《転生先は現人神の神様》39 収穫祭 4

王城のパーティーが無事? に終わり、解散された頃。

私はファーサイスの王族組とティータイムをしていた。

ブリュンヒルデもいるよ! 侍として隅っこに待機してるけど。

「……天使の話……まじか?」

「まじも大マジよ。奴らは神々に直接の関係はない。ただ天界に住んでいる翼の生えた人類よ」

「……まじか」

「悪魔は人を誑かしたり騙したり……爭わせたり自らが戦うのが好き。その対抗勢力として天使が存在する……んだけど、別に人類の守護者とかって訳ではないわね」

「そうなのか? 悪魔から守られてるイメージがあるのだが……」

「んー……指揮によるかしらね」

「指揮?」

「下級天使や下級悪魔は喋れないわ。下級悪魔は魔に近い。下級天使はただの駒に近いわね。中級天使などが指揮してかすのが下級天使、見た目は鎧が武裝してるだけ。だからどう戦うかは中級天使以上の指揮次第になるわね」

「ふーむ……なるほどな」

「所謂『本』の天使に會いたいのなら《召喚魔法》の超級ね。上級は『天使族』が來るだけよ。まあ今は天使や悪魔を呼ぶより、"オーディール"で契約した方が圧倒的に良いわね」

「なぜだ?」

「言うこと聞くから。天使族や悪魔は一時的な契約に見たいなもの。それに比べ"オーディール"は戦う必要があるものの、勝てば主と認めてくれる。やられても天使や悪魔と違って、呼べば同じ固が召喚される」

「なるほどな」

「正直、天使召喚と悪魔召喚必要ないわね。"オーディール"で良いわ」

ふんふん頷いている。

ぶっちゃけ本當に天使召喚と悪魔召喚は必要ない。

天使召喚と悪魔召喚のメリットは、最初からある程度強いのが來る。

デメリットは強さにばらつきがあり、毎回何が來るか分からず、人類な為渉が必要。

"オーディール"は1対1で勝たねば為らず、強さは固別のデメリットがある。

メリットは毎回同じ個が來て、呼び続け経験を積ませればちゃんと育ち、渉などが不要。

もっと言えば、天使召喚と悪魔召喚の場合自分が大事。召喚されてやられても死ぬことはないとは言え、いい気分ではない。

"オーディール"の方は、召喚主が大事。自分が盾になる事も厭わない。

「そう言えば、お前さんは普通に使ってるな?」

「そうね、當然わざとよ」

「理由を聞いてもいいか?」

「簡単な話よ。威力過多」

「あー……」

「ぶっちゃけ私がやっているのは魔力でのゴリ押しね。攻撃では霊達のようにマナも込めてない。その方が調整が楽だし。結界とか防系には使うけどね」

「そうか……」

「神々の魔法は魔力に『マナ』ではなく『神力』を込める。威力は當然《霊魔法》すら凌駕する」

「《霊魔法》でも大概なんだがなぁ……」

「エネルギーとしての格が違うもの。魔力が川だとすると、マナは海、神力は宇宙よ。正直な話、人類と同じ方法でしか使えないと言った方が良いわね。余計なを消し飛ばしてしまうから」

「そ、そうか」

「正確に言うと魔法の使い方そのが違うんだけれど、それを知ってもしょうがないし、説明もできないからそれは置いておきましょう。ドラゴンと戦う時とかは魔力を惜しみなく使ったゴリ押しよ!」

そこ! 苦笑するな! 実際私がマナや神力を混ぜて使うことは無いと思う。

きっと混ぜて使う時は喧嘩売ってきた國を更地にする時だろう。

更地どころかクレーターになるかもしれないが、些細な違いだ。

喧嘩を売ってきた奴が悪い。私からしたら軽く戯れただけだ、うん。

「まあ、収穫祭はのんびりするわ。どうせ國作ったら忙しくなるのだし。収穫祭が終わったら冒険者ギルド本部とやらにでも行ってくるわ」

「冒険者ギルド本部と言うと東だな。ベリアドース大國にあるが、あの辺りは魔との最前線だから治安が悪いというか、荒っぽいのが多いな」

ベリアドース大國。

マーストより東にある小國群の中に存在する大國。

小國群の中でも東に存在し、すぐ東は魔の跋扈する未開の地となっている。

その未開の地へと自ら赴き、魔の素材やら、森の恵みを持ち帰ってきた者達が『冒険者』の始まりであり、この國に冒険者ギルド本部が存在する。

その為、冒険者の國と言われるこの國は、荒っぽい者が多い反面腕っ節がさえあれば認められる國とされている。

ベリアドース大國が落とされると、小國群がヤバいことになる。

「腕っ節には自信があります」

「そうだな……。何か面白い景が見れそうだな……」

「ちなみにベリアドース大國のベリは、戦と勝利の神であるベリフォウス様かららしいですね」

へー、あの神様ベリフォウスって名前あったんだ……。

創造神様からの知識にそんな名前はない。つまり人類が勝手につけた名前か?

