《転生先は現人神の神様》46 ギルドの存在と他國とシロニャンのピンチ?

「ルナフェリア嬢、こちらを……」

セザール君が黒い板を持ってきた。SSSの証だ。冒険者ランクはCなので、今の私のリングは赤い。

そして、セザール君が黒い板を私に差し出した瞬間、周りにいた者達がざわついた。

どのギルドにもSSSトリプルエスどころかダブルですら存在しない。それが初めて誕生するのだからざわつくのも當然か。

とりあえず周りは放置して、黒い板をけ取りステータスリングへとれさせる。リングが黒く染まり、赤い板が手に殘された。

「この赤いのはどうすればいい?」

「冒険者ギルドのですな?」

「ええ、冒険者の奴ね」

「どのギルドでもいいのですが、冒険者ギルドに戻る予定でしたら、そちらに渡していただけると楽ですね」

「じゃあそうしましょう」

「お願いします」

「さて、登録も済んだし契約の話に移りましょうか。まずこれが魔法紙スクロール。そしてこれがレシピになるわ。スクロールの売上の2割を私にくれればいい。"エンチャント"に関しては、攻撃系などは6割、防系や生活をかにする系は4割貰おうかしらね」

「む、スクロールは了解しました。"エンチャント"は分けるのですか?」

「どうせなら平和利用してしいからねぇ」

その後しっかりと契約を結び、折角なので生産ギルドについて確認と言うか、改めて全の説明をけていた。

生産ギルドと言うのは職人達の集まりであり、斡旋所である。冒険者ギルドの職人バージョンだ。

商業ギルドは斡旋所ではなく、商人達を様々な方面からサポートするところだ。主な報である。その報も様々で、國勢やら魔の狀態やらだ。

まあ、商業ギルドはともかくとして、生産ギルドランクは所謂調理師免許の様な意味合いにもなっている。《料理》の他にも《調合》もそうだ。特に《調合》は厳しい。

なぜならポーションなどの薬を作るためだ。《料理》も口にするではあるが、ポーション類は急時に飲むのが普通。それなのに信用できないとか堪ったものじゃない。ポーション類は魔法薬であり、ちゃんとした手順があるためなくとも素人にできるではないのだ。

過去にヤブが効果があるのかどうか分からん薬を売りつけまくる事があったそうで、今はしっかりと試験のようながあり、それをけないとランクが上がらないようだ。

どの世界にもこういう輩はいるらしい。

そんな事件もあった為、今では料理店や薬品店ではギルドから発行される証を、目立つ所に飾っておくと言う暗黙の了解があるようだ。

ギルドランクは國家資格ならぬ、世界資格だ。ギルドは國に縛られる事はない。ギルドはどの國でも同じルールでいており、當然試験をどこでけようが容は共通だ。

故に、お店に飾られているギルドランクの証明証は一種のステータスとなる。なんたら三ツ星! の様なじだ。『生産ギルド 料理部門 Aランク』とか書かれている。

いちゃもん付ける奴もいるらしいので、生産ギルドは証明証を飾る事を推奨している。

とは言え、お店を開くのには商業ギルドの登録も必要であり、當然店舗などは自分で用意する必要がある。更に店舗を用意しても商品の用意はもちろん、従業員を商業ギルドから借りてきたりなどなど、當然お金がかかるわけだ。

新人がそんなお金がある訳ないので、生産ギルドが完品を買い取ったり、逆に素材を売ったりしている。そうしてお金を貯めさせて、新たな開発やお店を出させる。

そういったことが生産ギルドのお仕事だ。

冒険、生産、商業3つのギルドはそれぞれ連攜している。

冒険者ギルドがまず冒険者からを買う。薬草から魔の素材、更には魔に関する報などだ。

冒険者ギルドが仕れたそれらを商業ギルドに回す。そこから商人達が仕れ各地に回っていく。

生産ギルドも素材を商業ギルドから買い取り、職人達に売る。

こういうサイクルで回っている訳だが、當然手數料やら何やらがある。

商人が個人的にご贔屓にしている冒険者だったり、その逆だったり。直接取引も認められてはいるが、その際の取引価格などは當然ギルドは関與しないため本人達次第となる。たまにこのイザコザで殺人とかもあるらしい。

