《転生先は現人神の神様》62 亡國の吸

ふむ、だいぶ人が増えてきたな……。特にギルド関係者が多い。

いいじに創造のダンジョンが機能しているようだ。

冒険者達はダンジョンに潛り、素材目當てに職人がやってくる。そして商人は4大國の中心に位置する為、易路としているようだ。

まあ予想通りというか、計畫通りというか。順調である。

そして、順調に問題も増えている。

いやはや、人が増えれば問題も増えるってな。という事で、対策をしよう。

「陛下、ギルマスですか?」

「んー……そう、ね」

冒険者ギルド本部にて、ギルドマスターを呼んでもらう。

「おう、なんだ?」

「國から冒険者ギルドに依頼がある」

「個人的じゃなく國から? なんだ?」

「知っての通りだいぶ人が増えた。そこで、冒険者達にファーサイスで言う治安部隊……見回りの依頼を出したい」

「ほう……俺らにか」

「そこら辺のゴロツキに見回りさせても意味がないので、それなりに條件は指定させてもらう」

「まあ、當然だな。ギルドとしては問題ないぞ。ちゃんと報酬出るんだろう?」

「それは當然だ。國からの依頼のため稅から出る」

「ふむ、となると下手な事したら國民からボコられそうだな。ここは武闘派が多いからな!」

「國民がかずともわらわの騎士達がくだろうがな。『國』からの依頼で『稅』が使われているのだから、容赦なく張り倒されるだろうよ。ちなみにこの依頼をけた者は扱い的には奴らが上司になるからな」

という事で、ついに治安部隊を作ろうと思う。

アクロポリス治安維持パトロール依頼

ランク:C以上

期間:30日

場所:アトランティス帝國 神都アクロポリス

報酬:冒険者ランク問わず固定額

概要

アクロポリスをパトロールする冒険者を募集する。

これは『國』からの依頼であり、報酬は『稅』から支払われる。

分類的には護衛任務とするため、C以上とする。

けたい者はギルド付へ提示、日頃の行いが良ければけられるだろう。

報酬は一週間毎に支払われ、金額は固定。

當依頼を連続で長期間注した者はボーナスあり。

依頼付は一月前より始まる。26から30の最後の一週間に合否が出るだろう。

依頼開始は1日から、終了は30日となる。

代制の仕事となり、日中がメインだが、夜の時間帯も見回りしてもらう。

當依頼は種族、分は問わない。

真面目に國のため働きたいと言うのならけ付けに持って行くように。

特に夜が得意な種族、夜間は報酬に夜間ボーナスが付くためおすすめだ。

C&B:二人一組

A&S:二人一組or個人

での行とする。

こんなところか?

容を再確認して、國璽をベンッと押して、常設依頼として設置。

報酬金額は普通だ。多いわけでも無いけど、なくもない。

夜間手當はありで、長期間注者には神の雫でも1つ選ばせてやろうかと思っている。金額的には神の雫だけでも年収ぶっ飛ぶんだけどな。3ヶ月に1個かな?

売れる數より採れる數の方が當然多いし、別にいいだろう。

國の依頼報酬で國の特産品が貰えるのはおかしな話ではあるまい。

人數に関しては様子見だな。足りなそうなら増やしていこう。

「よし、後は任せた」

「おう、任せとけ」

用事は済んだので冒険者ギルドから撤退する。

さて次は……やって來た怪しい集団を何とかするか……。

「ヒルデ、騎士達を集めて謁見の間へ」

「畏まりました」

『ローブの怪しい集団が來たら謁見の間に通して』

『はい』

オートマタに指示を出し、我々は謁見の間でスタンバイ。

そこへフードを深々とかぶったローブの集団がってくる。

ローブはともかく、未だにフードをかぶっている事に々眉を顰める近衛達だが、當のルナフェリア本人が気にしていなかった。

謁見の間お決まりの行を済ませ、面を上げさせる。

その際に全員フードを取ったのだが……。

直後に騎士達がき取り囲み、隊長であるフリードリヒが1人の男の首筋に剣を當てる。

「なっ……なん……」

「何故こうなったか、そちらが1番ご存知のはずですが?」

「…………」

フードを取った時、首筋に當てられた者が《魅了》を私に使ったのだ。

その為、直後に取り囲まれたわけだな。

「その者の首を捧げましょう」

「姫っ!?」

「私は元より反対したはずです。漸くここまで來たと言うのに……見た目で侮りましたか? あの方どころか周囲の者全て、間違いなく格上でしょう。の匂いがしませんしね……」

