《転生先は現人神の神様》53 騎士達の生き様

「「「來た!」」」

知系に集中していた騎士達が一斉に聲を上げた。

學園地區を囲んでいた者達がき出したのだ。

「では殿下、行ってまいります」

並んだこの場に殘るベテラン騎士達を1人1人……記憶に刻むように眺めたハンネス殿下は一度瞳を閉じ、そして命令を下す。

「馬車の通る道を切り拓いてくれ」

「「「はっ!」」」

「……君達に戦神のご加護がありますように」

馬車を降り、扉を締めたベテラン騎士達の姿を忘れることは無いだろう。

騎士の……非常に頼もしい姿だった。

「おうおう、來やがった來やがった」

「最初はお話か?」

「いんや、その必要は無さそうだぞ?」

ベテラン騎士の後ろに馬車、その馬車の後方に學園がある。

そして、ベテラン騎士達へと向かってくる多數の冒険者の格好をした者達。

その中の杖を持った數人が、黃と青の魔法陣を展開した。

「ふぅん……隨分と遅いな」

「だな。うちの魔法師団の方が遙かに優秀だ。地と水か」

「……師匠は化けもんだしな」

「「「……だな」」」

魔法陣が展開されてから、魔法と言う現象へと変化するまでが遅い。つまり《魔力作》が甘い。詠唱が遅いのだ。この時點で魔法使いとしての技量が分かる。

ベテラン騎士達は近衛だ。騎士の中の騎士。エリートである。そして、その中のベテランだ。

こんな狀況だろうと非常に冷靜に相手を分析している。新人とは場數が違う。

「ああ、師匠の様に魔法陣で來る魔法が分かればなぁ……」

「確かになぁ……」

「その師匠は魔法陣無しで連してくるけどな」

「だな。それにしてもあの魔力量……」

「隨分と嘗めてくれる」

魔法陣から現象へと変化したは"アースランス"と"アクアランス"だ。

飛んできた《攻撃魔法》をベテラン騎士達は避け……ようとはせず、『ふんっ!』という聲と共に真正面から自分の魔力を乗せた剣で"アクアランス"を叩き切り、"アースランス"は刃が傷むので柄頭で槍の橫っ腹をぶん毆った。

魔法を打ち込んだ魔法使いはその景に呆然である。

「おいおい、隙きだらけじゃねぇか。戦闘は初めてか?」

「ハハハ、関係ないな。攻撃してきたんだ、いいよな?」

「十分だろう。騎士にいきなり《攻撃魔法》ぶちかましてきたんだからな」

當然魔法使いは戦闘が初めてじゃない。この騎士達の対応が頭おかしいだけだ。

伊達にルナフェリアにボロ雑巾にされていない。これぐらいできないと近づけんのだ。

まあ、近づいたところで《格闘》や《棒》、《槍》で結局沈むのだが。

それでも手加減されてるバリバリだったので、一度本気でやってもらったところ……開幕大規模殲滅魔法を無詠唱でぶち込まれて壊滅したのが騎士達のいい思い出。

死者はでないが欠損上等の大慘事。無慈悲すぎた。ただ、頼んだのが自分達だから何も言えねぇ。

なお、騎士団総隊長にルナフェリア含めその時の騎士達がこってり叱られた模様。當然である。

そんな騎士達が逞しくない訳がない。彼らに取っては『普通』。他の者達からしたら『異常』。

飛んできた《攻撃魔法》、しかも當たったら普通に死ねるを真正面から叩き切ると言う発想がおかしい。

ただ、ベテラン騎士達からすれば『あの程度の《攻撃魔法》無いも當然』である。

魔法に込められた魔力と、魔法の種類によって攻撃力が変わる。それが分かるなら叩き切るという蕓當も可能である。

ルナフェリアとの訓練で、その魔法にどれだけの魔力が込められているかが大分かるようになった。詠唱が遅いなら余計に簡単だ。だからベテラン騎士達は叩き切った。避ける力すら惜しい。