迷ったらまずギルド! 新人もまずギルド! これが基本だ。ギルドを挾めばギルドが対応してくれる。

ルナフェリアもシードラゴンの素材はギルド経由で行った。ギルド側が予定を調整してくれると言うのももちろんあるが、直接渉に來たうざったいやつをしばき倒してもしばき倒された側が非難される。

ギルド経由で売っているのに直接行った場合、ギルド舐めんなよ? と、簀巻にされる。當然ギルド経由で仕れている商人達からの評価も凄まじく下がる。商人は信用第一だ。

ただし、ある程度仲が良い場合は直接行くのはありだ。それは今までの行の結果であり、積み重ねてきただからだ。コネクション、コネと言うのも當然武となる。

まあ、しばき倒されたら鼻で笑われる世界。貴族や商人はの振り方がそのまま命に直結する。

そんなこんなで『ギルド』という組織は重寶されている。そして、同時に敵に回したら恐ろしい。

冒険者ギルドは言い方を変えれば武裝組織だ。敵に回せば世界中いるその戦力が敵になる事を指し、その國に冒険者達がいなくなれば魔の処理や薬草採集、はたまた急配達なども滯る。

冒険者達は《強化》による全力ダッシュで、急配達の仕事も無くはないのだ。馬より早い。

生産ギルドを敵に回すと武や防などの武裝はもちろん、包丁などの調理道が出回らなくなる。そして農なども當然無くなり、ポーション類すら無くなる。

そんなことしたらそこに住んでる職人達すら困る? それはない。生産ギルドが職人達のを買い取り、商人達に運んでもらうのだ。それだけでかい組織なのだ。職人達はとことんやるぞ。嫌な方向でもな。

商業ギルドを敵に回すと市場が死ぬ。商人達が立ちらなくなる為、外から品が來ることがない。

更にヤバイのが、商人達は立派な運び屋でもある。自國の中ですら流通が途絶えかねない。

運送會社=商業ギルドと言っても過言ではない。

だが困ったことに、どれか1つでもギルドを敵に回すと、3つ全部が敵になる可能がある訳だ。

『ギルド』という組織形態はどこも一緒なのだ、容が違うだけで。

國から獨立しているギルドを取り込もうといたもんなら、もれなく3つのギルドが敵に回る事になる。他のギルドでもその可能があるのだから、いっそ全員で敵対した方がいい訳だ。

3つのギルドに敵対された國は魔に飲み込まれるか、干上がるかの未來しかない。

ちなみに、ルナフェリアの魔導部門の試験については、既にクリア扱いだった。

"ルーン"を使用した魔裝をギルマスとサブマスの目の前で作製。更にサブマスがファーサイス魔導城壁をバッチリ見ており、月杖・エーレンベルクという神まで見ている。

ギルマスのブノワ、サブマスのセザールには正を教えた。神の所有者ならまだしも、作製者も書いてあるからな。とりあえず作製者のとこだけ隠しておいた。

まあ、薄々分かってはいたようだが、拝まれたのはごだ。

そして落ち著いたところで"テレパス"が飛んできた。

『主様、ブリュンヒルデが魔法について聞きたいと』

冒険者ギルドからではなく、ベアテからだった。

まあ、予想はしてたよ。だって、どう考えても私に聞いた方が早いし、確実じゃん?

『これから急會議なのですが、これませんか? だそうで』

『分送るわ』

『分かりました』

もう1人の私、よろしくな! 《多重存在》便利だわー。

しかし、これから會議か。もうすぐ夜だと言うのに。……まあ、容が容か。大事件もいいとこだな。頑張れ人類。

おや、早速飾るんですか?

