《転生先は現人神の神様》41 神様、旅に出る?
馬車から出ながら、思わず笑いが込み上げてくる。
「フフフフ、傑作だ」
「えっと、ルナフェリア様?」
「おはよう、ブリュンヒルデ」
「おはようございます」
「これから旅をするからね、馬車を作っていたの。引くのは馬じゃないけど……」
「は、はぁ……」
馬車の全にマナタイトクォーツが使われ、外側に塗裝された木、車部分にはゴムと一応偽裝されていた。こっそり可部分はボールベアリングと呼ばれる技も使われていたりするが。
だが、完全に隠すつもりは無いのか面倒なだけなのか、マナタイトクォーツがちらちら見えているところもあるので、正直あまり偽裝しきれていない。
ブリュンヒルデからしたらよく分からないだらけだった。だが、本人は非常に満足気なので、ブリュンヒルデは何も言わなかった。その本人は馬車に満足したのかルンルンでベアテの方に向かっていった。
馬車の問題は外見よりその中だったのだが、中を見なかったブリュンヒルデは気づかなかった。
ベアテの作っている服の進捗を確認し、とりあえず朝ご飯を作り、皆で食べる。
シロニャンはまだ最適化中のようだ。旅に出るのは起きてからかな。明日になるかな?
朝食も食べ終わり、のんびりしているわけだが……エブリンがベアテのところにいるのが非常に不安を煽る。あいつ著るのが他人だからって調子乗るのよな。やたら出高いし。
ベアテは人類の服裝に詳しい訳が無く、言われたまま、思いつくがままに作るからな。
かく言う私も、恥心とやらが行方不明なんだが。神になって半年ちょっと。前世の時間計算では既に一年ちょっとだ。の形をしているだけで無だからなぁ……。スライムにでいて恥ずかしくないの? って狀態。
まあ、そんな事はともかく、ギルドに顔を出すとするか。渡すもんがあるとか言ってたな。
「あ、ルナフェリア様おはようございます。そのサイズ久々ですね」
「ええ、おはよう。これが基本なんだけどね。それより渡すもんがあるとか聞いたのだけれど?」
「々お待ち下さい」
今はデフォルトサイズ。つまり10歳時である。長的に見ると8歳ぐらい。
何で小さいんですか? 聞いたら『あなた子供好きでしょう?』言われた。自分の息子に娘も育て、孫も軽く世話したし、確かに好きだが、自分がなるのとはまた別だと思うのだが?
だけ好みに合わせてでかいのは悪意をじる。
まあ、自分の姿は自由に変えられるとは言え、最近は別にどうでもいいなとか思い始めた。
「おう、渡したいのはこれだ。これを向こうのギルドでけ付けに渡せばいい」
「なにこれ」
「まあ、萬が一にも間違えがないように、だな。ステータスリングとそれの両方見るだろう」
「ふぅん……リングだけで十分な気もするけど、まあいいわ」
「で、頭に何乗せてんだ?」
「んー……ペット? 恐らく霊に分類されるんじゃない?」
「となると……リングはいらないのか」
「んあー……付けてみようか」
従魔用のステータスリングをけ取って、最適化中で眠いっているシロニャンの左前足に付けようとすると、くっついた。
どちらかと言うと霊だと思うが、従魔用言っても、連攜できるだけのステータスリングだから、別にいいんだろう。
出発は恐らく明日、もしくは數日後だろうと伝えて帰る。
「主様、後は金屬です」
「流石に早いわね」
ベアテが持ってきたにマナタイトクォーツを《魔導工學》で加工し、固定していく。
お晝前には完したので、早速著替えてみる事に。
星晶のドレスアーマー アーティファクト
ルナフェリアと従魔ベアテと契約霊達の作品。
全屬軽減、魔力増幅、衝撃吸収、皺防止、清潔、溫調整、自調整、自修復。
金屬はマナタイトクォーツが使用され、布は聖魔布が使用されている至高の一品。
マナタイトクォーツが衝撃を吸収し、聖魔布が魔力を増幅し、魔法攻撃は軽減する。
サイズは自調整され、布部分の軽い破損は自的に修復される。
