《転生先は現人神の神様》閑話04 後始末と新たな従魔
アエスト大國王城。
バタバタと後始末に追われているうちに年越し間際である。
アエスト騎士達、更にその場に言わせたファーサイス騎士達の頑張りにより、被害は大きいながらも致命的ではない程度ですんだ。大國だからこそと言うべきか。
まず王都にある建などの被害狀況のチェック。
更に人的被害のチェック。
後はファーサイス騎士達の死をファーサイスへと丁重に帰す。
などなど、やることは沢山だ。
王城の一室。
そこには王と王太子(第一王子)、ニコラス(第二王子)がいた。
「ニコラス、ファーサイスへと行って誠心誠意謝罪とお禮をしてきてくれるか? それと、我からのこの手紙をベルンハルト陛下に渡してくれ」
「分かりました」
「後はそうだな……新年のパーティーをやるかは分からんが……やるようならそのまま滯在して參加してくるといい。という事で、妻と娘も連れて行ってくれ」
「え、でも……」
「大丈夫だニコラス。こっちは任せておけ」
「兄上……分かりました……」
國王と王太子が國に殘り……王妃と王、そしてニコラスはファーサイスへと向かう事になる。
ファーサイスへの謝罪とお禮はもちろんあるが、王の書いた手紙にはしばらくうちの者を頼むと書いてあった。
つまり王妃と王、ニコラスは避難だ。アエストの王都は荒れる。理的には既に荒れているが、これから更に権力爭いもじるだろう。
「ああ、そうそう。ファーサイスへはダンサウェストではなく、東のアトランティスだったか? そこから行くようにな」
「アトランティス……ですか……」
「東門を擔當していた騎士達が言うには、ファーサイスの馬車はそっちに行ったらしい。あの狀況であっちに逃げるのなら、ファーサイスからはかなり信頼されているのだろう」
直接話してはいないが、治めているのが誰かは知っている。ファーサイスの収穫祭で見ているから。
収穫祭での印象は……見た目に似合わず間違いなく強く、敵には容赦しないタイプだろう。
それぐらいしか分からないが……アトランティスを信じると言うより、ファーサイスが信じているから、アトランティスを信用してみようか。と言うじだ。
「分かりました。では、行ってきます」
「うむ、気をつけてな」
「はい。父上と兄上も」
「ああ」
ニコラスが部屋からでていき、部屋には王と王太子のみ。
「さて……、すまないな」
「父上が謝ることではありません。しかし、Sランク冒険者も雇っておいた方が良いのでは?」
「ううーむ……。今回失敗するわけにはいかん。そして失敗は我々の死か……」
今回間違いなく貴族達は現王を降ろしに來る。と言うか既に來ている。
そして、現王の弟を王にするのが目的だろう。
だが、王太子が既にいるのだ。王太子が王になればいい。現王はそうするつもりで、今回足を引っ張りまくってくれた奴らを問答無用で道連れにするつもりだ。
ゴミ共を我が子の為に片付けてから、席を譲る。
絶対に荒れる。分かりきっているから護りを固めるに越したことはないのだが。
「この近くにSランクいたか?」
「……やっぱり中央にはほぼいませんか」
中央はこの世界ではかなり安全というか、開拓されている。
よって、冒険者が稼ぐなら中央以外が理想なのだ。
Sランクとは現狀冒険者のトップ。中央より他の場所で稼ぐなり、ちやほやされたいのが人の。
「そう言えば、アトランティスの王が冒険者でSSSがどうのって話してませんでした?」
「確かに……いやいや、ダメだろう?」
「……ダメですかねぇ」
◇◇◇◇
「マイスター、晝頃アエスト王家の方が來るそうです」
「ふぅん……」
先行して『くるよ!』って教えてくれる人が來たのか。
先れですか、律儀ですね。……いや、転移で行く私があれなのか。直す気はないが。だって、別の人転送させてから転移するとかそんな面倒な……。
……仕方ない、考えておくか。
手紙の配達役とかも考えないとダメですかねぇ……召喚で何か……飛べた方が良いか。ワイバーン……ガルーダ……ペガサス……フェニックス……ダメじゃね?
どう考えても襲撃だろ……むぅ……。
まあ、とりあえず。
「ファーサイス行くのに通りたいだけなようだし、別に構わないわ。1日ぐらいは泊まっていくかもしれないし、部屋の用意だけしといて」
「はい」
……オートマタ便利だなぁ。AI積んだロボットとか、高能ゴーレムよな。
量産したら人類の必要が無くなるからやらないけど。
あー、おもてなしはできませんね。
うちには料理人なんかいないぞ? 私とジェシカの手作りだ。
ドラゴンステーキでいいかな? いや、でも魚介類食べたい気もする。
よし、ダンジョンで何か取ってくるか。海ステージあったろ。
ギルドーギルドー。
「あ、陛下」
「ちょっと魚介類食べたいから獲ってくるわ」
「あ、はい」
ダンジョンの付嬢がルナフェリアを見つけ聲をかけたが、歩みを止めず要件だけ伝え、奧に消えていった。
そして、それを見ていた冒険者達は……。
「魚介類てっと海ステージだよな? あれかなりの難所のはずなんだがなー」
「んだなぁ。鎧著てたらまず死ぬな。鎧著てなくても剣が錆びるおまけ付きだ。ぶっちゃけ割に合わん……」
「だよなー。ミスリルだと平気のようだが高いからなー」
「だなぁ。……と言うか、いつものドレスで行ったな? どう戦ってるんだ、あの人……」
「確かにな」
などなど話していた。
実際ルナフェリアの戦っている所を見たことある者はほとんどいなかったりする。
逆にファーサイスでは知っている者の方が多い。東の森制圧の時だ。
創造のダンジョン・海フィールド
8割が海水になっており、殘り2割が一応陸になっている。
非常に綺麗な砂浜があるのでバカンスに最適……なんて訳がなく、水棲の魔ばかりである。
敵がヒットアンドアウェイ戦法をしてくるため非常に腹立つフィールドだ。
まあ、魚が大半だからそうなるのはしょうがないと言えばしょうがないのだが。
ちなみに創造のダンジョンは大5階層毎にフィールドが存在する。
森のフィールド、鉱山のフィールド、海のフィールドなどなど。
フィールドが同じでも、進めば進むほどそこにいる魔が強くなっていく。
海のフィールドなら最初の方に來るのは、FとかDとかに指定されている様な魔。
後の方に出てくるのは、シードラゴンとかクラーケンなどSSSがいたりする。
中間ぐらいならBとかAだったり。
そして今ルナフェリアがいる海フィールドは中間ぐらいである。
食材目當てなら低くてもいいと思うだろう? 正直種類によるとしか言えない。
純正竜は総じて味い。だが問答無用でSSS。こんなのいるのは最後の方。
當然魔によっては食べれないのもいる。
フグの魔版とか? 生絶対殺すマン。どこ食おうが死ぬ。天敵に任せておけ。
なお、ルナフェリアは生じゃないので関係ない。
グロマグロがA指定なのでここに來ただけだ。他に何かいないかな? というノリで。
さ……て……何獲ろうかなー?