「さーて、やりますか」

「「「おうっ!」」」

そして始まる人対人の殺し合い。

最早言葉は不要。ただただ、黙々と対する者を切り捨てる。

《攻撃魔法》は叩き切るか避け、理は馬車に積んでいたちゃんとした盾でけ流す。

數が多いのだ、狙う所は急所一択。首や太ももを狙う。

馬車の周囲だけでなく、他の場所でも戦闘が始まっていた。

元々囲まれていたのだから當然だ。野郎共は殺されない為に戦い、達もこんな奴らに抱かれるのは免だし、奴隷落ちも免である。理由はともかくどちらも危機には変わりない。

武闘、魔法科の者達が前線に出て、総合科は邪魔にならないように固まりつつ、周囲の報を集め、武闘と魔法科の者達に知らせる。

當然逃げようとする者達もいたりと、とにかくごった返し、混沌としている。

數だけで言えば生徒達の方が多い。數の暴力でなんとか耐えてはいるが、時間の問題だろう。

「思ったより數が多いぞ!」

「ふざけたことをしてくれる」

盜賊側も予想外の子供達による反撃と、ファーサイスベテラン騎士達による猛攻でボロボロだ。

「くそっ! 何でファーサイスの騎士がいるんだよ!」

「知らねぇよ! あいつら化けもんか!」

「おい! やべぇぞ! お前止めてこいよ!」

「ざけんな! てめぇが行け!」

寄せ集めに連攜も何もない。そもそも利害関係の一致で一時的なだ。思い通りに行かない事で罵り合いながら戦っていた。

最初はある程度離れて戦っていたベテラン騎士達だが、今は馬車を囲むようにして戦っていた。

「不味いなこれは。さっさと馬車を行かせた方がいいか……」

し強引にでも進み始めた方が良さそうだぞ。埒が明かん」

「とは言え……行けるか?」

「ハハハ、行けるか行けないかじゃねぇだろ。行くんだよ!」

「違いない。やるか」

馬車を囲むようにして戦っていた方法から、馬車の前だけを守る方法に変更した。

外側からは開けられないし、普通の剣では傷一つ付かないだろう。馬さえ守ればいいのだから。

普通の馬車ならまずありえない方法だが、この馬車なら行けるだろう。この際余計なことを考えるのは止めた。後で怒られるのなら喜んで怒られようではないか。

今大事なのは、無事にこの馬車を送り屆ける事。そのための最善を盡くす。己は二の次だ。

者席に座っている者と言葉はわさず頷き合い、行に移る。

馬をかし、しずつでも進んでいく。

盜賊側としてもこの馬車は行かせたくないだろう。上等な馬車には上等な者が乗っているのが基本である。ファーサイスの國章が付いているが、今更気にしてはいられない。

ここで負けたら死ぬし、捕まっても死ぬのだ。勝つしか道無い。

流石のベテラン騎士達もきながらの護衛と、疲労も溜まり始めの傷が多くなり始める。

だが、そんな事は気にもしない。ベテラン騎士達が気にするのはただ一つ、馬が無事かどうか。

盜賊側の勝利條件が制圧一択なのに対し、こちらは『馬車の王都出』もしくは、『アエスト騎士団の増援』だ。

更に重要なのが向こうは個人であり、自分が生きてなきゃ意味がない。

それに対しこちらは馬が無事ならそれでいい。

最悪ベテラン騎士達は生き殘らなくていいのだから、捨てで行ける。

この差は非常にでかい。

「くそっ! 何だこの馬車!?」

「開かねぇどころかびくともしねぇぞ!」

そそくさと馬車の後ろにある扉に飛びついた者が騒いでいた。

普通に開けようとしても當然開かず、武でガンガンしてもびくともしない。それどころかガンガンしてた方の武が破損するという驚愕の事実。

いや、正確にはカモフラージュとして表に張られている普通の木はボロボロになるのだが、それだけだ。その木の側である水晶……マナタイトクォーツが全てを阻む。

馬車を壊そうと振るった斧の方が砕け散るとか、誰が想像するのか。

斧どころか振るった男の腕がヤバい。手がしびれるどころか砕けるレベルで返って來たのだ。當の男はびながら地面をのたうち回っていた。

その男の様子から男達はちょっと引いた。漸く普通の馬車じゃない、ヤバい馬車だと察した。

火の魔法はNGだ。中の者達が盜賊組の目的なのだから。それ故放った地の魔法も盡く弾かれた。

普通がそれなりの速度でぶつかれば車に影響が出る。後ろから突っ込めば前に進む。橫から突っ込んだら下手したら橫転だ。だが、この馬車は微だにしていなかった。

どう考えてもおかしい、異様ですらある。ますます盜賊組の恐怖を煽る。

馬車を止めるには馬を止めればいいが、そこはファーサイスの騎士が死守している。車部分を壊そうにも馬車全がそもそもおかしい。

後戻りができない者達が更に躍起になり馬車へと群がる。

だが、當のベテラン騎士達はそれをガン無視し、馬と自分達を狙ってくる者だけを潰していった。

心『流石師匠お手製。頭おかしいが、この場合凄い助かる』である。

敵味方誰これ構わず罵りつつ襲い掛かってくる盜賊組と、無言で淡々と切り捨てるベテラン騎士達の戦いは、本來それなりに綺麗な校庭に當たる部分を赤黒く染め、そこらにが転がっていた。