ブノワとセザールが私の渡した魔導剣、ルナクォーツ、ルミナイト、マナタイトクォーツを運び込んできた。

ルナクォーツ、ルミナイト、マナタイトクォーツを橫並びで置き、その後ろにし高くして魔導剣を置いた。そして『魔導部門 SSSランク ルナフェリア提供』とかいつ用意したんだそれ?

2人共非常に満足気である。満足気な所を悪いが、私としては何か足りんな……。むむむ……。

「ルナ様……不満そうですね?」

「不満そうだね。金屬プレートに刻んで、裝飾をもっと豪華に?」

「いや、あんな大々的に飾るなら足りないなって……」

「……? ああ、そっち……」

「そっちですか……」

「私の前世の國はな、技大國とも言われる事があるんだ。々な事に凝っててな」

「そうなんですか」

「へぇ……」

「まあ、こだわる部分とかが斜め上だったりで変人扱いも基本だったが」

「「えっ?」」

「ハハハハ」

笑いながら飾ってある所に行き、マナタイトクォーツの後ろにケースを作る。ガッチガチのケースだ。取り出せないし、壊させない。その中に魔導剣・デュランダルをれる。

「うむ」

「えっ!? よろしいので!?」

「ウロボロス使う予定だし、"ストレージ"にれっぱなしよりは良いでしょう」

「おぉぉ……」

「まあ、ガッチリケース作ったから取り出させないけどね。ルミナイトとルナクォーツはどうしようかしらね……まさかこれを飾る訳にもいかないし……」

と言いつつ、エーレンベルクを見る。これ、ルミナイトとルナクォーツしか使ってないし?

ああ、チョーカーもそうだったな……でも今裝備中だし。結構気にってるし。

魔導銃はミスリルだし……魔導弓はカーボン混じってるからNG。となると……。

「んー……よし、決めた」

ルミナイトで刀作ろうぜ、刀。飾るなら良いだろ。あんな扱い難しいやつ使える気がしないしな。バッキバキへし折る自信あるわ。ルミナイトとマナタイトクォーツで作れば折れないだろうけど、それやったら刀である必要が皆無だからな。

斬鉄? 鉄よりい素材で剣作ればなんでも良いだろ……。マナタイトクォーツで作った剣とかアダマンタイトすら斬れるわ。ハハハハ。

という事で、出番無さそうだし飾っとこうと思う。

ルミナイトを"ストレージ"から取り出し、さっくりと一般的な日本刀を再現。鞘は開拓した時に何本か引っこ抜いた木を使う。この木、普通の木より魔力持ってるのよな。神木の影響かな?

持ち手はルミナイトだ。鞘だけ木。魔力適正などの問題があるから、ルミナイト1個で作った方が良い。鞘は違うとは言え、黒一の刀ができる訳だ、やはり刃紋がないのは々寂しい。まあ、ルミナイトで作ったから魔力を通せば魔力のラインがるのだが、飾るからそれもないしな。

品の置き場所はルミナイトの後ろだ。鞘から抜いた狀態で両方ケースにれておく。

「ルナクォーツは……寶石だしこのままでいいか。後は盜難対策に……」

自分の魔力が込められている為探すのは簡単だが、"インベントリ"や"ストレージ"にケースごと放り込まれたら々面倒だ。

という事で、ケースごとれようとした場合に抵抗させよう。《時空魔法》に反応する反応裝甲ならぬ反応結界を組み込む……魔法法則を利用する魔法だ。……この魔法も売れそうだな?

「んん! 素晴らしい! "インベントリ"や"ストレージ"を使用した竊盜は案外あるのですよ。それを防げるというのは非常に良い! 商業ギルドが良い顧客になりそうですな!」

と絶賛していた。ただ、問題がある。

魔法紙スクロールに魔法陣を移すには《魔力作》に加え対応した魔法スキルも必要となる。

そして、今回作った奴は《時空魔法》と《防魔法》両方要求しやがる事だ。

まあ確かに? "インベントリ"や"ストレージ"に反応して起する結界だから、《時空魔法》と《防魔法》両方のジャンルだけどな。《防魔法》はまだしも、《時空魔法》って空間と重力だ。

