《転生先は現人神の神様》47 霊達の願いと認識の違い

とりあえず1番重要な事は……。

「四季の森……中央ってどこの領土でも無いわよね?」

「ええ、違うはずです。あそこは四季の森と言われ、常に様々な花が咲き、果実なども採れますが……そのせいか他に比べて魔なども強力でお手上げ狀態ですからね」

「たまに『聖域の果実の手』と言う依頼で冒険者が潛り、帰ってこないのが基本だったはず? 冒険者の中では罠とか言われてたはずですねぇ」

「罠ねぇ……」

「報酬が結構な額であり、森から果実を取ってくるだけと『一見』簡単そうで、非常に味しい依頼に見えるんですよね……」

「大し慣れてきた調子に乗った新人がけて帰ってこないとかなんとか。贅沢しなければ年近く暮らせるような額が簡単な訳ないのにねー」

「ああ、そんな額なのね。それは怪しすぎるわ」

「でしょう?」

「うむ……」

さて、どうしようかな?

まず、魔や魔獣の排除だが、始末するか、どこか別の場所に飛ばすかだな……。やるのは私だし、手間としてはどっちも変わらん。

広さ的にはこっちの方が遙かに広いのか……森全を制圧してしまうか? 領土的に周りの4大國より微妙に広くなるぐらいか? ってかなりでかいな、この森。まさしく大國サイズの土地なのか。

このサイズならこの際もっと凝るか……いや、しかし時間が……? この考えてる時間が勿無いか。

「グノーム、地の霊を集めてくれる?」

「構いませんが……」

「あの例の神木、引っこ抜くわよ。を一切傷つけずにね」

「分かりました」

「土ごと運ぶにしてもが張り巡らされてる範囲が知りたい。それができるなら引っ越ししましょう。あの神木を放置するのは惜しいわ」

「ふむ。シルヴェストル、々協力して下さい」

「なにー?」

「中央の聖域にいる地の霊に『神木のを傷つけずに移できれば、拠點を移する』と伝えて下さい」

「わかったー」

「……これで全力でやるでしょう」

グノームが聖域にいる霊達を焚き付けたようだ。

さて、次の重要項目は……水だな。

「ウンディーネ、あの聖域の水源を調べてくれる?」

「いいですよー?」

「聖域の水源そのまま南のファーサイスが利用しているから、把握しておきたい」

「ふむ、分かりましたー。見てきますねー」

「ええ、お願い」

さて、後は……そうか、特異點があるなら湧き出るマナをそのまま使えば良いな……神木も植え直す訳だし……この範囲だけどあの量だし結構上等なのが組めそうだな……。

特異點とは、俗に言う龍脈とも言われるだ。

この世界に満ちているマナは太、植、そして特異點から溢れ、世界に満ちる。

で発生したマナは宇宙空間に満ち世界へと。植により酸素とマナを。核から龍脈と言われる道を通り、マナが吹き出る出口は特異點と言われる。

四季の森とも言われる聖域となっている場所と、引っ越し先としていた場所を比べつつ、未來予想図を脳に作していく。気分は街作りゲームだ。

ウンディーネとグノームからの反応を待ちつつ、システムを考えていく。

ああ、どうするか。そう言えば、中央の森が安全地帯になった場合、領地過疎らないか?

