渡す。

後は自分の分と霊達の分だ。皿を囲むように霊達が出てきて、フォークを持っている。

「味い！」

真っ先に食ったのが國王というのにはれないでおこうと思う。

宰相と総隊長が何とも言えない顔をしている。

「ああ、味しいですね」

「これは何のですか？」

「シードラゴンのをさせたやつ」

「……？」

「やっぱはないのね？　燻製は作られてたわね？」

「燻製は過去にこの國に來た迷い人からと言われていますね」

「はこの世界には向かないと思うわ。保存食じゃないから。そのくせ手間がかかる」

「ああ、そうなんですか……」

「溫度に度を一定に保ち、なおかつ常に新鮮な空気を循環させる。それを１４日から３５日……この世界だと７日から１７日程放置するの。この溫度や度がズレるともれなく腐る。功するとどんどんがんで行き、その分旨味や風味が増す。で、食べる時に周りを削って殘った部分を使うの」

この世界で真空包裝は無理だろうから、やるとしたらこの方法だろう。

そもそもこのは燻製と違って、普通個人でやるようなじゃない。

「ううーむ……」

「魔道や魔導裝置を作ったとしても、メンテナンスや魔石の換などのコストがかかるし、魔導裝置なら場所も取る。だから贅沢品でしか無いわね。が、であってローストビーフは違うけど」

そんな事を宰相さんと軽く話していたわけだが……。

「なくなってしまった……」

「「國王様……」」

そうな、パクパク食べてたもんな。おっさん、そんな悲しい顔するな。子供か！

霊達が、おかわりをしそうに、こちらを見ている。

そこにおっさんも加わった。こいつら……。

……仕方ない、今でてる奴全部食べるか。"ストレージ"のストックはやらんがな！

全部切り分け、お酒ではなくジュースも付ける。お酒はこの後パーティーで出るだろうし……。

「で、話は終わったの？」

もぐもぐしながら國王がこっちを見て……スッと宰相に視線を向けた。

こいつ投げやがったぞ……。宰相さんもなんとも言えない顔してるわ。

「……えっとですね、ルナフェリア様は國王様と同じ、つまり王族の方々と同じところで、と思っているのですがよろしいですか？」

「何が違うの？」

「會場は同じですが、王族の方々は席を用意します。それ以外はし離れた所で立食パーティーですね」

「ふむ。席ある方が有り難いわね。この子達は食べまくるでしょうし」

そう言って霊達を見ると、リュミエールとウンディーネは苦笑。オスクリタとグノームはいつも通り。ヴルカンとシルヴェストルは超笑顔だった。

まあ、私達からしたら食べにしか興味ない訳だし、當然か。

「ではそのようにしましょう」

宰相がそう言うと、総隊長が外に待機している近衛に伝える。

話すことは話したので、後はもう始まるまでのんびりしている。

「そう言えば、私服だけどこれでいい？」

「私服と言っても、その格好だろ？」

「ええ」

「普段からドレスみたいなもんじゃないか。問題無いだろ。素材も謎素材だしな」

「素材はアラクネの従魔が霊の力を借りて作った『聖魔糸』からできてるわ」

「……ほう、つまり他の者には手はほぼ不可能か」

「霊によって糸の屬も変わるのよ。全屬自家生産するのはほぼ無理でしょうね。アラクネを従魔にして、全屬の霊と契約が必要。しかも『聖魔糸』の発生條件もよく分からないしね」