大半が盜賊組のだが、中には學園教師と學園生のも存在する。

學園どころかアエストの王都は普段とは変わり果てた様を曬していた。

「絶対に通すな!」

「「「分かってら!」」」

「死んでも押し通せ!」

「「「おうっ!」」」

お互いの意地と意地のぶつかり合い。尚、片方は自己保から來る碌でも無い意地だが。

人類の行理由なんて人それぞれだ。そんなもんである。

己の主の為に命を懸ける者と、自分のために命を懸ける者の戦いだ。

「貰ったぁ!」

疲労によって生まれた隙きを突かれるが……。

「させるわけねぇだろうがっ!」

「邪魔くせぇ!」

「こっちのセリフだ!」

別のベテラン騎士によって防がれる。

『不味いな、集まってきている。このままじゃ時間の問題か……』

別の場所からもぞろぞろと盜賊側の者達が集まり始めていた。

『仕方ない。やるしか無いな……』

「お前ら、後は任せるぞ?」

「あん? ……そうか。任せろ」

「なんだ、地獄巡り確定か?」

「ぬかせっ! 稼がせてもらうさ」

『《強化・限界突破オーバードライブ》』

強化》は自分のに魔力を流し、強化するスキルであり、自己強化魔法でもある。

ではこの際、自分のの限界以上の魔力を流すとどうなるか……。

一時的に発的な能力を得るが……皮が切れたり、管が切れてしたりと、かけた負荷により癥狀は悪化していく。

強化》はお手軽強化手段ではあるが、その反面一定を超えると自技になってしまう。

とは言え、普通は自技までは行かずリミッターがかかる。しかし、それを意図的に外すことは可能だ。これ以上はやばいよ! というのを無視すればいいだけだから。

1人のベテラン騎士からじる魔力が発的に上昇する。

溢れる魔力は周囲に威圧を撒き散らし、一時的に直した盜賊達を見逃す騎士達ではない。

すぐさま近くの奴らを切り捨てる。

そして《強化》を施した1人のベテラン騎士は、短距離転移しているかのようなスピードで馬車前方の者達を切り捨て、薙ぎ払う。

「飛剣!」

後を考えない闘気を込めた橫一閃の薙ぎ払いは、前方扇狀に不可視の刃が飛び、そこに立っていた者達を上下に分けた。

己の限界を超える《強化》により、皮が変わりはじめ、目や口、鼻といった部分からを流しつつもぶ。

「行け! 後は任せたぞ!」

「正気かこいつ!」

盜賊側からしたら、自するまで《強化》するとか正気か? と言いたいのだろうが、騎士達……いや、一般的に見れば學園を襲っているこいつらの方が正気か問いたいだろう。

だが、殘念ながら盜賊達は正気である。理由は様々あれど、冒険者だろうが今回の事件に便乗した時點で盜賊確定。ギルドからも切り捨てられるどころか、ギルドから賞金が賭けられるだろう。

