《転生先は現人神の神様》44 ベリアドース大國

石を積み上げて作られたそこそこ立派な壁に囲まれた街。

至る所に行商人や冒険者がうじゃうじゃといる。賑やか……と言うよりはうるさい街だ。そこら辺から怒聲が聞こえてくるし、何か毆り合ってる奴らもいる。

そして問題は……。

「道のど真ん中で毆り合ってんじゃねぇよ通れねぇだろうが……轢き殺すぞ……」

「素が出てますよルナ様」

「…………」

さて、どうするか。ど真ん中で毆り合っているバカ共と、野次馬が邪魔でしょうがない。ただ毆り合ってるだけだから見てて楽しいもんでもないし。馬車が通れる道ってそんな無いんだよねぇ……。

はぁ、しょうがない……。

馬車を作する者側の窓を開け寄りかかり外に聲をかける。

「邪魔なんだけど、どいてくれない?」

「あ? …………なんだ、お嬢ちゃんこの國は初めてか?」

「ええ、ある程度聞いてたけどね」

「こんなのいつものことだぜ?」

「別に毆り合ってるのはどうでもいいんだけど、道塞がれると邪魔なのよね。しかもその理由が下らなすぎるし……」

「『ウルフとコケッコーの、どちらが味いか』だな」

「凄いどうでもいいからさっさと道開けてほしいわ」

毆り合っていたはずの奴らがこちらを向いて、ピタッと止まっている。

なんだ?

「「どうでもよくねぇだろ! 重要だろうがよぉ!」」

「どんな耳してんだこいつら……」

「おうおう、嬢ちゃんよ! 鳥やろうよりウルフだろ!」

「何言ってやがる! 犬っころよりコケッコーだろうが!」

何だこいつら、まじで。すげーどうでもいい。

「「何だとてめぇ! ぶっ殺すぞ!」」

「「……やってみろやごらぁ!」」

……マジでなんだこいつら。

と言うか……。

と言ったらシードラゴンのでしょう……生臭くもなく適度の脂が合って味しいわよ」

「「…………いや、値段の差よ」」

こいつら実は仲いいんじゃねぇの?

「まあ、は兎も角、邪魔なのよ。どかないなら轢くわよ」

「「はっ! やってみろ」」

「……轢かれたくない人は道開けなさい」

ぞろぞろと野次馬がき出し、ちゃんと道を開けた。毆り合ってた2人はなぜか馬車の前でふんぞり返っているので、おみ通り轢いてあげよう。

じゃあ出発。

―――うおっ! ぐはっ!

―――うおっ! ぐえっ!

殘念だったな。やってみろって言ったんだから文句は言わせんぞ。

邪魔がったが私が用あるのは冒険者ギルドだ。盜賊達のステータスリングが邪魔だ。

冒険者ギルド前に馬車を寄せ、私1人で降りる。他はお留守番だ。どうせステータスリング渡すだけだし、今はセラフィーナもいるからな。1人でいこう。

ギルド本部がこの國の王都にあり、王都の西側にあるためかこの街のギルドはそんな大きくはないようだ。王都の東が森となっておりそこから魔が來るらしいので、西のこの街は割とどうでもいいのだろう。強いて言うなら商業ギルドの方がでかい。

月杖・エーレンベルクまで持った完全武裝でギルドへ乗り込む。

ギルドの作りは大同じで、サイズによってカウンターの數が違うぐらいだが、雰囲気はその街ごとに全然違ったものとなる。

例えばファーサイス王都なら、冒険者ギルドは役所のような所だ。仕事をけたり報告して報酬を貰ったりといったじで、武裝した者達という事を除けば前世とそう変わらない役所の雰囲気だ。

だが、この街は酒場がセットになっているようだ。酒を呑みながら、食事をしながら騒いでいる。

って正面が冒険者ギルドの付、って左手が酒場の付となっているようだ。どの道飲み食いして騒いでる野郎共を突っ切らないとダメな訳だ。他の奴らを置いてきて正解だったな。

ギルドった直後視線が集まるのはいつもの事だ。誰だって音がしたら音のした方を確認ぐらいはするだろう。そして突っ切らなければ行けない所をガン無視して、"ジャンプ"でカウンターの前へと行く。わざわざ絡まれるような所を通る必要もあるまい。