「それだけ良いでしたら、自分に正直な方々は獻上品として持ってくるのですがね」

「ええ、間違いなく持ってくるでしょうね」

自分に正直な方々＝出世などが高い者達。ということだろうか。

殘念ながら、私には無縁である。と言うか、私にって殘ってるんですかね。

人間の三大求は確実にないな。

睡眠は必要ない。寢ることができなくもないが……どちらかと言えばスリープモードに近いか？　基本、夜は寢っ転がって魔眼で世界を眺めて暇つぶしをしている。

はそもそもがない。ステータスに書いてあるように、無型だ。

っぽい形をしているだけ。の頂も無ければ、もないよ。

食も無い。食べてるのは完全に『趣味』と言えるだろう。

あ、知識とかはあるかな？　結構魔法の検証したりしてる。

いや、まあ趣味と言えば趣味なんだが。一応知識とも言えるだろうか。

……まあ、この辺りのことはどうでもいいか。この思考は投げ捨てよう。

「『聖魔布』は霊達の協力が必須だからね。霊達に気にられないとまず無理。よって売ることはほぼ不可能。優秀すぎて値段もいくらになるやら」

「ああ、そっちの問題があるんですね……」

「ブリュンヒルデとジェシカとエブリンの服の側に『風の聖魔布』が仕込まれてるわね」

「……屬によって何か特でも？」

「騎士としてはやっぱそこが気になる？」

「ええ、気になりますね。ルナフェリア様のはと風と水ですか？」

「私のは全屬よ。この布はすごい薄いから１枚ではけるのよ。だから重ね合わせて、表にくるを調整してこの合にしたみたい。全屬混ぜないと拗ねるのよね……」

「ああ、なるほど……」

「『風の聖魔布』には溫調整機能があるわ。つまり、ある程度の溫度変化を無視できるわけね。風の霊の力がってるから、周囲の空気を適溫に変える。流石に火とか水中とかは無意味ね。あくまでも風の霊の力だから。だた、発等による熱風とか、衝撃はかなり軽減されるはず。後は《風魔法》の強化と軽減が付いて、屬関係なしに『聖魔布』は皺防止と形狀記憶があるようね」

「流石霊様の力の一部と言うか……優秀ですね……」

「どのぐらいの効果を発揮するかは、どのぐらいの力を注いだかと、布の使用量次第というところね。魔法に対する耐や増幅は使用した『聖魔布』の屬次第だけど、『聖魔布』は理攻撃にも強いらしく、かなり薄いくせにかなり丈夫」

「理もですか！」

「これは謎ね。霊達が理無効を持っているからかって可能もあるし、ベアテ側の力の影響の可能もあるし。まあ、丈夫に越したことは無いわ。表の服はボロボロになるでしょうけど、裏地の『風の聖魔布』が耐えるでしょうから、そういう分にはブリュンヒルデはかなり安全ね」

「あの人は盾になる事もあるからって、私達に頼み込んで全屬ってますよ？」

「……まじ？」

「……うん、逆にジェシカやエブリンは誰かしらついてるから、風だけ」

リュミエールとオスクリタにより、ブリュンヒルデの裏地には全屬含まれている事が判明した。裏地だけとは言え全屬。つまり、私の服の劣化品だ。

そして、３人は聖域に住んでるだけあって、お気にりの霊達がかに憑いている。ブリュンヒルデはあくまで『お客さん』だから、実化してまで助けるような事はしないだろう。

「……國寶級の侍服か……」

私の呟きに、國王達がぽかんとしている。

が、宰相さんが再起した。

「こ、國寶級ですか！？」

「『聖魔布』の時點でレジェンドなのよね……。私の服の劣化品だろうし、そうなると効果が……全屬軽減、魔力増幅、皺防止、清潔、溫調整、形狀記憶かしら？　下手な金屬鎧より丈夫よあれ。火が服に付いてもは無事でしょうし、水も弾かれ、風も軽減。土がって理防も増々。侍服と言う名の魔裝ね。完全に防だわ」