かなり冷靜だな、この姫様。

當然正解であり私は神で、他は眷屬とオートマタだ。なんて流れていない。

彼らは所謂吸鬼。ヴァンパイア諸君だ。共通點としてみんな赤い瞳をしている。

前世では吸鬼はアンデッドやら元人間の死が云々と言うあれがあったが、この世界では亜人である。つまり魔の一種とも言えるな。

日中死にはしないが弱化し、夜に本來の力を発揮する夜の一族だ。

《攻撃魔法》の中でも闇や《補助魔法》などを得意とし、種族スキルでコウモリになったり、霧になったり、ったりとトリッキーなタイプ。

そして、赤い瞳は《魅了》の力を持つ。

能力的に厄介なので、嫌われ者である。

とは言えですね、正直首貰ったところで困るんですよ。どうしろと?

そんな事よりもっと有意義な使い道があるしな。

「首なんか不要。あの程度でどうにかなるわけもなく、下がりなさい」

「「「はっ!」」」

騎士達が元いた位置に戻り、揃って剣を仕舞った。こいつら楽しんでるな?

わざわざ"テレパス"で仕舞うタイミング合わせるかね……。

知らない者から見れば練度高く見えるんだろうな。全員真顔でやってるし。

かっこいいからいいけれど。

「陛下……陛下に《魅了》はその場で首飛ばされても文句言えない案件ですよ?」

「普通ならそうだろうが、あの程度じゃわらわどころかお前達すら釣れんだろう? ぷりぷりする事もあるまい。と言うか、神系がそもそも効かんだろう」

「まあ、そうなのですが……はぁ、が大きいと言うかなんというか……」

ブリュンヒルデが駄目だこりゃと諦めた様だ。

「それで、何用だ? まさか喧嘩売りに來たわけじゃあるまい? もし、そうだと言うなら買うが?」

『っ……』

「そんなつもりは全くありません」

々魔力を乗せ脅しをかけると、みんなしてビクッとを震わせ、先頭にいる姫が口を開いた。

まあ、當然彼らの目的は分かってはいるのだがねぇ。

「それでは何用だ?」

「我々を匿ってほしく……」

「斷る。匿うような仲ではあるまい」

「それは……」

「が、住むなら好きにするといい」

「……えっ?」

「村単位で引っ越して來た奴らもいるしな。國を落とされたから移り住む奴らがいても不思議ではあるまい? 犯罪犯して逃げ込んでくるなら論外だが、そうではないだろう?」

「はい」

「なら好きにすればいいさ。そちらの國と仲悪いわけでもなく、斷る理由がない」

「ありがとう……ございます……」

細かい話は後にしとくかねぇ?

「ヒルデ、部屋に案。本來吸鬼は夜行、強行軍だったようだし」

「畏まりました」

「殘りは落ち著いてからだ」

ブリュンヒルデと吸鬼一行を見送り、こちらも解散だな。

「見張りを付けますか?」

「いや、不要だろう。マジモンの『亡國の姫』ってやつだ。法國に聖戦とか言って落とされたようだぞ」

「ああ、遂にですか……」

「遂にってことは前から話はあったのか」

「ヴァンパイアはドラゴニュートに次ぐ上位種族。半竜と違って半分魔の吸鬼は能力が厄介なのもあって前から狙われてましたから……」

「法國はと回復持ちか。相最悪だな」

「しかも吸鬼の小國って西側だったんですよね……」

「そのようだな。にしても聖戦か……。『聖なる戦い』とはなんだろうな」

「全くですね。神々がいつそのような事を願ったというのか、実に腹立たしい」

「素直に『我々ののために死ね』とか言えばいいものを」

「素直すぎますね……」

「わらわとしてはそれぐらいの方が好持てるがな。正義だなんだ言って誤魔化すやつよりよっぽどマシだ。……まあ、吸鬼達は文に引きれるつもりだ。漸くいい人材が來たのでな」

「なるほど。そちら寄りでしたか」

「戦える者達は國に殘ったのだろうな……壊滅してるが」

「そうですか……」

「一先ず護衛はお前達の、侍はヒルデの部下扱いだな。それじゃあ解散だ」

「「「はっ!」」」

起きたら話の続きとして、それまでは……おお?