元々持ちかけられた話に乗って忍び込んだ盜賊も存在する。

盜賊達が騒ぐ中、無言で馬車を進める。そして、無事に包囲から抜けていった。

「くっくっくっ……、我々の勝ちのようだな?」

「ですね……折角だし、子供達の方にでも加勢しませんか?」

「そいつは……いい。これで……逃げるよりは……このまま……守って……死ぬか……」

「流石に逃げれるとは思えませんしねぇ……」

「騎士は騎士らしく、守って死ぬか」

「「「おうよ!」」」

「ああただ、お前は奴らの指揮な。……もう、戦えんだろ?」

「そう……だな……分かった」

馬車を通すために殘ったベテラン騎士達は、そのまま學園生を守りに行く。

王家を守るという役目はもう達した。ならば次は、子供達を守ろう。

守るために戦い、守って死ぬなら騎士の本

襲いかかって來る盜賊達を蹴散らしながら學園生の所へ向かい、《強化》でボロボロの騎士を椅子に座らせ、指揮へ。無事なベテラン騎士達は再び最前線へ。

「おらぁ!」

「ぐっ……」

「へっへ……隨分とやって……かはっ……」

「たかが左腕1本持ってっただけで何勝った気でいやがる」

左肩に剣をけたベテラン騎士は、勝った気でいた奴のに剣を突き刺し倒す。

左をやられたベテラン騎士はそのまま剣で戦い、右をやられたベテラン騎士は盾を捨て、左に剣を持ち戦闘を続けた。

「いい加減……死ねぇ!」

「ぐっ……」

1人のベテラン騎士が遂に地に伏せる。

戦っているベテラン騎士が殘り半數と言う時に、逆側からアエストの騎士達がやってきた。

「くそがっ! こいつらだけでもぉ……!」

「ふははは! 我々の勝ちだ! ファーサイス騎士の底力嘗めんなよ!」

「くそがあああああああ!」

戦っているベテラン騎士が最後の1人となった時、盜賊側ももう殘り數えるほどとなっていた。

そして……最後の1人に剣が突き刺さる。

「おらぁ!」

「ぐっ……お返しだ……!」

「かはっ!」

お互いに剣を突き刺し、相打ちだ。

アエストの騎士が近寄った時、目だけをかし……く手を上げ、グッと親指を立て、『やりきったぜ……』と口をかし……事切れた。

未だ殘っているのは《強化》により負傷し、指揮を取っていた1人のベテラン騎士のみ。しかし、これもまた……長くはない。

最後の力を振り絞り、アエストの騎士へと話しかける。

「なあ……最後の頼みを……聞いてくれないか……」

「喜んで聞こう。なんだ?」

「我らの死に様……國に伝えてくれないか……」

「もちろんだ。伝えない訳がないだろう」

「そうか……ありが……とう……」

「禮を言うのはこちらの方だ。世話になった……」

椅子に寄りかかり、靜かに……満足気に瞳を閉じ息を引き取った騎士に、深々と禮をしたアエストの騎士達はすぐに行を開始した。

數千Vsベテラン騎士數人+他國騎士數人+學園生の戦いは―――ベテラン騎士達の勝利だった。

◇◇◇◇

「アエストの騎士達も戦っているね……相手は冒険者かい?」

「冒険者ギルドがアエストと戦う理由がありませんから……ギルドが敵になっている訳じゃ無いでしょうが……盜賊も混じっている様な気がしますね」

「かなり計畫的な気がするね。普通こんなり込まないよ?」

「招いた者がいそうですね……」

馬車で王都を進むがかなり混沌としており、スピードを出すどころか碌に走ることすら困難だ。

しかし幸い、奴らが目指しているのは王城のようで、學園への道は比較的余裕がある。

だが、當然馬車を通す気は無いようで……。

者席に座っている魔法師団の騎士が、通行の邪魔する者を倒すまでもなく、吹き飛ばして退かしている。

「アエストの騎士ではないな……なら問答無用!」

者席の騎士が"ライトニングランス"を道をせき止めている奴らにぶっ放す。

ルナフェリア、師匠の教えに従ったまでである。

『人を殺るなら雷系が1番効率良いわよ。特に金屬裝備はね。逆に普段使うにはさっくり殺りすぎて雷は向かないわね』

今は……さっくり殺る時である。

そして、言っていた通りにさっくりと死んでいった。普通の雷とは違い魔法なので、魔力によるレジストが可能だ。だが、逆に言うと魔力によるレジストに失敗した瞬間電する訳で。

雷系統は凄い騒である。

固まっていたら雷で一掃、個別なら風で吹き飛ばし道を作る。

當然敵から魔法も飛んでくるので、それを防ぎながらだ。馬車から落ちたらその場で戦う。

既に數人ほど落ちた騎士達は、仕方ないので市民を守りに行った。市民を守る事も騎士の在り方である。今できることをするまで。それが例え他國であっても、それが自國の評価へ繋がるのだから。騎士とは國の名を背負う者達である。

騎士となった時點で……いや、なろうとした時點で己がは國の為に捧げると決めたのだ。

「っ! 止まれ!」

者席にいる騎士の言葉により馬車が失速する。

今までは人だけの塞き止めだったため、魔法で吹き飛ばせば終わりだった。だが、今回は障害まで置いてあった。魔法での排除は々厳しそうだ。

「遂に我々の出番が來たか」

「そのようですね……」

「では、これより指揮はブリュンヒルデに移るからな。任せたぞ」

「……畏まりました」

非常に殘念な事にこちらの人手は多くない。隊長すら降りなければいけない程に。

ブリュンヒルデは近くに指揮がいない場合、騎士への命令権も持っている。よって、隊長が降りると指揮はブリュンヒルデに移ることになる。

「では殿下、行ってまいります」

「うん、いってらっしゃい。君達に戦神のご加護がありますように」

ベリアドース大國の名前由來にもなった戦と勝利の神、ベリフォウス。

戦いに行く者達を送り出す言葉、戦神のご加護。

『戦いに勝ち、生きて帰ってこい』と言う事だ。負ければ死ぬのが基本なのだから。

中に數人の騎士を殘し、馬車が止まると同時に飛び出していった。

學園に殘ったベテラン騎士達と同じく、馬のいる前のみ守り、塞き止めている奴らを片付けに行く。カモフラージュの木は既にボロボロで、所々マナタイトクォーツが出している。

今回殿下のお迎えに來ている近衛騎士達は優秀な者達であり、鋭を地で行くメンバーだ。

冒険者で言うところのSランクに片足突っ込んでいるレベルである。

そして、今回の盜賊側は良くてCランクである。AやBと言った冒険者で稼げる者達はこんな事に參加などしない。Cランクもここから護衛任務が解され、所謂お得意様が存在すれば生活は安定する。

Cランク以上になるには戦闘力だけでなく、人柄も見られ始めるので長らくDで停滯する者達も存在する。その停滯者達がギルドに不満を持ち、盜賊に墮ちたりこういった事に參加する。