「これ、盜賊がしていたステータスリングよ。処理をお願い」

「は、はい」

付嬢にゴトゴトと36個のステータスリングを渡し、待機をする。

それなりに有名な、厄介な盜賊だった場合それなりの討伐金を貰えるのだ。小遣い程度だが貰えるは貰っておくべきである。

ステンバーイしてたのは23人だったが、本拠地も來る間に転移して潰しておいた。殘しといてもいいこと無いし? 拠點にあるも討伐者のになるし。盜賊にしてはそこそこ蓄えがあったよ。盜賊にしては。36人の規模であの蓄えならそれなりに貰えそうなんだよね。

付嬢がヘルプを呼び3人で処理している間、一部の冒険者達は盛り上がっていた。

「パパのお手伝いかー?」

「ママのお手伝いかもしれんぞ」

「「ぎゃははは」」

でかい聲で盛り上がっている冒険者達から離れるように、練者と思わしき者達がそっとテーブルごと距離を置き、コソコソと話していた。

「あれに喧嘩売るとか……」

「めでたい頭してんな」

「どんだけヤバいか分かってねぇんだろ……」

「ある意味羨ましいわな」

「あの子が短気じゃないのが救いか」

「んだな」

「あいつのPTのエルフの姉ちゃん固まってんぞ……」

「あっちのドワーフのおっちゃんも固まってんな……」

子供がってきたと思ったら、短距離とは言え予備作なしの転移。そして一切の魔力をじない事で一瞬のうちにヤバさを悟る練者達。

そして可哀想なことにエルフとドワーフは種族的に霊が見える。ってきた時にいなかったが、バカ共が騒ぎ出してから明らかにヤバい霊が6人、霊王クラスが2人の計8人がふと現れたのが見えてしまう。

練者であるエルフの姉ちゃんやドワーフのおっちゃんなど、実力差も分からないバカ共と完全にゴミを見る目だったが、霊が目にった瞬間あまりの規格外で理解できずフリーズ。仲間のPTメンバーに再起され、バカ共を見る目が一瞬にして憐れみ一直線となった。

ついでにPTメンバーに警告するのも忘れない。

「分かってると思いますがあの子……いや、あの方に手を出してはいけませんよ……まず勝てません」

「……そこまでか?」

「付いてる霊様がヤバすぎます……あのなつき合、恐らく魔眼持ちで契約霊です」

霊使いか……!」

「なっ……!」

「なんだっ! えっ、何で泣いてんの!?」

「原初の霊様を……しかも全員をこの目で見られるなんて……」

騒ぐバカ共と突然泣き出すエルフやドワーフ、中々カオスな狀況となっていた。

そんな中ルナは一切表を変えず、微だにせず、付嬢を待っていた。の揺らぎも無いため普通に不気味である。

全てにおいて完璧な左右対稱。人間にある微妙な歪みが一切ない整いすぎた顔は『完璧すぎるが為、人としては不自然』になる。まるで作られた人形のように。

ルナには立っている時にあるの揺れも一切ない。いくら武を嗜んで重心移が優れていようが、重心がズレずともくだろう。

そういった意味でも、ファーサイス王都で言われていた『人形のよう』とは間違ってはいない。今の世界ならまだしも、前世の第6番世界地球。そこのショーウィンドウの人形に紛れて座っていても最高傑作として気づかれないだろうレベルである。

ルナはどうせ待たされるだろうと分に意識を回している為、ある意味では抜け殻なのだが。

「お待たせいたしました。それで確認したいのですが……」

「ああ、拠點ごと潰してきたわよ。証拠はこれね」

盜賊団を全滅させると、冒険者の討伐履歴に○○盜賊団制圧とか表示されるんだよね。魔とかと同じ扱いで笑う。魔みたいなもんだが。

モラルが欠如した者は人間と、人類と言えるか? や魔と何が違う? むしろや魔より知恵が回る分だけ質が悪いだろう。

モラルは大事だが、モラルというのは一方通行では意味がない。お互いが持ち合わせていないと意味がないのだ。

や魔は自分達が生きる事を第一にし、食を満たすために対象を襲う。

対して人は無駄に知恵が回るだけにも多く、モラルが欠如しているため抑えも効かない。殺したところで問題は……いや、むしろさっさと殺してしまった方が人の世のためだろう。