魔力を流せば修復速度上昇。
現在の所有者:ルナフェリア
星晶のドレスマント アーティファクト
星晶のドレスアーマーとセットのマント。
星晶のドレスグリーブ アーティファクト
星晶のドレスアーマーとセットのグリーブ。
ベアトップのドレスで、部分は正面をし開け、下と外側から寄せるようにマナタイトを加工。
スカートが珍しくふっくらしており、長さも脛ほどある。下の方は軽くフリルになっている。
橫は太もも辺りまで、後ろは座るのに邪魔にならない程度にお上ぐらいまでマナタイトで補強されている。
更に、別裝備の『星晶のドレスマント』。
これはベアトップで空いている肩から腕をカバーするで、上著のようなもの。
袖を通し下でマナタイトを使用し固定する。スカートのボリュームもあって、前までは來ない。
このマントは肩の部分と手首から肘までをマナタイトで覆っている。
マントの長さはスカートより長く、足首ぐらいまで。こちらもそこそこふっくらしている。
そして、収穫祭の時に付けていた、ルナクォーツとルミナイトのチョーカーを首に付ける。
靴はグリーブで、マナタイトの膝ぐらいまでのシンプルな靴になっている。
合いは布部分は全て黒だが、スカートは表が膝ぐらいまで黒、それから下は白。更に側を見ると聖魔布は全屬使わないと拗ねるのでカラフルだが、見ることはほぼ無い。
マナタイトクォーツの金屬部分はき通った白をしている。黒の聖魔布とマナタイトの水晶のき通った白で、つや消しされた様な白になる。
チョーカーは黒いルミナイトと青白いルナクォーツの網目狀。
マナタイトクォーツを使用した金屬部分だが、ゴテゴテしてなく、薄い水晶が覆ってる様なじになっている。ダイアモンドのような加工がされているが、下地になっている闇の聖魔布の黒では吸収される為、眩しさはじない。
ちなみに聖魔布だが、マナタイトクォーツで作られたデュランダルで切れた。
軽く振っただけじゃ問題なかったが、しっかりやるとかなり抵抗あるが切れる。その対策も込めてか、このドレスアーマーはかなり布が重ねられている。
そもそも私、理無効なんだが……? 私のことを思ってやってくれたようだし、言わないが。
早速デュランダルを左側に吊るす。
「どうよ」
「マナタイトクォーツといいましたか。実用も、見た目も兼ね備えているとは凄いですね……。その格好で普通にパーティー出ても問題ない出來かと」
「後は私がこのスカートの長さに慣れるだけか……まあ、ずっと著てれば慣れるでしょう」
「うんうん、ふっくらしてるドレスもやっぱり似合いますね!」
デュランダルで云々じゃなくて、ただのエブリンの指矩だったわ。どうしてくれようこの気持ち。
出は元だけか。こそ隠せとか思うが、私心臓無いので……。
まあ、このドレスアーマーは良いだ、うん。割りとお気にりの一品。
ちなみにショーツも作ったらしく、ちょっとサイドにフリルが付いた白でした。
どうせ最適化は1日だろう? 思ってたんだが、シロニャンが起きない件について。
ステータスを見る限り、特に変化はない模様。眷屬契約だから時間かかってるのかね。いつ起きるんだろうか。ずっと頭の上なんだが。
とりあえず皆で旅用のを買って"ストレージ"に放り込んで行く。この準備というのがまた、これから旅だよ! ってじがしていいじです。……え? この世界の旅は命懸けだ? 知らんな。
正直転移すればいつでも買いに來れるんだがな。そんなこと言ったらベリアドース大國に転移しろってなっちゃうので。
……馬車の旅をしてみたいんだよ! ただそれだけだよ! 戦う力はあるんだし、1回ぐらいは験しとかないとね。……そのうち空の旅もいいかと思っている。
夕食は鍋だな!
布団作る時に犠牲になった鳥を"ストレージ"から出して、鶏ガラスープに。
白菜とを重ねまくってスープに漬ける。ミルフィーユ鍋!
白菜ももとろっとしてうまい! ……んだが、霊達鍋の中にって食べるの止めない?