「ちょっと人攫いしてくる」

「「はっ?」」

殘った2人の護衛にそう伝え、転移する。

やって來たのはとある森の中。

そこには瀕死のおじさんとおばさん、同じく瀕死の青年とが橫たわっていた。

「追っ手……」

辛うじて意識のあるが微かに呟くが當然のようにスルーし、転送する。

「「ルナ様!?」」

「見ての通り重癥だ。早くしないと死ぬぞ」

「「はっ、はい」」

4人を手早く治療し、冒険者達に並べて寢かせておく。

しかしすぐにが目を覚ましたようで、ガバッと起き上がった。

「……ここはっ!?」

「転送前まで起きてただけあって、すぐ起きたか」

「傷も1番淺かったですからね。おっと……」

ジェシカはパタパタと新しく來た冒険者達の方へと小走りしていった。

キョロキョロ周囲を見渡し狀況が飲み込めていないに説明をしようか。

「ここはアトランティス帝國の冒険者ギルド本部にある治療をする場所だ」

「アトランティス……帝國っ!」

「姫様達はし前に著いたばかりだぞ。わらわの家である大神殿で寢てる」

「だ、大神殿!?」

「ああ、落ち著け。うちにある大神殿も、この治療場所も法國とは無関係だ。そういう見た目をしているからそう呼んでいるだけだ」

『神殿』という言葉が出るだけで落ち著けんか。法國の代名詞みたいなもんだ。

法國が我が國に來ることは無いだろう。大々的に人間以外もれているし。

正直うちにいる種族で言えば人間以外の方が多い。だって獣人、エルフ、ドワーフ、ドラゴニュートなどなど、人類は多いのだ。當然人類の中の一種である人間よりその他が多くなるに決まっている。