盜賊はもう人ではないから『殺人』ではない……と言う事だ。

「はい、確認いたしました。……こちらが盜賊団にかけられていた賞金になります。それで払い戻しに関してなのですが……」

けるのは構わないけど、これが終わったらすぐ王都へ向かうわ。ギルド本部に用があるから、そっち経由にしてくれる? しばらくはいると思うのだけれど……」

「分かりました、ではそのように致します」

「ええ、では行くわ」

「はい、盜賊団討伐ありがとうございました」

さて、馬車に戻って王都行くかと振り返った時、騒いでいたバカ共がニヤニヤしながら立ち上がる。當然相手する気など頭ないし、何より時間の無駄だ。話すだけで知能が下がる。

ギルドの外へと転移して馬車に乗り込み出発だ。興味がなさすぎる。

ルナのスルー力はそれなりに高かった。

なお、直後のギルドはと言うと……。

バカ共―――「「「えっ!?」」」

練者―――「(り口にもいない……"テレポーテーション"だと!?)良かった、短気じゃなくて……」

エルフ&ドワーフ―――「「「おう(ねえ)、お前ら(君達)ちょっとつら貸せ(話があるの)」」」

―――バカ共はドワーフだけではなく、エルフにすらボコボコにされてボロ雑巾のように転がった。

エルフとドワーフは完全に霊信仰だ。しかも今回、自分達の契約霊からルナの周りにいるのが原初の霊達である事を聞いてしまった。霊達からしても最上位の存在であり、エルフやドワーフからしたら神にも等しい者達だ。それが契約している存在にあの態度。的に優れないエルフ達ですら助走をつけて毆った後マウントポジションでボコボコにするレベルである。

マウントポジションはドワーフだと良くあることなので、特に言うことはない。

ああ、霊達が地味に參戦していた事をお伝えしておく。周囲の奴らはドン引きである。

「おかえりなさいませ」

「ただいま。このまま王都行くけど、いいわよね?」

「はーい」

「はーい」

エブリンとセラフィーナである。

すっかり元気なセラフィーナ。子供は食事で釣ると早い。フフフフ。もう、我々から離れたら食事が足りない事でしょう。フフフフ。

まあ、そもそも味しいしか用意してないんだから、どうしようもないのだけれどね。わざわざ不味いもの持ち歩く訳があるまい? 私にそんな趣味はないぞ。

お引越し準備ももう終了か。すっかり植えた果樹は育っているし、薬草の類も準備してある。ダンジョン無くても我々からしたらあれでも十分だな。隨分でかい庭になったもんだ。

ま、何はともあれ用事を済ませてからだな。面倒事が無ければいいが……。

◇◇◇◇

王都に到著だー!

ルナが変える前のファーサイス城壁以上のがベリアドース王都を囲んでいる。家も石造りと言うか、鉄筋コンクリートの様な作りしている。全的に建造がかなり頑丈のようだ。鉄をれてかなり頑丈に作られている。すぐ東が森のため頑丈に作るしか無いのだろう。

王都の東側は騎士達もおり、冒険者達も多い。冒険者達が基本倒しに行き、最終防衛ラインとして騎士達がいる。

1日に一回は必ず襲撃があるため、気を抜けない國だ。

なぜそんな毎日襲撃があるのか……それはとても簡単な事だ。未開の地である森がいくら広いとは言え限界がある。常に魔同士の熾烈な戦いがおきているとは言え、魔長は早く棲み家を失った奴らが人類の生活圏まで溢れている。只それだけのことだ。

まあつまり、処理が追いついていない訳だ。

これには々な理由があるが、簡単に言ってしまえば人類が狩りに行ってないからだ。減らさなきゃ増える。當然のことだ。

では何故狩りに行かないか……だが、行かないというより行けないが答えだ。所謂平和ボケ。冒険者達の全的な実力不足によるで、森にっていくほどの力がない。

數百年前は未知を求めてもっと冒険をしていたのだ。ただ、當然奧へ行けば行くほど危険になるし、奧へ行ったとしても別に跡があってお寶が出てくる訳でもない。

先人達がある程度の距離は既に行ったことがあり、そこで見つかる食料などは既に栽培している。つまりハイリスク・ローリターンになってしまったのだ。無理をする必要が無くなった、と判斷してしまった。森がいっぱいになったらどうなるか、考えればすぐ分かるだろうに、目を逸らした結果が今となる。當然ベリアドースだけの問題ではなく、森の近くは大こうだ。