商人達がうちを経由して突っ切るようになると、今まで商人達が寄っていた街に寄らなくなる可能があるんじゃないか? はてさて、どうしたものか……。

それに範囲だな……森自は大國の領土程のサイズがあるが、どのぐらいの範囲を開拓するか。

特異點を中心にして、間欠泉の様に吹き出てるマナをスプリンクラーみたいにばら撒かせる魔法裝置を作る……これは確定としてだ。

系の葉はにより酸素とマナを出し、木の部分はマナを吸収し、栄養として使用する。

マナを栄養としているので、マナを吸えば吸うほど育ちがいい。ただ……植けないので、き回ってれるマナを増やすことができない。

なのでサポートする為に、スプリンクラーのようにばら撒く。

特異點はちょうど森のど真ん中だ。たまたまと言うよりは特異點を中心に植長していった結果だろう。

ファーサイスへと流れている水は森の南側だ。

特異點のある中央は立ち止だな。マナ濃度が濃すぎると人類には辛いらしいのでな。そうなると中央を我々の場所に……あ、ダメか。ジェシカとエブリン人間だわ。

となると、森にして魔法裝置系を置いておくか。エネルギー切れの心配がないだろし、霊達には濃い分には問題ないしな。

中央を開けないといけないから……大通りは『井』の様にするか? いやダメか、門が増える。

ああ、そもそも々な種族が來た場合を考えると、部で分けた方がいいのか……?

……面倒だな。來た種族に合わせて開拓した方がいいか。

ぶっちゃけ問題は亜人と呼ばれる者達だけだ。ナーガやケンタウロス、ハーピィとかだな。

恐らく蛇系の爵位持ち、馬系の爵位持ち、鳥系の爵位持ちだろう。

會話はできるが、話を聞くかは個人差があるため、扱いがなんとも言えない奴らだ。

契約魔獣のベアテもアラクネなので、一応亜人に分類される。

『ルナ様、の範囲が分かりました』

『土ごとでいいから、持ち上げられるように切り離しておいてくれる?』

『分かりました』

神木を移するスペースを確保しないとな……そもそも置く場所を決めにゃならんが。

『ルナ様ー』

『水源分かった?』

『はいー。森から南西の方にある山と、この森自の地下の方に水があるので富ですねー』

『ほほう……』

ウンディーネから湧き出ている場所を教えて貰い、そこにはれないようにする。

南に湖があるのだから、そこと川をそのまま利用させて貰おうじゃないか。つまりファーサイスとの取引に水運を使う。登りは馬車の方が早い可能があるが、下りは船の方が早いだろうな。

という事で、南のでかい湖はそのまま船著き場決定。正確には南東になる。

後決めるのは、自分達の家の位置と神木の場所、ダンジョンの場所だ。

ダンジョンの場所=冒険者ギルドにもなるから……ギルドはやっぱり纏めるか?

北のテクノスが生産ギルド本部、東のマーストに商業ギルド本部があるから北東にギルド関係を纏めるかな? 北東中心にダンジョン、冒険者ギルド本部を置いて、周りに商業ギルドと生産ギルドを作するか。

えーっと……。

生産ギルドは作業場を。

商業ギルドは倉庫を。

冒険者ギルドは訓練スペース。

3ギルド共通として、馬用のスペースを用意するかな。でかい土地を柵で區切ってり口をそれぞれギルドに用意する……でいいかな。

冒険者ギルド本部は創造神殿と言う名の屋敷が來るので土地だけ用意。

生産ギルドも屋敷だけど、冒険者ギルドよりは小さく。ただし、土地の中に離れとしてどでかい生産場所を用意してやろう。奴らからしたら多分こっちが本拠地。

商業ギルドも屋敷だけど……個室を多く、防音にしとくか。こちらは馬車の置く場所、積み込みなどがやりやすいように土地だけは広めにしておくか。

そして、ギルドの後ろには馬などを離せるようにスペースを作り、中でギルド毎に區切り、り口をそれぞれに作ると……。一先ず北東はギルド系と果樹だけでいいだろう。

空きスペースは後で考えよう。

という事で、南は船著き場。

北と東の大通りから北東は丸々ギルド関係施設地區としよう。広い分贅沢に使えるしな。

南は大通りと川を並べてしまおうか。中央を通る大通りに途中から湖が合流するじ……と。

そしてこの場合……大通りは東西南北の門に直通だとして、差するはずの中央部は特異點があるため円形か。

貴族街、貴族地區なんてものを作るつもりは頭ないので、他はすぐに決める必要はないか。

とりあえず、引っ越し予定地と同じぐらいの大きさにする予定だったが、南の湖がを飲み込むように壁で囲うとしよう。大ファーサイス王都より2周り程大きい範囲となった。

世界最大サイズの広さとなるだろう。

よし、分で作業を開始するか。

肝心のシステムの作製にろう。神木とダンジョンの移はその後だ。

ルミナイトとルナクォーツを地中に仕込むのだ。特異點を利用するためにな!