それとも利便の問題上名乗ったか……か。

気になるので神々の名前を聞いておいた。

穣と大地の神:マヤセルス

戦と勝利の神:ベリフォウス

長の神:アリスリナス

と言うらしい。

皆最後が『ス』で終わるんですね。まあ、覚えておこうか。

「と言うか、知らないのか……」

「うん、本人達が名乗ったか、人類が勝手につけた名前だから、私は知らない。ま、それはそうと帰るわね」

「ああ、分かった。突然悪かったな」

「別にいいわ。味しいの食べれたし」

霊達もうんうん頷いている。こいつら結局ずっと食ってたからな……。

「じゃあねー、クラウディア」とムニムニしてから"ゲート"で帰る。

ブリュンヒルデはし殘っていくらしいので置いていく。

自分の家に帰ってくるとベアテがお出迎え。

ジェシカとエブリンはまだのようだ。……ふむ、ベアテだけか。

ぴょんとソファーにを投げ仰向けに寢る。手足を投げ出したグーダラスタイル。

この世界には神様に捧げをする習慣はないんだろうか?

我、捧げを所する! 味しいプリーズ!

……駄神だめがみになりそうだな。

ソファーでグーダラしてたらジェシカとエブリンが帰ってきたので、2人が買ってきた食べを皆で摘み、収穫祭1日目が終わった。

◇◇◇◇

収穫祭2日目。

王都は朝からお祭り騒ぎだ。お祭りだから當然だが。

「前世が一庶民な私からすると、私もこういう時は遊びたいわけだよ」

「どうしたんですかいきなり」

「お忍びしようお忍び」

「ルナ様が忍ぶのは不可能かと……」

「目立つもんねぇ……」

許されなかった。

「そもそもルナフェリア様がお忍びになられる理由がないですよ……」

「気分的な問題だ! 著替えよう」

一度家の方に引っ込んで、聖魔のドレスをぎ久しぶりに魔力で構築する。

子供が著ているような、ベアトップワンピースに肩紐を付けたやつだ。

側は薄緑、外側にし短い白のシンプルな見た目をしている。

見た目はシンプルだが、素材からしてかなり上等な服と判斷されるだろう。

「うむ。ブリュンヒルデ、これでツインテールにして」

白いリボンを2個渡し、ツインテールにしてもらう。

ポニーテールでも良いけど、今回はツインテールにしよう。

そして、髪をセットして貰ったら久しぶりに10歳長になる。

「うむ! どっからどう見ても子供だな!」

「あの、ルナフェリア様? 上の下著は……」

「……付けた方が良いかね?」

「當たり前です! サイズを考えて下さいサイズを!」

10歳長にも関わらず、たわわに実り自己主張をしている。

「ぺったんこにするか……」

「それを! 無くすなんて! とんでもなっあたっ」

ぺったんこにもできるのでしようとしたら、エブリンが騒ぎ出し、ジェシカに叩かれた。

「てきとーでいいや」

上の下著を生する。パンツの方はベアテが作ったままだ。

1/2カップの紐無し版のようなものが生された。

そしたら家から出て庭へ。

「今日も自由行! ……ベアテ用に人化の魔法でも作ろうかな?」

「いえ、私はお留守番でいいですよ。あんなうじゃうじゃいるところはちょっと」

とか言われてしまったので、何か買ってくればいいな。

「じゃ! 行ってくる! まつりーまっつりー!」

祭りが私を呼んでいる!