更に法國が《回復魔法》を抱え込んでしまったのも原因の1つだ。

一時的に外敵(魔)の脅威は減った。そうなると國の運営、つまり政に力をれるようになる。

そうなると今度は武力より権力や財力に目が向き始め、安定していくにつれ『力』を悪用し始める。優れた冒険者を國に抱え込むため、騎士や貴族へ出世させたりで國力を上げ、國威を示す。

問題は《回復魔法》だが、これは別に戦闘でしか役に立たない、なんてことはない。日常的に使える非常に便利な魔法だ。當然王族や貴族が優れた使い手を抱え込む。誰だって怪我や病気は怖い。それに対抗できる《回復魔法》の使い手は誰だって側に置いておきたいだろう。冒険者と言う仕事が無くても《回復魔法》の使い手は仕事には困らなかった。

《回復魔法》があれば冒険者は多無理ができるのだ。ポーションも最低限でいいし、使い手によっては欠損すら治せる。數百年前はその為捗っていた。だが、今はそうじゃない。戦わなくても、命を危険に曬さなくても平民より遙かに良い給料がってくるのだ。誰だってそっちを選ぶ。

最前線に出る《回復魔法》の使い手がほぼ壊滅した為、全くもって捗らない。

そして極めつけに、月神ルナフェリアの存在である。

月神の力はマナの活化。月の力が強化されたことにより生が得るエネルギー量が微々たるだが確かに増えた。

これは別に魔に限らず、人類も含めた魔力を持つ生達全に効果がある。

だが考えてしい。ボクサーなどの戦うトレーニングしている者と、もやしっ子。使えるエネルギーを効率よく使うすべを知っているのは、持っているのはどちらか。

前者は常に森で命懸けの戦いをしている魔達。後者は平和ボケしている人類だ。

いくら微々たるものとは言え、そこには確かな差が出來ていく。

まあ、これはルナフェリアが悪いわけじゃなく、サボってる人類が悪いのだが。

森という川が氾濫したらどうなるか、考えるまでもない。流れてくるのは水ではなく魔の群れだ。冒険者や騎士という防波堤がボロボロな狀態なのが今の人類の狀況だ。ちなみにもうひび割れた防波堤からチョロチョロとれてる狀態である。