巨大な魔法陣の形にルミナイトを加工し、ルナクォーツに"エンチャント"をかけたを用意する。

それを地の霊達と総出で埋め込む。簡単に出しないよう結構深めに。

この埋め込んだ魔方陣板は地中の、特異點から吹き出す前のマナを使用する。これに吸収されなかった分が特異點から吹き出す。

壁にもルミナイトを使用し、埋め込んだ魔法陣板を接続し、板が変換した魔力を壁が使用する。

埋め込まれた魔法陣板は"メディテーション"と魔力変換効率、魔力タンクと魔導回路の役割をとことん追求しただ。

壁にはセキュリティーゲートを組み込み、ファーサイスとは々使用を変え、るための誓約システムを追加。冒険者ギルド本部の者達に言ったあの條件システムだ。

壁はファーサイスより簡易な魔導城壁とするが、より防に特化させる。

常時上空に萬能結界を張らせ、マナ濃度を一定にするいつもの結界を組み込む。これは特異點によりエネルギーが安定するからこそだ。よって、壁自に"メディテーション"は組み込まない。

ファーサイスと違い、こちらは壁の素材自がルミナイトなので、元の防力が全然違う。

ルミナイトは流れている魔力量や濃度によりさを変える金屬だ。特異點から引っ張る魔力はかなりのである。

次はスプリンクラーの様なマナをばら撒く魔法裝置を特異點に被せて、広がり合を微調整。土地全にいいじにばら撒いてもらう。この機能は植達の為だからな。

そのために壁自に"メディテーション"は使わず、吹き出る前から取っているのだ。

丁度いいバラマキ合になったら、次は大通りの作だ。

神木は進止である中央部に置きたいが……どうするかな……? 雰囲気重視か、機能重視かで街並みはかなり変わるのよね。

神木は雰囲気重視で行くならシンボルとして中央に置くべきではあるが……。むぅん……。

湖のど真ん中に置くと船の邪魔だよなー。

しょうがない、特異點に置くか。となると、結界はドーム型じゃなくて、円柱型にしないと、神木があれか。

さて、次の問題は……我が家の位置が決まってない事だ。

『國』とするなら城にすべきなんだろうか? でも素材によっては城より頑丈な一軒家ができる訳だが……。王族や貴族達は見栄を張りたがるからなぁ……。

大通りで區切られた北東はギルド地區、南東は湖のある船著き場……。

となると空いてるのは北西と南西になる訳だが……うーん……。

中央部分をもっと広くして、北側を正面として城を建て、進止部分を裏庭の一部にしてしまえばいいかな? それでいいか。そうしよう。

城と言っても屋敷サイズでいいや。まだ國でも何でもないし。問題あればでかくしよう。

後は整地して植達をお引っ越しすれば終わり……じゃねぇな。魔獣とか魔闊歩したままだったわ。片付けないと…………1人であの範囲やるの? めんどくさいな……。

ああ、召喚騎士で森を囲ませて中心に向かわせよう。私は楽できる。騎士は長する。悪くない。

「うん、引っ越し確定ね。冒険者ギルド本部のマスターに場所移することを伝えて……4大國への連絡はどうしたものかしらね……」

「うーん……。ファーサイスの國王様に連絡してもらうのが1番楽かな?」

「そうですねぇ……それが1番楽かと……」

「ふむ……。そう言えばセザール君がテクノスの王と話せる立場だったわね……手紙でも渡してもらうかな? 収穫祭のパーティーで一言ぐらい各王話しておくべきだったか。失敗したわね」