スッと白菜と摑んで持ち上げると、齧り付いてる霊が釣れるの笑うから止めよう?
霊の出(加護)たっぷりの鍋だよ。
結局皆が寢る時間になっても、シロニャンは寢たままだ。
布団で仰向けになり、シロニャンを元に置いていつも通り《月の魔眼》で世界を眺める。
今日も世界はいつも通り。
戦爭してる國もあれば、魔と日々戦っている國、都市もあり。
道端で野営している商人や冒険者達もいる。夜襲を難なく跳ね除ける人達もいれば、飲み込まれ死ぬ奴らもいる。良くも悪くも、ここはそういう世界で、私の『役目』とは関係ないのでスルーだ。
數匹の霊長類が、數匹の魔に殺られた。ただそれだけの事。所詮この世は弱強食。
元々見ず知らずの者達がどうなろうと、知ったことではなかったが、流石に目にれば何かしらの行はしただろう。だが、今は全くそんな気もない。神としての価値観だろうか。
視點のせいもあるだろうか? 助ける分には転移して片付けるだけだが。
この世界に來て半年ちょっと。……今更な話か。この景は今日が初めてなんて事は無い。
むしろ日常茶飯事だ。ここはこういう世界なのだから。
と言うか、前世から思ってはいたが『神なのだから人間を助けるのは當然』という発想がそもそも間違いである。今は『神』としての考えと『人間』としての考えを持っているからよく分かる。
まあ、人間……人類からしたらそうあってしいというだけなんだろうが。
殘念ながら所詮人類などただのでしかない。神々からしたら人間だろうがゴキブリだろうが変わらん。どちらも等しく世界に存在する生命の1つだ。
だからなぜ苦しんでいるのに助けない! とか言われても、なぜ助ける必要がある? となってしまう。人間同士ならそら、助けるかもしれない。仲間意識や同族だ。知り合いなら尚更だろう。
しかし、こちらは神だ。種族が違えば価値観が大幅に違う。同じ人間ですら価値観が違う。同じ獣人ですら価値観が違う。だからなぜ助けないと言われても、正直反応に困る。差しが違うのだ。
そもそも、お前ら人間同時で助け合わない癖に、他種族に助けを求めるのはどうなんだ?
結局は『自分の思い通りになればいい』だろう? 人類の『理想の神』と『実在する神』が違うだけだ。人類の理想は『困った時に手を差しべてくれる、都合のいい神』。実在する神はそんな事なかっただけだ。勝手に作った理想像を押し付けられても殺意しか湧かん。寢言は寢て言え。
我々は運命などってはいないし、決めてもいない。全てお前達の選択だ。自分で決めてなかろうが、流された結果だろうが、それが自分の選択だ。自己責任。我々神々すら未來は分からん。
前世はともかく、今のこの世界には実在する。ちゃんと祈ってる者や捧げなどを用意してる者達は知できる。そう、分かるのだ。だから暇な時に見てはいる。
この世界には神々の奇跡と言われる《回復魔法》という便利ながある。これの在り方を考えるべきか。法國には喧嘩売られてる気しかしない。建國當時は超級を使えるのがそれなりにいたらしいが、今じゃ私を抜いてジェシカだけじゃね?
この世界、國王の名を使っての犯罪行為はバレたら當然即死である。國王程度で即死なら、神々の名を使っての犯罪行為はどうなるでしょうねぇ? ま、私がくのはもうし後だ。建國後かな。
前世の記憶は確かにある。あるが、今の世界とは違う世界の話。前世の世界でも國が違えば常識は変わる。世界が変われば前世の常識はほぼ役に立たん。
前世の自分は『知識の一部』と思っていた方がいい。実際にこの世界で半年、前世にして1年暮らしたが全然違うのだから……。前世の常識の部分は投げ捨て、この世界の常識を覚えていく。
人間の価値観と神の価値観。正直最近面倒になってきたが、人間の國に紛れ込むならこれを怠る訳にはいかん。いっそさっさと建國して投げ捨てたいと思わなくもない。
……ふむ、この時間は々考えてしまうな。思考速度も早いから余計に。1人というのも原因だろうか。考えたところで答えはでず、結局は自分が納得できるかどうかでしかないというのに。
結局は自分のしたいようにするのだ。
む……?