所謂逆恨みだし、日頃の行いが悪い自業自得なのだが。こういう者達はそれを認めようとはせず、自分が変わろうとはしない。何故かって、相手が変わるのを期待した方が楽で、奴らが俺を認めないと相手のせいにした方が楽だからだ。

GからDは戦闘力や、依頼を指定通りにこなせるか。

DからCに上がるには戦闘能力と護衛任務に付ける程度に問題ない人か。

CからAは依頼難易度が上がり、問題なくこなせるか。臨機応変に対応できるか。

AからSはAを凌駕する戦闘能力と、上に立つ者としてのがある人か。

をギルドは見ている。

ギルドランクにはいくつかの壁があり……。

DからCがまず第一関門。ただ、ここは正直まともな人間なら問題は強さだけだ。ギルドの質上、まともな人間より何かしら問題ある者が集まりやすいのがあれだが。

そしてC以上は1個1個が壁と言える。護衛任務などで護衛者とのイザコザがで始める。

最大の壁はAからSであり、Aの戦闘力を凌駕する戦闘力が必要であり、上に立つ者としてのと言う曖昧な部分も存在する。

単純な強さの壁としては、DとCにあり、CとBとAにもあり、どでかい壁がAとSにある。

結果的に、ファーサイス騎士団無雙が始まるのだ。とは言え、數の差は如何ともしがたい。

そのせいで騎士団にも被害が出る。Sに片足突っ込んでいるからこそ、それだけで済んでるのだが。

A止まりなら數に押し切られて學園すら抜けていないだろう。それだけAとSの差は大きい。

降りていった隊長を含めた騎士達と、者席にいる魔法師団が蹴散らしていく。

「ファーサイスの騎士だと!?」

「殿下を國へ返すんだ。退いてもらうぞ」

當然逃げるものもいるが、そんな者は放置である。壁が減る分には問題ない。馬車が通れる道を作るのが最優先だ。

馬を守る組と障害を排除する組で別れ、盜賊達をなぎ倒していく。

最後は者席の魔法師団の者が魔法をぶっ放し、同時に馬車を進め包囲を出。

「行ったか……」

「行きましたねぇ……」

「アエストの騎士は……ふむ……」

「やりますか?」

「やらないのか?」

「いえいえ、お供しますよ隊長」

「殿下は行ったのだ、ある意味仕事は終えたぞ?」

「ご冗談を。盜賊共に襲われている市民を守らずして何が騎士ですか」

「くっくっくっ……馬鹿共め……。……行くぞ」

「「「はっ!」」」

各自王都に散り、アエスト市民を守るためボロボロになりながら戦った。

隊長を含めたファーサイスの騎士達は、大量出で息を引き取って逝った。

そして、アエストの市民が口を揃え、彼ら……ファーサイスの騎士に助けて貰ったと言う。

細かい傷が多數あり、に著けているで赤く染まりつつも……彼らはやりきった、非常に満足気な笑みを浮かべていたそうだ。

◇◇◇◇

「もうすぐ王都を抜けられますね……。良いですか、東門をでたらそのまま真っ直ぐです。道を無視して聖域の森を目指して突っ込んでください」

「わ、分かりました」

「だ、大丈夫なのかい?」

「大丈夫です。南は想定しているでしょうが、東はノーマークでしょう。あるとしてもテクノス側。聖域の森ルートは警戒していないはずです。そして、我々からすれば聖域の森……アトランティスこそが最も安心できる場所です。例え竜が來ても微だにしないでしょうから」