これの高ランクはそういないぞ? ただ、こればっかりはどうしようもないな。《時空魔法》に対抗するには基本的に《時空魔法》しかない。対抗魔法と言うのがないのだ《時空魔法》には。

んまあ、つまり私が"エクスポート"する必要があるわけだが……ぶっちゃけ面倒だ。

おや? 待てよ、そもそも……。

「この魔法、使い手いるのか……?」

「……えっ?」

この際私が"エクスポート"したとしよう。それはまあ、いい。魔法陣が消えない奴を管理してもらって、その場で覚えてもらい紙は回収。これでいいのだ。

ただ、魔法陣を覚えたとして使えるかはまた別だ。"インポート"したとして、この魔法を発できる者がいるかは……ねぇ?

「ああ……まあ、問題ないか……?」

「大丈夫なんで?」

「前回とは違い、スクロールから《時空魔法》、所謂"ジャンプ"や"インベントリ"を覚えられる様になったのだから、努力すれば使えるようになるんじゃない?」

「あぁ確かに!」

「ただ、別の問題も出てきたかしら?」

「別の問題……?」

「魔法ギルド的なの必要にならない?」

「……! そうか、魔法陣を管理する組織が必要になる……? 危険な魔法陣のスクロールを配られたもんなら……」

「まあ、大慘事でしょうね」

「ぐぬぬ……一先ずスクロールの作製はしますが、販売は制限した方が良さそうですね……」

「その辺りは任せるけどねー」

「他のギルドと相談しましょうか……」

この辺りは難しい話だな。なるようになる……と言うかを任せるしかないだろう。

魔法のシステムそのが変わったのだから。頑張れ人類!

空が暗くなり始めた頃、冒険者ギルド本部のマスターから念話が來た。

複數の質問に答え『私の庭』に住む條件をしっかり伝えておく。庭に住む人數が増えれば、自然と國になるだろう。人類が暮らすにあたって、決まりというのは重要だ。守られない法と言うのは無いも當然である。

ファーサイス魔導城壁の様に東西南北に門を作り、セキュリティーゲートはもちろん、土地にるにあたっての決まりを直接脳へと送る。

読んでない! 字が読めない! などの言い訳は通じない。當然同意しないと中へはれない。

此処から先の敷地はルナフェリアが1人で開拓、整地した場所であり、ルナフェリアの家である。

よって敷地での最終的な決定権は全てルナフェリアが持つ。

これより先に進むなら以下の條件に同意すること。

1つ、霊達への手出しをずる。

2つ、敷地にある果実の採取をずる。果樹に害となる行ずる。

この2つどちらかでも破られた場合、即座にその場で始末する。

言葉が喋れ、意思疎通ができ、法を守れるのなら、中へる種族の制限は無いものとする。

人間、魔人、獣人、エルフ、ドワーフはもちろん、亜人や爵位持ちの魔も許可する。

冒険者、職人、商人はまずギルドへ向かうこと。

この地に移住する場合、ルナフェリアの指定する場所に家を建てる事。

上記以外の基本的な事はファーサイスの法律に準ずるものとする。

このようながゲートにった際に頭にるわけだ。

簡単に言えば、基本的にはファーサイスの法律と同じだが、私の庭に住むなら私の指示に従えと言う事だ。人の庭で好き勝手やったらそりゃ怒る。誰だって怒る。當然のことだ。庭に住みたきゃ指示に従え的な事が書かれているだけだ。