「ちゅい?」
「シロニャン起きたか」
「ちゅい!」
名前:シロニャン
種族:サクラートゥスヘッジホッグ
分:側近
稱號:神の眷屬
スキル
【???】
《Unknown》
【種族】
《半神》
【固有】
《スタイルチェンジ》《變化の》《神の代行》
《忌月の魔眼》《闘気の魔眼》《霊魂の魔眼》《解析の魔眼》
【所持稱號】
一般
固有
[転生者][神の眷屬]
サクラートゥスヘッジホッグ
神と眷屬契約したハリネズミ。能力は地上の者を遙かに凌駕している。
は白く、青銀のを持ち、目は紫。
主に補充してもらう必要があるが、量の神力を持つ事ができる。
サクラートゥス:聖別された・神聖なものとして崇められた。
青銀:銀に青を混ぜた。軽く金屬の様な反をする青みがかった白。
ああ、やっぱ種族変わったか。
合いもちょっと豪華になったというか、神々しくなりましたね。ハリネズミだけど……。
そして、速攻で[月の民]じゃなくなると。
シロニャンは神力を分けてあげたら、早速《變化の》で喧嘩売りに行った。
ハリネズミ狀態だと喋れないっぽいし、喋れる人形ひとがたに變化したいようだったな。なんでもいいからとりあえず早いになれるようにはしておきたいようだ。
とは言え、喋れる人形って何がいるんだ? 《變化の》に人間いるのかね? 今のシロニャンだと瞬殺だろうな……。
《神の代行》は……主の力の一部を使用するか。となると、主によって効果が変わるんだな。
主が月神だと……魔法系ブースト……マナ作も多可能なのか。月神と月の民の間か。
相変わらず元を陣取ってたシロニャンがビクッとして……「ちゅいー! (くそー!)」と鳴いたと思いきや、すぐに《變化の》で抜け殻になった。
……もしかして負けたんですか? いったい何と戦ってるんです? ハリネズミの見た目してるけど神の眷屬だぞ……? 経験不足で負けるとしか思えんな……。
……シロニャン、お前馬鹿か? 何でいきなり熾天使セラフィムクラスと戦ってるんです? いや、確かに喋れるし、人形としては最強クラスだけどよ? ……まあいいか、好きにやらせよう。どうせ死なん。
"オーディール"などの異次元戦闘は神的に疲れるだけで、デメリットはない。1人での修行には丁度いいと言えば丁度いい場所だ。例え向こうで頭吹き飛ばされようが、ミンチになろうが問題ない。そういう修行の使い方もありかね。
ビクッ!
「ちゅいー! (くそー!)」
……負けたか。やっぱ対空が辛いようだな。魔法ぶっ放しても當たらなきゃ意味がない。
ハリネズミ狀態では飛べないからな。々浮くぐらいか。
「シロニャン、まずは普通に天使アンケロイをぶちのめして、飛べるようになってから順番にいきなさい。そうすれば普通に空中戦よ」
「ちゅい! (分かった!)」
これでよし……と。
さて、後は馬車を何に引かせるかだな……流石にあの狼に引かせるわけにもなぁ……。ツキノワグマに引かせてもいいけど……《召喚魔法》より《人形魔法》で引かせた方が良いか? 《人形魔法》の方が形が自由だし、馬も可能か。うん、そうしよう。
◇◇◇◇
「必要なは買ったし、これ食べたら冒険者ギルド寄って、旅に出るわよ。ブリュンヒルデは城に戻るのよね?」
「はい、戻らせていただきます」
「ベアテが殘るって言うから、用あったらベアテに言うように。《従魔魔法》の"念話テレパス"があるから、私に連絡できるわ」
「分かりました。そのように伝えておきます」
「ということだから、ベアテよろしく。防衛に関してはうるさければ簀巻にして転がしておくなり、どっかに吊るしておいて。力ずくでこようものなら別に始末しても構わない」
「分かりました」