「そこまでかい……。しかし、今回の場合は別問題だろう? 庇うようなことをしてくれるかな?」

「……その辺りは大丈夫かと。今回我々に非はありませんし。個人的なを抜いても間違いなくアエストよりファーサイスを取るでしょう」

「そういう結論が國で出た……んだね?」

「はい。國王様、王太子様、宰相様、騎士団総隊長様、そして私の満場一致です」

ブリュンヒルデは今回のお迎えに參加するのと、以前ルナフェリアの所にいた為意見を聞かれていた。

そして、東門が見えてきた。

東門は閉じられてはいないがそこそこの人が集まり、主にアエスト騎士団Vs盜賊組の戦いが繰り広げられていた。

アエスト騎士団は突然の王都部からの攻撃と、外からの襲撃に挾まれきができず、そのせいで知らせも出せない挙句に増援も來ない狀態になっていた。

しかも表は盜賊組に抑えられ、騎士達は防衛に周り戦っている狀態だ。

「……どうします? これ」

「我々を見てファーサイスだから通してくれると思います?」

「思わないですね……」

「馬に乗っているのもいますね……突っ込みましょうか」

東門にいる盜賊集団の2割ほどは馬に乗っていた。すぐに追いかけられる様にだろう。

馬まで連れてくるとは用意周到にも程がある。現地調達した……つまりアエストの馬もいるだろうが。

この場合、ここで降りて蹴散らし馬車を逃しても、馬に追われるだろう。それでは意味がない。

それなら東門に突っ込みそのまま突っ走る。そして、追ってきた者のみ蹴散らせば良い。

「道は……私が作りましょう」

「私も気合れますかね」

大量の魔力の込められた巨大な"ライトニングランス"。それを東門の集団に撃ち込む。

ど真ん中を直線に撃ち込み、馬車の通る道を作る。

馬車の中にいる魔法師団は馬に複數の《補助魔法》を使用し、更に《防魔法》でも馬を守りスピードを上げる。

「な、なんだぁ!?」

「馬車だと!」

「……あの國章ファーサイスか!」

「追え追え!」

予想通り馬に乗っている者達が馬車を追いかける。

「あの馬車速えぞ!?」

「馬を強化なりしてんだろ! 長くは持たんはずだ!」

「流石に國章付きはやべぇだろ!?」

「今更何言ってやがる!」

その時前の馬車に変化があり……よく見ると男が杖を追いかけている者達に向けていた。

「やべぇ! 避けろお前ら!」

馬車から追いかけている者達にかなりの速度で魔法が襲いかかる。

それ程魔力は込められていないが、土の塊が大量に飛んでくる。人に當たれば落馬するだろうし、馬に當たっても痛がるだろう。頭に當たれば普通に死ぬ可能もある。

走っている車から後ろの車に石を投げるのと一緒である。

込める魔力はなく、數を増やして飛ばしまくる。完全に妨害目的であり、あわよくば頭に當たって死んでくれというじである。やっているのは者席に座っていた魔法師団の男である。

これによりだいぶ追ってくる者が減ったが、流石に魔法師団の男にも疲労が見える。

後は追いついて來たものを全員でボコり、東に向かうだけ……かと思いきや……。

ちらっと魔法師団の男の視界にった白い球。男には見覚えがあった。

他の者達に隠れるように、庇われるように使用していたそれは《使役魔法》……召喚の魔法陣だ。

「召喚だと!? こんな狀況で召喚騎士とは思えん……師匠のなら十分に脅威だが……」

「召喚ですか……」

そして、その魔法陣から現れたものは5メートル程の……。

「あれは……アースドレイクか!?」

「ドレイクですか……」

ワニと蛇を足して割った様な姿をしており、鱗として巖がゴツゴツと付いている。

火のドレイクの次に強いとされ、攻撃の火、防の地とされている。

アースドレイクの厄介なところは見た目に比べ足が早い。

ドレイク種は亜竜に分類されており、腳力は馬並み。持久力は馬以上だ。つまり、馬や馬車で逃げるのは難しいだろう。

ドレイク種はワイバーンと同じランクにされているが、飛ぶ分ワイバーンの方が厄介である。落とす手段があるならワイバーンの方が楽だが。

「馬車がダメになるとは思いませんが……問題は馬と中の我々ですか。馬車を倒されたら厄介ですし……仕方ありませんね。私がでましょう」

「私も魔力が心許ないですし、殘って足止めだけでもしましょうかね……。という事で後は任せましたよ」

「……指揮をお任せしたいのですが?」

「お斷りですよ。降りて全員はたき落とすつもりですからね。降りるなら楽にはたき落とせますからねぇ。それより、貴は殘るべきでは?」

「ご冗談を。武闘の家系と言われるディーボルト家の私がここで降りないという選択肢はありませんよ。たかがドレイク種……ルナフェリア様の方が遙かに理不盡ですよ」

「それは違いないけどねぇ……」

ずっと者席から魔法を撃っていた、ベテラン魔法師団の男がブリュンヒルデを殘そうとするが、予想通りの返答が來てやれやれと肩を竦める。

そして他の騎士達も參加する気満々だったが、流石に全員で降りるわけにもいかない。

「半分だけ降りましょうか。それが限界でしょう。これから先も何もないとは限りませんからね」

戦闘侍と元々のハンネス殿下付きも當然殘るとして、先程から馬を強化して走らせている魔法師団のも殘す。補助系はないのだ。

他國の騎士も數はなく、自分達の國に報告も必要だろうから殘す必要がある。しかも、彼らの國は中央4大國より遠い。これ以上數を減らすのは問題だろう。

降りるのはファーサイスの騎士達だけのようだ。

「では殿下、行ってまいります」

「……無力な自分が腹立たしいよ」

「ハンネス殿下、そんなお顔はしないでください。我々に恐れなど、悔いなどありません。むしろここで躊躇い、その後殿下のに何かあったらそちらの方が後悔するでしょう」

「そうですよ殿下。どうぞ我々を送り出してください。例え無理だと分かっていようが、生きて帰ってこいと。我らの敵を討ち倒せと。殿下を護りきった譽れをどうぞ我らに……」