「な、なんと……」

「まあ、ブリュンヒルデが死ぬまでは、専用品ね。ブリュンヒルデの魔力に馴染んでるでしょうし、別のが著たら力を貸したこの子達に集られそうね」

「裏地なんて気づかんだろ。それに、元々立場によって侍服も微妙にデザインが違うからな。同じデザインは……ディートリンデか？」

「そうですね。【武闘】のブリュンヒルデと【魔法】のディートリンデだけです」

ブリュンヒルデは、魔法に目を瞑れは非常に優秀である。

強化は得意なようだが、のアクセスがダメらしい。

オリジナル魔法は使えるだろうが、魔法使用に慣れてないと危険。

更に近接戦闘が得意な為、オリジナル魔法で危険を冒すよりは、強化に特化した方が良い。と言う判斷で、近衛クラスの近接戦闘ができる侍になった。

隊長クラスが不在の場合は兵達への命令権も持つらしい。

正直、素手の戦闘だとヘルムート隊長よりブリュンヒルデの方が技量が上である。

まあ、立場の違いだろう。ヘルムート隊長は基本的に剣を持っているが、侍であるブリュンヒルデは剣を持つことは許されていない。

短剣は仕込んでいるようだが、基本的には素手での戦闘訓練をするようだ。

『武が無いので戦えません。は話になりません』とか言ってた。

大変逞しい。

逆に、魔法の使用に優れ、近接戦闘が死んでるのが、ディートリンデ。

稀にブリュンヒルデ＆ディートリンデを相手に模擬戦をしている。

戦うメイドさん２人は馬鹿にできない強さである。

ちょっと特殊な位置にいる２人は伊達じゃなかった。

そんなこんな話していたら、時間である。

さくっと會場の方に移する。

まずファーサイスの他の王族達と合流。

王妃に王太子、第一王と第二王だ。第二王子もいるようだが、王都にいないため不在。

そして、國王と王太子以外の王族に會うのは初めてである。なぜかって？

會う理由がないからな。更に活範囲が違うから、會うことがない。

王妃がクリスティアーネ。王太子がフェルディナンド。

第一王がフィーネで、第二王がクラウディア。

名前も今日初めて知った。と言うか、王妃４人も産んだのか……。

王子２人に姫が２人。その為側室がいないようだ。

王様と王妃が話を始めた頃、し後ろで王妃からは隠れていた。

しかし、第二王のクラウディアに見つかり、見つめてくる。第二王が一番下で８歳のようだ。つまり、長が同じぐらいで、私の方がし大きい。

とりあえず、見つめ返す事にした。もちろん魔眼を使うなんて鬼畜な事はしない。

じー……。

じー……。

しばらく見つめ合った所で、ふにゃっと変顔をする。

「ぷふっ……」

「どうしたのクラウディア？」

……勝ったな。

クラウディアが笑ったところで顔を戻しておく。

「同じぐらいの娘がいるの！」

「同じぐらい？」

そう言われて王妃の位置からは隠れていた私が見つかる。

「まあまあ！　可らし……い？」

最後の『い』の部分では國王の方にギギギギと顔がいていた。

話で聞いていたんだろうかね。

それに國王が苦笑しながら答える。

「ああ、そうだ。話だけはしといただろう？　この方がそうだ」

するとまたギギギギとこちらに向いた。

「ご機嫌ようクリスティアーネ王妃。お邪魔しているわ」

「お初にお目にかかります、ルナフェリア様。ベルンハルトの妻、クリスティアーネと申します」

こっちから軽い挨拶をするとぴくっとして、すぐに綺麗な作で返してきた。

流石國のトップの１人。復帰が早い。ちなみにベルンハルトは國王の事。

王妃は私のことを知っているが、王２人は知らないようだ。

「ご無沙汰しております。ルナフェリア様」

王太子も私の事を知っているので、普通に挨拶してきた。會うのは久しぶりである。私は城に來ても基本王の所か、騎士団の方に行くからね。騎士団８割王２割。

圧倒的騎士団率。訓練じっけん大事たのしい。

念のため言うが、実用のチェックだ！　決して人実験じゃないぞ。

それはともかく、流れで王２人も察したのかしっかりと挨拶をしてきた。

フィーネは１６歳なのでしっかりと。

クラウディアは舌がちょっとあれだったが、作はしっかりしていた。

さすが王族である。

挨拶が終わったので、クラウディアの頭上でイタズラしそうな奴を止めさせる。

「シルヴェストル。止めなさい」

他の連中が頭に？を浮かべている間に、私はシルヴェストルをガン見している。

シルヴェストルがギギギとこっちを向くが……あ、こいつ！

すっとイタズラに走ったやつを空中で鷲摑みにする。

急に目の前に移してきた―――速度的に転移や瞬間移に見えただろう―――クラウディアがびっくりしている。他の王族や近衛もびっくりしているが。

私の手はクラウディアの顔の橫の空間でシルヴェストルを摑んでいる。

「む～」

鷲摑みにされた瞬間シルヴェストルが強制的に実化して、他のにも見えるようになる。そのシルヴェストルは手の中でバタバタしていた。

通常霊は人を通過できるが、私相手ではそれは不可能である。

非実化狀態でもバッチリ鷲摑み可能。これは私のが神力の塊だから。

つまり霊の質と似ているため、干渉して通過ができない。

魔力を手に込めて鷲摑みにすれば強制的に霊は実化される。

「やめろと言っ……」

びたんっ！

お決まりのヴルカンである。

知ってた。うん、來るのは分かってたよ……。

でもこいつ、一回すって顔ずらして避けたら、ちょっと通過したところでギギギギって顔だけ向けたんだ。めっちゃ涙目で。それから避けるという選択肢が無くなった。うん、しょうがないね。我が娘だもん。可いよね。これでいいんだ、うん。