「まあ、蜘蛛系の最強クラスであるアラクネに、喧嘩売るとは思えないけど」
「想像を絶する馬鹿と言うのはいるものですからねぇ……」
「馬鹿しか絡んでこないのはなんとかならないものか」
「『絡む』という時點で馬鹿がする行為ですからね……」
「……確かに。事故に遭ったようなもんね」
朝食をサクッと食べ、予定を決めて、そそくさ行開始。
えっと、"マジーアボディ"で馬を作り、馬車に繋いでる間にジェシカとエブリンを馬車に乗せる。すると中から「なんですかこれー!」と言う2人のびが聞こえたが、とりあえず放置して馬を繋げる。
バタバタと出てきたエブリンにブリュンヒルデが連行されて行ったが、変わらず放置する。繋ぎ終わったのを確認し、私も一先ず馬車へる。
「フフフフ。どうだ、私の傑作は!」
「どうだも何も、いったいどうなってるんですか!」
エブリンは今日も元気である。
騒いでる理由は単純だ。馬車の見た目と中の広さが一致していないからだろう。中にるとあら不思議、それなりの広さの部屋が存在する。
「単純な話よ。《空間魔法》があるんだから、空間拡張出來ても不思議ではあるまい?」
「……えっ?」
「いえ、不思議です……」
「《空間魔法》と言えば空間拡張と転移でしょ! 空間拡張魔法と魔法定著させるやつを凄い必死に開発した」
「おおー……」
「《魔法工學》の"マギフィクサティ"とは違うのですか?」
「違う。"マギフィクサティ"はあくまで『魔法陣の定著』。今回開発したのは『魔法の定著』。魔道や魔裝で例えると、ある程度品質が約束されるのが前者。能が完全に製作者次第なのが後者。使用した魔法を定著させる為、使用した魔法がそのまま魔道や魔裝になる。主に魔法陣が存在しないイメージからのオリジナル魔法に使用する」
「では、この空間も空間拡張魔法を定著して出來た、魔道によるものですか?」
「そうね、核となるルナクォーツが中心に埋めてあるわ。"マギフィクサティ"と今回の魔法付與……まあ"エンチャント"としておこうかしら? 微妙に違いはあるのだけれど、専門知識だからね」
テンションの高いジェシカとエブリンを馬車に乗せ、先に東門に行かせる。私は冒険者ギルドに寄っていく。
ブリュンヒルデとは暫しお別れ。名殘惜しいとか言ってたが、聖域だしな。空気が違うし、聖域果実が食べれて、お風呂もフリー。決まった時間に就寢できるし、そもそも仕事がほぼない。侍からしたら夢のような職場だろう。流石に旅にまで連れ回す訳にはいかん。
「あ、ルナフェリア様。これから出発ですか?」
「そうよ。一応聞くけどマースト方面の護衛はある? 無いなら無いでこのまま出発するけれど」
「えーっと……確かマースト方面は無かったはずですね」
そう言いながらテアさんは魔道を作している。依頼板と連攜されているようだ。「検索……護衛、マースト……」とか言ってるし、中々高能そうだ。
「やっぱり無いですね。マーストへの護衛は人気依頼の1つでもありますし。後はこの時間なら唐突に來るのがいるぐらいですかね」
「唐突に……ねぇ……」
冒険者ギルドに1人のなりのそこそこ良い男がってきた。男は真っ直ぐけ付けに向かう。
「ようこそ冒険者ギルドへ。ご用件は?」
「商人の者ですが、マーストまでの護衛依頼をお願いしたい。7時に出発予定で、2パーティーほど募集してしい。荷馬車が6臺になります。途中の街で一泊予定です」
などなど別の付嬢と話している。
「……と言うように唐突に依頼がる事があるんですよ。早朝に採れた良い出來の野菜や魚介類の加工品などなど、出來る限り早く持っていきたい新鮮ななど、我が國ではありますからね。それらの理由がある商人達が、この時間に急いで依頼をする事が結構あるんです。この國特有ですけどね。基本的には護衛依頼の場合1日前とかになります」