「本當に……僕達は幸せ者だね……。君達の事は絶対に忘れないよ……戦神のご加護がありますように」

「「「「はっ!」」」」

召喚されたアースドレイクを筆頭に迫り來る盜賊達。

馬車のスピードをしだけ落とし、飛び降りる。

魔法師団の男は馬からはたき落とす事に集中。騎士達は魔法師団の男の護衛。

ブリュンヒルデがアースドレイクの足止めだ。

「さあ、行きますよ……。簡単なことです……人類のみ弾く結界を張ればいい」

ルナフェリアがファーサイスの自分の土地に張っているあれだ。許可制、認識系の結界。

馬とアースドレイクは通過できるが、ドレイクはブリュンヒルデが止めるし、馬は乗る人間がいなければ別に問題はない。

この認識系の結界はルナフェリアのオリジナルだったのだが、魔法の仕様が変わってから実がそこにあり、本人に教えられているのだから問題ない。後はそれが使用できる技量があればいい。

男は問題なく使用が可能だった。伊達にベテランとして騎士団に殘っていない。

『グエッ!』という聲と共に野郎共が結界にぶつかって地面に落ちていく。

最初の方に落ちた男達は普通に危険である。後続の馬に踏み潰されるというな。それも狙っているのだが。相手する數が減るじゃん? 戦わずして敵の數が減るんだ、良いことじゃないか。

「さあ、お相手願いましょうか。そちらに拒否権はありませんが」

ブリュンヒルデは短剣を抜かず素手のまま《強化》を施し、ドレイクへと向かう。

持っているのはただの鋼の短剣の為、ドレイク相手では使うだけ無駄だ。

そもそもドレイクは召喚。召喚者を潰した方が早く、魔力があるなら再召喚されるだけだ。

まあ、再召喚する様な魔力は殘ってなさそうだが。

それを確認したブリュンヒルデはぼそっと呟く。

「……普通はそんなものですよね」

ルナフェリアの理不盡さを再確認しつつ、意識をドレイクへと向ける。

ドレイクはB+とされており、それだけを見れば格下だがこちらは1人。本來Bランクが8人ぐらいで対処する敵だ。

當然余裕はないので全力で《強化》を使用する。限界突破しないギリギリのところだ。

正面をアースドレイク、周囲を盜賊達に囲まれている狀況。

馬がないから追うこともできず、戻るのも面倒だ。しかも馬から叩き落された痛みもある。よって、怒りの矛先を殘った者達に向けたのだ。

そもそも王族の乗っている、國章のった馬車を襲うなと言う話だが、世の中んなやつがいるものだ。似た者同士が集まり集団となったこの狀況、非常に面倒である。

『盜賊行為、皆ですれば、怖くない』

盜っ人猛々しいとはこいつらの事だろう。

『あいつもやった!』『俺だけじゃねぇ!』

これに返す言葉は『そうか、自白ご苦労。更に協力者報の提供も謝する。じゃあな』だろう。

貴様らの言い分関係なく、全員等しく極刑である。

まあつまり、話すだけ無駄という事だ。お互い逃がす気はない訳だし。

そして奴らは寄せ集め。

ここにはドレイクがいる。竜眼は無いが、ブレスはある。

もう一度言うが、ブリュンヒルデの正面にドレイク、ブリュンヒルデを含んだファーサイス組を囲うようにして盜賊達。

つまりだ……。

アースドレイクの口元に黃が集まり始めたのを確認したブリュンヒルデは……即座に突っ込みドレイクの顔面に蹴りをれ、顔を橫に向けた。

同時に放たれた《竜魔法》の一種である"ドラゴンブレス"によって、その一角の盜賊達が壊滅。

亜竜とは言え、ブレスを溜めるドラゴンに突っ込むブリュンヒルデの度も大概だが、味方からすれば頼もしい限りだろう。

「お、おい! 何してやがる!」

「知るか。避けないやつが悪い」

盜賊達に仲間意識や協調などある筈もなく。

その間に黙々と切り捨て、魔法で討ち倒して行くファーサイス騎士達。

ブリュンヒルデはと言うと……。

『頼み込んだ甲斐がありましたね……。間違いなく下地の聖魔布に助けられてます』

既に表の侍服はボロボロになっており、聖魔布が出しつつある。

足首まであるロングのためり傷などはほぼ無いが、打撃によるダメージが蓄積している。いくら聖魔布に衝撃吸収があるとは言え、全て吸収する訳ではない。

そして、アースドレイクは打撃が中心であり、サイズ的にも全て避けると言うのは無理だろう。

1対1のため、他を狙っている間に……と言うのも無理だ。

召喚は殺せば召喚も強制送還される。ただ、気絶などでは意味がない。既に召喚自はされているからだ。最終的には維持魔力がなくなって送還されることにはなるが、すぐではない。