やっぱマグロか? いや、カニもいいな。あ、ムニエルもいいな。
ふむ……白魚か……。見覚えのないこの世界特有の魚はスルーするとしよう。
お、あれにしようか。スズキがいるじゃないか。私の知ってるスズキより二回り程大きい気がするが、味が変化ないなら些細な事だな。
さて、水著に著替えていっちょ行きますかね。
などなど考えながら海の上……の空で浮いて眺めていたルナフェリア目掛けて、勇敢な? 魚達が食べようと仕掛けていたのだが、盡く結界に弾かれ鬱々しくなったルナフェリアの魔力を込めた一睨みで散っていった。
もそもそと星晶シリーズをぎ、パレオ付きのビキニを生。
どうせ泳ぐ訳でもないのだが、何故著替えたかと言うと気分的な問題である。
系的にスク水も浮かんだが、極一部が年齢からはかけ離れていたのでスク水はやめた模様。
まずスズキ數匹にー……グロマグロが向こうから來たのでこいつもしまっておこう。
これだけでいいかな? グロマグロも高級食材とか言ってたよなー。
あ……いいのいるじゃん。
アシェットキングクラブ
  足を広げると10メートルを超える超大型甲殻類。
  當然両手のハサミもでかく、非常にい。挾んだり叩いたりしてくる。
  竜種に負けぬ味しさだが、海底を歩いて生活しているため、手困難。
カーニ、カーニ。
お、2匹もいるじゃん。お持ち帰りー。
水中を文字通り『飛ぶように泳ぐ』ルナフェリア。と言うか『泳ぐ』と言っていいのか謎である。空を飛ぶように水中でも翼を使用しているのだ。しかも空中と速度が変わらない。魔力の消費量は空より多いようだが。本人からしたら誤差である。
食料として狩られている分まだマシだろう。ただ殺したい訳ではないし。
とは言えダンジョンの魔は外とは違って知能はプログラムのようなだが。
外と同じように縄張り爭いや、繁はするがあくまでそれは『フリ』である。
階層によってポップ數が決まっているから。
ただ場合によってちょっと一種に偏っていたりすることがある。
しするとリポップするので、実際の海で狩るよりこちらの方が安心だ。生態系が崩れる事がない。つまり絶滅することがない。取り放題である。
問題はダンジョンなので、魔との遭遇率が高く危険ということだ。
『実力があるなら寶庫』それがこの世界のダンジョンの認識である。
ふむぅ……。
マグロ1匹、カニ2匹、スズキ人數分あればいいか。下準備必要だし撤収しようか。
おや? ホッケじゃないか。獲ってこよう。
マグロは刺し、カニは……鍋かな? スズキは予定通りムニエルにしよう。
ホッケは……開いて干だな。
「ただいま」
「お帰りなさ……なんですかその格好は!?」
「水にる際に著るよ。私の前世ではこういうのが主だったのよ」
「……大膽ですね。下著と変わらないじゃないですか……」
「パレオが付いてる分、これはまだましな方ね。まあそれはともかく、良いの獲れたから1匹あげるわ」
「宜しいのですか?」
「自分達の分もあるから問題ないわ」
買い取り用の付もあるが、量によってはそのまま奧に行く場合もある。
そちらに行ってどーんとカニを出す。
「うお! こ、これは!! アシェットキングクラブか!」
「知ってるのね」
「ああ、俺はシーフープから來たんだ。自分の店を持ちたくてな」
「ふむ。確かに今がチャンスではあるわね」
「ライバルもいない、土地も多い今のうちにと思ってな。しかしアシェットキングクラブが見れるとは……」
「ドラゴン並の味しさらしいけど、私もまだ食べてないからねぇ……。まあ、好きに食べなさい」
料理人に任せ、撤収する。解職人? 超便利ナイフがあるからいないわな。
うちにも料理人しいねぇ……。王宮料理人的な? うちは食料の消費が激しいから、正直自分で作るのは面倒なんだよねぇ……。主に霊達が掻っ攫って行くんだけどね。
とりあえず処理だけやっておくか。魚切って下味付けとくだけだけど。
おっと、著替えておこう。
◇◇◇◇
ファーサイス王城の一室。そこには重鎮が集まっていた。
アエストに関しての急會議中だ。
そこにはハンネス殿下と迎えに行った騎士、侍達の姿もある。
「―――以上で報告は終わります」
ハンネス殿下からの報告が終わった頃……いや、終わる前から既に重鎮達は殺気立っていた。
騒いだり喚き散らしたりはしない。ここにいるのは基本的に上流階級の皆様です。実力主義なだけに爵位的には下の方もいるけど、そう言う者も騒いだりはしない。
ここにいるからには有能なのだ。王族もこの場にいることだし。
逆に皆無表で目が據わってるから怖いのだが。
ハンネス殿下は第二王子。王太子、第一王、ハンネスと3番目の子だが王族だ。
王族を狙うとか宣戦布告も良いところだろう。
「……総隊長、小國はどうだ?」
「変わらず國境付近で訓練中です」
王の問に騎士団総隊長が答える。
ファーサイス西側に位置するダンサウェスト小國。
その騎士達が國境付近に拠點を作り滯在していた。
実施訓練だと言っており、すぐ南にある森や北の山へって行っている。
だが、ファーサイスからすれば黙ってそのままけ取る訳もなく、當然警戒している。いつでもこっちに攻め込める狀態なのだから。
そして狀況を考えると……。
「やはり足止めか?」
「……恐らくは」
そう、ファーサイスの足止めだ。ファーサイスの騎士達は優秀と有名。
そして、ハンネス殿下からの報告。今ここにハンネス殿下がいることがまず予想外だろう。ファーサイスからアエストは片道でも一週間ぐらいはかかる。しかし、その過程をルナフェリアの"ゲート"がふっ飛ばした。
騒が起きたその日の夕方にはファーサイスに到著とか、予想外も良いところだろう。
ファーサイスが知ればく可能が高い。自國民もいるのだから。でも、敵側からしたらかれたら困る。ならけないようにすればいい。
自分の國の近くに他國の騎士達がいたらけないよね? という事だ。
「……いい加減小國との貿易遮斷してやろうか?」
「癪なのは分かります……が、あそこのダンジョンで取れる魔素材が便利なのは確かですよ?」
ダンサウェスト小國にはダンジョンが存在する。
ファーサイスは大國だ。日々味しものを求めて人がやってくる。野菜は自國産で十分だが、類は別だ。
そして、そのの安定供給にはダンジョンが非常に役立つ。
普通ならいるかどうかも分からない、何が來るかも分からない森を彷徨って戦い、その後持ち帰る必要があり大変だ。
だがダンジョンは移しないし、階層によって出る敵は大決まっている。ダンジョンによるがそこそこの広さしかなく、魔を探すのは比較的楽だ。ダンジョンの場合向こうからやってくる事が多いし、生態系を考える必要も無い。