そしてベリアドースはファーサイスと同じ城郭都市……だが、外壁の耐久が不安でしか無い。

確かに鉄筋コンクリートの様な作りなので頑丈は頑丈だが、メンテナンスが怪しい。

冒険者の質が落ちたと言う事は魔法技も落ちた訳で、當時作られた外壁を満足に直せない殘念な狀態である。

ファーサイスも似たような狀態だったが、ルナフェリアが丸っと作り変えた為、數千年はあのまま持つだろう。込められた魔力と魔法技が尋常ではない。

「『過去にあった戦いの激しさを現代へと伝える為の傷』『勲章の傷跡』的に言えば聞こえはいいけれど……言い方変えると『復元する技、お金がありません』よね」

「「…………」」

ジェシカとエブリンから苦笑頂きました。ありがとうございます。反省はしない。

「いやぁだって、外壁よ? ぶっちゃけさっさと直せって思うでしょう? 突破されたら灑落にならんぞ」

「まあ、そうなんですけどね……」

「うんうん」

「多の傷は頼もしさがあるかもしれないが、ボロボロすぎていつ壊れるのか不安でしか無いでしょうこれ」

「ぼろぼろー」

「……ん? 西側でこれ? 東側どうなって……あー……ああ、頑張った努力の跡は見える。けどそれが逆に頼り無さを倍増させる……もう壁は見なかったことにしよう」

壁を見てたら順番が來たので王都にる。

通りを見ると大目にるのは武裝した冒険者達だ。かなり冒険者の數が多い。

そして肝心の冒険者ギルド本部だが、納得のサイズである。大貴族の屋敷ぐらいの大きさだ。大したもんである。まあ、じゃないと処理しきれんのだろうが。

真っ直ぐ向かうか。どうせすんなり終わるとも思えんしな。

馬車が並んでいる所に並べ、今度は全員で降りる。

さてさて、行こうか。

「セラフィーナ、その4人から離れないように」

「はい!」

「うむ、元気でよろしい」

セラフィーナはベアテに頼んだ薄緑のワンピースを著ている。風の聖魔布が表だな。ついでに地味な指と地味なチョーカーをしている。どっちもGPS的なだ。

まあ、歩く時はジェシカとエブリンの間にって2人と手繋いでるから大丈夫だろう。アストレートとマハはそっちの護衛が優先だし。

シロニャンは相変わらず頭の上に陣取り、セラフィムクラスは一先ず諦め、他のを埋めているようだ。まあ、あいつら純正竜より厄介だしな。

人のサイズで飛び回るドラゴンだと思えばいい。ドラゴンより小回り効くし面倒だ。

早速ギルド本部にると凄い數の筋がいた。

ごっついなぁ……ごっつい癖に……いや、我々と比べるもんじゃないか。さて、空いてるカウンターは……どうせ來たこと知らせるだけだしどこでもいいだろ。

「ようこそ。ご用件は?」

別のが近づいてきたと思ったら、付嬢に拳骨を落としてチェンジした。

「い、いたぃ……」

「そこら辺の筋ダルマなら兎も角、口調は相手を選べと言っているでしょう」

「ううっ……」

「失禮いたしました。冒険者ギルド本部へようこそいらっしゃいました。ご用件をお伺いします」

……さらっと言ったそこら辺の筋ダルマと言う部分はスルーした方がいいんだろうなー。

「SSSトリプルエスの件で呼ばれたルナフェリアよ。ギルマスを呼んできてくれる?」

「……! 確かファーサイスでしたね。預かっているものがあると思われますが……」

なんだ? この人この本部ではかなり上の立場のようだが……今の苦い顔は……。

とりあえず預かっているを渡し、ステータスリングで間違いが無い事を示す。

「ありがとうございます。々お待ち下さい」

「ええ、分かったわ」

……さて、どうしたもんかな? これは無駄足だったか?

「ねえ、貴

「は、はい!」

「ギルマスってどこにいるの?」

「ギルドマスターですか? 確かテクノスへ行くとかなんとか……」

「いつ頃行ったか分かる?」

「私が來た時にはいなかったので……一月ちょっとぐらいは前かと?」

「ふぅん……」

「え、どういうこと? ルナ様を呼んだのギルマスですよね?」

「まあ、つまり面倒事だということよ」

今回ギルマスは関與して無さそうだな。ギルマスの名を使ってサブマスがいたのか。

んで、ギルマスはまともだがサブマスが……ああ、國が私を取り込もうとしてるのか、くだらん。冒険者ギルドと言うより、國の上層部の一部がいてるのか。サブマスは賄賂を以前から貰ってるようだ。ふぅむ……。

まあ確かに? 外壁がこの狀態なら、ファーサイスの城壁を1日で作り変えた私はしかろうな。やり方が気に食わないから絶対手貸さねぇけど。ハハハ。

さて、どうしたものか。さっさと片付けてしまうか、茶番に付き合ってやるか……。うーん……。

とりあえず引っ張り出すか。

「お待たせいたしました。ご案いたします」

「私は『呼んできて』と言ったのよ? 話すことはSSSについてなのだから、將來なるかもしれない彼らがいてもいいでしょう?」

「し、しかしですね……」

「じゃよろしくー」

付嬢さんがとぼとぼと向かっていってしばらく……。

「あの……」

「まあ、やっぱ來ないわよね。私が呼ぶからいいわ」

「……えっ?」

「"トランスファー"」

まず魔眼でおっさんを探します。そしたら"トランスファー"でこちらに強制転移させます。ね、簡単でしょう?

「……は?」

「いらっしゃい。じゃあSSSについて話しましょうか」

「…………」

しだけ茶番に付き合ってやるからさっさと再起しろ。

「……お前がルナフェリアか? ずいぶん若いな」

「ぬかせ、貴様の倍は存在してるわ」

分制度なこの世界、私を呼び捨てにするのは分かるがとんでもない地雷である。正直私からすればどうでもいいのだが、霊達が……なぁ……。

しかもこいつ、私が神生命って言ってるの知らんのか? どうすんだよこの空気。私からすれば面白いけどな!