「走っていっちゃいましたけど……」

「まあ、ルナ様に貴族の常識とかは通じないし……」

「まだ付き合いが短いので、ルナフェリア様の事はよく分からないんですよね……。こちらの世界と考えが違う場合もあるし……」

殘された侍3人はどうしたものかと考えるが、「ルナフェリア様は貴族特有の言い回しをしない」という事で言われた通り自由行をすることに。

2本の尾、ツインテールをひょこひょこ揺らしながら、活気あふれる王都を歩く。所々に店が出ており、店の中へらなくてもその店の摘みを出していたりしている料理店が多いようだ。

し灑落た店からは気な音楽が聞こえてくる。遊詩人を雇いパフォーマンスをしていたりして、客寄せしている店もあるようだ。

祭りの最中は基本的に馬車の使用は止され、所謂歩行者天國狀態になっている。

その代わり水路を使った船がバスのような役割を果たしているようだ。

船をかすのは騎士達だ。頑張れ騎士達。

そんな騎士達を橫目に見つつ、異世界の祭りを満喫するため、きょろきょろしながら王都を歩く。

さて、ここで振り返ってみよう。

ルナフェリア10歳時の長、約132センチ。これは10歳でも小さく、この世界は平均長も高い。よって、かなり子供に見える。

そして現在の格好はお転婆お嬢様のような格好をしている。

そんな娘がきょろきょろしながらお祭り騒ぎの王都を歩いていたらどうなるか……。

「あ、いたぞ! 緑髪の迷子のの子!」

とか言いながら後ろから抱っこされる。

ギギギギと顔を向けると、にっこりと言うか……にんまりした騎士の姿が。

「緑髪でツインテール。薄緑と白のワンピース。うむ、報通りだな!」

「……誰が、迷子かーっ!」

掲げられる狀態だったため、踵が思いっきり鳩尾部分にクリンヒット。

當然騎士だから鎧を著ているが、魔力が乗せられた無駄に高度な技により、鎧をガン無視し「ぐふっ……」と崩れ落ちた。

3人一組の為、1人の騎士は「俺は師匠が迷子云々の前に、こいつを連れて行くべきだと思うんだが……」と呟きながら、崩れ落ちる同僚を見ていた。

そしてもう1人も「分かる。俺もこいつを連れて行った方がいい気がする」と言う評価だった。

崩れ落ちた騎士は、ちょっと幸せそうな顔をしていた。ヤバい。

「師匠が迷子と間違われてるってマジか?」

「確証はないが……鮮やかな緑髪のの子って師匠しか浮かばんのだが?」

「あの髪はなぁ」

と言いながら騎士達が歩いてきて、「あっ」と目的の人を発見する。

「わたしは、まいごでは、ないぞ?」

「「「し、師匠、ガチな威圧は止めてください」」」

軽くムスッとしながらジトーと睨む。

「何事ですか?」

と、ブリュンヒルデがやってきた。騎士の1人がブリュンヒルデに伝える。

鮮やかな緑髪のツインテールで、薄緑と白のワンピースを著ている恐らく貴族、しかも上級貴族かもしれないの子が、迷子の可能があるという報告があったと。

そう伝えられたブリュンヒルデは、ルナフェリアの頭から足の方に視線をかし、また頭の方に視線を戻し……騎士を見て……またルナフェリアの方を見て……顔を背けた。……がプルプルしている。