などなどの理由があり、ダンジョンは非常に重寶されるが、危険と隣り合わせなのは確かで何より數が非常にない。
ダンジョンは基本全てが謎で、発生條件などは分かっていない。
唯一分かっているのは、ダンジョン最深部にあるダンジョンコアを破壊するとダンジョンが消滅するということだけ。
基本的にダンジョンが見つかれば國が管理し、定期的に魔が溢れないように間引きながら利用する。
基本的にこの間引き作業は冒険者ギルドが請け負う。冒険者達の稼ぎどころだ。
だがこのダンサウェスト小國、中央では珍しい人間至上主義の國だ。
と言っても中央はテクノス、マースト、アエスト、ファーサイス、ダンサウェストの5國、それとルナフェリアの治めるアトランティスしか無いが。
テクノスはそもそもドワーフの國と言われる。
他の國は大々的にけれるとは言ってないが、けれないとも言っていない。
アトランティスだけが例外で、世界で唯一爵位持ちの魔すらけれると言っている。正確には法さえ守るのなら種族は問わないだが。逆に差別する者をけれない所だ。
冒険者というのは非常に決まりが緩い。
よって『様々な者』のけ皿となっている。つまり人間以外も多いのだ。
小國にはダンジョンがある。だが人間至上主義の國だ。人間以外は行こうとしない。よって、小國のまま発展しなかった。
しかもこの國、北は森と山、西は海、南は森となっており、んな方向から魔がやってくる。
そして上の理由から冒険者はない。
その為騎士達が育つわけだが、非常に殘念ながら……ファーサイスの方が練度が上である。
元々ファーサイスの方が上だったが、最近はルナフェリアの気分転換で更に差が開く。
そんなこんなで、小國はファーサイスにとって脅威とはなりえない。
そして、ダンジョンからの魔素材供給がなくなっても、どうにでもなる。
ファーサイスにはシーフープという港町があるのだ。食べる分には魚でいい。
ただ、國民達を考えると……戦爭するよりは、貿易でいいかと思っていただけだ。
にも関わらず、何かと小國はちょっかいをかけてくる。現在の王になってからが特に酷い。いい加減鬱々しいのも確かだ。
「既にその問題は解決したも當然だろう? ダンジョンは北のアトランティスにもある。小國より遙かに優れたがな。向こうには香辛料もあるし、わざわざ調子乗ってちょっかいかけてくる小國を選ぶ理由が無い」
「……確かに。アエストの件に無関係だとしても……」
「散々好き勝手やってくれてるんだ。理由は他にもいくらでもある。小國のことは置いとくとして、アエストか……。さて、どうしたものかな」
年越し近いというのに上層部の悩みは絶えない。
◇◇◇◇
「ようこそ、神都アクロポリスへ。マイスターの元へご案します」
オートマタの侍に案されて、神都の中を目を丸くしながら進むアエスト一行。
裏からは何やらいい香りが漂っていた。
オートマタと香りにわれ、お決まりのように屋敷ではなく裏の方へ向かう。
屋敷ではなく主に裏庭がルナフェリアのポジションとなっている為、やたら充実している。主にキッチンが。何の不自由もなく作ることが可能だ。
アエスト一行がやたら充実した裏庭スペースへ行くと、キッチンの前にルナフェリアが立っていた。
「ようこそ。見ての通り晝はもうし待ちたまえ……食べるわよね?」
「え、ええ。よろしければ頂きたく」
「うむ。では王族はそのテーブルに。それ以外はあっちだ」
王族のテーブルは細かな裝飾が施されたで、その他はシンプルなテーブルになっている。
こういう『差』はこの世界では必要なのだとブリュンヒルデが言っていた。
例え上の者が気にしない場合でも、下の場合が気にする時もあるので、用意しておくのが無難だと。
王族用と言ってもルナフェリアに普段使いされているテーブルだが。他の者達用のシンプルな奴を"ストレージ"から引っ張り出しただけだ。
アエスト一行が席に著くあいだにも、ルナフェリアの前にある複數のフライパンでスズキを使用したムニエルが作られていた。
それとは別に鍋でスズキからダシが取られたスープを作っている。
できたものはまず王族以外の者達に出す。
王族が食べるまで口にしないだろうからな。そして私はできたてが食べたい。
冷える事を考えると騎士達に犠牲になってもらおうと思う。
なに、文句は言わんだろう。と言うか、言えんだろう。
そして、新しくできたやつを自分の所と王族の所に置く。
「スープはバールと言う魚から取ったダシで作った」
「ダシ……ですか」
「そしてメインはこれ、バール・ア・ラ・ムニエール。バールの切りを小麥で包んで焼いた魚料理よ」
簡単な料理の説明だけして、さっさと食べ始める。
じゃないとヴルカンとシルヴェストルに食われる。
「うむ。上出來上出來。こんなもんでしょう」
もう一口食べようとしたらシルヴェストルがり込んできて、次はヴルカンがり込んでくるいつものお決まりを終え、普通に食べ進める。
が、アエスト一行は誰も食べていないようだ。
「ん……? 食べないの?」
「私が……」
「…………? ああ、毒見か。したければ気にせずするといいわ」
王妃が答えようとした時アエストの使用人がでてきた。
私が直接作ったからなー。凄く難しいというか、扱いづらい事になるのか。
王族は當然として、貴族も料理は料理人がやり、使用人が運ぶ。
でも帝の私が見える所で直接作り、私が運んだ。
あからさまに毒殺を疑うと言うのは々問題があるのだ。
でも彼らが來る前から作り始めていたから、いないうちに仕込まれていた可能も無いとは言えないわけで。
鑑定系統のスキルは一応レアスキルなのだよ。自分とシロニャン以外で持ってるのは、生産ギルドのセザール君とバルツァー商會でしか見覚えがない程度には。
毒見で気が済むのならすればいい。その程度で怒りはしない。
王族に萬が一もあってはならないのだから、するべきだろう。
でもあれってさ、即効の毒にしか意味なくね? 何時間も待つのかねぇ?
まあ、いいか。《狀態異常無効》の私に毒は効かん。と言うか効く無いし。
そもそもこれ自分で作ったやつだから気にせず食うが。
スープを飲もうと手に取ったら……。
「……しか無いんだけど?」
犯人達をジトーと見るとススーと視線を逸らす霊達。
顔突っ込んで飲んでるな思ったら全部飲みやがりましたか。
補充しよう……。
「……んん!? 飲み過ぎだお前達!」
鍋の方も半分ほど無くなっていた。
今回魚介をベースにしたからな……あんま作れてなかったが。
……まーいっか。次はコンソメでも作ろうかねぇ?