「ルナ様も失敗するんですねぇ……」

「そりゃねぇ……創造神様だって失敗するんだし。失敗しないと言うか、失敗しづらい。もしくは失敗しても後々修正するだけの力があるってだけね」

「なるほど……」

「しかも思い通りには行かないんだこれが。特に人間社會、人類関係ではね……」

「ふむ?」

「考える知能がある者は考えて行する。考えて行していった結果、最終的にとんでもない結果に繋がったりするのさ。なからず周囲に影響を與えるんだよ。例え一言、二言わしただけでもね。その小さい影響がその人の人格を作っていく。下手したら一目見ただけでも変化を與える場合もある。思い通り行くわけがないわね」

「はぁ……」

ジェシカもエブリンもよく分からないような顔をしていた。

「エブリン。貴が分からないはずはないでしょう。ジェシカという存在で將來と言う道がかなり変わったはずよ」

「あー……確かに」

「えっ?」

「人間何がきっかけになるかなんて分からないよ。エブリンの様にはっきりしてる方が珍しい。もしくは後々あれだったか……ってなるのよ。様々な事に影響されて生きていく。それが生命というものさ。神々がああしてこうしてなんてやってない。基本的に観測者でしか無いのだから。まあ、夢を守るという意味でも、私は正を明かさない方がいいのかもしれないわねー」