召喚できる様になるまでが大変だが、できるようになれば強い。それが《使役魔法》である。

「いやはや、予想通りとは言えジリ貧ですね……」

「誰一人として通してはいないので、役目としては十分ですかね」

「足止めすればするだけ馬車が安全になるわけですから、まだまだですね」

魔法師団がひたすら妨害や防に周り、騎士達は倒すことに集中、ブリュンヒルデはドレイクを毆り続ける。

ブリュンヒルデを狙ったドレイクの攻撃に巻き込まれるのを恐れ、他の盜賊達は騎士達と戯れている。それによってドレイクに集中できている。

ブリュンヒルデはドレイクの攻撃に巻き込む気満々なので好き放題やっていた。周りは敵だらけ、味方は數人だけ。味方は固まっているのでそこさえ避ければ敵に當たる。

よって、他は気が気じゃなかったりする。いつドレイクの尾が來るか、ブレスが來るか分かったもんじゃないからだ。

しかし、それでもやっぱり數の多い盜賊組の方が有利である。

「よく見ると人じゃねぇか。どうだ? 命ぐらいなら助けてやるぞ?」

ブリュンヒルデは無言でちらっと男の方を見て、ブレス勢にったドレイクの首をそちらへと向けた。

そして期待を裏切ること無く、ニヤニヤしていた周囲の男達も含めブレスで言わぬ片へと変わった。

『愚かですね……今更ですか。と言うか、このドレイクも學習しませんね……楽でいいですけど……おや?』

アースドレイクが突然掻き消えた。

ブリュンヒルデが周囲を探ると、騎士が召喚者である男と刺し違えていた。

アースドレイクと1対1で勝たないと召喚できるようにはならない。つまり、なくともそれぐらいの腕はあるということだ。どういう手段で倒したかは分からないが。バカ正直に真っ向勝負する必要は無いのだ。戦う相手も自分で選ぶため、対そいつ専用の裝備など道を用意してから挑めば良い。

『ふむ……既に力がりませんか。だいぶダメージが蓄積していたようですね……。だからと言って……』

「おうおう、だいぶきが悪くなったんじゃねぇの? 散々好き放題やってくれたんだ、覚悟はできてんだろうな?」

「覚悟ができていないのに馬車を降りたと思っているのでしたら、大変おめでたい頭をお持ちのようですね」

「なんだとっ!」

男に憐れみの視線を送り……肩で息をしている魔法師団の男の方へ視線を向ける。

「本當に、やるのですか?」

「死ぬのなら王家の側近……侯爵令嬢として。こんな者達に好き勝手されるのは免ですよ。例え、死んだ後だとしても」

「まあ、私も見たくありませんからね。お好きになさい」

やれやれとしつつも、ブリュンヒルデの言いたいことは分かる。

盜賊に捕まったの先など決っている。そうなるぐらいならここで死ぬことを選ぶだろう。王家の側近として、侯爵令嬢として死ぬことを。

魔法師団の男とて貴族の人間であり、王家に忠誠を誓った人間だ。もし自分が同じ立場なら同じ道を選ぶだろう。反対などできるはずもない。

ブリュンヒルデは"インベントリ"から魔石を複數取り出し両手で握り込む。

「華々しく散ってみせましょう……」

囲んでいる盜賊達が1番集まっている方向へ突っ込み、握っていた魔石を周囲へとばら撒く。

『悔いはありません。ありませんが……もし2度目の人生が、転生ができるというのなら、次はあの方にお仕えしてみたいものですね……』

そして……。

「"我が命、主のために"」

周囲にばら撒かれた魔石と、聖魔布の側、腰辺り仕込まれた魔石。

それらがキーワードにより起する。

魔石は魔力暴走を利用した一種の魔裝であり、魔石の大きさに比例した発を発生させる。

周囲にばら撒かれた魔石が発し、その周辺の盜賊達を地面ごと吹き飛ばす。

そして、ブリュンヒルデ本人は髪のすら殘さずに、聖魔布と左腕につけていたステータスリングだけを殘した……。

この自により、殘っていた盜賊達の6割を吹き飛ばし、殘りは降りた時の2割ほどとなっていた。

「な……自だと……」

「ふむ、上々ですよブリュンヒルデ。では、殘りは私が連れていきましょう」

「なっ! お前も自する気か!」

「魔力がほとんど殘っていませんからね。殘りの魔力全てと、魔石の魔力を使用するつもりですよ」

「ま、待て待て! 馬車を追うのはもう無理だし、俺達もこれで引く!」

「そうですか? でも、私に付き合ってもらいますよ。そもそも貴方達は信用できませんからねぇ。その言葉も本當かどうか……」

「こんな時に噓なんかつかねぇよ!」

「問答無用です。"我が忠誠、主に捧げます"」

「まっ!」

……戦闘は終わった。

多數の死と複數のクレーター、そしてみどろの聖魔布を殘して。

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