スープを皿に補充して戻ると霊達はフルーツポンチパーティーに突していた。
果実のレベルが上がったからなぁ。たまらなく味しいんだあれが。
食べ始めたアエスト一行が『味しいです』とか言ってるが當たり前である。
獲れたての味しいを味しい調理法で作ったんだから、味しくない方がビビるわ。だが私は夕食の方が楽しみだ。カニですよカニ。
普通にカニ鍋だな。茹でよう。この世界生食文化は無いようだし。
ファーサイスを出ると途端に魚介類を食べなくなる様だ。
まあ、この世界海に出るのはかなりリスクあるからな……。々川魚ぐらいか。
一応褒めて貰ったわけだし、適當にスルーしておくが。
それはそうと……魔眼で分かっていても聞いておかんとな……。
「すぐに出るのかしら? それとも一泊ぐらいはしていく?」
「一泊させて頂ければと思いますけれど、宜しいですか?」
「いいわよ」
うちまで飛ばして來たようだからなぁ。
馬を休ませる必要もあるだろうし、何より王妃と王にダメージがでかそうだ。
強行軍は辛かろうて。
「では、デザートを頂きましょうか。王族にしか無い……と言うのも可哀想か」
何かけち臭いとか思われるのも癪だし。
「えーっと……ピラカンススいる?」
「いるよー!」
「アレキサンドリア二房あっちに渡してくれる?」
「はーい」
花畑の方から飛んできたピラカンススに、アレキサンドリア二房をアエストの護衛、世話役の方に持っていって貰う事にする。よろしく。
ちなみにピラカンススは花の妖ピクシーのリーダー格だ。
……嫌がらせじゃないよ? 妖達により味が調整されたんだよ。
ちゃんと食べれるようになったよ。ちなみに種無しだ。素晴らしい。
王族の方は1人1個普通にカットされた果実だ。
果実は果実でも神の雫だが。
「君達今デザートが果実1個でがっかりしたわね? 騙されたと思って食べてみなさい。文句なら食べた後に聞いてあげましょう」
私は……ブランシェ(ラ・フランス)にしようかなー。
花の妖4人によってマスカットが二房運ばれてきた。
つやつやで綺麗なエメラルドグリーンのブドウ。
マスカット・オブ・アレキサンドリアだ。
「こ、これは……」
「いっぱい付いてるから、複數に出すには便利よねぇ……」
ブドウの王、哀れな使われ方であった。実際便利なのだ、仕方がない。
「種無いし、皮がかなり薄くなってるから丸ごといけるわよ。逆に取る難易度急上昇したけれどね」
ちなみに王妃はペルシア(モモ)、王はアーウィン(アップルマンゴー)、王子はナシを選んだ。
王妃がパクっと食べるとパチパチと瞬きしてしばらくフリーズしていた。
「こんな味しいの初めて食べました……」
「それ1個でファーサイスの農家達が2年近く暮らせるからね」
「……えっ?」
ファーサイス農家達の給料は平民以上、貴族以下ぐらいになる。
「下級貴族で1年ちょい。伯爵ぐらいで半年前後。王族で一月ぐらいかしらね」
「「「えっ」」」
目の前にある果実ガン見である。
正直私もこの値段設定は頭おかしいと思うが、付けたのバルツァー商會だし。
「だから我が土地の果樹、果実に手を出した者は問答無用で重犯罪奴隷へと落ちると法で決まっている。食べたから分かるでしょう? その価値が」
「確かに、間違いなくまた食べたくなりますね……食べるのが勿なくじます」
「早く食べないと腐るわよ」
食後は非常に平和で、木洩れ日と魔力が降り注ぐ中穏やかな時を過ごす。
過ご……したかったのだが、來客だ。
「マイスター、冒険者ギルドマスターが會えないかと」
「うん? マスターがこっちに來てるの?」
「はい」
「珍しいわね。大手続きがあったりとかで私が行った方が早いのに」
魔眼で見ると確かにいる。が、見覚えのない者もいる。……移住希者か。
他國の王族がいるのはある意味好都合か。
しかし、冒険者ギルド本部のマスターが役人みたいになってるな。
もうし人が増えたら役所とかも作るべきか?
まあ、ともかく。
「通して」
「分かりました」
またしても獣人ですか。今度は狐か。狐は確か保有魔力量に優れた種族だったな。
獣人は比較的言語を好むが、狐は魔法寄りだったか。
「おう、悪いなへい……か?」
「客人がいるけど気にしなくていいわよ」
「いや、うん? ……アエストの王妃様か!」
知ってるのか、ギルマス。
まあ、大國の王妃ならだいたいの人が知ってるのか?
ギルド本部のマスターと言うと組織のトップ……前世で言う大手企業の社長見たいなもんだから、こっちも有名と言えば有名か?
王妃に挨拶しているギルマスを眺めつつ、マスカットオレを飲む。
うむ、元の果実が変わったから更に味しくなったなこれ。
「あー、それでだな。まず冒険者ランクSSSの上、EXの項目を作した。これはもう本部のギルマスと、既にいるEXランク全員が認めない限りなれないになる。それで権限と言うか、扱いとしては名譽冒険者的な奴になる」
「……なるほど」
「決定権はあくまで本部ギルマスが1番上だが、その下ぐらいの権限はあると思っていい」
「他のギルドマスターより権限上になるってこと?」
「もしくはその同等ぐらいの、結構曖昧なじなんだ。だから、EXはそう簡単にさせるつもりはない」
「ふむ……。せめて私の目の前でドラゴン単騎討伐してもらいましょうか」
「そりゃいいな。それ最低條件な。後は本部ギルマス、他のEXランクが大丈夫だと太鼓判を押さない限り不可にしよう」
「つまり、現狀私と貴方が認めないと不可能なわけね」
「そうなるな。という事で時間が空いた時にギルド來てくれ。EXに変える」
「分かったわ」
「後は、移住希者だとよ」
ギルマスとの話が終わった後、後ろで待機してた狐の獣人の人と話しを進める。
狐の獣人は男の2人。まだ若く20前半。
「種族問わすけれるらしい、と村に來た冒険者の方が教えてくれたのです」
聞いた話しでは、東側の北の方にひっそりと村があるのだが、小國が殺されたくなかったら……と言って食料などを持ってくんだと。
食料ならまだいい方で、娘を持ってかれる家もあるとか。
土地に著があると言えばあるが、あんな暮らしをするのなら……暮らせる場所があるのなら出來る限り早く移したいと、深々と頭を下げられた。
「當然許可はします」
「「っ! ありがとうございます!」」
「ただし、る際の法を守る者のみ。そして、村にいる時とは生活が変わるでしょう。馴染む努力をするように。差別はしないが、差別する者は邪魔だからけれない。差別はしないが區別はする。我が國は適材適所、実力主義を地で行く予定よ。人格、能力問題ないのなら他の國で言う貴族にすらなれるでしょう」
「我々にも仕事をくれる……と!?」
「差別はしないが區別はする?」
差別はしないが區別はする。當然のことだろう。魚に陸で暮らせとか無理な話だ。
多彩な種族が集まるのなら、種族に合った土地を用意するのは當然のこと。
仕事に関しては種族による給料の差は基本的に無い。
ただ、ちゃんとした理由があるのなら種族的な差は認めるが、最低額は決まっているのでそれを下回る事は許さない。
例えば配達の仕事。『空を飛べる種族の給料がし高い』などは納得できるので認める。空路は早いからな。
更に水運の仕事で泳ぎの得意な種族の給料がし高いなどだ。そう言った差は認める。これは適材適所にも當てはまるからだ。
ただし、種族によりあからさまな扱いの差は認めない。
例えば、配達の仕事。『飛べる種族と飛べない種族の給料の差』はさっきの通り認める。が、飛べる種族と飛べない種族で『食事の量が違う』などの差は一切許さない。これは區別ではなく差別と判斷する。
食事の量は食べる本人が決める事であって、部外者が勝手に決める事じゃない。
「以上。これはどうなんだ? と思ったら聞きに來なさい。この土地で最終的に判斷するのは帝である私。恨みを買うから無理だ? 気にするな。死人は喋らん」
私は結構ウロウロするので、抜き打ちチェックもばっちりだ。
私ルナフェリア。今貴方の後ろにいるの……が転移で可能です。
「この土地の門の前と貴方達の村を"ゲート"で繋ぎましょう。さっさと話と荷を纏めて來なさい」
「「えっ?」」
橫にいつものデザインの"ゲート"を出現させる。
「出來る限り早い方が良いのでしょう?」
「い、行くぞ!」
"ゲート"を通る前にペコリとしてから、バタバタと通っていった。
一度"ゲート"を閉じ、こちら側をこの土地の門の前に繋いでおく。
そのうち來るだろう。
「それにしても、悪いわね。何か役人のような事させて」
「あー、これぐらい別に構わん。俺らも助けられた恩があるしなぁ。それに現狀どうしても冒険者達が多いから、まず俺の方に話が來るんだよな。建も目立つし」
「やっぱりこの屋敷じゃ普通すぎるかしら?」
「まあ、そうだな……」
「自分が使わない挙句に、基本使うのがだからやる気でないのよねぇ……」
「いっそ客人用と割り切ったらどうだ? 日帰りできる距離じゃないんだ、泊まって行くんだろう?」
「……なるほど、それは良い。王族を泊める用の建として作ればいいのか」
「國の中心だ。見栄えってのはあるに越したことはないからな」
「思いつき次第変えるとしましょう」
「おう! じゃあ俺は帰る。では王妃様」
王妃にはしっかりした作で挨拶してったくせに、私相手には手を振り振りして超軽いじで帰っていった。
私、帝なんだが? 立場的には王妃より上なんだが? あれれー? 我、神ぞ?