「夢……ですか……」

「神々は完璧である。信仰の対象……。まあ、人の夢と書いて儚いとも言うのだけれど」

「人の夢と書いて儚い……ですか?」

「そう言えばこの世界は文字が違ったわねぇ……。まあ、とりあえず森を制圧してくるわ」

「あ、はい。いってらっしゃいませ」

「食料にならない魔は転送してやろう……」

四季の森とも言われる、聖域の森上空へと転移し、早速作業に取り掛かる。

は現在も予定地を整地中だ。上から見るとその作業狀況もよく分かる。まだ2割……もう2割というべきか。

時間的な余裕は結構あるな……召喚騎士達の能は低く召喚して、長く戦わせるとしよう。経験を積ませる、技に付けさせるにはそれが1番だろう。

という事で、C+程度のブラックナイトとホワイトナイトぐらいでいいだろう。

森の周囲に黒い騎士と白い騎士が召喚される。

黒い騎士はロングソードを2本腰に挿し、背中に大剣を背負う。

白い騎士はロングソードを腰に挿し、タワーシールドを持っている。

命令は簡単だ。

『敵を倒しながら中央へ向かえ』

命令をけた騎士達が黒と白の二人一組で森へと侵していく。武の指定はあえてしなかったので、大剣を持つ黒騎士もいれば、雙剣を選んだ黒騎士もいる。

人のらない森だ、取り回しを考えれば雙剣を選ぶべきだろうが、どうだろうな。

純粋にそういう事が分からない経験不足か、あえてこういう場所でも大剣で戦う技を得るためか。私としては後者が嬉しいが、こいつらはどの段階だろうか。

敵の前に直接召喚しなかったのも、森を進ませる経験をさせるためだ。

まあ、ある意味初めて《使役魔法》を使った実戦ではある。そういう意味でもいい機會だな。

とりあえず魔眼で食料や素材にならない魔獣や魔は別の未開の地に飛ばす。正直処理が面倒だ。

殺してから処理するより、私の場合最初からいなかったことにした方が早い。さらばだ。

殘った奴らは"ストレージ"にしまっておくつもりだ。自分達で使うか冒険者ギルドにでも売るさ。

さて、最初のエンカウントは……あそこか。

ほう……あれはオーガモンクか。

オーガモンクは2メートル中盤で、2本の小さい角が生えた筋質の魔。《格闘》と《強化》を使用し、闘気も使用する。

オーガのは脂なく、確か保存食として加工されてたはずだな。

オーガはCでオーガモンクはB+だ。ぶっちゃけ割に合わない。

この魔に與えられるランクは、安全に倒せるだろうとされる冒険者ランクを示す。

ただ勘違いしてはいけないのが、オーガ対Cランク冒険者ではなく、オーガ対Cランク冒険者1PTだ。人類なんてそんなもんである。個が弱いからこそ群れ、技を磨く。

PTは4~6が基本で、冒険者ギルドは6人を推奨している。

には『ー』や『+』が使用される場合があるが、これはそのPTの人數を示す場合が多い。

CのオーガとB+のオーガモンク。オーガはCの1PTで。オーガモンクはBの8人ぐらいが妥當である。

逆にB-の場合、1PT4人ぐらいでも安全で倒せるとされる。

翼を広げ、空中でくるくる漂いながら各地の召喚騎士達を眺める。

そして、召喚騎士達を扱うにあたって必要そうな魔法の構築をしていく。

召喚騎士達の能は召喚時のランク。耐久力や再生能力は持たせた魔力である。

という事は、召喚されている騎士達を再召喚せずにランクの変、魔力の供給を可能にすれば使い勝手はかなり上がる訳だ。

早速それらの魔法を構築していく。

その結果、再召喚せずにランクの変が可能になった。しかし、アップグレード可能だが、ダウングレードは條件付きになってしまった。

保有魔力容量を増やすことは容易だが、減らすことが難しいようだな。ダウングレード條件は召喚騎士の保有魔力が減っていること。そうすればすんなりできる。

魔力の供給は特に問題は無かった。

ふむ、《使役魔法》は使い勝手がいいな。使えるようになるまでが大変だろうが。

逆に現狀上級召喚が出番無いんだよなぁ……。

《召喚魔法》が変わったのが不死者が大量発生していた森の作戦中だから……そろそろ召喚師と言われる者達が出てきてもいいと思うんだが、未だ見ず。

まあ、上級召喚が必要ないぐらいには平和ということにしておくか。

にしてもこの森、確かにレベルが高いな。最低でもCで、最高でA+か。

特異點により植達が育ち、草食が集まり、食が集まる。そして、餌の取り合いで強くなっていくと。確かに、この森に果実を取りに來るのは人類には辛いと言うレベルじゃないな。

エブリンの言っていた『し慣れてきた調子に乗った新人』と言うとDぐらいだろう。よくてCか。まず生きて出れんぞ。

命を懸けて手にするのが贅沢品である果実だ。當然食べれば無くなる消耗品。割に合わんな。

しかし、そういうのに命を懸けちゃうのが人間なのだが。ほっぺたが落ちる味さとされる聖域の果実。食べてみたいと思うのも分からんでもないが、果たして1個食べた後に我慢ができるのだろうか。私はまた取りに行かせる未來しか見えない。取りに行かされる方は堪ったもんじゃないな。