「それで、私をSSSにするかどうか、って話しだけれど?」

「う、うむ。そうなのだ。それでその際の條件を考えていたのだがな……」

「私としてはSランクの決まりをベースにSSダブルエス、SSSと余計なことを付け加えずやってくれればいいのだけれど?」

「しかしだな、ギルドが出來てから初のSSSの誕生だ。周りへの影響も考え當分はギルド本部のあるこの國にいてしいのだが?」

「斷る」

「なっ……。そ、それではSSSになれんぞ?」

「別に構わないわよ? こちとら呼ばれたから來てやっただけだもの」

「SSSを蹴ると言うのか!?」

「ええ、別に私の強さが変わる訳でもあるまいし。元々かなり自由だった冒険者で、無駄に縛られるならない方がいいもの」

「冒険者最強と言われる地位だぞ……」

「冒険者最強と言われようが言われなかろうが、私の強さに影響はない。言われようがなかろうが、私からすれば『どうでもいい』。変な制限が付くぐらいなら無い方がマシだと言っている」

こいつあんま頭良くないなー? 頭が固いと言うか……まあ、野心の塊のこいつからしたらこんなもんか。視野が狹まっているということかな。私にそれはなんの魅力でもないと言っているのに、聞きやしねぇ。

あんま楽しくないしいいかな。そもそも元からそんな趣味無いし。さっさと片付けようか。

「そもそもさ……貴方サブマスターでしょう? なぜギルド初のSSSとか言っといてマスターがいないの?」

「そ、それは……」

「それは?」

「急用ができて別の國に行かなきゃならなくなってな……」

「テクノスにいるならそっちの方が近かったのだけれど?」

「っ!」

この茶番を簡単に終わらせる方法がある。ギルドマスター本人を呼べばいいのだよ。

生産ギルドのマスターと話しているようだが、割り込ませてもらおうか。"ゲート"を部屋に繋ぐ。

「な、なんだ?」

「……"ゲート"……か?」

突然部屋にゲートが繋がるとびっくりするよねー。基本的に重要な所って魔法防がれてるはずだし? "ゲート"自上位だし。

「冒険者ギルド本部のギルドマスター、いる?」

「……俺がそうだが?」

「貴方からSSSに関してギルド本部に來いと呼ばれたのだけど?」

「は? なんだって?」

「SSS……もしかしてルナフェリア嬢かな?」

「セザール君にでも聞いた?」

「うむ、聞かせてもらった。話してみたいと思っていたんだ」

「生産ギルドの方は今回の要件が終わったら顔出すつもりだったから、後でいいかしら? とりあえず今の狀態を説明するわね」

「ああ、説明を頼む」

とりあえず"ゲート"越しではなく、こちら側へ來てもらい説明をしてしまう。

騒いでたサブマスターは《沈黙の魔眼》で黙ってもらった。太った男が口パクパクしてる。

「―――という訳。何か質問は?」

「……おいブルーナ、マジ話しか?」

「はい……」

「……はぁ」

大変だな拭いする者達は。だが巻き込まれる方も大概面倒だ。

SSSという地位より、帝や王と言う分の方が遙かに便利だろう。

「"キュアサイレント"」

「―――した! む!? おい貴様! 冒険者の分際で!」

「この場でそのセリフ、死にたいのか」

今いるのは冒険者ギルド本部のロビーだぞ。

「こいつが何故サブマスターなどやっている?」

「そ、それはだな……」

まあ、分かってはいるのだがやはりギルマスはいいづらいか。

「なるほど、無理やりねじ込まれたか。ご苦労なことだ。無能の方がるのは楽だろうしな。丁度いい駒だったのだろう。この國は『権力』より『武力』だと思っていたのだが、どうやら私の勘違いだったようだ」

「む、無能だと!」

「無能だろう? 自分のことを言っていると理解できたのは褒めてやるが、貴様の発言は突っ込みどころが多すぎてスルーしたくなる」

「何だとガキの分際で!」

「私に話しかけないでくれるか? 貴様と話していると知能が下がりそうだ」

「ああ、話さない方が良いぞ。そのうち自分がちゃんと話せているのか不安になるからな」

「なっ!」

「……苦労してそうねぇ」

ギルマスがやれやれとため息混じりにこめかみを押さえている。

「貴様ら冒険者などこの國にいられなくしてやるからな!」

とか言いながらサブマスターが出ていった。

當然殘された全員はぽかーんである。冒険者出ていったらこの國間違いなく地図から消えるけど?

「お、おい。どうすんだよギルマス?」

「大丈夫だろ。あれは馬鹿でも流石に俺達がいなくなったらどうなるか分かってんだろ」

「いや、もし分かってなかったらだよ。だって……なぁ……」

え? そんなにこの國ダメダメなの? 全員微妙な顔してるんだけど?

國の報は……エブリンか。……考えてますね。脳會議はどうなりそうですかね?