例えその庭が大國の王都よりでかかろうが関係ない。庭は庭だ。

同意できないものは連れて行かない事をしっかりと伝えておく。

私からしたら來ないなら來ないで別に良いのだ。

さて、ギルドマスターはどんな選択をするのか……。

◇◇ファーサイス王城 會議室◇◇

長方形の巨大なテーブルを中心に、二桁いるかどうかぐらいの人數が座っていた。

「集まりましたね。では魔法師団総隊長、報告を」

「はっ! 魔法について隊員達と調べたのですが―――」

ファーサイスのお偉いさん。重鎮達だ。

國王はもちろん、王妃や王太子もおり、宰相に加えそれぞれの部門のトップ達が揃っている。

その中で1人だけ立ち、報告している者がいる。

ファーサイス魔法師団の総隊長だ。

【武闘】が中心の騎士に比べ【魔法】が中心の魔法使い達の集まり。それが魔法師団。

騎士団総隊長と魔法師団総隊長。どちらも総隊長だが、魔法師団も騎士団にるため、騎士団総隊長の方が一応偉い。

王宮治療師と言う人もいるが、この人は魔法師団ではなく、醫者扱いである。《神聖魔法》持ちなので、ちょっと特別な立場。

「―――というのが今のところ分かっている事になります」

「ふぅむ……。王宮治療師はどうだ?」

「はい、《回復魔法》についてですが、《神聖魔法》と名前が変わった事以外は特に変化ありません。問題なく治療が可能です」

「ふむ、それは一安心だな。しかし、なぜ名前が?」

「國王様、よろしいですか?」

「ああ、構わん」

「あくまで推測になりますが、我々のイメージから出來た《回復魔法》と分けるため、ではないかと思うのですが……」

「……可能なのか?」

「理論上は……恐らく可能かと」

「……次からの王宮治療師は扱いを考えるべきか?」

と、そこへ外から聲がかかる。

だがルナフェリアがやってきた。

「ご機嫌よう?」

「ああ、すまないな。ベリアドースには著いたか?」

「ええ、今本はテクノスにいるけど」

「んん? まあ、後で聞こう……」

ルナフェリアは上座の方へと連れてかれ、そこへ座る。

「それで《神聖魔法》? について話していたのだが……」

「ああ、推測は合ってると思うわよ。私もそう判斷した。そして、理論上は可能」

「うぅむ……」

「ただし、私はお勧めしない」

「やはりそうですよね……」

信仰上の問題……と言うのも無くはない。今までを治す《回復魔法》は神々の奇跡とされ、それが一応事実である。『神々の力を模倣するのはおこがましい行為だ』と言えなくもない。

しかし、今回ルナフェリアと魔法師団の総隊長が言っている事は『危険』と言う事だ。

例えば欠損を治す"リカバリー"という魔法。どうやって生えてきてんの? イメージするにもある程度知識がないと馬鹿でかい魔法陣になってしまう。それは結果として使えない可能がある。