小籠包を食べたことがあると思う。噛んだ瞬間に溢れてくるあれだ。あれが果実で味わえる。それが聖域の果実。一度味わったら他の果実は食えんぞ。

ふむ……さてさて。

『グノーム、神木のお引越ししましょう』

『分かりました』

引っ越し予定地だった場所へ移し、くり抜いて土ごと運んでしまう。別のところの土と言うのはあんま良さそうなじはしないが、そこはグノーム達に任せよう。

木を持ち上げ、"ゲート"で産地直送。そして、掘っておいたに置き、土を被せて終了。

後はグノーム達地の霊に調整してもらう。

うむ、大通りは大型馬車が楽々すれ違えるサイズにして……更に歩行者もっと。

ふむー、明日には終わりそうだな。

◇◇◇◇

そして、あれから2日。

冒険者ギルド本部の連中が來るのは明日となる。

土地に関してはすっかり完しており、特異點と神木により以前の引っ越し予定地よりも快適な土地となっていた。

ダンジョンのお引っ越しも終わり、ギルドの建も完している。自分達の家もバッチリだ。

當然、霊達もお引っ越し済みである。

元お引っ越し予定地は壁を無くし、戻せるだけ戻しておいた。

特異點があるため植達の育ちが非常に良く、この土地の木々は皆背が高く集している。

そのせいでこの土地は晝間にしてはかなり暗いのだが、木洩れ日と神木から降り注ぐ……神木かられる魔力が辺りを照らし出し、漂う沢山の霊達も相まって神的な景を作り出す。

そして、土地のそこら中にたわわに実った様々な果実がぶら下がり、甘い香りを漂わせている。

「うんうん、我ながら素晴らしい。私はこういう所に住んでみたかったんだ。のんびり老後生活といきたい」

「え? 隠居ですか」

「隠居したいねぇ」

「むしろこれから忙しくなりそうですけど?」

「そうなんだこれが。のんびりセラフィーナの長を見守りたい」

「完全にお婆ちゃんの発想です……」

「実際中は老人もいいところなんだけど?」

「……そう言えば、そうでしたね」

「その反応は私がガキっぽいということか? 褒められてると思うべきか……」

「いえ、やはりお姿がですね……」

「ふむ……」

久しぶりに姿を変えてみる。そう、お婆ちゃんに。

長をばし、をシワシワにして、腰を曲げ杖を……杖……エーレンベルクを持ちを支える。

「ほっほっほ、これなら文句あるまいて」

「「うわぁ……」」

「お婆ちゃんだー!」

「止めましょう?」

「なんだろう、この違和

セラフィーナは兎も角、ジェシカとエブリンにものすごい不評だったので、久々に大人モードになった。

「すごい! 魔法?」

「そう言えば、セラフィーナの前では姿変えたこと無かったわね」

「そう言えばそうですね」

「魔法というわけでも無いのよねー。私固有の力よ」

「すごい、私も強くなりたい……」

ふむ……。

セラフィーナはハイエルフだし、保有魔力量も悪くない……と言うか、年齢にしては多すぎるが。

「強くなってなんとする?」

「1人でも生きられるようになりたい……」

まあ、理由なんてこんなもんか。人の行源なんて至って単純である。セラフィーナは一度奴隷商に捕まってるし、切実だろう。

6歳だし早いとは思わなくもないが、本人がやりたいというのだからいいか。何はともあれ魔法に関しての座學と《魔力作》だな。ついでだし、シロニャンもセットな。

「じゃあ、丁度いいからシロニャンとお勉強」

「ちゅい?」

「まだ我流でしょう? ちゃんとやっとこう」

「ちゅいー(あいー)」

なお、頭の上から降りる気はない模様。

午前中は座學。ちゃっかりジェシカとエブリンも參加している。

「まずこの世界にはマナというエネルギー源が存在する。このマナと言うを貴達は取り込み、魔力というに変えて、魔法という現象に変化させる」

「マナのままじゃダメなの?」

「マナのままでは扱えないのよ。その扱えないマナを使えるように、魔力というに一度変換するの。このマナと魔力の変換効率は種族と個人によってある程度変する」

「私はどのぐらい?」

「変換効率は大獣人で20%、人間が30%、エルフやドワーフ、魔人や天使に悪魔が40%、ハイエルフとハイドワーフが50%、妖種が60%、霊が80%とされる。あくまで平均が。これにプラマイ個人差となるわね」