まあ、いいんだけどねー。魔力による威厳とか雰囲気とかはわざと遮斷してるし、態度も割りと適當だからなー。
その後は緩やかに時間が経ち、引っ越してきた狐の獣人達は冒険者ギルドへ。
こっちはこっちでカニ鍋パーティーをして、アエスト一行は屋敷でおやすみ。
月明かりと神霊樹の魔力に照らされる、寢靜まり返った神都アクロポリス。
ルナフェリアは霊達と靜かにティータイムを過ごしていた。
ジェシカやエブリンも寢ているので、ルナフェリアとシロニャンと霊達だけだ。
妖達も好きな所で寢ている。
この穏やかな時に、1日の報を整理しておくのだ。
更にマナが吹き出す特異點……龍脈の確認。土地のシステム……セキュリティーゲートなどが問題ないかなどの確認なども済ませる。
「……たまには木登りというのも……いいかもしれないわね……」
「ちゅ? (木登り?)」
シロニャンを頭に載せ、翼を広げてふわりと浮き上がる。
適當な高さの1つの太い枝に腰掛ける。
「魔眼で見るのとはまた違って、これはこれでいいかもしれないわね」
月明かりと魔力だけに照らされる世界。晝間とは違った顔を見せる。
この世界は日が落ちれば人類は眠る。夜は人類以外の時間だ。
「む……? ほう、客人か。人じゃないが」
結界があるのでそれなりの距離離れているが、フクロウが1羽飛んでいた。
問題は爵位持ちということか。流石にフクロウに人の部分は無さそうだ。
となると……何かしらのユニークスキル持ちか?
……ふむ。これは面白い。
《言語理解》
  言葉が分かる。
《適応強化》
  周囲の環境に適応する能力が強化される。
《隠飛行 Lv4》
  靜かに飛ぶ事ができる。
《言語理解》は爵位持ちならデフォだ。ベアテも持ってる。ただ、フクロウじゃ聲帯の関係上話すのは無理そうだな。
ただ、《適応強化》と《隠飛行》これユニークだな?
《隠飛行》はそのまま《隠》と《飛行》の複合スキルだな。
《適応強化》が面白いな。暑さや寒さなどを無効はできないが、すぐ慣れるのか。これだけだと微妙に聞こえるが、周囲に強い敵ばっかだとそいつらと殺り合える様になるってことだよな……? その強い環境に適応するのだから。
……ああいや、必ずしも強くなるという訳でも無いのか。
そいつらに見つからないようになる……と言うのもある意味適応だな。《隠飛行》か、なるほど。
何はともあれ爵位持ち、上手く生きてきてると言うわけか。
白と黒の縞々。かっこいいなこいつ。……メスだけど。
戦うつもりは無さそうだな? 興味がある狀態で様子を見ているのか。
フクロウいいなーとか思ってたんだよねー。あいつ魔だし、従魔ならんかなー?
渉してみようかなー? 問題はあいつでかいんだよなー。フクロウの大型種って前世でも結構でかいらしいけどさ。自分がんだ分余計にな……。
まあ、サイズはどうでもいいか。渉してみよう。
……と思って彼? 彼? メスだから彼か。の前に行ったらあっさり従魔になるって。魔にも個差があるってことか。
名前は……エマニュエルにしましょう。
最適化にったエマニュエルを抱えて裏庭へ戻る。
私の長は132センチ。エマニュエルは大100センチ前後だ。マジ大型種。
なかなかもふもふでいいな。
ベアテの時は起きる時にマナを吸い込んでたな……今回も警戒はしておくか。
ここは龍脈あるから大した問題は無いだろうが。
餌の問題は魔だから問題ないし……特にすることはないか。
アエスト一行と朝ごはんを食べ、食後にファーサイスへと知らせを転移させる。
そしてお晝食べた後、アエスト一行をファーサイス北門に"ゲート"で送り込んだ。
後はのんびりするかな。おっと、冒険者ギルド行っていこう。
名前:エマニュエル
種族:テクノープレデターアウル
別:
分:魔王種
稱號:忠実なる従魔
年齢:46
スキル
【武闘】
  《格闘 Lv5》《暗殺 Lv7》
【魔法】
  《攻撃魔法 Lv6》《防魔法 Lv4》《補助魔法 Lv5》《生活魔法》
【生産】
【】
  《力強化 Lv8》《魔力強化 Lv8》《制 Lv10》
  《痛覚耐》
【その他】
  《跳躍 Lv9》
【種族】
  《暗視》《萬能知 Lv10》《危険知 Lv6》
【固有】
  《言語理解》《適応強化》《隠飛行 Lv4》
  《視の魔眼》《千里眼》
起きたエマニュエルはこんなじだった。
種族はテクノー(テクノスのある北の山)に住むプレデターアウルだ。
プレデターアウルは隠と飛行に優れた種族だ。そのテクノー種で大型である。
元々なかなかの強さである捕食者で、かなり力強い。
プレデターアウルはAとされ、その中でも大型のテクノー種はA+ぐらいだ。
まあ、飛行系は飛べない者からすれば総じて強いわな。
戦闘スタイルは空からの不意打ち型。魔法は風と雷が主。
防より補助が高いのは、自分に補助をかけてから不意打ちで一気に仕留めるからだろう。《防魔法》の出番があまりない訳だな。
【種族】として《暗視》を持ち、知系が高い。
【固有】は爵位で得たのに加え、私との契約で魔眼2種を得た様だ。私との契約に……私の従魔として適応したのだろう……。これは強いぞ?