治すにも數時間前に戻す……なんてイメージでは不可能だ。言い換えればこれは時を戻す。時魔法なんか1人の人間が使えるはずもない。

魔法陣が大きくなりすぎず、かつ安全でなければならない。下手なイメージでやったらそのまま悪化させる魔法にりかねないのだ。

「とまあ、危険な訳だな。《神聖魔法》を模倣するより、ポーションなどの魔法薬を模倣するべきでしょう。あっちでもまあ、便利な事には変わりあるまい」

「なるほど……確かにそれでも便利ですね……」

「飲む手間に飲ませる手間が無くなり、資金も浮くか……」

どうやら騎士団組で話が纏まったようだ。

騎士団総隊長としても、ポーション類の必要數が減るのは嬉しいだろう。魔法師団の総隊長もやる気だ。

実力者の國、ファーサイス。騎士とて才能、やる気があるものしかなれない。向上心を忘れない者達だ。何だかんだでファーサイス騎士団の練度は世界トップレベルである。

そこにルナフェリアの実技訓練も加わり、冒険者ランクで言うSに一部足を突っ込み始めてる奴らも存在する。

「ああ、豆知識を教えてあげましょう」

「豆知識?」

「《攻撃魔法》《防魔法》《補助魔法》《時空魔法》《使役魔法》これらを全てLv5以上にすると[賢者]と言う稱號が貰える」

「[賢者]ですか……!」

「そして全てLv10にすると、《魔導》へと統合され[大賢者]の稱號が貰える」

「おぉぉ!」

「《魔導》をカンストさせると、[魔を導く者]という稱號が貰えるようね。魔を導く……魔導ね」

「私、[賢者]目指します!」

魔法師団総隊長のテンションがうなぎ登りである。どうやら、もうしらしい。

やはり鬼門は《時空魔法》と《使役魔法》か。

「落ち著け。王の前だぞ」

「はっ、すみません……」

「いや、構わん。目標があるのは良いことだ。それより、防衛面はどうだ?」

宰相が落ち著かせるが、國王は特に気にしてない。

それよりも防衛面が気になるようだ。オリジナル魔法が使いやすくなったという事は、初見の魔法が増える。それは、防ぐのが難しくなったとも言えるが……。

「大丈夫です。やってみせますとも! 我らの誇りにかけて」

魔法師団の総隊長は自信満々だ。ちなみに、である。実力に男は関係ないのだ。

そんなこんなでファーサイスの急會議は順調に進んでいった。

◇◇ベリアドース とある貴族の屋敷◇◇

「―――そうか、分かった。行っていいぞ」

1人の太った男が部屋から出ていく。殘った男は上機嫌にグラスを傾ける。

「クックックッ……あれも漸く役に立ったか……。魔法も隨分と変わった様だな。報告にある限りでは好都合だ。神々が私に行せよと言っているのかもしれんな。フハハハ」

野心に満ちたギラギラした目の男はし考えた後、行に移す。

「準備を初めて約8年……長かったが今がその時か。この國に野蠻な冒険者など不要なのだよ……全く嘆かわしい。何が伝統だ……戦うなら騎士団で十分だろうがっ!」

ベリアドースは大國の1つだが、中央4大國のテクノス、マースト、アエスト、ファーサイスには様々な意味で遠く及ばず遅れを取っている。

それも場所柄仕方がないのだが、権力に執著した野心家、貴族であるというプライドの強い者達には関係ないのだ。『同じ大國なのに遅れを取っている』という事が許せない。

古くから場所柄戦い続けているベリアドース。だが、軍事力はそこまで高くなく、冒険者が多い。

世界有數の平和國とされるファーサイスに軍事力で負けている。この點は正直ファーサイスがおかしいのだが、そんなことは関係ない。『負けている』と言うのが許せないから。

の結果どうなるか、それはもうし先のお話……。

◇◇◇◇

せっかくテクノスに來たのだから、夕食はそこらの店に突撃して満喫した翌日。

「……正直冒険者ギルド本部が落ち著いてくれないとやること無いのよねぇ」

……よし、敷地で新たに収穫された奴らを料理するか。

マイ馬車に移しまして……取り出したるはー、もち米!