「なるほどね……」
「どうします? あの依頼けますか?」
「こっちは3人だから、依頼容的に合わないでしょう?」
「いや、ルナフェリア様なら1人で十分でしょう……荷馬車6臺1人でカバーできちゃいますよね?」
「……まあ、やれるかどうかならできるわね。む……? そうか、《召喚魔法》で護衛を召喚すれば私もサボれるわね……」
「では1枠取っちゃいますねー」
依頼に関してはテアさんに任せ、念話でジェシカとエブリンに伝える。出発の時間を伝え、それまで東門手前の空き地に止まらせる。ここがどうも、商人達や冒険者達の最終準備場所になってるようだ。《人形魔法》の馬だから、作は私だけどな。
「では、商談は奧の部屋で構いませんか?」
「いえ、ここで構いませんよ。すぐ終わりますし」
「ではあちらでお願いします」
「ええ、分かりました」
依頼人の商人の男が隅のテーブルと椅子がある方に移した。
「ルナフェリア様、あちらで最終確認をすることになります。お互いに話して問題ないようなら正式に依頼を注します。細かな條件や人柄を確認する段階ですね。護衛では基本的な流れになります。本來は1日前にけて、ギルド側が依頼人に連絡、ギルドの一室で確認になります」
「なるほど、分かったわ」
まあ、確かに。信用でき無さそうな奴を護衛として雇うわけにもいかんだろうしな。
「あ、アクトさん!」
「ん?」
ふと、商人の男がってきた男に聲をかけた。
「これからマースト行くのですが、護衛依頼どうです?」
「いつです?」
「この後7時には出ます」
「ふむ……まあ食料買うぐらいですが……どうする?」
「良いぞ。あの人の所は報酬良いしな」
「うんうん」
「……と言うことなのでけますが、我々はAランクですが?」
「それについては揃い次第お話します」
ふむ、アクトか。欠損した腕を治してやったPTのリーダーだったな。ランクはAだから申し分ない。が、逆に過剰でもある。ファーサイスマースト間の易路は比較的安全とされている。例の不死者騒によりもぬけの殻となった森もある為、余計にだ。
まあ、揃ったようなので行くか。直接話しを聞けばいいだろう。
「もう1つのパーティーは私よ。よろしく」
「……姉さん!?」
「えっと、アクトさんお知り合いで?」
「え、ええまあ。うちのタンク……グラズの恩人です」
「私に加えて侍が2人。どちらもCランクね。私を含め全員《回復魔法》持ちよ」
「なんと!」
「ファーサイス冒険者ランク詐欺筆頭です……」
「これからベリアドース行ってランク上げるか、ギルド退するのよ」
「えっ! 退するんですか!?」
テアさんがガタッてしてる。
條件次第では退余裕です。國作ったら冒険者どころじゃないだろうし。
「條件次第ではね」
何か祈り始めたテアさんをスルーして護衛の話を進める。
ファーサイスマースト間は本來は安全だが、なんでも不死者騒があった森に人工らしきが出來ていてれないらしいよ? それで警戒態勢らしい。
……おかしいなー? 心當たりが凄いある。今國予定地は壁で囲んでるんだ。中にある巨大な湖を利用して魔導水路を作るのに、何かがってきても面倒だからり口作ってない。
大通りも決めて、ギルドなどの公共施設を建てる場所も決め、住宅區や商業區なども分けたりしている。《土魔法》で大型重機真っ青の作業してるから、他の生いると邪魔なんだわ。
さて、どうするか。ネタばらしするべきか。知らんぷりするべきか。
そもそもあそこは未開の地で、どこの領土でも無いし、開拓できるならやってみろ狀態の場所だから、文句言われる筋合いは無いのだが。國王にはあそこ開拓するからって言ってあるし?