「そ、そういえば、こうなる可能もありましたね」

そんなブリュンヒルデの聲は微かに震えていた。笑い堪えているからな。

さて、どうしようか……。

流石に迷子扱いは無いと思います。

……普通に大人を選べばよかったのか。

ルナフェリアが3秒ほど魔法的なに包まれ、が消える頃には大きく、服裝はドレスに変わっていた。

そしておもむろに"ストレージ"に手を突っ込み、鉱石と寶石を取り出したと思ったら、それを首に付けた。

「これなら文句あるまい?」

「「「おおー……」」」

ルナフェリアは、大人姿を誰にも見せたことが今まで無かった。

そもそも大人姿になったのが、生まれた當初にした姿確認時だけだ。

その時にちらっと一通り確認して、一応デフォルトである10歳に戻り王都へ。

現在18歳程に長した姿をしている。

先程までの10歳時、長は132センチ程だった。

普段は15歳ぐらいで長は146センチ程だ。

そして今は18歳時、長は164センチ程となる。

18歳時以上の場合、目の形が微妙に変わる。

かまぼこを逆さにしたようなジト目から、々鋭く、キリッとした目になる。

その為、見た目の雰囲気がガラリと変わる。

髪型も普段通りのストレートに戻され、おまであるスプリンググリーン。

服裝は魔力で現化された、霊達のデザインに似せたドレスとなっている。

白をベースとしたミニスカート型のベアトップデザインのドレス。

その為、翼用の背中は空いていない。そもそも翼は服とかを無視するので、本來気にする必要はないのだが。きっと気持ちの問題だろう……。

だいぶ元はギリギリで、たわわに実っている果実を下から支えるだけの狀態だ。

の下、鳩尾辺りで縛られており、を強調すると同時にのラインを見せる。

その縛られてる部分から薄い生地をふくらはぎ部分まで垂らす。だが、前部分はベースとなっている白のミニスカートよりし長い程度に抑える。

この薄い生地は見る角度、の角度により合いが変化する不思議構造だ。

足が普通にけて見えたりする服裝だが、著ている本人の影響もあり破廉恥なじはせず、神的な印象を與えるセクシー系のドレスだ。

首にはチョーカーを付けており、ルナクォーツが綺麗にを反し輝く。

チョーカー自のデザインはシンプルだが、素材がシンプルではなく、ルナクォーツとルミナイトで作られている。

まず黒いルミナイトをっかにし、そのの両端をルナクォーツで覆う。

そしたら面の側も外側も細いルナクォーツで網目狀に張り巡らせる。

正面を中心に張り巡らせたルナクォーツを、後ろ側で2本に纏め差させ前に持ってくる。そのし首に余裕を持ったルナクォーツの紐を首の前で繋げ、繋がったところに大き目のペアシェイプ(涙型)加工のルナクォーツをぶら下げる。

そんなデザインのチョーカーをしている。素材の純度と加工の度でいくらになるか分かったもんじゃない代だ。

普段からルナフェリアの契約霊を目にする期會の多いブリュンヒルデは、そのドレスは契約霊がにつけているそれに非常に似ていることに気づく。

あの子達のはそれぞれの屬をしているので、角度などではは変わらないなどの違いはあるが、全的なデザインが非常に似ている。

だがこうも思っていた「(それは々派手すぎるのでは……?)」と。

でもすぐにその考えは止めた。元々いるだけで目立つんだ、服裝が多派手だろうが、別に変わらない事に。何著てようが目立つんだ。

むしろ多派手で豪華な服裝の方が逆に自然になる。

「(これは間違いなくどこかのお姫様ですね……となると……うん、やはり私はルナフェリア様に付いて歩いた方が良さそうです。自由にしろと言われたので、付いて歩いてもいいでしょう)」