「ジェシカ、この4人が起きたらうちにこさせろ、客人だ」

「分かりましたー」

「夜行だから夜には起きるだろ。帰るまでに起きなかったらギルド職員にでも言って先に帰ってこい」

「はーい」

さて、撤退しようかね。

を一先ず寢かせ、ギルドのロビーへと戻ると……。

「ギールーマースー! 私を差し置いてEXって何! しかもSSとSSSは!?」

「うるせぇ! SSSに収まんねぇからEXを作ったんだ! 文句あんなら純正竜ソロ狩りしてこい!」

「だからEXの最低條件が純正竜ソロ狩りっていうのがあり得ないんだって! 大國の全戦力ぶつけてどっちが先かって相手なのに! 本當に人間!?」

神生命つってんだろが! 人柄に問題なく腕があるならそれ相応のランクをってのが冒険者ギルドだろうが!」

ギルドマスターと新たなSランクが言い爭っていた……ので、見なかった事にしてそのまま立ち去った。頑張れギルマス。

いやぁ、新しいやつ魔法型っぽいんだよね。魔法で模擬戦とかしたら殺っちゃうからねぇ。ははははは。近接と違って魔法は加減が難しいのだ。

「おかえりなさいませ。一人一部屋ご案しておきました」

「うむ、先程4人の吸鬼一家を助けてきた。今はジェシカ達の所で寢ている。夜になれば來るだろう」

「畏まりました。4人ですね」

さて、暇になったな。いつもの場所に戻るか。

鬼組に仕事を引き継いで分を減らせるといいのだが……向こう次第か。

……ぼふん。

ゴロゴロ……ゴロゴロゴロ……。

「ルナ様……」

「いいじゃないかー。白鳥は見えないとこでバタ足しているんだ」

「……は?」

「……この世界に白鳥はいねぇのか。まあ、言うほどバタ足してないらしいが」

……ゴロゴロゴロ。

……ムクリ。

「あー、あぁ……無理か」

ぼふん……ゴロゴロゴロ……。

『創造神様ー』

『何用かね』

『ピアノがしいです』

『ああ、あれ。まあ、いいけれどね。放り込んでおくわ』

『わーい』

……ムクリ。

ゴソゴソ……テレレレー。

ピアノを手にれた。

早速設置して弾こう。シロニャンが來てから弾いてなかったが……。

流石にピアノの自作はできん。

「なんですか? これ」

「これは楽の一種だ。前世で一般的だった……グランドピアノだこれ!? うひょー!」

「グランドピアノ?」

「ピアノの中でも完全にプロ向けの、普通個人で持つような代じゃないな。この世界で言うなら魔銀貨20枚と言ったところか」

魔銀貨、つまりミスリルを使用したお金だな。一枚約百萬だ。つまり二千萬だな。

「これがですか!?」

「そうだぞ。楽はどれも繊細なんだ。しでも歪んだらもう音が変わる。専門知識、専門技の塊……それが楽だ。まあ、これは神だから20枚どころじゃないが……」

グランドピアノ 神

  甘な音を広範囲に響かせる楽

  常に最高の狀態を保ち、音が変わることはない。

  至福のひと時を與えるという。

早速設置し、てきとーに押し、確かめる。

そして弾き始めた。

ルナフェリアが演奏を始めると霊達が寄ってきた。

そして踴るのが大好きな花の妖、ピクシー達が集まってきてクルクルと踴る。

人ならざる者達のパーティーの始まりだ。

風の霊達が瞬時に音を拡散し、神都全へと広がる。

アクロポリスにいる霊達が、妖達が舞い始めた。

その日から、帝が気紛れにピアノを奏でるようになった。

久しぶりのピアノと、霊や妖達の楽しそうな姿についつい長く弾いてしまったが、吸鬼達が起きるまでの時間潰しにはなったようだ。

「さて、話し合いの前に彼らと會っておきなさい」

「……彼ら?」

「姫、ご無事で……」

「あ、貴方達!?」

「陛下が助けてくれたようでして……」

「たまたま生きているのを見つけてね」

謝します陛下……。この一家は私を追っ手から護るために……」

「忠義の者は嫌いではないさ。それが例え敵だとしても……な。さて、今後の話といこうか」

「はい」

「そちらの要求は我が國に住みたいという事だな?」

「そうなります。安全を保証していただけますか?」

「こちらの要求を飲むならいいでしょう」

「要求とは?」

「そう構えなくていいわ。我が國は文が壊滅的でね。わらわの手伝いをしろ。つまり、我が國にとって亡くすと惜しい存在となれ。」

「く、國の手伝いをしろと!?」

「そうなるわね。判斷は全てわらわがする。君達は纏めてくれるだけでいい。現狀わらわが全て行っていてな、正直な話面倒でたまらんのだ」

「全て!? し、しかし國の事に我々を……」

「嫌だというのならそれもよかろう。ただ、その場合仕事から住む場所まで自分達で決めたまえ。この大神殿はわらわの家でもあり、仕事場だ。國の客人ならまだしも市民は基本れん。城と同じだからな」

まあ、國の運営によそ者を混ぜて良いのか!? という當然の反応なのだがな。

そもそも我が國はできて1年経っていないのだ、よそ者も何も無いだろう。

霊達に文何かできるわけもなく。妖達も……うん。

「我が國は実力主義だ。そこに種族など関係ない。ただ、我が國のため働くというのならそれでいい」

「…………」

「言いたいことは分かる。『間者が混じったらどうするんだ?』だろう?」

「は、はい」

「わらわ達に噓を付ける、騙せると思っている時點で嘗めすぎだ。現在この國にいる他國の間者は九カ國から來ている。この國の門を作ったのは誰だと思っている? この國を作ったのは? わらわだぞ。把握しているに決っている。ファーサイスの者もな。別にいる分には構わん。が、小細工するようなら人知れず消えることになるだろうよ」

「ぜ、全員ですか!?」

「當然だ。そもそもここはわらわが霊、妖達の為に調整した土地だ。人類である貴様らはおまけに過ぎん。にも関わらずそれを邪魔しようものなら人類の一人や二人、國の一つや二つ、叩き潰すだろう。送り込んできた國に報復する気満々だからな。さて、どうする? 文として住むか、民として住むか、選ぶと良い」

「文で良いと言うのなら文で構いません。元々我々はそちら側ですから」

「うむ、漸く分を減らせるな。仕事はさっき言ったように纏めるだけで構わん。判斷はわらわがするのでな。姫様には宰相でもしてもらうか。他の者達は姫様のサポートだ。その方がほぼ変わりなく良かろう」

「宜しいのですか?」

「構わん。宰相として文を纏めろ。判斷が必要なものは全てわらわの元へ持ってこい。いいか? 全てだ。重要なは勿論些細なことまで全てだ。君達の仕事は纏めること、そして何か案があるなら言うことだ。書類自は君達を最初に案したオートマタが持ってくる。それを纏め、分類するだけでいいぞ」

「分かりました」

「君達の給料は當然『稅』から出る。安心したまえ」

さて、しばらくは引き継ぎ作業だな。

だいぶ楽になるが、空いた時間は何をしようか……。

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