ふむ……。
「それって、森にってしばらくすると黒い壁がある所の事?」
「え、ええ。そうですね。知っているんですか?」
「……知ってるもなにも、現在進行系で私の分が開拓してる場所ね」
「「えっ!?」」
「私の引越し先を開拓してるのよ。《土魔法》で調整してるから、生いると邪魔なのよね」
「…………」
「流石姉さん。規模がでかい」
商人の男はポカーンとし、何故かアクトは心している。
「えっと……では警戒する必要はない……と?」
「その壁の事で警戒しているなら不要ね。中も私の分しかいないし」
「……証拠のようなものはありますか?」
「証拠ねぇ……。あー、なんなら中に行きましょうか。"ゲート"」
「えっ」
《空間魔法》自が難しいとされ、使えても初級が大半のこの世界。しかし、いともたやすく上級の"ゲート"を使用した事に商人の男は驚愕していた。
アクトを含めた冒険者達は普通だった。なぜなら普段ギルドから帰るのが転移だからである。
《月の魔眼》を使用した、目視の短距離転移魔法"ジャンプ"を使用している。だが、他の者からしたらそんなことは分からないので、超級の長距離転移魔法"テレポーテーション"を使用しているように見える。しかも魔法陣の展開すら見えず、瞬時に、唐突に帰るのだ。上級の"ゲート"ぐらいじゃもはや騒がないように訓練されていた。
不死者の森の時に、転移で突然現れたルナフェリアに助けられた経験のある冒険者もそこそこいる。そのせいもあるだろう。冒険者ギルドでルナフェリアに絡む馬鹿はいない。いた時點でよそ者確定である。
"ゲート"を潛るとそこは森の中だった。
はるか遠くに壁らしきがぐるっと囲っているのが見える。超巨大な大木が存在し天を覆っているが、大木と大木の側にある巨大な湖は青白いを微かに発している為、暗くは無い。湖からびている水路もを発し、至る所へとびている。非常に幻想的な景が広がっていた。
「この大樹は神木。永い間存在し、大量のマナを放出するように変化した、森の神と言えなくもない存在。植達にとってマナは栄養となる。そして神木の葉がこの湖に落ち、溶け込む。故にこの森はかだった。不死者のせいで見る影もないが、それを修復し霊達の棲家とするつもり」
「これは……なんとも……」
「ま、見ての通りこんな狀態だから中は安全ね。私の分だけよ」
指差す先には軽く浮いた狀態で飛び回るもう1人の私が存在する。順調に整地されていっている。
正直出発までそんな余裕は無いので、さっさと帰る。こっちは準備萬端だが、アクトPTはそうでもないだろう。
「さ、帰るわよ。準備必要でしょう?」
「貴は何者ですか……」
「なんであろうが私は私でしかない。私は私のしたいようにする。……そろそろ結界張ってマナ濃度上げようかしら……」
「……冒険者相手に詮索するのはあれですか。良いでしょう。では護衛よろしくお願いします」
商人は早々に考えを破棄し、私と好意的である事をんだか……。まあ、商人とはそういう生きだし敵対しない限りは別にいい。頭の悪いやつと回転の遅い奴は商人などできん。
アクト達は流石姉さん! としか思っていなかった。最早信者とも言える狀態である。そんな信者アクト達から目を逸らし、ギルドに戻る。
ギルドで正式に護衛依頼をけ、各自準備にった。警戒する必要はなくなったが、もうこの際だからとそのままアクト達を雇うらしい。まあ、比較的安全とは言え、盜賊はどこでもいるからな。
一応私も馬車がある事を伝えておいた。馬車計7臺の大所帯だ。アクト達をそれぞれの馬車に配置し、私は1番後ろを馬車で付いていく。
馬車に対して明らかに護衛がないと、盜賊に狙われやすい。まあ、當然の事だろう。その為もう1PT雇うかと言う話も出たが、《召喚魔法》で嵩増しするから私が卻下しておいた。
《召喚魔法》では1番弱いが、1番消費がなくびしろがある。そして、者の影響が一番出るのが初級だ。
初級では騎士を召喚する。この騎士は戦えばじわじわと経験を積む。追加されてからファーサイスの騎士と遊ぶ時は、この騎士を召喚して手合わせさせたりしていた。
騎士はAIがクラウド的なで、は魔力のある限り作れる。故にそれぞれが積んだ経験は全て蓄積され統合される。上級だとワイバーンとか呼べるが、あの辺は個がある故1しか呼べない。