霊って空気、気配と言うものに敏で、真面目な時は絶対にしてこないから。

と言うか、こいつら霊達も切り替えがすごい。

普段はきゃっきゃ、のほほんしてるくせに、突然キリッとするというか、あの教會事件のようになる。ヴルカンやシルヴェストルですら別人のようになる。

まあ、當然のように鷲摑みにして離す。

「まったく……」

私は苦笑して言うが、當の霊達２人は手の中できゃっきゃしている。

ヴルカンが私の顔に張り付いた時に王族がぎょっとしてた。

さっきから忙しそうですね。こいつらのせいですが。

「霊様？」

クラウディアが首をこてんっと傾げながら言っている。

その目はキラキラしていた。興味津々のご様子。

「私の契約霊。火の霊皇ヴルカンと、風の霊皇シルヴェストルよ。見ての通りやんちゃでね」

「おおー！」

いつまでも話している訳にもいかないので、移を開始する。

その際クラウディアが私の橫に來てとことこ歩いており、クラウディアはヴルカンとシルヴェストルと遊んでいた。楽しそうだしそのままにしておこう。

ちなみに、リュミエールとオスクリタは私の周りをふわふわと。

ウンディーネは私の肩に座りのんびりと。

グノームは床をとことこ歩いている。

グノームも當然飛べるけど、地の霊だけあって基本的には地面がいいらしい。

相変わらずツルハシを持っている。気にったのか？

グノームだけドレスの裝飾がし控えめで、ツルハシにしたのだろう。

まあ、好きにすればいいさ……。

「霊皇って教えてもらってない」

「霊王の上よ。霊の皇族」

「すごい偉い？」

ヴルカンとシルヴェストルを抱えながらクラウディアが聞いてくる。

「霊の中では偉いわね。自然に進化していくのは霊王が限界。私との契約により最適化され、霊皇になったのよ」

無いを張ってふんぞり返っている２人は放っておいて……。

「霊が世界に誕生した時より存在する最古參の霊王。その火と風がその２人。原初の霊。その中ではその２人は若い方よ」

「ま、待て！　それは初耳だ！　偉いなんてもんじゃないぞ！」

「……という事は、殘りの……霊皇の皆様は……」

にっこり返してあげる。

「そうよ。それぞれの屬最古參が私の契約霊達。１番上がのリュミエール。次が水のウンディーネ。続いて闇のオスクリタ。そして地のグノーム。後はシルヴェストル、ヴルカンね」

契約した順だ。

とは言え、誕生はほぼ同時だが、微妙にズレた結果この順だったようだ。

火、水、風、地、、闇の６屬がそれぞれ數百ずつが世界に誕生した。

それが、原初の霊、６屬の霊達。

その中の生き殘りが私の契約霊達で、既に同期はいないらしい。

と言うか、割と早々に同期はいなくなったらしい。

自分の力を制できずに消滅してしまったとかなんとか。

創造神様が何世代かで調整した結果が今の霊達。

だから契約霊の６人と他霊では結構離れている。

言ってしまえば奇跡的に制できてしまった６人だ。

霊に上下関係はほぼ無いが、言えば聞く程度の偉さ。

っていうのをクラウディアに教えてあげた。他の奴らも聞いてたが。

はるか昔、太古の霊學が披された事になる。

王２人を除き、正を知っているので、これが事実と認識されるだろう。

ルナフェリアも創造神様からの知識と、実際に６人から聞いた事で、これが事実と認識している。

「霊様にお詳しいのですね……初めて聞いた容です……」

「……まあ、私より霊に詳しいのはいないでしょうね」

第一王フィーネの言葉である。

きっと後で正を教えられてあたふたすることでしょう。

と言うか、母である王妃は娘がしでかさないか心ハラハラしている。

私とそれなりの付き合いがある、國王や宰相、騎士達はいつも通りである。

むしろ貴重な事を聞いたとしか思っていない。

そして、ぞろぞろと開場前で王族が集まる。

◇◇◇◇

フルーツポンチ製造機　アーティファクト

    ルナフェリアの作品。

    する霊達の為に作られた魔道の集合。

    果実をカットする魔道。

    果を絞る魔道。

    二酸化炭素を出する魔道。

    冷やす魔道。

霊の食セット　アーティファクト

    ルナフェリアの作品

    する霊達の為に作られた食の魔道セット。

    フォーク、スプーン、コップ、平皿、茶碗などがっている鞄。

    霊が裝備可能。

霊の食セットは『そういう』として作られ、ルナフェリアが大量に作らずとも霊が持って行ったら自生されるようになっている。その為、王都にいる霊にはすぐに行き渡った模様。

ルナフェリアが作ったのは、どちらかと言うと霊の食セットを自生する『そういう』を作ったという事。その小さい裝置は敷地の一角に置かれている。

ちなみに、サイズは持ち主の霊に合わせて自調整されるし、手調整も可能な高能。