これを洗ってな? 水を加えながら挽く。そしたらそれをふるいにかけ、沈殿したから水分を抜き取る。

何を作ってたかというと、白玉です! フルーツポンチに白玉団子を追加したい。

に水を加えて丸くして、茹でて冷やせば完だ。魔法で工程吹っ飛ばせるから楽ってもんよ。

やることが無いから全員でフルーツポンチをモキュモキュしていた時に事件が起きた。

テーブルの上で白玉をモキュモキュしていたシロニャンがスクッとを持ち上げ二本足で立ち、こちらを向いて口をパクパクしながら短い前足を振り振りしている。

何をしているのかと思考を読むと……。

「(白玉詰まった! 取って!)」

「ぶはっ」

「どうしました?」

どうしたのかと疑問形のジェシカ達は置いといて、シロニャンを摑み逆さにして振り振りしてやると白玉が出てきた。

「えっ」

「ちゅいー!(取れたー!)」

「全く、呼吸が必要ないから平気だけど、人形で食べなさい?」

「ちゅい(そうする)」

名前:シロニャン

種族:サクラートゥスドミニオン

分:側近

稱號:神の眷屬

天使の姿を取り、隣に座って食べ始めた。

ちゃっかりドミニオンになってるのか。中級天使最上位の主天使だな。背中の翼は白い2対だ。

下級天使は1対、中級天使が2対、上級天使が3対で、翼の大きさや豪華さでそれぞれどの位置かが分かる。まあ、翼だけで判斷するのはほぼ無理だろうが。

ちなみに神々と天使は枚數はともかく、翼のデザインが全然違う。

「そう言えば素樸な疑問なのですが……」

「なに?」

「飛行する際は魔力を使用している……と言うのが一般知識ですが、それでは翼には何の意味が?」

「ふむ、それはね……」

翼自の機能的には種族問わず同じようなだ。

も竜も天使も神も、飛ぶ際には《魔力作》つまり魔法で飛ぶわけだが、翼はスタビライザーの役割を果たす。安定させるための、バランスをとるためのと言う訳だ。

無くても良いが、合った方が遙かに楽。それがこの世界の翼だ。

飛行能力は翼の大きさと枚數がそのまま依存すると言ってもいい。大きい方が働く力が大きく、枚數が多い方がより細かな制が可能となる。

「例えばドラゴンだけれど……ドラゴンの馬鹿でかい翼は、でかい図の影響もあり小回りは効かない。しかしでかいを浮かせ、真っ直ぐ飛ぶには必要。ドラゴンは基本的に飛べるだけ。空中戦……ドッグファイトには向かない」

「そうなんですか……」

「とは言え、あのサイズのトカゲが空を飛び、上空からブレス撃ってくるから脅威であることには変わりないけどね。鱗のせいで弓はほぼ効かない、魔法も保有魔力量を考えるとかなりレジストされる。それはまあ、今は置いといて……」

空中戦最強は天使や悪魔だろう。天使の方が飛行能力は高い。

ドラゴンより理防力は遙かに落ちるが、人の姿で飛び回る為そもそもほぼ當たらん。

そして上級天使や上級悪魔ともなると保有魔力がドラゴン並になり魔法もかなりレジストされる。

特に上級天使は3対の翼により急発進急停止、急上昇急降下、急旋回八の字飛行など自由自在だ。奴らは地上より空の方が強い。

とは言えだ……。

では天使とドラゴン、戦ったらどっちが勝つかと言われたら、不の戦いになるとしか言えん。

天使はドラゴンに対する決定打がない。ドラゴンは天使に対して攻撃が當たらん。ブレスでいい線行くが、仕留めきるのは厳しいだろう。

天使が軍勢でドラゴンを囲めば倒せるだろうが、その場合天使の空中戦という本領が潰れるため、犠牲が酷い。避ける空間が無くなるため、ブレスで簡単に落ちる。

故に天使とドラゴンの戦いは不である。完全に消耗戦だ。

悪魔は天使から飛行能力をし落とし、攻撃に回した者達だ。

ドラゴンと戦うならこちらの方がマシだろう。悪魔の火力ならドラゴンの防を抜ける……かも知れない。

とは言え、ドラゴンにも々な種類がいるので何とも言えない。生最強種は伊達じゃないのだ。

ちなみに私は3対です。畳んでるとでかい1対の翼に見えるけど、これでも私の本領は空です。

サイズも天使達より私の方がでかい。通常時(畳んでいる時)はかなり圧している。じゃないと邪魔だし、そもそも本より翼の方がでかいのだ。翼を引きずるのはあれだろう?

天使達は々でかくて自分と同じサイズだろう。

「とまあ、翼を見れば飛行能力がどの程度かと言うのが実はすぐ分かる。後は純粋な飛行技の問題。飛行技と翼の能が飛行速度に直結するわね。技勢が揃ってこそ速度を出せる」

「なるほどー……」

ちなみにブリュンヒルデから聞いた話では、SSSとされる上位竜や最上位天使のセラフィムクラスは、1対大國でどちらが先に倒れるかの勝負になるらしい。

実際何度か9割損害で倒していたり、開幕ブレスによりあっさり消し飛んだりという事件が資料として殘っているそうだ。

勝率は上位竜よりセラフィムクラスの方が高いらしい。防力の差だろう。セラフィムクラスは當たりさえすればワンチャンあるからだ。ドラゴンは鱗を貫く火力がない限り無理だろう。

上位竜もセラフィムクラスも、正直余計なことせず上空から魔法やブレス連発してたら人類の勝率0だったろうな。

飛ぶことは《風魔法》である程度できても、空中戦となるとドラゴニュートが辛うじてできるかな? って程度だからな。

まあ、過去4回ぐらいしか襲撃例が無いようだし、正直當てにならんが。

という會話をしながらも、白玉を補充していた。

年取ってから食べるの控えていたんだが、このなら関係ないからな! ハハハハ!