ファーサイス騎士100人Vsルナフェリア召喚騎士100のプチ戦爭訓練。これが中々悪くない。私としてもファーサイスとしてもお互いの騎士が経験を積むため、非常に良い訓練だった。
召喚騎士は戦え、待て、座れ、付いてこい、対象を守れなどの簡単な命令を実行する自立型だ。
このAIが使えば使うほど優れていき、より複雑な、融通の効くAIとなっていくようだ。騎士の的な戦闘力は者の召喚次第だが、中のAIはどのぐらい使用し、どれだけ濃厚な戦闘をしたかで同じ召喚騎士でも遙かに変わる。
いくらマナを注ぎ込み召喚しても、力や耐久、素早さは優れるが、AIが馬鹿なら技を持たない力任せの騎士になる。力のゴリ押しが効くのは一定までだ。それ以降はよくて囮だろう。
新人騎士Vs召喚騎士、一般騎士Vs召喚騎士、ベテラン騎士Vs召喚騎士とみっちりやって、プチ戦爭訓練も數回やったから、うちの召喚騎士はそれなりにやるぞ。ついでに《人形魔法》の人形Vs召喚騎士とかな。収穫祭まで暇だったし、なんでも良いからとりあえず経験させてった。
結果が多分、現狀冒険者のCランクぐらいはあるんじゃないかな……? 的にはぶっ飛んでるけど。まあ、技的にはCランク程度だろう。護衛として嵩増しするなら十分。見た目も目立つしな……。
さて、我々は既に準備できてるので東門で待ってるとしますかね。
揃い次第出発する事をジェシカとエブリンに伝え、馬車の中でのんびり過ごす。シロニャンは當分《變化の》で抜け殻だろうから、頭の上に固定。變化できる選択肢が増えれば増えるだけ、シロニャンの戦闘力が上がっていく訳だからな。
し離れた所に馬車が6臺並んでいるから恐らくあれだろう。忙しなく人が行き來し荷を乗せ、確認やらなんやらしている。
しばらくしてアクト達もやってきて、程なくして商人側も準備が終わった為出発する。この馬車の事はジェシカが東の防衛部隊の人に言ったらしく、すんなり通過する。
この世界に來てから初めての……馬車の旅が始まる。
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8 125 - 連載中345 章
悪役令嬢のままでいなさい!
日本有數の財閥に生まれた月之宮八重は、先祖代々伝わる月之宮家の陰陽師後継者。 人には言えない秘密を抱えた彼女は、高校の入學をきっかけにとある前世の記憶が蘇る。 それは、この世界が乙女ゲームであり、自分はヒロインである主人公を妨害する役目を擔った悪役令嬢であるという不幸な真実だった。 この學校にいる攻略対象者は五名。そのどれもが美しい容姿を持つ人外のアヤカシであったのだ。 ヒロインとアヤカシの戀模様を邪魔すれば自分の命がないことを悟った八重は、その死亡フラグを折ることに専念しつつ、陰陽師の役目を放棄して高みの見物を決め込み、平和に學園生活を送ることを決意するのだが……。 そう易々とは問屋が卸さない! 和風學園戦闘系悪役令嬢風ファンタジー、開幕! ※最終章突入しました! ※この素敵な表紙は作者が個人的に依頼して描いていただきました!
8 99 - 連載中5 章
魔法と童話とフィアーバの豪傑
グローリー魔術學院へ入學したルカ・カンドレーヴァ。 かつて世界を救う為に立ち上がった魔法使いは滅び200年の時が経った今、止まっていた物語の歯車は動き出す___。
8 176 - 連載中6 章
サウスベリィの下で
罪深いほどに赤く染まった果実の下、人生に背を向けて破滅へと向かう青年小説家と彼の最愛の”姉”は再會する。古び、色褪せた裏庭にて語られる過去の忌々しい事件と、その赤色の記憶。封じられた蔵書の內奧より拾い上げた、心地よく秘密めいた悪夢幻想の手記。
8 62 - 連載中65 章
【意味怖】意味が分かると怖い話【解説付き】
スッと読むとなんてことないけど、よく考えて読むとゾッとする。 そんな意味が分かると怖い話をたくさんまとめていきます。 本文を読んで意味を考えたら、下にスクロールして答え合わせをしてくださいね。 ※隨時追加中
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