「…………」

「(と言うか、私はお仕事ですし)」

「……好きになさい」

「(許可でましたわー)」

最近ブリュンヒルデがこちらの魔眼を利用するようになってきた。

そんな逞しい? ブリュンヒルデを連れて王都を練り歩く事に。

連れるというか、付いてくるというか。

まあ、それからと言うものの、騎士達が來ないから良しとしよう。

王都を歩いていると、たまに行く屋おっちゃんが出店をしていた。

どうやらを串に刺して焼いているようだ。

焼き鳥のように一口サイズに切られたを売っている。

「おっちゃん、……1本」

本數を言う前にブリュンヒルデを見るが、首を橫に振るので自分の分を頼む。

ブリュンヒルデは國王から言われて……なので、私が好きにしろとは言ってもお仕事だ。

「おう、この聲……んん?」

「いつもの様にふらついていたら迷子と言われたようでしてね……」

「解せぬ」

「はっは! ……俺らは見慣れたがそうなるか。っと1本だったな」

け取ったを早速食べようと口に運んだ瞬間、ヴルカンがり込んで來てヴルカンが食べる。私の顔にはヴルカンが押し付けられる。

見ていたブリュンヒルデとおっちゃんがキョトンとして、笑う。

そして再び口に運ぶが、今度はシルヴェストルがり込んできて食べる。

「……知ってた。ヴルカンが來てシルヴェストルが來ない訳がない」

結局霊達に渡して、新しくおっちゃんから1本買う。

霊達は口いっぱいにれたをもきゅもきゅしている。

霊が6人実化して出てきたので、そこそこ騒ぎに。

ただ、中心にいる人が人だけに、し遠目に見ているだけだ。

霊が6人?」「あの娘は誰だ?」「まさか契約霊か?」「霊様の化?」「しかし6人も?」と言う會話が他國の者達から聞こえる。

ファーサイスの者からは「あの髪……」「大人モードヤバい」「大人もなれたのか」など聞こえ、それを聞いた他國の者達が王都民に聞き始める。

「あの者を知ってるのか?」となりの良い青年、恐らく貴族に聲をかけられた王都民が答えていた。

彼曰いわく……。

この王都北側の聖域所有者である。

王様と仲が良く、聖域に手を出す事は止されている。

この王都を囲む城壁を作った人である。

「ほう、そうなのか……」

「後は人ではなく、神生命ですね」

「……なに? それは本當か?」

「ええ。あの方本人が言っている事ですし、たまに長違いますからね。ある程度姿を変えられるようです。大人の姿は始めてみましたが、しいですね」

「ふむ……。あの者に伴なるものはいるのだろうか?」

「……いいえ、聞いたことありませんが……。聖域にいる人間は侍3人だけだと聞いたことがあります」

「ほう、ほうほう。ならば好都合。どれ、この俺が落としてみせようか」

「えっ! いや、手を出すことは止で……」

「それは『聖域に』だろ? あの者は問題ないはずだ」

「そ、それはそう……ですが……。あの方自がものすごく強く、騎士達に師匠と呼ばれる方ですよ……?」

「ふんっ。尚更好都合じゃないか。この立派な城壁を作る技を持ち、更に戦闘も強く、あの者の姿を見る限り、元は人間だろう? 完璧だな」

「やめておいた方が良いと思いますが……」

「なんだ? この俺の邪魔するのか? くっく、そこであのが俺のになるのを指を咥えてみているが良いさ」

とか言いながら自信満々にルナフェリアの方に歩いて行った。

話していた王都民の男は、あの自信はどこから來るのか心底不思議であり、あの方の力が自分に向くとは考えないのか? という疑問と、お前じゃあの方に釣り合う訳が無いだろ……酔ってんのか? とか思っていたが、黙って見送った。

お店の脇でもぐもぐを頬張っていたら、何か頭悪そうなのが近づいてくる。

いや、言い直そう。頭悪いのが近づいてくる。

うんうん、分かる分かるぞ。いいしてるだろう? 創造神様お手製だぞ。

だが殘念ながら、貴様がんでいるような事はできないぞ?

私には無いからな! ついでに丘の頂きもないぞ! どっちも不要だからな!

口がある? ……食いちぎるぞ。

とか思ってたら馬鹿が來た。まあ、私は背を向けてる訳だが。

をむぐむぐしながらブリュンヒルデに視線を向けると、コクリと頷くので任せようと思う。

「ご機嫌よう、お嬢さん」

「申し訳ありませんが、この方との接は控えていただきますよう……」

聲を書けてきた男と私の間にブリュンヒルデが移し、壁になりつつ答える。

私は思いっきりを頬張っている為、答えはしないが、振り向きはしよう。

むぐむぐしながら、興味無さそうな視線を向ける。何だこいつ的な。

いや、実際何だこいつなんだけど。

「侍如きが俺の邪魔をすると?」

「國王様の指示ですので」

心怒ってようが気にらなかろうが、表はにっこりしている好青年だ。

顔はまあ……上の下? ヘルムート隊長の方がイケメンだな。

ヘルムート隊長人気らしいよ。

この男一応上流階級か。ブリュンヒルデと同じ侯爵家じゃないか。

だが相手が悪いな……。男は小國の普通の侯爵家ドラ息子。

だがブリュンヒルデがまた特殊な位置でな……。

まず本人が侯爵家の人間であること。王、公、侯だから3番目だ。

としての能力に【武闘】の能力、そのどちらもトップクラス。

【奉仕學 Lv8】の時點でヤバい。スキルレベルは基本的に3か4が一般的だ。

それに加え【武闘】も最大でレベル6を持っている。これは近衛一歩手前のレベルだ。

ぶっちゃけ天才ですよ。

としての能力に【武闘】の能力。更に人格。この3つを認められた故に王族の側近という立場を得ている。決して生まれ持った侯爵家だからではない。

ブリュンヒルデは國王、宰相、王太子、総隊長、私が揃う中で呼ばれ、私の正を明かしその場で國王直々に私に付くよう言われている。

これ、ブリュンヒルデ本人からしたらものである。

王族のために命すら捧げる忠誠心が必要であり、1度すら裏切ることが許されない立場なのが、側近や近衛などといった立場の者達だが、この場合は々変わる。

ブリュンヒルデからすれば今回は……『側近、近衛と言った王に近しい者の中から自分が選ばれ、國王よりも更に上の立場である神に付いてしいと、自分が全全霊を懸けて仕える方々のトップである國王直々に言われた』となる。