『あーあー、聞こえてるかー?』

冒険者ギルドマスターから念話が屆いた。

『ええ、聞こえてるわよ』

『追い出されたぜ! ハハハハ! はぁ……3日以に出てけとか……』

『どうするかは決めたの?』

『ああ、流石に全員じゃないが本部を移転するつもりだ』

『まあ、全員來るって方がびっくりするから予想通りだけれど』

『5割はそっちに、2割は別の支部に行きたいのだが……』

『それでも半分は來るのね……殘りの3割は?』

『家族がいてけなかったり何やらだな』

『別に家族ごと來ても構わないけれど……』

『あ、まじか?』

『ええ、別に構わないわよ? ギルド本部予定地は部屋いっぱいあるし……他に住む所は家建てる必要あるけどね』

なんてってギルド本部予定地、あの神殿だからな……。

3階全部部屋になってたし、2階も部屋多數の一部會議とかに使える大部屋。1階も2回と同じようなじで、大食堂や大浴場があった。ギルド本部従業員の家族全員來ても余るだろう……。

『後、冒険者達の転移は頼めるか?』

『"ゲート"を繋ぐから、それ通ればいいわ。別の國にも繋げられるけど?』

『……よし分かった。最終日の夜にギルド本部來てくれ!』

『ええ、分かったわ』

『本當に助かる!』

さてさて、古くから続く冒険者の國が冒険者を追い出すか。どうなることでしょうね?

にしても、獨裁政治するよ? って所によく半數も來る気になったな?

「ルナ様が指定した條件だと、特に問題には思わないのでしょう。元より霊様に手を出す愚か者はいませんし、果樹や果実はまああれですが……あの狀態を見れば納得するでしょう。そして、大がファーサイス基準ですからね。酷い國はとことん酷いですよ……それに、位置も魅力的でしょう」

と、ジェシカは良い、エブリンも頷いていた。

しかし、あの位置そんな魅力的か?

「北のテクノス、東のマースト、西のアエスト、南のファーサイス。この4大國がある場所は中央と言われています。中央4大國と言えばこの4つを指します。この中央が1番開拓されており安全とされていまして、四季の森とも言われる4大國の中央にある巨大な聖域の森、この存在もあって霊様の行き來が多く、周囲の4大國の土地がかであるとも言われています。この『中央』と言うだけで他に住んでる人達からすればかなり魅力的です」

「うちの南はすぐ未開の地だけれど?」

「そこは元々、ベリアドースと大差ありませんからね。冒険者ギルド職員は元冒険者達が多いですし、いざとなれば自分のは自分で守るでしょう」

「ああ、なるほど。私としてはその中央の森に陣取りたかったのだけれど、あの森に神木見つけちゃってねぇ……」

その時霊皇であるリュミエールがスススーと來て……。

「聖域にいる霊達はあそこに作ってしいそうですよ?」

というのだ。

とは言え私だけじゃなくて人類が住み著くわけだが……。

「我々からすれば人類だろうが魔だろうが変わらないので」

「んんー……」

『創造神様?』

『何ようかね?』

『あの神殿移ってできます?』

『ええ、可能ね。そもそもダンジョン自は亜空間だし、表のあの神殿かすだけだからね。移するの?』

「かなりでかい特異點があるので、場所的には文句なしですね。霊達もお気にりなので、いっそあそこに作ってくれた方が嬉しいとそわそわしてますが」

『何か霊達がそわそわしてるようなので、移を考えようかと……』

『まあ、いつでも移できるわよ?』

『分かりました。ちょっと検証します』

『分かったわ』

さてさて……移は問題ないとのことなので検証しますかね……。

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