ちなみにパーセントと言うのはね、と果実を使って教えてあげる。切られた果実は當然食べる。

そしてお晝。

「良い? ジェシカ」

「はい」

「まずお。なんでも良いけど、これはシードラゴンの。そしてファーサイス産のチーズとキャベツね。おに軽く下味を付ける」

「はい」

「そしたらそのおに切れ込みをれるか、いっそ切ってしまう」

「切って良いんですか?」

「良いよ別に。そしたらそこにチーズを挾む」

「挾みました」

「じゃあ、キャベツでこう巻く。はい何個か作って」

「はい」

「そしたら、できたそれらをこれで煮込みます。チーズinロールキャベツが完します」

「おおー。ロールキャベツっていうんですね。……そのまんまですね?」

「それは私に言われても困るが、ロールキャベツって言わないと、ただの煮込み野菜になるぞ」

「……ロールキャベツ、いい名前ですね」

「うむ、分かりやすいシンプルな名前でいいじゃないか。ちなみに中を変えればある程度アレンジ可能だ。スープも今回はオニオンスープだが、自由にしたまえ」

「はい!」

「そしてオニオンスープはだな、パンを千切ってれて、チーズを上に乗せ、魔法で炙る。いやまあ、魔法である必要はないんだが」

「私もそうしよう」

し休憩したら、《魔力作》の訓練だ。

「はーい、目を閉じて集中しましょう。魔力をじるのです。考えずにじるのです。こればっかりはそれしか無い。じ取れたらかそうとしてみましょう」

4人に授業をしていたら、1日が終わった。こういうのんびりした日が続けば良いのだが。

ちなみに読みと書き、更に計算と禮儀作法などはジェシカとエブリンがちまちま教えているようなので、私は関わっていない。

◇◇◇◇

冒険者ギルド本部の移は本日夜です。

よって、夜まではセラフィーナとシロニャンのお勉強です。

「そう言えば、ルナ様は魔法を変わった使い方しますよね」

「うんうん」

「む? 変わった使い方をしているつもりは無いけれど」

「壁を作ったり、地面を平らにしたり、水で遊んだりしてるじゃないですか」

「んあー……最後の私個人の格を抜いたら、『魔法についての認識の違い』じゃないかしらね?」

「『魔法についての認識の違い』……ですか?」

「貴達にとって、魔法とは何か、どういうもの?」

「魔法とは……攻撃したり、回復したり?」

「エブリンが言うようにこの世界の人達にとって、『魔法とは攻撃するための、戦うための』なのよね」

「違うのですか……?」

「私からすれば『戦いにも生活にも使える、非常に便利な手段の1つ』でしかない。そもそも視野が狹いのよ、貴達は。私の前世には魔法というものは存在しなかった。『こういう事ができると良いな』『こんな事ができるんじゃない?』というのが、我々が想像した魔法と言うもの。それを私はこの世界でやっているにすぎないわけ。だから『戦闘に使用する』ではない」

「なるほど……『魔法とは攻撃する為の……戦闘に使用する』という認識の違いですか……」

「と言うか、私の方が不思議でならないわよ? 《生活魔法》というがあるにも関わらず、何故そっちの発想が出ないのか……」

「そう言われると、何ででしょう?」

「うーん……。《生活魔法》は全員が使えるからなぁ。逆に『そう言う』という認識が強かったとか? 後はやっぱオリジナル魔法の座敷の高さが問題だったんじゃない? 誰もが初級編なんて思ってなかっただろうし……」

「言われてみると、そうですかね……」

「確かに、エブリンの予想は近そうね」

世界が違うからこその考え方の違い。

この世界では魔法とは、ジェシカやエブリンが言うような攻撃、軍事利用が基本である。魔導ランプなどの魔道が立派に生活に役立っている……と言うか、そのために開発されたなのだから、そういう使い方がされていてもおかしくはないはずなのだが。

しかし、この世界の者達はどうやら分けて考えてしまったようだ。

攻撃魔法系を使用する者を魔法使いや魔導師、魔道などを作る者達を魔導技師と呼び分けるようだ。それだけならまあ、悪くはない。魔法を使用し戦う者と、技者を分けるというのは理にかなっていると思う。魔法を使用し戦う者にを作れと、技者に戦えと言っても、無理な話だ。

だが、そもそも求められている事が違うというのに、優劣を付けてしまった事が問題だ。始まりが『いつか』『何か』などは知らないが、魔法を使用し戦う者の方が優れ、魔導技師は劣る……。

やたら優劣を付けたがる。いやはや、困ったものだ。適材適所と言う言葉があるというのに。

そういった理由で生産ギルド魔導部門はどうも人気が無いようなのだがな。どうも魔法使いのりぞこない扱いをけるようだ。なければないで困るだろうに。

その魔導部門のトップランクになった私としては、なんとかしたい気がしなくもないが……特にくつもりはない。

そもそも、この私の土地が巨大な魔法裝置の様なだ。壁は魔導城壁だし、ファーサイスと違ってルミナイトで常時魔力が流れている、つまり魔力のラインが走っているのだよ……。