ベアテと戦ったらベアテが勝つけど。ベアテ裁ばっかしてるけど、戦ったら強いんですよ……伊達に自力で魔王種なってない。
蜘蛛だし、梟からしたら相最悪だわな。
さて、家のデザイン考えないとなー。
◇◇◇◇
「ああ、ハンネス殿下。無事で何より……」
「それはこっちのセリフだよ、ニコラス殿下。怪我はない?」
「かすり傷すら無いよ。皆がを張って護ってくれたからね……」
「僕もそうだったよ……。ああ、陛下の所に案するね」
ファーサイス王城へとやって來たアエスト一行を、同級生で親友であるハンネス殿下がお出迎え。
挨拶した後軽く話、父である王の元へと案する。
今回は王妃ではなく、ニコラスが対応すると先に伝えてある。
外の経験を積ませる為だ。母である王妃は今回サポート要因。
今回はとりあえず謝るだけだからだ。それ以上のことはもうし、ちゃんと落ち著いてから王同士でやるだろう。
ファーサイス側が気になるのは今のアエストの狀況と、今後どうするか。
一通りの謝罪を終えた後、アエストの王からの手紙を渡す。
この手紙によってどうするつもりか、というのはファーサイスに伝わった。
今回の事がどうして起きたか……も。國の恥だ、普通は隠しておくだろうに。
だが、それを敢えて伝える事も謝罪の1つだろう。
「なるほどな……。予想はしていたが、そうか……」
今回の事件は……。
貴族が他國の者に金を積まれた裏切り者の存在。
王家は當然それに気づいていたし、何度も手を打とうとしたが、その度に他の貴族達が邪魔をする。
この裏切り者に便乗し、現王の退位を狙い王弟の即位を狙っている野心家共だ。
王家や王派からしたらそれどころじゃない。國がなくなったら貴族も何も無いのだ。それに気づかない馬鹿共のせいでしょっちゅう頭を抱えていた。
國のトップが変わるのに何故お前達が今と同じ立場でいられると思うんだ?
しかも今回は他國が絡んでいる可能が高いんだ。敗戦國の者が今まで通りの訳がない。
つまり、今までは現王派と王弟派と裏切り者を裏からる者。これらの権力爭いだった訳だが、ここに來て裏切り者側がいた。
しかも、武力の方向で崩しに來たのだ。
王弟派の馬鹿共も漸く今回のヤバさに気づいたのだろう。當然もう遅いが。
そして、現王は王太子に席を譲る……前にこの馬鹿共を道連れにするつもりだ。
厄介事、厄介者をしでも減らしてから息子に譲りたいと思うのは、どこの王も同じだろう。そこで片付けるまで妻や娘、息子をどうか頼むと書いてあった。
今年中に片付けるつもりらしい。余程ムカついていたのだろう。
準備は既に出來ているようだ。
「と、言うことだ」
「……なるほど。つまりは己の力を、を過信した馬鹿共のせいですね」
「まあ、そうだな」
ファーサイスは実力主義。立場にふさわしい能力が求められる國。そんな國からしたらアエストのバカ貴族共には殺意すら湧くだろう。
今回はハンネス殿下やアーレント伯爵令嬢だって巻き込まれているんだ。
そして、優秀な者が亡くなっている。
アエストの王がやらないのなら、ファーサイスの騎士達がやるだろう。
アエストの王がやると言い、王妃、王、第二王子揃って頭を下げたから渋々大人しくしているだけなのだから。
これで王が生溫い処分をしようものなら喜んで乗り込んでいくだろう。
國が大好きな國者共は狂信者とも言える。國を馬鹿にしようもんなら喜んで乗り込むだろうよ。
しかもファーサイスの騎士達はやり通すだけの実力があるからたちが悪い。
それに、どうやら向こうで死んだ者達を綺麗にして、運んできてくれたようだから大人しくしている。
「王都をくまなく探し、全員お連れしたと思うのですが……」
「……どうだった?」
「はい。ルナフェリア様が言う者以外、全員揃っておりました」
「そうか。では、家族を全員呼べ。仕事中の者も呼んで良い。會わせてやれ」
「畏まりました」
「來るまで一先ず休憩としよう」
ルナフェリアが言う者とは、ブリュンヒルデなどが殘っていない者だ。
ブリュンヒルデが來ていた聖魔布などは、ハンネス殿下を連れてきた時に渡している。その際にが殘っていない者は報告済みだ。跡形もなく消し飛んだからな。
「民達を護ってくれた騎士達に謝と、巻き込んでしまったことに深く謝罪を」
集まった死んだ騎士達の家族に深く頭を下げるアエスト王家。
「頭を上げてください。悲しくないと言えば噓になりますが、恨んではいませんよ。なくともうちの息子は自ら立候補したのです。そして、見事し遂げたのですから……」
「うちもですよ。それに見てください。非常に満足そうではありませんか。なくともこの顔を見てグダグダ言うつもりはありません。良くやったアルベルト……お前は我が家の誇り。自慢の息子だ」
死んだ騎士達は國葬を行うようだ。
今年最後に済ませ、年を越したらいつも通りパーティーを行い、切り替える。
「父上と兄上が心配なんだよねぇ……」
「騎士達が護衛に付くんだろう?」
「そうなんだけどね。容が容だから、後がない者は確実にくだろうからさ。Sランク冒険者にも護衛依頼を出したらどうかって思ったんだけど」
「あー、でも中央にはない……と言うかほぼいないからね……」
「そうなんだよね。それにSランクでも々いるからさ……」
「確かにね……。安心して王家の護衛を依頼できる冒険者となると難しいね」
「口が固くて、今後も利用しない様な者なんてねぇ……」
「王家との繋がりだよ? そんな人は……あー……」
「……もしかして心當たりある?」
「いや、うん。あるにはあるけど……あの方は……」
話し合いも終わり、ハンネス殿下とニコラス殿下が話していた。
世間話……と言うには々あれだが。
「できれば教えてしい! 父上と兄上の命がかかっているんだ! 下手したらそのまま國が……!」
「うーん……教えるのは別に良いんだけど。僕もよく知らないんだよね。ほとんど話したこと無いし、今まで學園にいたからさ。下手したらニコラス殿下の方が詳しいかも?」
「うん?」
「アトランティス建國の帝、ルナフェリア陛下だよ。一応冒険者だよ?」
「…………あー! いやでも、陛下に陛下を護らせるって……ああ、それで歯切れが悪かったんだね……」
「まあね……。でも、條件としては十分だと思うよ? 口は堅いし、利用は……外の方でネッチリやられるかもしれないけど……まあそこはね」
苦笑気味のハンネス殿下に比べ、むむむ……と思考顔のニコラス殿下。
「僕より父上や宰相の方が詳しいから、そっちに聞いた方が良いかな? 後総隊長とかも詳しかったかな」
「ううーん……」
「……乗り気じゃないね?」
「あー……こういうのも何だけどなんかこう、苦手なんだよね……」
そういうニコラス殿下は苦笑というか若干引き攣っていた。
「そう言えば、エーリック殿も言ってたなー」
「エーリック殿が?」
「うん。危険とは違ったじだけど、何か落ち著かないって」
「うーん?」
「王家の……特に王の前にいる時に似てるけど、それとも微妙に違うじだって。どうも向こうから見える所にいるとソワソワするとか言ってたよ」
エーリックはマーストトップの三男だ。《危険知》が非常に高い友人。