仕える者にとって、主に認められるのがどれほど嬉しい事か。

しかも今回は容も容だ。國としてもここで人選ミスをするわけにいかない。

出て行かれるだけならまだしも、もし敵対なんてされてしまったら國の存続に関わる。

そんなこんなで、実はこのブリュンヒルデはこの國でもかなり上位な立場にいる。

『ただの侍』ではないのだ。

今現在のファーサイスでもっとも重要な任務中の侍だ。

そしてブリュンヒルデはこの國とルナフェリア、両方の不利益にならないように行しなければならない。

ルナフェリアとどうでも良い小國の侯爵家ドラ息子、どちらを優先するかなど考えるまでもない。

武闘の家系、ディーボルト家。それに恥じない眼力により、ドラ息子は敢え無く撃沈。

スマイルだが目は完全に殺気立ってた。お見事。

私? 私はブリュンヒルデの後ろでお食べてたけど?

ヴルカンとシルヴェストルが左右に食いついて1個持ってかれたけど。

ドラ息子を追い払った後も、変わらずふらふらと食べ歩く。

ヴルカンとシルヴェストルがあれ食べたいこれ食べたい言うので、それらを食べにふらふら。

ベアテのお土産用にし多めに買っておく。ブリュンヒルデも後で食べると自分で買っていた。

にしても、分制度のある世界で、分を明かせないというのは面倒だな。

さっさと國作るかもう。そうすれば國王だ。なに、人間が住み著かなければ特にやることはない。

國を作ってから神と明かした方が良いだろう。作るのは霊達がメインの國だし。

《多重存在》とか便利なスキルあるしな。もう1人の自分で本格的に準備をするかな……。

ある程度は考えてあるし、殘りはやりながら考えるとしよう。

もぐもぐ食べている時に、《多重存在》を使用してみる。

片腕を正面にばし《多重存在》を使用すると、全く同じ『私』が正面に現れた。

「汝は我」

「我は汝」

「「というのをやるのがお決まりだと思うんだ?」」

「…………」

ブリュンヒルデに振ったのに何の反応もなくて悲しい。

しょうがないので、スキルの確認にる。

「……ふぅん。スキルや能力は同じか。この時點で相當使える」

「《多重存在》とは言っても、本は変わらずか」

「分系の最上位スキルとでも思っておけば良さそうだ」

「思考速度、思考共有に気になるロスは無し。作り直すぞ私」

「うむ」

消えるように分側が消え、もう一度作り直す。今度はかなりの魔力とマナを込めて。

霊と同じようにマナで構し、魔力を詰め込む。子供バージョンの方がに回すエネルギーがなくて済むな。10歳でいいや。

せっかく込めた魔力を使わせるのはあれだな。本で分を國予定地に飛ばすか。

「"トランスファー"」

「……今のは分ですか?」

固まっていたブリュンヒルデがき出したので、軽く話をする。

とはその名の通りだ。分するスキルや魔法によって生された

この時生する分には當然差がある。

一番下だと幻覚のような、ホログラム的なだ。つまり、ることができない。

一般的、実用的なものだと本の半分以下の能力を持ち、れることも喋ることもできる。ただ、分の方は五を本に伝える時に微妙にロスがあったり、ラグ(遅れ)があったりする。

《幻影分》と《多重分》が【】スキルとしてあるようだ。

《幻影分》がホログラム的な。《多重分》が実用的と言われる

主に斥候や、間者、暗殺者などが使用するらしい。

しかし、私の持っている《多重存在》は【】ではなく【固有】だ。

つまり、神の持つスキルだ。

他の分は本人がかさなければならないようだが、私のは分も私の為、自律行する。

更に分は魔力が回復せず、無くなるとが維持できずに消滅するようだ。

私のは魔力が回復するが、最大保有魔力量が作時に持たせた魔力量になる。

最初の使用魔力がそのままになる訳だな。まあ、他のに比べて私のは自然消滅はあり得ない。

それだけでも流石神の持つスキルということだろう。

という事で、國予定地はもう1人の私に任せる事にする。

余談ではあるが……。

の私と、分の私がそれぞれ《思考加速》《並列思考》使うと凄いことになる。

頭と言うCPUが増え、それぞれのCPUが《並列思考》によりコアを増やしていき、《思考加速》でクロックを上げる。

スーパーコンピューターが不要である。

そんな事をしながらも、収穫祭を満喫するため、王都を練り歩く。

送り込んだ分の私は早速作業に取り掛かる。

もうすぐお晝の時間である。

『……ルナ、王都から川沿いに北の森まで見てみなさい』

創造神様だ。

王都から北の森? 北門からか。

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