あぁ? ああ、そうか。逆に今まで平気だったから無駄に自信あるのか。でも普段狩ってるの冒険者達ですよね? あっ、それに気づかない? ……エブリンが遠い目になった。

「そうか、やべぇな。どうすっかな……ギルド本部どっかに移さねぇと? テクノスは生産、マーストは商業があるしな……。個人的に言えばファーサイス行きてぇんだが……」

「いくらなんでも無理ですよ……いきなり過ぎますし、あそこのギルドはそんな大きくなかったような……」

「ちぃ……冒険者達はぶっちゃけどうにでもなる。問題はギルド職員達だな……」

ギルマスが職員會議を始めてしまった。私はどうすればいいですかねぇ……。この國が地図から消えようが正直どうでもいいのですが。

……セラフィーナと遊ぼう。ほーら、空を泳ぐ水で作られた無駄にリアルなお魚さんよー。

遊びながら思うが、冒険者ギルド本部をうちに移させればいいんじゃね? これって地味にチャンスじゃねぇ? でもまだダンジョン無いしなー。いや、いつでもできるとか言ってたか。

伝えるだけ伝えておこう。

「冒険者ギルド本部、うちに移させてもいいわよ?」

「……え? どういうことだ?」

「私の引越し先の敷地にダンジョンあるのよねー」

「は? ダンジョンだと?」

「ええ、ダンジョン。場所はファーサイス東、マーストの南にある森の中。來るなら土地も建もこちらで用意する。私の獨裁政治で構わないなら來るといいわ」

「ど、獨裁? え、國なのか?」

霊達の……ね。人類はおまけ。霊達に手を出したらその場で死んでもらうし、果樹や果実に手を出しても死んでもらう。後は大ファーサイスに準じる」

「お、おう……」

「人類が住まないならただの私の家、土地。ただ、さっきも言ったようにダンジョンがあるからね。人類が住むなら國とした方が楽でしょう。ちなみに広さはファーサイス王都並」

「かなり広いが……ううーむ」

「まあ、選択肢だけは與えておくわ。今すぐ來いとか言わないし。他にあるなら他行けば良い。要するに、私の家の庭に住むからには私の言ったルールには従ってもらう」

「ふむ……ダンジョンか……。そのダンジョンどうなんだ?」

「鉱も採れるし、香辛料も採れるし、魔も當然出るわね」

「なに!?」

「鉱も採れるですと!?」

「フフフフ……」

生産ギルドの方のマスターまで反応したわ。まあ、ドワーフだしな。やはり気になるのか。

「ふむ……森とか言ってたな……安全はどうなんだ?」

「既に壁で囲い上空は結界を張ってある。強いて言うなら南にある山から魔が來るぐらいね」

「まじか……」

「まじよ。冒険者がダンジョンに行って香辛料を取ってき始めたら、その香辛料でファーサイスと易する予定ね。向こうは野菜、こっちは香辛料。これをマーストの商人に頼んでもいいかなと。殘念ながらこちらからテクノスに聲かける予定は無いのだけれど、生産ギルド置きたいと言うのならそれは別に構わない」

「おお、本當ですか!」

「ギルドは公共施設として建はこちらで用意しましょう。冒険者達は周囲の警戒とかしなくていいから、ダンジョンに潛って々取ってきてくれた方がいいわね。國とは言っても結局は私の家だ。外敵は私が排除する」

「……何かもう、ギルド本部移転したい。この國頭が痛いぜ……」

「ま、好きにすればいいわ。さっき言ったルールを守れるならね。私がいるうちに決めたら引越の手伝いしてあげましょう。と言っても"ゲート"で繋ぐだけだけど」

「向こう次第だなぁ……いや、前々から移転は考えてたしいっそ……? ああ、SSSの件も考えないといけないんだっけか。くそめ……」

「私は別にどうでも良いけれどねぇ……。人が住み始めたら冒険者どころじゃないし」

あーでもないこーでもないとバタバタしている冒険者ギルド本部。

どうも移転の方向で話が纏まりそうだ。そこまで信用無いか、上層部。

で準備進めておきますかね……。それと……。

『創造神様』

『何ようかね』

『ダンジョン作れますか?』

『あら、もういいの?』

『ええ、分使えばどうにでもなるので別にいいかと』

『分かったわ。じゃあ追加するから。ついでに魔法の仕様変えるからね』

『……えっ?』

ええ?

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