本人は気づいていないが、神の前にいるから落ち著かないだけである。お偉いさんの前で落ち著かないあれ。
『この人の前で下手なことするなー!』と言う魂のびである。
「あの人の目は何ていうか、怖いんだよね……。別に睨まれているとかじゃないと思うんだけど……」
「あー、父上とかがあまり目は見ない方が良いぞって言ってた」
「え、そうなの?」
「うん、あの人魔眼持ちなんだって。しかも複數の。だから一種の武と同じで、本能的に危機を覚えるとかなんとか?」
「複數の魔眼持ちっているんだ……」
「まあ、とりあえず父上の所行ってみようか。うちとしてもアエストの現王や王太子が殺されるのは避けたいだろうし」
「……分かった」
ファーサイスの執務室。國王と宰相がお仕事中。
「父上、々宜しいですか?」
「……ハンネスか、っていいぞ」
「ニコラス殿下もいます」
「ふむ? ちょっと待て」
「はい」
一応見られては拙そうな書類を隠してから、許可を出し部屋へれる。
「どうした?」
「父上に相談があって、ルナフェリア陛下って冒険者でしたよね?」
「ああ、恐らく世界最強だろうな」
「ニコラス殿下が父上と兄上の護衛を頼めるような冒険者はいないかって」
ハンネスがそう言いながら、ニコラスへと顔を向ける。
當然王と宰相もニコラスの方へ顔を向けると、ニコラス殿下は申し訳なさそうに軽く頭を下げる。
「王子としても家族としても、心配でして……」
「なるほどな。ふむ……」
「確かに、ルナフェリア様が付いてくれれば安心ですが……問題は依頼料や報酬ですかね……」
「…………お金はもらえるなら國の運営に回すだろうからな」
「ですね……」
実はし前、ファーサイスもやられていた。
容は『グノーム(地の霊)の加護、いらない?』である。
ファーサイスからしたら超しい、地の霊の加護。しかも原初の霊のだ。
範囲は王都全。しっかりした地の霊の加護を貰えるが、値段は察してしい。
しでも安くしようとあの手この手と渉し安く契約! と、一同喜んだ。
が、後々加護をけた後の収穫速度などの計算をすると、してやられた満載だった。掌でコロコロされてたわけだ。
そもそも本的なあれだったのだ。ファーサイス人は優秀が故に深く考えすぎた。
アトランティスはそもそも野菜を作っていないから、ファーサイスにグノームの加護を與えて野菜を沢山作らせ、うちに寄越せ? ってだけだった。
ファーサイス側も損がある訳でもなく、何も言えない。
外組はしばらく魂が抜けていたらしい。
正を知っている、魔眼を知っている上層部からは生暖かい優しい目を向けられたらしい。それが更にダメージを與えていた訳だが。彼らに悪気はない。ただ純粋に気の毒だっただけだ。相手が悪すぎた。
ファーサイスから野菜を仕れる。代わりに香辛料。
ファーサイスの野菜収穫速度が上がる。こちらにやってくる野菜も増える。
ファーサイスからしたらってくる香辛料が増える。
ってくる香辛料が増えれば扱える店が増え、更に他國からの客が増える。それはつまり國としての収も増える。
どっちにも得があるから何も言えないのだ。
「確かに、報酬は必要ですね……潰した貴族から巻き上げそれを報酬に回せば良いのでは?」
非常ににこやかに言い放ったニコラス殿下。12歳とは言え王族。強かである。
王と宰相はニコラスに目を向けパチパチと瞬きをしていた。
ハンネス殿下は親友だけあって格を知っている。苦笑していた。
「はっは! それはありだな。まあ、けてくれるかは本人に聞いてみると良い」
「「えっ?」」
「今貴方の後ろにいるの」
「「うわぁっ!」」
突然背後から聞こえたの聲に跳ね上がる王子2人。
今度は王と宰相が苦笑していた。
そこには當然のようにルナフェリアがいた。
「アエストの第二王子からの依頼で、アエストの國王と王太子の護衛。だとさ」
「ふーん……別に良いわよ」
「えっ、そんな簡単に……」
「人類から護るぐらい簡単だわ」
ニコラス殿下はびっくり顔でファーサイスの王へと顔を向けるが、変わらず苦笑したまま頷いていた。
「ただ、冒険者ランク上がったから依頼料跳ね上がったわよ?」
「SSSなったのか?」
「SSSの上、EXになったわ」
「……新しいランクか!?」
「名譽冒険者的なランクらしいわよ。純正竜単騎討伐ってSSSランクより上よねって言ったら作られたわ」
「ふむ? 確かにな……」
「料金に関しては父上……王と詰めてしいのですが、潰した貴族の資金をと思っているのですが」
「ふむ……。それに追加でアエストがうちを認めてくれるなら良いわよ?」
「む……。それは私に決める権限はありませんね……」
「まあ、王家からの依頼としましょうか。向こうがそれでいいというのなら護りましょう。では、早速向こうと話し合いといきましょうか。"ゲート"」
ファーサイスの執務室と、アエストの執務室が"ゲート"で繋がる。
「な、なんだ!?」
「父上! 兄上まで!」
「「ニコラスか!?」」
「久しいな、アエストの王よ」
「む? ベルンハルト王……か?」
「うむ。アトランティスの帝による"ゲート"で繋がったのだよ」
「なに?」
「ニコラス殿下が、父と兄の護衛をしてしいと言うのだけれど」
アエストの王と王太子はキョトンとしていた。
まさか本當に話していた本人が來るとは思ってもなかったのだ。
そもそも王に王が護られるというのもどうなんだと思うから、無いなと思ったはずなのだが。
……だが、そうとなれば話は早い。早急に契約が決まる。
現王は退位するつもりなので、王太子の方ともだ。
現王が報酬を用意し、王太子がアトランティスを認める事になるだろう。
「潰した貴族達の平均資産とアエストがアトランティスを認める……。良いでしょう。かすり傷1つ付けさせやしないわ。何なら食事もうちで摂ればいい」
「ふむ、毒殺対策か。確かにありだな」
「そう言えば……」
ルナフェリアがちらっと周囲のメンバーを確認後……。
「シルヴェストル、中の音が聞こえないようにしてちょうだい」
「ほーい」
「これでこの會話は外には聞こえない。……《侵食魔法》というのがあるのだけれど、知っていて?」
「《侵食魔法》だと? 響からして碌なもんじゃ無さそうだな……」
「元々魔が使う魔法だったのだけれど、魔法形態が変わった今、使えるものがいてもおかしくはないわ。《侵食魔法》とは、毒や呪いといった狀態異常を引き起こす魔法……」
「「「なっ!」」」
「斷言してもいい。絶対に使う人間はいる。毒となるを持っていなくても作れてしまうのよ。警戒しておきなさい。魔法だからレジストが可能な分まだマシね」
「なるほど。実際の毒との違いはレジストが可能かどうか、ですか」
「そうね。用意が楽な分レジストによって効果が低いのが《侵食魔法》。対策としては《強化魔法》のレジスト系を使用しておくのが1番ね。"エクステントオールレジスト"」
これで今この執務室にいる者達には、ルナフェリアによる魔法で対抗率が上がった。余程のことがない限り、切れるまでは安全だろう。
シルヴェストルによる"サイレント"を解除し、解散!