セザール君の様な魔眼持ちじゃなくても一目で分かるだろう。ファーサイスは一見側がやたら豪華なただの壁だからな。

中央には私の作った塩と砂糖の魔法裝置とか置いてあるし。

この土地に來れば嫌でも魔道や魔法裝置が目にるだろう。それらがどれ程便利か、知ることになる。それだけでも十分だろう。

ちなみに、私の屋敷部分と進止部分は塀ではなく、柵になっている。中は見えるが柵と結界に阻まれる。

何故わざわざ見えるようにしてるかと言うと、一応シンボルである神木の存在。後は塀があるとマナを散らす調整が非常に面倒。更に霊達が建とかはあまり好まない為か。基本的に世界を漂う奴らだし。

當然裏庭部分にテーブルと椅子が配置されている。簡易キッチンもあるぞ。基本私はこっちにいるだろうな。屋敷の出番は……トイレ、お風呂、寢るときぐらいか? それも主に私じゃないな。

ああ、もちろん進止部分より外の裏庭部分だ。

止部分、つまり特異點がある所を中心にして、その周囲を私が占領し、その外に円形の中央大通りがあり、そこから4本の大通りが東西南北にびてると。

結界は2重結界。まず進止範囲の結界。マナ撒き散らし効果付きだ。もう1個は私が占領している範囲を囲う普通の結界だ。

まあ、裏……庭……? というサイズなのだが。そこは気にしたら負けだ。そもそもこの『土地』が庭だからな……。

あ、そう言えば……。

「そう言えば、ジェシカとエブリン?」

「「はい?」」

「教會でもどっかに作る?」

「え、れるんですか?」

「んなわけ無いでしょう。貴達の仕事場よ。教會というか、病院、治療院ね」

「それは……」

「あ、やっぱなし」

「ええ?」

「冒険者ギルド本部が神殿だったわ。あっちで良いんじゃない? ダンジョンの出り口があそこだし、治療スペースでも設けてさ」

「あー、なるほど……でも……」

「セラフィーナなら私が見てもいいし、私は最悪分でどうにでもなるからねぇ……」

「ルナ様にお仕えするですし……」

「やりたい方を選んでいいわよ。どっちをやろうと結果的に私のためにはなるもの」

そう、どっちにしても私のためにはなるのだ。

治療の方についてくれれば、冒険者達が助かるだろう。ダンジョンは盛んになってくれた方が良い。と言うか、ダンジョンが流行らないならわざわざ人類をれる必要が一切無いのだから。

私に付くなら付くで、まあ問題はないし。

「むぅ……」

代で回すとか……」

「いや、どのぐらい來るか分からないけど、1人じゃ無理でしょう?」

「魔力が持ちませんか……」

「足りないだろうね……かすり傷ならまだしも欠損とか來たもんならまず無理かな……」

「ルナ様に誰も付かないというのは……流石に……。こうなる以上來客はあるでしょうし」

「ベアテさんにやってもらうとか!」

「……できるんですかね?」

それは……サイズ的にも無理だろう? あいつが私以外に頭下げるとも思えんしな。

しかも、従魔言っても実力主義どころか弱強食を地で行く魔やぞ。無理でしょう……。

「我々ではダメなのですか?」

ああ、アストレートとマハか……。いや、でもこいつらもお嬢様側で侍側ではなくね?

「とは言えマハは……」

と、アストレートが視線を向けるとふいっと視線を逸らすマハであった。

「ふむ、ではマハは2人の護衛を頼もうかしら。アストレートは私に」

「おまかせを」

「……護衛が必要なのですか?」

「どこにも面倒なやつと言うのはいるものよ」

「なるほど、畏まりました」

「一応ギルド本部な訳だし、早々いないとは思うけど殺さないようにね」

「善処します」

あ、その言い方はだめなやつだ。

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