ルナフェリアは護衛任務を始める。
◇◇◇◇
「さて、我の退位前にやり殘したことを済ませようと思う。……覚悟はできておろうな?」
アエスト王城・會見の間。
王と王太子はもちろん、貴族達も勢揃い。
「膿を殘しておく訳にはいくまい?」
「こうなった原因は王のせいでしょう!」
「……そうだな。我がさっさと処罰しなかったのが原因だろう。だからこそ退位する前に、全て片付けてから次代に渡すのだ」
1人の貴族が反撃するも取り付く島もない。
と言うか、反撃した貴族はいい度をしている。ただのバカの可能が高いが。
「今まで散々邪魔してくれた全ての者を処罰する」
「「「なっ」」」
聲を上げるのは心當たりがある者。
ざわめく中で1人の貴族がしっかりした聲で王へと問いかける。
「今回はそれをするだけの出來事だ。他國にまで迷をかけている壯大な……な。ここで我が手緩い処罰を與えてみろ? ファーサイスの騎士達が攻めてくるぞ? それをむというのならそうしてみるか? 貴様らは甘く考えすぎだ。嘗めるのも大概にしろよ?」
「王よ、あまり削りすぎては國が回りませんぞ?」
「分かっている。その辺りは宰相と決めた。忙しくなるのは確かだが、回りはする。心配するな」
「……左様ですか。王の決定に従いましょう」
問いかけた貴族は元々王族派。確認をしたかっただけである。
まともな貴族からしたら何も言うことはない。証拠があるのなら尚の事。
普段からおかしいのだ、あいつらは。
「くそっ! やってしまえ!」
そのびと共にき出す者達がいた……が。
すぐに地に伏せた。
それを見て愕然とするんだ貴族。
「な……に……? ぐあっ!」
そしてその貴族も地に伏せた。
「私も忙しいから、くだらないことで時間かけないでくれる?」
「往生際が悪くて済まないな」
「どこにでもああいう小者はいるものよ」
準備は既に整っていたのだ、ならばさっさと片付けてしまおうという事で、護衛依頼が決まってから數日後に開始したのだ。
何も襲撃や暗殺をわざわざ待つ必要もあるまい。
「―――以上から、今回は國家反逆罪とする。異論はないな?」
異論はでなかった。
まともな者達からしたら何も言うことはない。
該當者からしたら最早言葉が出ない。さっきまでの元気はどこへやら。すっかり青褪めて項垂れていた。
「連れて行け」
王の言葉により近衛達が該當者を連れ出して行った。
「……うむ。では、來年より王は王太子へと譲る。覚悟は良いな?」
「勿論です」
アエスト大國は新たな若き王へと変わる。
まだまだやることは多い。
王都もボロボロだし、學園も丁度休みにったとは言え、目処は立っていない。
忙しくはなるが、膿は取り除いた。
進むのみである。
【第二部完結】隠れ星は心を繋いで~婚約を解消した後の、美味しいご飯と戀のお話~【書籍化・コミカライズ】
Kラノベブックスf様より書籍化します*° コミカライズが『どこでもヤングチャンピオン11月號』で連載開始しました*° 7/20 コミックス1巻が発売します! (作畫もりのもみじ先生) 王家御用達の商品も取り扱い、近隣諸國とも取引を行う『ブルーム商會』、その末娘であるアリシアは、子爵家令息と婚約を結んでいた。 婚姻まであと半年と迫ったところで、婚約者はとある男爵家令嬢との間に真実の愛を見つけたとして、アリシアに対して婚約破棄を突きつける。 身分差はあれどこの婚約は様々な條件の元に、対等に結ばれた契約だった。それを反故にされ、平民であると蔑まれたアリシア。しかしそれを予感していたアリシアは怒りを隠した笑顔で婚約解消を受け入れる。 傷心(?)のアリシアが向かったのは行きつけの食事処。 ここで美味しいものを沢山食べて、お酒を飲んで、飲み友達に愚癡ったらすっきりする……はずなのに。 婚約解消をしてからというもの、飲み友達や騎士様との距離は近くなるし、更には元婚約者まで復縁を要請してくる事態に。 そんな中でもアリシアを癒してくれるのは、美味しい食事に甘いお菓子、たっぷりのお酒。 この美味しい時間を靜かに過ごせたら幸せなアリシアだったが、ひとつの戀心を自覚して── 異世界戀愛ランキング日間1位、総合ランキング日間1位になる事が出來ました。皆様のお陰です! 本當にありがとうございます*° *カクヨムにも掲載しています。 *2022/7/3 第二部完結しました!
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8 154三分間で世界を救え!「えっ!ヒーローライセンスD級の僕がですか!」 就職したくないからヒーローになった男は世界で唯一のタイムリープ持ち。負け知らずと言われた、世界一のヒーローは世界で一番負け続けていた
ある日、地球に隕石が飛來した。大気圏に突入した際に細かく砕けた隕石は、燃え盡き 地上に居た人々にケガ人は出なかった。 その日、大量の流れ星が空に現れ、消えて行った。 SNSでは流れ星の寫真が溢れ、多くの人が話題に上げ、連日ニュース番組では街行く人に街頭インタビューをしていた。 數週間と時が過ぎ、話題にも上がらなくなった時に異変が起きた。 外見的変化が世界中から報告され始めた。 次第に外見の変化は無いが、「個性」と言われる能力が確認され始めた。 するとSNSでは自分の個性を載せようと、寫真、動畫がアップされ始めた。 そして事件は起きた。 隕石によって影響を受けたのは、人類だけでゃなかった。 動物にも変化が起きた。「突然変異」によって巨大化、兇暴性の増した「怪物」達が 人類に牙を向け始めた。 街を破壊して暴れまわるその姿は、まさしく「怪物」 生物の頂點に居た人類は、淘汰される危機にあった。 そんな中、個性を使った強盜事件、犯人は個性を使い犯行を行い 警察から逃げきる事に成功した。 世界中の國々で同様な事件が発生し対応に追われていた。 そんなある日、一人の男が現れえた。 街中で暴れ、警察が対応出來ずに困っていた時に、仮面を付けた男だけが犯人に向かって行った。 その様子はテレビ局のカメラや周辺に居た人々の攜帯でも撮影された。 個性を使った犯罪に、個性で立ち向かった勇敢な姿は見ていた人に勇気を與えた。 事件から數日後、政府がある事を発表した。 それはヒーローの組織設立を國が進めると言う事、ただ後日発表された詳細は、公務員として雇用するわけでは無く、成果報酬型のフリーランス。 報酬はバイトと変わらず、自分の個性を使って楽に稼げると、期待していた人は報酬もさることながら、他があからさまに酷いと、SNSで政府を批判した。 そんな事があった為に人は集まらなかった。 そんな時だった。 一人の資産家が政府に代わって新たなヒーローの組織「イポテス」を設立した。 ヒーローとして怪物から街を守り、個性を使う犯罪者達から市民を守るヒーロー。 この物語は「無敗のヒーロー」と言われた男、赤波新屋の物語である。 カクヨム掲載中
8 193スターティング・ブルー〜蒼を宿す青年〜
世界が『魔素』という物質に覆われて早數百年。人々は各地に階層都市を築いて平穏に暮らしていた。 そんな中、死神と呼ばれる男が出現したという報せが巡る。その男が所有している魔道書を狙い、各地から多様な人々が集まってくる。 だが、彼等は知らない。その男が持つ魔道書、それと全く同じ魔道書を所有している人物が居る事を──
8 111私、いらない子ですか。だったら死んでもいいですか。
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8 145『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』
勇者と魔王の戦い。勇者の仲間であるベルトは、魔王の一撃を受ける。 1年後、傷は癒えたが後遺癥に悩まされたベルトは追放という形で勇者パーティを後にする。 田舎に帰った彼と偶然に出會った冒険者見習いの少女メイル。 彼女の職業は聖女。 ひと目で、ベルトの後遺癥は魔王の『呪詛』が原因だと見破るとすぐさま治療を開始する。 報酬の代わりに、ベルトに冒険者復帰を勧めてくるのだが―――― ※本作は商業化に伴い、タイトルを『SSSランクの最強暗殺者 勇者パーティを追放されて、普通のおじさんに? なれませんでした。はい……』から『元SSSランクの最強暗殺者は再び無雙する』へ変更させていただきました
8 195